Merzbow
『Agni Hotra (2nd Mix)』
¥2,000+税
SDRSW-47
2019年1月18日リリース
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メルツバウのアーカイブシリーズ、1979~1981年までの『Early Sessions』、1982~1984年までの『Early Cassettes』に続き、1984年からのシリーズがスタート。まずは1984~1986年までの6作品が順次リリースされる。
「Agni Hotra」はMerzbowの2nd LPとして企画されたもののお蔵入りした音源であり、1st Mixを中心としたバージョンが『Merzbox』に収録されている。しかしその最終マスターは2nd Mixであり、本リリースによって幻の2nd LPの実体が初めて明かされる。
<作品概要>
「Agni Hotra」は当初Merzbowの2nd LPとして企画され、スウェーデンのレーベルPsychout (後のMultimood)からリリース予定だったがお蔵入りした作品。後に50枚組のBox作品『Merzbox』に収録され一応は既に日の目を見ているが、そちらでは主に1st Mixが採用され、本来Psychoutからリリースされる予定だった音源とは内容が異なっていた。今回収録された2nd MixはPsychoutへ送られた最終マスターであり、つまりは幻の2nd LPとしての「Agni Hotra」の実体といえる。
本作品の制作時期に当たる80年代半ばはMerzbowにとって、Throbbing Gristleの登場以降に世界中に起こったインダストリアル・ムーブメントとの共振を感じさせつつ、テープを中心とした多彩な音源の使用、機械的なループの援用と歪んだ音色の徹底的な過激化によって独自のインダストリアル・ノイズのスタイルを確立させた時期であり、そのキャリアにおける最初の到達点ともいえる。
本作でまずもって鮮烈なのは1曲目。その機械的に反復再生される爆撃のようなノイズは、後にメディアによって世界中に放送される戦争の光景の予知夢のようにも響く。複数のサンプルの反復が機能的に絡み合う3曲目からは音源を点的に配置し整理して聴かせるクールなミックスのセンスも伺える。また4曲目はMerzbowのコラージュサイドの傑作として名高い「抜刀隊 with Memorial Gadgets」収録曲の初期ヴァージョンであり、この時点でインダストリーなサウンドだけでなくエッジーなコラージュの試みも一つのピークに達しつつあったことを示す。
『Agni Hotra (2nd Mix)』は、80年代半ばという時期がメルツバウにとって、テープを用いた実験的な手法が独自の過激なサウンドの創出に結びつき、多くの傑作を生む充実期となることを高らかに告げるような一作だ。 よろすず
Track List:
01. Agni Hotra
02. Agni Loops 1
03. Arbertus Magnus (2nd Mix)
04. The Dying Toad Become Forth With Coal For Color Black (Pre Mix)
05. Agni Loops 2