MERZBOW
『Electronic Union』
¥2,000+税
SDRSW-102
2020年12月18日リリース
Amazon https://amzn.to/2JlH8fl
スローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズは第10弾がスタート！今回のシリーズでは2004年から2005年にかけての音源がリリースされる。メルツバウは2005年の後半頃からライブでラップトップに加えて自作楽器やアナログ機材を併用するようになるため、本シリーズの時期は1999年から試みられたラップトップのみでの演奏／制作の到達点と捉えられるだろう。本作『Electronic Union』には2005年のAll Tomorrow Parties (London, UK)、Kunstraum Wallcheturm (Zurich, Swiss)等のEUツアーの為のリハーサル音源を抜粋編集したものが収められており、特に2曲目はラップトップのみで試みられてきた様々な作風が詰め込まれた密度の高い演奏となっている。
<作品概要>
これまで9つのシリーズがリリースされているスローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズは第10弾に突入。
今回のシリーズでは2004年から2005年にかけての音源がリリースされる。
この時期メルツバウは『Merzbird』、『Sphere』、『Turmeric』などをはじめ膨大な数の作品を発表し多くの海外公演を行うなど多忙であり、完成された状態で未発表となっていた音源は少なかったため、今回のシリーズでは主にライブ用のリハーサル音源を編集したものが収められている。リハーサル音源ではライブを想定した楽曲構成がとられており、当時のライブで繰り返し使用されていたパターンも含まれていたが、重複する部分は編集でカットされ作品としての個別性は確保されている。ライブのリハーサル音源以外では当時ごく少数しかリリースされなかった作品からの再収録や既発曲のロング・ミックス、アウトテイク等が収録されている。
メルツバウは2005年の後半頃からライブでラップトップに加えて自作楽器やアナログ機材を併用するようになるため、本シリーズの時期は1999年から試みられたラップトップのみでの演奏／制作の到達点と捉えられるだろう。また、2003年から思想的にVeganになった関係で音楽制作のテーマもVeganarchism (Vegan Anarchism)へと向かい、アートワークやタイトルなどにも動物のモチーフが数多く登場するようになる。
本作『Electronic Union』には2005年のAll Tomorrow Parties (London, UK)、Kunstraum Wallcheturm (Zurich, Swiss)等のEUツアーの為のリハーサル音源を抜粋編集したものが収められている。1曲目はハーシュという形容が相応しい壁のようなノイズで幕を開け、中盤からは『Merzbuddha』で用いられているものに近い低音のループが加わることで酩酊をもよおすような音の渦が生み出される。2曲目はより速いペースでいくつもの場面が接続された演奏となっており、その中では2003年のアルバム『Frog』収録の「Denki No Numa」のベースループも使用されている。この2曲目にはループサウンドが耳を惹くグルーヴィーな場面、河の濁流を思わせる厚いノイズやその中でぶつかり合う石や岩を思わせるゴツゴツとしたアタックのある音響、そしてノイズとループが混然一体となり襲い掛かるクライマックスなど、ラップトップのみで試みられてきた様々な作風が詰め込まれており、非常に密度の高い名演といえるだろう。
よろすず
Track List:
01. Electronic Union 05/5
02. Song For EU 05/3
Including. Denki No Numa