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SDRSW69 Merzbow『Phillo Jazz』

MERZBOW
『Phillo Jazz』

¥2,000+税
SDRSW-69
2019年10月18日リリース

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スローダウンによるメルツバウのアーカイブ・シリーズ、第6弾となる今回のシリーズではメルツバウの中でも知名度や評価の高い作品が立て続けに発表された1993年から1995年の音源を収めた6作がリリースされる。本作『Phillo Jazz』には1994年録音の3つのトラックが収録されており、2曲目「Phillo Jazz June (Electronica)」は同年に英国のFool’s Paradiseよりリリースされたコンピレーション『Bovine Spongiform Encephalopathy』に「Phillo-Jazz Electronica」というタイトルで収録されたものと同一曲となっている。

<作品概要>
スローダウンによるメルツバウのアーカイブ・シリーズ、第6弾となる今回のシリーズでは1993年から1995年の音源を収めた作品がリリースされる。この時期は『Metalvelodrome』『Noisembryo』『Hole』『Venereology』『Pulse Demon』などメルツバウの中でも特に知名度や評価の高い作品の制作やリリースが行われた時期であり、近年再発も積極的に行われている。
今回のシリーズはこれまでのシリーズで多かったカセット・マスターではなく全ての作品でDATマスターが使用され、新たにリマスターを施すというかたちで制作されている。DATマスターはカセットをマザー・テープとして一応作品としてMIXされている状態の物であるため、カセット音源に比較すれば完成度は高いといえる。そのため小品集なども含む本シリーズの作品はたとえ長時間の演奏であっても展開などの面でタイトにまとまっている印象が強い。
本作『Phillo Jazz』には1994年録音の3つのトラックが収録されており、2曲目「Phillo Jazz June (Electronica)」は同年に英国のFool’s Paradiseよりリリースされたコンピレーション『Bovine Spongiform Encephalopathy』に「Phillo-Jazz Electronica」というタイトルで収録されたものと同一曲となっている。
収録された3曲は順を追ってサウンドがより過激化していくように配置されており、アルバム作品としてこの時期の演奏のダイナミズムが反映された内容となっている。また、1曲目は歪んだノイズの炸裂以上にディレイの操作による発信音の反復やその矢継ぎ早な切り替えが非常に耳を引く内容で、モノクロームなノイズの壁というより細かな伸縮を繰り返す電子音のライブ・コラージュといった印象を残す興味深い1曲だ。

よろすず

Track List:
1. Phillo Jazz March
2. Phillo Jazz June(Electronica)
3. Phillo Jazz July

SDRSW68 Merzbow『Bluedelic+』

MERZBOW
『Bluedelic+』

¥2,000+税
SDRSW-68
2019年10月18日リリース

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スローダウンによるメルツバウのアーカイブ・シリーズの第6弾がスタート!今回のシリーズではメルツバウの中でも知名度や評価の高い作品が立て続けに発表された1993年から1995年の音源を収めた6作がリリースされる。本作『Bluedelic+』は4枚組CD Box『Metalvelodrome』のアウトテイク集。Boxに収録されていた「Bluedelic」の本来の音源となる長時間のDATマスターを元に、ロング・バージョンとエクストラ・バージョン2編が収録され、録音の全容を今までより広くうかがい知れる内容となっている。身体に響く爆発音のような響きから耳をつんざくひび割れた響きまでダイナミックに変化する粗い音の質感が一種のロウ・エレクトロニクス作品としても極上の魅力を放つ一作。

<作品概要>
スローダウンによるメルツバウのアーカイブ・シリーズ、第6弾となる今回のシリーズでは1993年から1995年の音源を収めた作品がリリースされる。この時期は『Metalvelodrome』『Noisembryo』『Hole』『Venereology』『Pulse Demon』などメルツバウの中でも特に知名度や評価の高い作品の制作やリリースが行われた時期であり、近年再発も積極的に行われている。
今回のシリーズはこれまでのシリーズで多かったカセット・マスターではなく全ての作品でDATマスターが使用され、新たにリマスターを施すというかたちで制作されている。DATマスターはカセットをマザー・テープとして一応作品としてMIXされている状態の物であるため、カセット音源に比較すれば完成度は高いといえる。そのため小品集なども含む本シリーズの作品はたとえ長時間の演奏であっても展開などの面でタイトにまとまっている印象が強い。
本作『Bluedelic+』は4枚組CD Box『Metalvelodrome』のアウトテイク集。「Bluedelic」はBoxに収録されている曲タイトルであるが、その本来の姿はDATに録音された長時間の音源であり、Boxには最初のパートのみが収録されていた。今回の『Bluedelic+』ではその長時間のDATマスターを元に、より長いバージョンとエクストラ・バージョン2編が収録され、録音の全容を今までより広くうかがい知れる内容となっている。(尚、『Metalvelodrome』は2019年にイタリアのUrashimaから改訂版の再発が行われたが、そこに収録の「Bluedelic」は別のDATマスターを使用しており、オリジナルや本CDに収めたものともミックスや長さが異なる。)
極度に歪んだメタリックなノイズや発信音がディレイ音の反復やうねりとせめぎ合うこの時期の作風が非常に生々しいかたちで収められており、特に身体に響く爆発音のような響きから耳をつんざくひび割れた響きまでダイナミックに変化する粗い音の質感は一種の過激なロウ・エレクトロニクス作品としても極上の魅力を放っている。
よろすず

