Laurent Fairon “Musique Isotype”
ローラント・ファイロン『ミュジーク・アイソタイプ』
¥2,300 + 税
SDRSW03
2016年10月20日リリース
レーベル : スローダウン RECORDS
Amazon https://amzn.to/2Fwwkb7
order from outside japan
Laurent Faironはフランス人。歴史遺産な実験音楽のコレクターであり、その魅力を伝えるブログを運営し、誰も知らない音楽を世に残すべく資 料提供を惜しまない。アーティストとしては無名ながら、愛好家の鏡のような存在である。本作はアートスクール時代の90年代はじめに発表した3作のカセットテープ以来となる。
再生して広がるのは、電子の連なりが泳ぎ、現れては消えていくモヤモヤとした非現実の光景。音のソースとしてバスケットボールにダルシマー、鳥のさえずり、アラブのTV音声なんかをつかい、作家が愛する実験音楽の歴史と気品が、ミュジーク・コンクレートの胸騒ぎがひろがる。それは奇怪だけともどこか柔らかくて愛嬌があり、知らず知らずに見とれてしまう。
『アイソタイプ』とはウィーンの社会学者Otto Neurathらが提唱したもので、社会経済にまつわる数字情報を大衆に伝えるため、それがなにを示しているのか一目でわかるようアイコンで表した。これを作品の材料に、同じアイコンをいくつも並べてその量を伝えるさまを音の配置と反復に置き換えて、Laurent流『アイソタイプ』が生まれた。
///Entr’acte レーベル・プロフィール///
2005年から本格的な出版がはじまったベルギー拠点のレーベル。初期はノイズや実験音楽をリリースし、現在ではJoke Lanz (Schimpfluch)、DanielLöwenbrück (Tochnit Aleph)、Lee Gamble (Pan)、Strategy (Further、100%Silk)、Giuseppe Ielasi (Senufo Editions)、Dennis Tyfus (Ultra Eczema)、Sam Kidel (The Death Of Rave)、Imaginary Forces (Halcyon Veil)など、コンセプト力強い電子音楽から、熱を発するフリーなインプロ、追求していく現代のテクノといった、自らの実験精神を突き進む多彩な顔ぶれがそろう。これらが違和感なく並ぶのは、白く統制された美しいアートワークでパッケージになっているからだろう。デザインは主催者も兼ねるAllon Kayeによるもの。アンダーグラウンド愛ある先見性と質の高さは世界を見渡してもほかにない。いまの「エクスペリメンタル」を考えるなら外すことはできないレーベルである。