MERZBOW
『Untitled 1991 Vol.2』
¥2,000+税
SDRSW-66
2019年9月20日リリース
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これまで4つのシリーズが発表されているメルツバウのアーカイブシリーズ、第5弾となる本シリーズではこれまであまりアーカイブなどの機会に収録されてこなかった1991年の録音が中心的にリリースされる。 本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり(ミックスとマスタリングは2019年)、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。45分に及ぶ長尺のトラックが含まれており、そこでの響きの語彙の豊富さと構成力に、「ノイズ」が持ち得る多様性と、それを操るメルツバウの演奏家としての巧みさがうかがえる一作。
<作品概要>
本シリーズで中心的にリリースされる1991年の作品の特徴として、レコードのスクラッチやサンプリングが1980年代の『抜刀隊』の時のようなコラージュ的ではない新たな手法で使用されている点が挙げられる。それは具体的にはNextやDigitech社製のサンプリング・ディレイの導入によってもたらされた、よりリズミカルでカットアップ的な使用法である。当時の作品は4chの複数のカセットの他に2chの複数のカセット、更に生演奏などをライブでカットアップし、ミックスすることで制作されていたが、今回はその素材となったテープ(ほとんどは4chのカセット)がカットアップなどを行わずほぼ未編集のまま使用されている。また、当時はTASCAM Porta Twoを使用してミックスが行われていたが、現在はその機材がないためTASCAM MFP-01を使用して新たなミックスが行われた。本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。1曲目は45分に及ぶ長尺のトラックとなっており、鳥の鳴き声を早送りしたような高域の応酬や、金属が叩きつけられるような響きと歪みのコントロールで聴かせるインダストリーな場面、前後感が認識できないほどに空間を塗りつぶすホワイトノイズ的な音響など様々に展開していく。終始「ノイズ」という形容が相応しく思える何らかの過剰さを持った音響を用い、速度を緩めるような時間がないにも関わらず、長時間を飽きさせることなく聴かせる響きの語彙の豊富さと構成力に、「ノイズ」が持ち得る多様性と、それを操るメルツバウの演奏家としての巧みさがうかがえる一作。 よろすず
Track List:
1. 91921Mix
2. 19914Mix1