Track List:
1. Bluedelic 1
2. Bluedelic 2
3. Bluedelic 3

SDRSW60 MERZBOW×KAORU SATO『KYOTO OCT 21 2018』

MERZBOW×KAORU SATO
『KYOTO OCT 21 2018』

¥2,500+税
SDRSW-60
2019年9月20日リリース

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2018年10月21日、京都メトロにて行われた「スローダウン」、「φonon (フォノン)」、「きょうレコーズ」という3つのレーベルのショウケース・イベントにおいて実現したメルツバウと佐藤薫の初セッションの録音がCDとLPの2フォーマットでリリース!CD版となる本作には佐藤薫のソロ演奏、途中からそこにメルツバウが加わるかたちで実現した共演セッション、そして佐藤が抜けメルツバウのソロ演奏へという当日の一連の流れがほぼそのまま収録されている。特異な音色を軸にデザイン性の高い演奏を聴かせる佐藤薫と、性質の異なる数種類の音源を即興的にミックスしバランスの異なる轟音やダイナミックな展開を作り出すメルツバウ、そして両者の持つデザイン性と即興性が見事な交錯を見せる共演セッションと、どの瞬間にも研ぎ澄まされた強度やアクチュアリティーが宿っている。

<作品概要>
この2人の交錯を歴史的邂逅と位置づけるのも決して大袈裟ではないだろう。
時にノイズ・ミュージックの代名詞のようにも語られ、極端に歪んだ響きを多用しつつ40年に及ぶ活動の中で数多の試みを行ってきたメルツバウと、80年代にEP-4の首謀者として伝説的なパフォーマンスと作品を残した後沈黙し、近年になって新たなユニットやレーベルの始動、大胆なアンビエントやノイズへの接近など刺激的な活動を展開している佐藤薫。
ともに国内外問わず高い知名度と影響力を誇りながらも、共に音を出す“共演”といったかたちでは関りのなかった両者の初セッションが実現したのは2018年10月21日、京都メトロにて行われた「スローダウン」、「φonon (フォノン)」、「きょうレコーズ」という3つのレーベルのショウケース・イベントにおいてであった。そしてその日の演奏の記録が、この度CDとLPの2フォーマットでリリースされる。
CD版となる本作には佐藤薫のソロ演奏、途中からそこにメルツバウが加わるかたちで実現した共演セッション、そして佐藤が抜けメルツバウのソロ演奏へという当日の一連の流れがほぼそのまま収録されており、具体的には最初の25分ほどが佐藤薫のソロ、続く15分ほどが両者の共演、そこから35分ほどがメルツバウのソロとなっている。
チャイム(チューブラー・ベルズ)の音を引き延ばしたような倍音の伸びや、ハリー・ベルトイアの音響建築Sonambientのサウンドを思わせる冷たさと瞑想性を感じさせる特異な音色を軸にデザイン性の高い演奏を聴かせる佐藤薫と、自作楽器やシンセ、発信機など複数のマテリアルの生演奏によって即興的にバランスの異なる轟音やダイナミックな展開を作り出すメルツバウ、そして両者の持つデザイン性と即興性が見事な交錯を見せる共演セッションと、どの瞬間にも研ぎ澄まされた強度やアクチュアリティーが宿っている。
倍音の扱いとそこから導き出される音色の性格、音の配置や帯域のデザイン性、即興性の扱いなど、様々な視点からの検証にそれぞれに異なるハードコアなかたちで応えてくれる両者のサウンドは、多様化している現在の電子音楽の中でも非常にエッジーな表現がなされたものであるといえるだろう。表現にまつわるあらゆる側面を自身の意思でディレクションし、強力な実践を行ってきた両者の鋭いまなざしが今、どこを向いているのか、それは本作の音そのものが、つぶさに示してくれている。 よろすず

Track List:
1. KYOTO OCT 21 2018

SDRSW67 Merzbow『Untitled 1991 Vol.3』

MERZBOW
『Untitled 1991 Vol.3』

¥2,000+税
SDRSW-67
2019年9月20日リリース

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これまで4つのシリーズが発表されているメルツバウのアーカイブシリーズ、第5弾となる本シリーズではこれまであまりアーカイブなどの機会に収録されてこなかった1991年の録音が中心的にリリースされる。 本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり(ミックスとマスタリングは2019年)、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。リアルタイム・ミックスな制作手法によるライブ感溢れるノイズの応酬に加え、80年代の作風がフラッシュバックされるような瞬間も存在し、ある種のハイブリッドといえるような仕上がりとなっている。

