Merzbow
『De-Soundtrack』
¥2,000+税
SDRSW-52
2019年3月15日リリース
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メルツバウのアーカイブシリーズ、1979~1981年までの『Early Sessions』、1982~1984年までの『Early Cassettes』に続き、1984年からのシリーズがスタート。まずは1984~1986年までの6作品が順次リリースされる。
本作は過去に海外のコンピレーション・カセットに収録された楽曲なども含む一作。収録曲は1986年から87年にかけて録音されたもので、水谷聖とのスタジオ・セッションの断片もサンプリング素材として使用されている。SF映画「地球防衛軍」の完全収録ドラマ編レコード(キング・レコード 1984)をサンプリング、スクラッチで使用した為「Soundtrack」という語がタイトルに用いられている。
<作品概要>
本作には海外のコンピレーション・カセットへ提供された楽曲が複数収録されている。2、6曲目がそれにあたり、提供されたコンピレーションの入手が現在簡単ではないことを考えると相当に貴重な音源と言えるだろう。2曲目の冒頭でテーマのような扱いで現れ、他でも随所でサンプルとして用いられるギターとベースによるシャッフル風の演奏は水谷聖とのスタジオ・セッションの断片である。1曲目の冒頭25秒辺りをはじめ複数のトラックで聴くことができるように、SF映画「地球防衛軍」の完全収録ドラマ編レコード(キング・レコード 1984)がサンプリング、スクラッチで使用されており、そのことにちなみタイトルには「Soundtrack」という語が用いられた。
本作品の制作時期に当たる80年代半ばはMerzbowにとって、Throbbing Gristleの登場以降に世界中に起こったインダストリアル・ムーブメントとの共振を感じさせつつ、テープを中心とした多彩な音源の使用、機械的なループの援用と歪んだ音色の徹底的な過激化によって独自のインダストリアル・ノイズのスタイルを確立させた時期であり、そのキャリアにおける最初の到達点ともいえる。
本作においても雑多なテープ音源を使用した過激なカットアップ・コラージュとしての側面は強いわけだが、加えてここに収められている楽曲を特徴づけているのは(先に言及した水谷聖とのスタジオ・セッションもそうだが)用いられるサンプルにおける楽器演奏の割合の高さと、そのサンプルが持つ演奏の流れに音のカットやエディットで介入していく手つきの瞬くようなスピード感だ。特にジャンク的な響きも含めた様々な楽器や物の音が使用された4、6曲目は、楽器を用いたセッションにおいて音の実験を繰り返していた水谷聖とのデュオ編成時代のメルツバウのサウンドをこの時点の感性や手つきで再構成したもののようにも聴こえ興味深い。他の収録曲、特にNo.2, 3の二編が収録されたタイトルトラックはコラージュ手法を多用した80年代のメルツバウの作中でも時間が細かに寸断される感覚が一際強く、こと音の切り替えの面においてはこの時点で秋田昌美の感覚が極度に先鋭化されていたことを示す重要なトラック群だ。 よろすず
Track List:
01. De-Soundtrack No.3 (deA1)
02. Enchainement 38 (deA2)
03. Honedstage B-End (deA3)
04. Environmental Percussions #4
05. De-Soundtrack No.2 (deB2)
06. Untitled (deB3)