remodel 04 V.A. 『VANITY TAPES』

発売日:2019年10月21日
定価:¥9,000(-税別)
品番:remodel 04
仕様:□オリジナル カセット テープより デジタル リマスタリング
           □CD6枚組 ( 紙ジャケット)
           □限定300set
           □各CDジャケットは新デザイン
           □135㎜×135㎜×22㎜のオリジナルボックス
           □ヴァニティ ロゴステッカー
           □ライナーノーツ

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V.A.
VANITY TAPES

CD-1 SALARIED MAN CLUB – Gray Cross
CD-2 KIIRO RADICAL – Denki Noise Dance
CD-3 DENSEI KWAN – Pocket Planetaria
CD-4 INVIVO – B.B.B.
CD-5 WIRELESS SIGHT – Endless Dark Dream
CD-6 NISHIMURA ALIMOTI – Shibou

remodel 04
21.Oct 2019 release
9.000yen+tax

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6本のカセットテープをボックスにした「Limited Edition Vanity RecordsBox Set」の初CD化。『Music』同様、全国から寄せられたカセット・テープの中から6アーティストを厳選。単独販売とボックスでの6本セット販売があった。ボックスにはジャン・コクトーの詩「Mon oreille est un coquillage Qui aime le bruit de la mer. 私の耳は貝のから 海の響をなつかしむ」が記されたカードが添えられている。ボックスは70セット限定とされているが実際には30セット程度しか作られていない。1981年リリース。
すべてオリジナル カセットテープより デジタル リマスタリング。

<作品概要>
CD-1 SALARIED MAN CLUB – Gray Cross
ホワイトカラーとしてのアイデンティティを高らかに宣言するサラリーマン3人組が奏でる頭脳労働インダストリアル・サウンド。京都dee-Bee’sでライヴ活動も行っていた。イーレムのコンピレーション・アルバム『沫』にも参加している。

CD-2 KIIRO R ADICAL – Denki Noise Dance
鳥取県米子市の持田雅明による『黄色ラジカル』。繊細で隅々まで計算の行き届いたミニマル電気ノイズの乱舞は阿木から「今の時点では日本のエレクトロニクス・ミュージックの頂点」と絶賛された。『Music』にも5曲収録されている。

CD-3 DENSEI KWAN – Pocket Planetaria
福島市の斎藤英嗣による『電精KWAN』。オリジナル・テープには稲垣足穂めいた” 因果交流、電燈は少年のズボンの隠しでカチコチなる一箇のビー玉でありま す(ポケット・プラネタリーム概論)” というテキストが添えられていた電子の 精が騒めく箱庭的ノイズ世界。

CD-4 INVIVO – B.B.B.
逗子市のタチバナマサオによる作品。前半6曲は『In Vivo:生体内』、後半6 曲は『In Vitro:試験管内』と生物学用語が付けられた顫動する音のバイオミュータント生成実験の記録。『Music』にも1曲収録されている。

CD-5 WIRELESS SIGHT – Endless Dark Dream
ミニコミ誌『無線音楽』を発行するワカエ・クニオのプロジェクト。ピアノ、メトロノーム、ラジオ・ノイズだけを使い、静謐でポスト・クラシカルなアンビエント空間をスケッチ。映像と舞踏を絡ませたパフォーマンスも行う。

CD-6 NISHIMUR A ALIMOTI – Shibou
西村有望のソロ名義作『脂肪』。ギター/ ベース/ ドラム/ヴォイスのバンド編成で初期アモン・デュール、メタボリストなどを想起させるプリミティヴで重く引き摺ったオルタナティヴ・サイケデリック・ロックを聞かせる。

テキスト 東瀬戸 悟

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

時代の表層のハイブリッド、もはや時代の速度に対応するため、カセットテープという衣装の纏いでリリースされた。
ここでジョン・ケージの”音は音である”という言葉を思い出して欲しい。もはや現前した音源を体験するのみであり、疑問や議論の余地はない。
『VANIY TAPES』の記録は記憶(血液)の中で再生産され、時代と共に常に新しく変質する。
ひとつひとつに深く耳を傾けて見ると、蝸牛官から耳骨を経て時空を超えて過去と未来の「音=響き」が聞えてくるであろう。

 


Ⅲ Y.Hirayama

『ミュージック』同様、スロッビング・グリッスル経由のインダストリアル・ミュージックまたは次に登場したカム・オーガニゼーションなどに同調したような企画で、カセットテープという媒体の選出や、個々のアートワークからもその影響が見てとれる。黄色ラヂカルを筆頭に、エレクトロニクスとテープ特有のノイズによって形作られるアブストラクトな音は正に時代を象徴するものだが、特筆すべきは西村有望『脂肪』のトライバルなサウンドとそれを採用していることだ。80年代中盤に現れるヨーロッパのインダストリアル・ミュージック第二波、例を挙げれば23スキドゥーのようなインダストリアルのエスノ化を見据えている。