<作品概要>
本シリーズで中心的にリリースされる1991年の作品の特徴として、レコードのスクラッチやサンプリングが1980年代の『抜刀隊』の時のようなコラージュ的ではない新たな手法で使用されている点が挙げられる。それは具体的にはNextやDigitech社製のサンプリング・ディレイの導入によってもたらされた、よりリズミカルでカットアップ的な使用方である。当時の作品は4chの複数のカセットの他に2chの複数のカセット、更に生演奏などをライブでカットアップし、ミックスすることで制作されていたが、今回はその素材となったテープ(ほとんどは4chのカセット)がカットアップなどを行わずほぼ未編集のまま使用されている。また、当時はTASCAM Porta Twoを使用してミックスが行われていたが、現在はその機材がないためTASCAM MFP-01を使用して新たなミックスが行われた。本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。速度を緩めず疾走するような印象の強い本シリーズの音源の中で本作は隙間や緩急が大胆に表れ、また2曲目の前半では比較的歪みの度合いが少ない電子音が、3曲目ではジャズやラジオ音声のようなサンプルがしっかりと聴き取れる状態でノイズの応酬の中に織り交ぜられるなど、80年代の作風がフラッシュバックされるような瞬間もある。しかしながらリアルタイム・ミックスな制作手法によるライブ感が衰えることはなく、ある種のハイブリッドといえるような仕上がりとなっている。1991年という時期に特有の要素をしっかりと備えつつ、この特定の短い期間においても確かに存在する変化の兆しが垣間見える一作。 よろすず

Track List:
1. May 891Mix
2. 917Mix01
3. 19914Mix2-Far East Network

SDRSW66 Merzbow『Untitled 1991 Vol.2』

MERZBOW
『Untitled 1991 Vol.2』

¥2,000+税
SDRSW-66
2019年9月20日リリース

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これまで4つのシリーズが発表されているメルツバウのアーカイブシリーズ、第5弾となる本シリーズではこれまであまりアーカイブなどの機会に収録されてこなかった1991年の録音が中心的にリリースされる。 本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり(ミックスとマスタリングは2019年)、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。45分に及ぶ長尺のトラックが含まれており、そこでの響きの語彙の豊富さと構成力に、「ノイズ」が持ち得る多様性と、それを操るメルツバウの演奏家としての巧みさがうかがえる一作。

<作品概要>
本シリーズで中心的にリリースされる1991年の作品の特徴として、レコードのスクラッチやサンプリングが1980年代の『抜刀隊』の時のようなコラージュ的ではない新たな手法で使用されている点が挙げられる。それは具体的にはNextやDigitech社製のサンプリング・ディレイの導入によってもたらされた、よりリズミカルでカットアップ的な使用法である。当時の作品は4chの複数のカセットの他に2chの複数のカセット、更に生演奏などをライブでカットアップし、ミックスすることで制作されていたが、今回はその素材となったテープ(ほとんどは4chのカセット)がカットアップなどを行わずほぼ未編集のまま使用されている。また、当時はTASCAM Porta Twoを使用してミックスが行われていたが、現在はその機材がないためTASCAM MFP-01を使用して新たなミックスが行われた。本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。1曲目は45分に及ぶ長尺のトラックとなっており、鳥の鳴き声を早送りしたような高域の応酬や、金属が叩きつけられるような響きと歪みのコントロールで聴かせるインダストリーな場面、前後感が認識できないほどに空間を塗りつぶすホワイトノイズ的な音響など様々に展開していく。終始「ノイズ」という形容が相応しく思える何らかの過剰さを持った音響を用い、速度を緩めるような時間がないにも関わらず、長時間を飽きさせることなく聴かせる響きの語彙の豊富さと構成力に、「ノイズ」が持ち得る多様性と、それを操るメルツバウの演奏家としての巧みさがうかがえる一作。 よろすず

Track List:
1. 91921Mix
2. 19914Mix1

SDRSW65 Merzbow『Untitled 1991 Vol.1』

Merzbow
『Untitled 1991 Vol.1』

¥2,000+税
SDRSW-65
2019年8月16日リリース

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これまで4つのシリーズが発表されているメルツバウのアーカイブシリーズ、第5弾となる本シリーズではこれまであまりアーカイブなどの機会に収録されてこなかった1991年の録音が中心的にリリースされる。 本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり(ミックスとマスタリングは2019年)、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。 サンプリング・ディレイによる機械的に持続、反復するサウンドや、複数の音源が並走的にミックスされることにより、ゴツゴツとした奥行きと立体性を持った作品へ仕上がっている。

<作品概要>
本シリーズで中心的にリリースされる1991年の作品の特徴として、レコードのスクラッチやサンプリングが1980年代の『抜刀隊』の時のようなコラージュ的ではない新たな手法で使用されている点が挙げられる。それは具体的にはNextやDigitech社製のサンプリング・ディレイの導入によってもたらされた、よりリズミカルでカットアップ的な使用方である。当時の作品は4chの複数のカセットの他に2chの複数のカセット、更に生演奏などをライブでカットアップし、ミックスすることで制作されていたが、今回はその素材となったテープ(ほとんどは4chのカセット)がカットアップなどを行わずほぼ未編集のまま使用されている。また、当時はTASCAM Porta Twoを使用してミックスが行われていたが、現在はその機材がないためTASCAM MFP-01を使用して新たなミックスが行われた。本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。同時期の音源の中でも異なる定位でノイズやディレイ音が並走する様子が聴き取りやすく、混然一体となって空間を塗りつぶすというよりそれぞれが独立した挙動で鼓膜を抉るようなゴツゴツとした聴き心地が味わえる。複数の音源のカットアップ的でない並走的ミックスという本シリーズの特徴が奥行きや立体感として効果的に表れた一作といえるだろう。 よろすず

