DEMDIKE STARE / Elemental - Chrysanthe + Violetta

DEMDIKE STARE / Elemental

今年になって初めて購入したのが、このDEMDIKE STAREの " Elemental - Parts 1 & 2 " というのも、我々の不吉な未来世界と2012年の音楽シーンを暗示しているかのようで、不思議な巡り合わせ、縁だ。" Chrysanthe " と " Violetta " の2枚組カラー・ヴァイナルがゲートフォールドのブック形式のスリーヴに収められ、まもなくリリースされるElemental Part Three: RoseとPart fourが12"1&2を分割する折り込みページ・パッケージの内部のスロットに収納されるように作られている。DEMDIKE STAREというプロジェクト名
は、pendleの最も有名な魔女 Elizabeth Southerns ( 別名、Demdike ) に因んで名付けられたそうだが、イギリスでは最近17世紀の小屋(猫の骨格を完備した)「魔女の小屋」が、Pendle hill(ランカシア)のサルオガセモドキ貯水池の近くで発見され、この小屋には猫が小屋の住民を悪魔から保護するために生き埋めにされているともいう。ペンドルの魔女(PENDLE WITCHES)というのは実話で、1612年、ランカスター刑務所(Lancaster prison)で、
10名の囚人男女が妖術法により絞首刑となり、ペンドルの森(Forest of Pendle)にいた17人を魔術によって殺害したといわれている。いまもイギリスの人々は魔女の存在を信じているのだろう。イギリスの美しい Pendle Hill 近くに住む魔女の家族に生まれた主人公 Jennet Diviceという少女の回想物語りとして残っている。やはり全体的にインダストリアルでホラーな映画を思い起こさせるミステリアスなサウンドで構成されている。しかし尖端音楽も、我々の生
活を取り巻く人々のこの底なしの暗さ、ひとの世の儚さも、もう救いようの無いところまで来ているように思わないか。おまけに経済破綻とくれば誰もがこころの底でこの世界の終末を待ち焦がれているかのようだ。ある信憑性のあるTwitterの書き込みによると、都内の火葬場は10日待ちだというし、千葉も同じで、 静かに人が死に始めたという。福島原発の後遺症、放射線汚染まみれなのに、みんな普通に生活しているなんて、なんと恐ろしいことだろう。このニッポンは魔女どころではないんだ。静かな死を徐々に迎える準備をしているかのように、残酷な地獄絵図のなかで生きている。

http://www.pendlewitches.co.uk/demdike/

http://boomkat.com/vinyl/486036-demdike-stare-elemental-part-three-rose


DEMDIKE STARE / Elemental ( LOVE 074 )
Chrysanthe
1-A1. Mephisto's Lament
1-B1. Kommunion
1-B2. Unction
Violetta
2-A1. Mnemosyne
2-B1. In The Wake Of Chronos
2-B2. Violetta

artwork by Andy Votel
layout by Radu Prepeleac
written by Miles Whittaker, Sean Canty
phonographic copyright (p) – Modern Love
copyright (c) – Modern Love
distributed by Boomkat
**Four part vinyl set housed in quadruple book-style gatefold sleeve.
Parts are called "Chrysanthe" & "Violetta", "Rose" & "Iris", and are pressed on correspondingly coloured vinyl (marbled orange, plain purple).
Episode one and two was released the 9th of December 2011.
Episode three and four is due for release early 2012.
Limited to 1000 copies.
"For Oscar"
RPM writing on matrix:
Chrysanthe A: 45RPM / B: 33⅓RPM
Violetta A: 33⅓ & 45RPM / B: 33⅓RPM
made in UK
MODERN LOVE 2012

Demdike Stare - In The Wake Of Chronos

Demdike Stare - Unction
http://youtu.be/HT6bX1IkOUc

Demdike Stare - mephisto's lament
http://youtu.be/Ga0w9w4jYbY

Demdike Stare- Mnemosyne
http://youtu.be/TDBM3Y9E0FQ

イギリスではDemdike Stareの音楽はデトロイト・テクノの反ユートピア的な未来世界への執念から始まった文脈を持ち、腐食および蘇生、喪失および発見、過去および未来 ( 美と醜さ ) などアンビヴァレンツなベクトルを持っていて、現代の魔法の形式を実行していると評されている。古いレコードからサンプルを起こし、それらを新しい形に蘇生させ新しい文脈にあてはめる。イギリスのホラーに結び付くすべての儀式、シェイクスピアの魔女、風刺的ユーモアなど異なるフィールドの素材を横断し結合させ神経質な恐怖を再創造し、現代世界の政治的・社会不安の強い感覚を利用する。彼らは美しいほどシュールで抽象的な存在の恐怖を描き、我々にお前はなぜ生きているのかという問いを突きつけるのだ。Andy Votelのシュールモダンなジャケットアートを含めたDEMDIKE STAREの世界は、暗いというよりも、とても美意識をくすぐられる耽美でモダンな作品だと思っている。ジャケットを手に持つと、その存在感の重さとリアルさは、レコードコレクターのフェティシズムも満足させてくれるしね。音楽的にもインダストリアルからミニマルダブ、ウィッチなど、尖端音楽で起こっているリズムとサウンドがすべて記号化されブリコラージュされているし、Miles WhittakerとSean Cantyのその鋭い感受性にさすがだと思う。音楽を楽しむとは、音楽を聴くことだけではなく、なにか未知の物語り性を与えてくれるものでなきゃ満足しない、もうそんな時代に侵入しているように思える。Carsten Nicolai が2011年のベストアルバムにAndy Stott / We Stay TogetherとThrobbing Gristle / The Second Annual Report Of Throbbing Gristleを挙げていたのには驚いた。インダストリアルやミニマルダブ、グリッチは21世紀のモダンミュージックだと、解る奴には解るんだ。


« new electronica 1995 | メイン | A new art gallery 〝 nu things 〟 »

About

2012年01月19日 03:47 に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「 new electronica 1995 」です。

次の投稿は「 A new art gallery 〝 nu things 〟 」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35