MERZBOW
『Loop & Collage (6CD BOX) 』
¥6,000+税
SDRSW-74
2019年11月15日リリース
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2018年にスタートしたスローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズ、その第3弾としてリリースされた作品をまとめたボックスが登場!本ボックス〈Loop & Collage〉には『Agni Hotra (2nd Mix)』『Antimony』『Batztoutai Mix』『Jinrinkinmouzui』『Antimonument Tapes』『De-Soundtrack』の6作を収録。その象徴的なタイトル通り、機械的なループや細かなコラージュ技法の到達点が示され、“編集と設計の音楽家”としての秋田昌美の姿を浮かび上がらせる作品群となっている。
<作品概要>
2018年よりスタートしたメルツバウの未発表/発掘音源を収めたアーカイブ・シリーズ、その3つ目のシリーズは84~87年の録音により構成された『Agni Hotra (2nd Mix)』『Antimony』『Batztoutai Mix』『Jinrinkinmouzui』『Antimonument Tapes』『De-Soundtrack』の6作であった。そしてそれらをまとめたボックス作品がこの〈Loop & Collage〉である。
この象徴的なタイトルにも表れているが、収録作の録音時期に当たる80年代半ばはメルツバウにとって、Throbbing Gristleの登場以降に世界中に起こったインダストリアル・ムーブメントとの共振を感じさせる機械的なループの援用と歪んだ音色の徹底的な過激化によって独自のインダストリアル・ノイズのスタイルを確立させた時期であり、またデュオ時代から試みられていたテープ・コラージュ手法による複雑なサウンド構築が極点に達し、『抜刀隊 with Memorial Gadgets』などそのキャリアの中でも特に知名度の高い作品がリリースされ、テープ・ミュージックとしてのメルツバウの到達点が示される時期でもある。ここに収録されている6作においても極度に歪ませた響きを多用するインダストリアル・ノイズな音色のセンスと、テープ素材の概形を残したコラージュとしての様相がそれぞれに異なるバランスでせめぎ合っている。
本シリーズの作品には他の既発作品の別テイクやアウトテイク、初期バージョンなどが多く収録されており、それらの存在からはこの時期のメルツバウが、偏執的なテープ・コラージュという技法故の常につきまとう細かな改訂の余地や可能性との対話の中で、いくつものバージョンを生み出しながら創作を行っていたことが伺える。
メルツバウのサウンドの変遷において、聴覚を塗りつぶすが如きハーシュ・ノイズなスタイルが前面に出てくるのはライブ活動が活発化する90年代に入ってからであるため、サンプリング・コラージュを中心に組み立てられたこの時期の作品は瞬間的な音圧では劣るように感じられるかもしれないが、反面その手法ゆえの音源の自由さや響きの多彩さ、ライブでの再現性に縛られない細かなエディットが大きな魅力だ。『Loop & Collage』に収められた作品からノイジーな響きだけにとどまらないサウンドの魅力を知ることは、他のノイズミュージックとメルツバウの作品に差異を見出すうえでも、後の氏の作品をより深く聴くうえでも非常に大きな手掛かりとなってくれるはずだ。
よろすず
Track List:
CD-1 Agni Hotra (2nd Mix)
CD-2 Antimony
CD-3 Batztoutai Mix
CD-4 Jinrinkinmouzui
CD-5 Antimonument Tapes
CD-6 De-Soundtrack