Track List:
01. 1914Mix
02. 91519-2b

SDRSW64 Merzbow『Travelling』

Merzbow
『Travelling』

¥2,000+税
SDRSW-64
2019年8月16日リリース

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これまで4つのシリーズが発表されているメルツバウのアーカイブシリーズ、第5弾となる本シリーズではこれまであまりアーカイブなどの機会に収録されてこなかった1991年の録音が中心的にリリースされる。「Travelling」は元々1992年のコンピレーション作『Noise Forest』に収録されていたトラックタイトルである。今回のCDに収録されているのはそちらとは別内容だが、元となったカセットのインデックスには「Travelling」と記されているため関連のある音源だと思われる。爆発的なノイズが炸裂するだけでなく、機械的に鳴り続けるディレイ音が随所で様々に機能し起伏に富んだ作品となっている。今回のリリースに際し新たにミックスとマスタリングが行われている点にも注目。

<作品概要>
「Travelling」は元々1992年のコンピレーション作『Noise Forest』に収録されていたトラックタイトルである。今回のCDに収録されているのはそちらとは別内容だが、元となったカセットのインデックスには「Travelling」と記されているため関連のある音源だと思われる。本シリーズで中心的にリリースされる1991年の作品の特徴として、レコードのスクラッチやサンプリングが1980年代の『抜刀隊』の時のようなコラージュ的ではない新たな手法で使用されている点が挙げられる。それは具体的にはNextやDigitech社製のサンプリング・ディレイの導入によってもたらされた、よりリズミカルでカットアップ的な使用方である。当時の作品は4chの複数のカセットの他に2chの複数のカセット、更に生演奏などをライブでカットアップし、ミックスすることで制作されていたが、今回はその素材となったテープ(ほとんどは4chのカセット)がカットアップなどを行わずほぼ未編集のまま使用されている。また、当時はTASCAM Porta Twoを使用してミックスが行われていたが、現在はその機材がないためTASCAM MFP-01を使用して新たなミックスが行われた。四方八方で爆発的なノイズが鳴り響く本作であるが、前述の手法によるディレイ音の機械的な反復が随所に聴き取れ、時には低い帯域でうねりグルーヴを生み出し、時には警報のように鳴り響き前のめりなノイズの炸裂を更に煽り立てるような機能を果たすことで起伏に富んだ作品となっている。 よろすず

Track List:
01. 1171991 Mix
02. 91519-1 Mix
03. 91519-2a
04. May 891 Mix

SDRSW63 Merzbow『Crash For Hi-Fi Tapes』

Merzbow
『Crash For Hi-Fi Tapes』

¥2,000+税
SDRSW-63
2019年7月19日リリース

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これまで4つのシリーズが発表されているメルツバウのアーカイブシリーズ、第5弾となる本シリーズではこれまであまりアーカイブなどの機会に収録されてこなかった1991年の録音が中心的にリリースされる。「Crash For Hi- Fi」は1991年のCD作『Great American Nude / Crash For Hi-Fi』に使用されたタイトルだが、本作に収録されているのはそちらとは別の音源。ただし本作の1曲目に使用されたオリジナル・テープには「Crash For Hi-Fi」と記載があったため同セッションの音源であることは間違いないようだ。レコードのスクラッチやサンブリングがコラージュ的ではない新たな手法で使用されている点が大きな特徴で、特に1曲目ではそれが大胆なかたちで聴きとれる。今回のリリースに際し新たにミックスとマスタリングが行われている点にも注目。

<作品概要>
「Crash For Hi- Fi」は1991年のCD作『Great American Nude / Crash For Hi-Fi』に使用されたタイトルだが、本作『Crash For Hi-Fi Tapes』に収録されているのはそちらとは別の音源となっている。ただし本作の1曲目に使用されたオリジナル・テープには「Crash For Hi-Fi」と記載があったため同セッションの音源であることは間違いないと思われる。本シリーズで中心的にリリースされる1991年の作品の特徴として、レコードのスクラッチやサンブリングが1980年代の『抜刀隊』の時のようなコラージュ的ではない新たな手法で使用されている点が挙げられる。それは具体的にはNextやDigitech社製のサンプリング・ディレイの導入によってもたらされた、よりリズミカルでカットアップ的な使用法である。当時の作品は4chの複数のカセットの他に2chの複数のカセット、更に生演奏などをライブでカットアップし、ミックスすることで制作されていたが、今回はその素材となったテープ(ほとんどは4chのカセット)がカットアップなどを行わずほぼ未編集のまま使用されている。また、当時はTASCAM Porta Twoを使用してミックスが行われていたが、現在はその機材がないためTASCAM MFP-01を使用して新たなミックスが行われた。サンプリング・ディレイの使用が大胆なかたちで聴きとれる1曲目、ひび割れたノイズが縦横無尽に暴れまわる2曲目、より雑多な音源が投げ込まれカオティックな様相となる3曲目とそれぞれに異なる要素が耳を引くが、息継ぎなしに猛然と突き進むようなラウドさは共通している。 よろすず

Track List:
01. May 91 Hi-Fi Mix
02. 91~~~Mix
03. 1991 A1

SDRSW62 Merzbow『Cloud Cock OO Grand (Another Mix)』

Merzbow
『Cloud Cock OO Grand (Another Mix)』

¥2,000+税
SDRSW-62
2019年7月19日リリース

Amazon  https://amzn.to/2HAXsnZ

これまで4つのシリーズが発表されているメルツバウのアーカイブシリーズ、第5弾となる本シリーズではこれまであまりアーカイブなどの機会に収録されてこなかった1991年の録音が中心的にリリースされる。本作はメルツバウ初のCDリリースとなった1990年アルバム『Cloud Cock OO Grand』の別テイク収録バージョンとなっている。オリジナルに収録されていた「Modular」が割愛され代わりに「Untitled」というトラックを新たに収録。曲順の入れ替えも行われている。アナログからデジタル、80年代から90年代などいくつかの変わり目が重なった重要作であり、これ以前とは異なるフレキシブルかつ圧倒的なノイズ・サウンドが全編に渡って鳴り響く傑作。

