SDRSW117 Merzbow『Arijigoku(Test Mix)』

MERZBOW
『Arijigoku(Test Mix)』

¥2,200(with tax)
SDRSW-117
2021年5月21日リリース

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スローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズは第12弾に突入!今回のシリーズではメルツバウがドラム演奏を取り入れた作風を展開した2008~2009年の音源がリリースされる。秋田昌美は元々サイケデリックやプログレッシヴ・ロックをはじめ70年代のフリー・ミュージックに大きな影響を受けたドラマーであったが、メルツバウとしてはドラムの使用はあえて避けられていたため、Merzbow単独名義での作品における本格的なドラムの使用はこの時期が初めてである。本作『Arijigoku (Test Mix)』にはタイトル通り2008年リリースのアルバム『Arijigoku』のテスト・ミックスを収録。

<作品概要>
これまで11のシリーズがリリースされているスローダウン・レコーズによるメルツバウの未発表音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズは第12弾に突入。
今回のシリーズではメルツバウがドラム演奏を取り入れた作風を展開した2008~2009年の音源がリリースされる。
秋田昌美は元々サイケデリックやプログレッシヴ・ロックをはじめ70年代のフリー・ミュージックに大きな影響を受けたドラマーであったが、メルツバウとしては(70年代後期の水谷聖とのデュオ時代や80年代初頭のMerzbow Nullでのドラム演奏を除き)ドラムの使用は避けられていたため、Merzbow単独名義での作品における本格的なドラムの使用はこの時期が初めてである。
メルツバウのこういった作風の作品では2008年から2009年へとまたがり1年かけて13作がリリースされた「13 Birds Series」(Important Records)が有名なところだが、そのきっかけは2008年4月、London公演の翌日にTin Pan Alley Studiosで行われた英Cold Springからリリース予定の新アルバムの為の録音作業であった。その際スタジオにあった生ドラムを録音しコンピューター・ノイズと合成するという手法がとられ、以降の本格的なドラム使用の端緒となる(この録音は『Anicca』(Cold Spring, 2008)へ収録された)。帰国後にはこのドラムを用いた作風はコンピューター音源だけでなく即興的なノイズと組み合わせたものへと発展し、これが『Arijigoku』(Vivo, 2008)、『Protean World』(Noiseville, 2008)、『Microkosmos』(Blossoming Noise, 2009)と続く一連の作品となっていく。
また同時期に秋田氏はハンガリーのドラマーBalazs Pandiと出会い、彼とのデュオで海外公演を頻繁に行うようになる。音楽的な背景に多くの共通項を持つドラマー(メタル、グラインドコア系だけでなくSun Raやフリージャズにも精通)との出会いによって、メルツバウが希求していたドラム演奏を取り入れたスタイルは以降このデュオを基本に追求されていくこととなり、Merzbow単独ではドラムレスな音楽(ドラムが入っていても非即興的なスタイル)へ戻っていくため、秋田氏自身のドラム演奏が用いられたこの時期の音源は貴重といえるだろう。
本作『Arijigoku (Test Mix)』にはタイトル通り2008年リリースのアルバム『Arijigoku』のテスト・ミックスを収録。生ドラムは貸しスタジオで別録され、後日ノイズとミックスするという手法がとられている。
『Arijigoku』はメルツバウが生ドラムと即興的なノイズ演奏の組み合わせに本格的に挑んだ最初の作品であったため、そのテスト・ミックスである本作からは試行錯誤の跡をより生々しく聴き取ることができる。ビートを維持した演奏や、ブレイク的にドラム演奏が止む場面などを有し、全体的に空間に空きを持たせるバランスでの組み合わせが印象的な1曲目から、ドラム演奏とノイズがフルスロットルでぶつかり合うラストの3曲目まで、2つの要素の組み合わせが生み出しうるサウンドが幅広く収められている。

よろすず

01. Arijigoku Test 01
02. Arijigoku Test 02
03. Arijigoku Test 04