<作品概要>
『Cloud Cock OO Grand』はZSF Produktから1990年にリリースされたメルツバウ初のCD作品。本作はその別テイク収録バージョンであり、ミックスやトラックの長さなどが大きく異なるものも収録されている。またオリジナルに収録されていた「Modular」が割愛され代わりに「Untitled」というトラックを新たに収録。更に曲順の入れ替えも行われている。『Cloud Cock OO Grand』の制作に際する大きな変化として、それまでのレコード・リリースではカセット・テープからオープン・リールに落として制作されていたマスターが、初めてDATを使用して制作された。これにより音量、音圧をマスターのままに再現することが可能となり、加えてカセット・リリースと同様に最初から最後まで全て自身の手で制作できるという利点も生まれた。つまり『Cloud Cock OO Grand』及びその別テイクである本作はアナログからデジタル、80年代から90年代などいくつかの変わり目が重なった作品といえるが、作風もこれ以前のコラージュなどとは異なる非常にソリッドなノイズサウンドがメインとなっておりドラスティックな変化が感じられる。金属的な音色で耳をつんざいたかと思えば暴力的なギター演奏を想起させるフレキシブルな帯域の動きを聴かせたりと、休みなく変質し様々な角度から空間や聴く者の感性を切り裂き押し広げるような音の運動性があり、その快楽性は直接的と形容するに相応しい。これ以降の作品を知る現在の視点から聴いても全く揺るがない強度を感じさせるだけでなく、90年代のメルツバウの幕を開ける一作としても象徴的なものを感じさせる傑作。 よろすず

Track List:
01. Spinozaamen
02. Autopussy Go No Go 2
03. Untitled
04. Brain Forest

SDRSW59 Merzbow『Enclosure』

Merzbow
『Enclosure』

¥2,000+税
SDRSW-59
2019年6月21日リリース

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メルツバウのアーカイブシリーズ、『Early Sessions』『Early Cassettes』『Loop & Collage』に続く4つめのシリーズでは秋田昌美が独自に考案した“Environmental Percussion”と呼ばれる手法が用いられた作品がリリースされる。本作は87年リリースのアルバム『Ecobondage』のラスト曲「Contraction」の流れをくむ音源。弦、打楽器などのアコースティックなサウンドに加えミキサー・フィードバック・ノイズが用いられており、波のようにうねり荒ぶる電子ノイズとアコースティックな雑音がせめぎ合う刺激的な内容となっている。

<作品概要>
本シリーズで中心的に取り上げられる“Environmental Percussion”のアイデアは1982年の『Material Action for 2 microphones』の頃から存在し、具体的には部屋の床や壁を叩いたり、身の回りの様々なものや、小さな物体をコンタクト・マイクで拾い、増幅し、リバーブやディレイなどの空間エフェクト処理を加える事で獲得される音響を意味する。このアプローチにおける主な使用素材は、発砲スチロールの塊(床などを叩く為に使用)、プラスティック製のカセット・ケースやカード(バイオリンの弓で弾く)、輪ゴム(つまびく)、トイレット・ペーパーの芯(吹く)、ガス・ストーブやテーブル・ランプ(メタル・パーカッション)等で、歪んだエフェクト加工によるノイズとは異なる機微と手触りを持ったアンプラグドな雑音が発せられる。『Material Action for 2 microphones』においてはこの手法はノイズ的なサウンドを獲得する目的で用いられていたが、後の『Ecobondage』(1987)、『Storage』(1988)といった時期の作品ではより音楽的なかたちで用いられており、今回のシリーズでリリースされる音源もそのほとんどは87年に録音が行われている。加えてこの時期の録音には、トタン製の衣装ケースの内側にピアノ線、ギター弦、スプリングなどを張り、それをバイオリン・ボウで弾いて発音する新しい自作楽器が用いられている。この楽器はトタンの箱の中に様々なオブジェクトを入れて揺さ振ったりしてメタル・ジャンク的な音を出すことも可能な仕様だが、この時期の録音では主に弦楽器的なサウンドを発する用途で用いられ、このサウンドとEnvironmental Percussion、更にエレクトリック胡弓、横笛、縦笛などの響きを適時ミックスすることによって最終的な作品が形作られている。本作は87年リリースのアルバム『Ecobondage』のラスト曲「Contraction」の流れをくむ音源。前述の打楽器類、弦などのアコースティックなサウンドに加えミキサー・フィードバック・ノイズが用いられており、波のようにうねり荒ぶる電子ノイズとアコースティックな雑音がせめぎ合う刺激的な内容となっている。 よろすず

Track List:
1. Enclosure
2. Scarabe
3. Interline no 1-3

SDRSW58 Merzbow『Ecobondage (Another Mix)』

Merzbow
『Ecobondage (Another Mix)』

¥2,000+税
SDRSW-58
2019年6月21日リリース

Amazon  https://amzn.to/2Vj6rTu

メルツバウのアーカイブシリーズ、『Early Sessions』『Early Cassettes』『Loop & Collage』に続く4つめのシリーズでは秋田昌美が独自に考案した“Environmental Percussion”と呼ばれる手法が用いられた作品がリリースされる。本作は87年リリースのアルバム『Ecobondage』のアナザー・ミックスとなる音源。“Environmental Percussion”以外にも80年代に試みられた様々な手法が断片的に聴きとれ、一つの方法論に留まらず常に実験を繰り返すメルツバウならではの、手法や性格を異にするサウンドの横溢が味わえる一作。

<作品概要>
本シリーズで中心的に取り上げられる“Environmental Percussion”のアイデアは1982年の『Material Action for 2 microphones』の頃から存在し、具体的には部屋の床や壁を叩いたり、身の回りの様々なものや、小さな物体をコンタクト・マイクで拾い、増幅し、リバーブやディレイなどの空間エフェクト処理を加える事で獲得される音響を意味する。このアプローチにおける主な使用素材は、発砲スチロールの塊(床などを叩く為に使用)、プラスティック製のカセット・ケースやカード(バイオリンの弓で弾く)、輪ゴム(つまびく)、トイレット・ペーパーの芯(吹く)、ガス・ストーブやテーブル・ランプ(メタル・パーカッション)等で、歪んだエフェクト加工によるノイズとは異なる機微と手触りを持ったアンプラグドな雑音が発せられる。『Material Action for 2 microphones』においてはこの手法はノイズ的なサウンドを獲得する目的で用いられていたが、後の『Ecobondage』(1987)や『Storage』(1988)といった時期の作品ではより音楽的なかたちで用いられており、前者のアナザー・ミックスにあたる本作からも同様の方向性が聴き取れる。加えてこの時期の録音には、トタン製の衣装ケースの内側にピアノ線、ギター弦、スプリングなどを張り、それをバイオリン・ボウで弾いて発音する新しい自作楽器が用いられている。この楽器はトタンの箱の中に様々なオブジェクトを入れて揺さ振ったりしてメタル・ジャンク的な音を出すことも可能な仕様だが、この時期の録音では主に弦楽器的なサウンドを発する用途で用いられ、このサウンドとEnvironmental Percussion、更にエレクトリック胡弓、横笛、縦笛などの響きを適時ミックスすることによって最終的な作品が形作られている。『Ecobondage』はこれらの要素に加えテープ・ミュージック的な加工や電子的なサウンドも随所に聴きとれ、更にゲスト・プレイヤーの音もミックスされた内容であるが、アナザー・ミックスである本作ではゲストの演奏は含まれていない。また、アルバム収録曲の最後の曲「Contraction」は入っていないためアルバム・マスターに先行するミックスと考えられる。一つの方法論に留まらず常に実験を繰り返すメルツバウならではの、手法や性格を異にするサウンドの横溢が味わえる一作。 よろすず

Track List:
1. Ecobondage
  including: Prison of Takaou, Blow Up
2. Ha Ha Ho Bari(Mari)
  including: Balloon

SDRSW57 Merzbow『Material H2』

Merzbow
『Material H2』

¥2,000+税
SDRSW-57
2019年5月17日リリース

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メルツバウのアーカイブシリーズ、『Early Sessions』『Early Cassettes』『Loop & Collage』に続く4つめのシリーズでは秋田昌美が独自に考案した“Environmental Percussion”と呼ばれる手法が用いられた作品がリリースされる。本作はもともとH.N.A.S.とのコラボレーション用に作られたいくつかある音源の一つで今回が初リリース。弦や板など様々な物質を軋ませるような発音が多く、動物のいななきを思わせるサウンドが数多く生成されるアコースティックでアヴァンギャルドな音響アンサンブル作品。

<作品概要>
本シリーズで中心的に取り上げられる“Environmental Percussion”のアイデアは1982年の『Material Action for 2 microphones』の頃から存在し、具体的には部屋の床や壁を叩いたり、身の回りの様々なものや、小さな物体をコンタクト・マイクで拾い、増幅し、リバーブやディレイなどの空間エフェクト処理を加える事で獲得される音響を意味する。このアプローチにおける主な使用素材は、発砲スチロールの塊(床などを叩く為に使用)、プラスティック製のカセット・ケースやカード(バイオリンの弓で弾く)、輪ゴム(つまびく)、トイレット・ペーパーの芯(吹く)、ガス・ストーブやテーブル・ランプ(メタル・パーカッション)等で、歪んだエフェクト加工によるノイズとは異なる機微と手触りを持ったアンプラグドな雑音が発せられる。『Material Action for 2 microphones』においてはこの手法はノイズ的なサウンドを獲得する目的で用いられていたが、後の『Ecobondage』(1987)、『Storage』(1988)といった時期の作品ではより音楽的なかたちで用いられており、今回のシリーズでリリースされる音源もそのほとんどは87年に録音が行われている。加えてこの時期の録音には、トタン製の衣装ケースの内側にピアノ線、ギター弦、スプリングなどを張り、それをバイオリン・ボウで弾いて発音する新しい自作楽器が用いられている。この楽器はトタンの箱の中に様々なオブジェクトをいれて揺さ振ったりしてメタル・ジャンク的な音を出すことも可能な仕様だが、この時期の録音では主に弦楽器的なサウンドを発する用途で用いられ、このサウンドとEnvironmental Percussion、更にエレクトリック胡弓、横笛、縦笛などの響きを適時ミックスすることによって最終的な作品が形作られている。本作はもともとH.N.A.S.とのコラボレーション用に作られたいくつかある音源の一つで今回が初リリース(ちなみに『Merzbient』に収録されている「Matehanas」も同様の経緯で制作された音源だが内容は異なっている)。前述の手法の中でも特に後者の新しい自作楽器によるサウンドが多く用いられ、その弦が激しく軋むような発音は多くの場面で動物のいななきを思わせる。アコーステックな趣が強いにも関わらず電子ノイズやコラージュに劣らないアヴァンギャルドなサウンドが生成される、独自の音響アンサンブル作品。 よろすず

Track List:
1. Material H2 Mix 1
2. Material H2 Mix 2
3. Material H2 Mix 3

SDRSW56 Merzbow『Crocidura Dsi Nezumi』

Merzbow
『Crocidura Dsi Nezumi』

¥2,000+税
SDRSW-56
2019年5月17日リリース

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メルツバウのアーカイブシリーズ、『Early Sessions』『Early Cassettes』『Loop & Collage』に続く4つめのシリーズでは秋田昌美が独自に考案した“Environmental Percussion”と呼ばれる手法が用いられた作品がリリースされる。本作『Crocidura Dsi Nezumi』は1988年にZSF ProduktとBanned Productionsよりオリジナル・カセットがリリースされ、ボックス作品『Merzbox』内の一部として既にCD化もされているが、単独でのCD化は今回が初。雑多な音響の交錯に加え、確信的に奏でられるリズムの存在感も強く、秋田昌美のドラム/パーカッション奏者として側面が強く伺える一作。尚、この作品は 今回秋田氏自身による新たなリマスター・エディションで登場!!

<作品概要>
本シリーズで中心的に取り上げられる“Environmental Percussion”のアイデアは1982年の『Material Action for 2 microphones』の頃から存在し、具体的には部屋の床や壁を叩いたり、身の回りの様々なものや、小さな物体をコンタクト・マイクで拾い、増幅し、リバーブやディレイなどの空間エフェクト処理を加える事で獲得される音響を意味する。このアプローチにおける主な使用素材は、発砲スチロールの塊(床などを叩く為に使用)、プラスティック製のカセット・ケースやカード(バイオリンの弓で弾く)、輪ゴム(つまびく)、トイレット・ペーパーの芯(吹く)、ガス・ストーブやテーブル・ランプ(メタル・パーカッション)等で、歪んだエフェクト加工によるノイズとは異なる機微と手触りを持ったアンプラグドな雑音が発せられる。『Material Action for 2 microphones』においてはこの手法はノイズ的なサウンドを獲得する目的で用いられていたが、後の『Ecobondage』(1987)、『Storage』(1988)といった時期の作品ではより音楽的なかたちで用いられており、今回のシリーズでリリースされる音源もそのほとんどは87年に録音が行われている。加えてこの時期の録音には、トタン製の衣装ケースの内側にピアノ線、ギター弦、スプリングなどを張り、それをバイオリン・ボウで弾いて発音する新しい自作楽器が用いられている。この楽器はトタンの箱の中に様々なオブジェクトをいれて揺さ振ったりしてメタル・ジャンク的な音を出すことも可能な仕様だが、この時期の録音では主に弦楽器的なサウンドを発する用途で用いられ、このサウンドとEnvironmental Percussion、更にエレクトリック胡弓、横笛、縦笛などの響きを適時ミックスすることによって最終的な作品が形作られている。本作『Crocidura Dsi Nezumi』は1988年にZSF ProduktとBanned Productionsよりオリジナル・カセットがリリースされ、50枚組のボックス作品『Merzbox』内の一部として既にCD化もされているが、単独でのCD化は今回が初となる。前述してきた手法による雑多な音響の交錯に加え、確信的にリズムが打ち鳴らされる場面も多く、特に2曲目は本シリーズ内でも異色といえるほどダンサブルな内容となっている。尚、この作品は 今回秋田氏自身による新たなリマスター・エディションで登場!! よろすず

Track List:
1. Mustela Erminea Nippon
2. Mustela Sixasa Namiyei

SDRSW55 Merzbow『Environmental Percussion Vol.2』

Merzbow
『Environmental Percussion Vol.2』

¥2,000+税
SDRSW-55
2019年4月19日リリース

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メルツバウのアーカイブシリーズ、『Early Sessions』『Early Cassettes』『Loop & Collage』に続く4つめのシリーズがスタート。今回のシリーズでは部屋の床や壁を叩いたり、身の回りの様々なものや、小さな物体をコンタクト・マイクで拾い、増幅し、空間エフェクト処理を加える事で獲得された音響を意味する“Environmental Percussion”と呼ばれるアイデアを音楽的に具現したものが集められている。本作は同様のアプローチで制作された1988年のアルバム『Storage』の数少ない別ミックス音源であり、アンプラグド・ノイズ・オーケストラ的なサウンドが現出する必聴の一作。

<作品概要>
本シリーズで中心的に取り上げられる“Environmental Percussion”のアイデアは1982年の『Material Action for 2 microphones』の頃から存在し、具体的には部屋の床や壁を叩いたり、身の回りの様々なものや、小さな物体をコンタクト・マイクで拾い、増幅し、リバーブやディレイなどの空間エフェクト処理を加える事で獲得される音響を意味する。このアプローチにおける主な使用素材は、発砲スチロールの塊(床などを叩く為に使用)、プラスティック製のカセット・ケースやカード(バイオリンの弓で弾く)、輪ゴム(つまびく)、トイレット・ペーパーの芯(吹く)、ガス・ストーブやテーブル・ランプ(メタル・パーカッション)等で、歪んだエフェクト加工によるノイズとは異なる機微と手触りを持ったアンプラグドな雑音が発せられる。『Material Action for 2 microphones』においてはこの手法はノイズ的なサウンドを獲得する目的で用いられていたが、後の『Ecobondage』(1987)、『Storage』(1988)といった時期の作品ではより音楽的なかたちで用いられており、今回のシリーズでリリースされる音源もそのほとんどは87年に録音が行われている(本作のみ86~88年という比較的長い期間の録音がミックスされている)。加えてこの時期の録音には、トタン製の衣装ケースの内側にピアノ線、ギター弦、スプリングなどを張り、それをバイオリン・ボウで弾いて発音する新しい自作楽器が用いられている。この楽器はトタンの箱の中に様々なオブジェクトをいれて揺さ振ったりしてメタル・ジャンク的な音を出すことも可能な仕様だが、この時期の録音では主に弦楽器的なサウンドを発する用途で用いられ、このサウンドとEnvironmental Percussion、更にエレクトリック胡弓、横笛、縦笛などの響きを適時ミックスすることによって最終的な作品が形作られている。本作はこの時期の代表的な作品の一つである『Storage』の数少ない別ミックスであるという貴重な音源。そのアンプラグドな要素の多い雑多な音響の集積は、メルツバウの代名詞といえる過剰に歪んだ響きが生み出される背後に常に存在し続けているジャンク演奏やマイクロフォンを通した音の観察、収集の視点をダイレクトなかたちで改めて強く認識させてくれる。 よろすず

Track List:
01. Storage Variation
02. Raw Material DP

SDRSW54 Merzbow『Environmental Percussion Vol.1』

Merzbow
『Environmental Percussion Vol.1』

¥2,000+税
SDRSW-54
2019年4月19日リリース

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メルツバウのアーカイブシリーズ、『Early Sessions』『Early Cassettes』『Loop & Collage』に続く4つめのシリーズがスタート。今回のシリーズでは部屋の床や壁を叩いたり、身の回りの様々なものや、小さな物体をコンタクト・マイクで拾い、増幅し、空間エフェクト処理を加える事で獲得された音響を意味する“Environmental Percussion”と呼ばれるアイデアを音楽的に具現したものが集められている。アイデアをそのままタイトルに用いた本作はその手法による音響がプリミティブなかたちで収録されており、アンプラグドな傾向の強い実験的な作風が披露される。

<作品概要>
本シリーズで中心的に取り上げられる“Environmental Percussion”のアイデアは1982年の『Material Action for 2 microphones』の頃から存在し、具体的には部屋の床や壁を叩いたり、身の回りの様々なものや、小さな物体をコンタクト・マイクで拾い、増幅し、リバーブやディレイなどの空間エフェクト処理を加える事で獲得される音響を意味する。このアプローチにおける主な使用素材は、発砲スチロールの塊(床などを叩く為に使用)、プラスティック製のカセット・ケースやカード(バイオリンの弓で弾く)、輪ゴム(つまびく)、トイレット・ペーパーの芯(吹く)、ガス・ストーブやテーブル・ランプ(メタル・パーカッション)等で、歪んだエフェクト加工によるノイズとは異なる機微と手触りを持ったアンプラグドな雑音が発せられる。『Material Action for 2 microphones』においてはこの手法はノイズ的なサウンドを獲得する目的で用いられていたが、後の『Ecobondage』(1987)、『Storage』(1988)といった時期の作品ではより音楽的なかたちで用いられており、今回のシリーズでリリースされる音源もそのほとんどは87年に録音が行われている。加えてこの時期の録音には、トタン製の衣装ケースの内側にピアノ線、ギター弦、スプリングなどを張り、それをバイオリン・ボウで弾いて発音する新しい自作楽器が用いられている。この楽器はトタンの箱の中に様々なオブジェクトをいれて揺さ振ったりしてメタル・ジャンク的な音を出すことも可能な仕様だが、この時期の録音では主に弦楽器的なサウンドを発する用途で用いられ、このサウンドとEnvironmental Percussion、更にエレクトリック胡弓、横笛、縦笛などの響きを適時ミックスすることによって最終的な作品が形作られている。本作は元々カセット4chマスターであったものを、新たに2chにMixした音源。80年代半ばには細かなテープコラージュと歪んだ響きを用いて多くの作品を生み出したメルツバウだが、ここに収められているのはアンプラグドな傾向の強いサウンドと比較的長いスパンの演奏を切り刻まずにそのまま用いる編集からなる明確にアナザーサイドの試みといえる音源であり、常に音の実験としての側面を宿すメルツバウの活動が新たなフェイズに入ったことを感じさせる。 よろすず

Track List:
01. EP22887Mix
02. EP87mix