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KYOU-033 AUBE『2000-2003(6CD BOX)』

発売日:2019年11月15日
定価:¥6,000(-税別)
品番:KYOU-033

Amazon  https://amzn.to/2mHHK3i
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AUBE / 2000-2003(6CD BOX)

CD-1 2000
CD-2 2001 VOL.Ⅰ
CD-3 2001 VOL.Ⅱ
CD-4 2002 VOL.Ⅰ
CD-5 2002 VOL.Ⅱ
CD-6 2003

KYOU-033
15.Nov 2019 release
6.000yen+tax

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AUBEの活動円熟期と言える2000年代のライヴ演奏を収録した一連の「G.R.O.S.S.」CD-R作品を年代順に再編集して、2017年11月から6枚連続リリースしたCDをボックス化したものが本作である。CD6枚組BOX !!

<作品概要>
この時期のAUBEは初期のノイズ奔流から発展し、厳選したトーンをレイヤー状に丁寧に積み重ねた電子音響へと変化したが、常に一つの演奏において一つの音素材のみを用いるというコンセプトは変わらず貫かれている。
CD-1 2000(KYOU-015)
(1) 2000年10月27日、ベルギー:ブリュッセルでの演奏を収録。
(2) 同年4月5日、カナダ:モントリオール。
CD-2 2001 Vol.1(KYOU-016)
(1) 2001年12月14日、大阪心斎橋のアート・ギャラリーFukugan Plus。
(2) 同年2月26日、大阪難波ベアーズ。
CD-3 2001 Vol.2(KYOU-017)
(1) 2001年6月17日、カナダ:モントリオールにある使われなくなった巨大なサイロ(穀物貯蔵庫)を楽器/音響空間として活用するユニークな試み「サイロフォン」プロジェクトにカールステン・ニコライ:アルヴァ・ノトらと共に招聘された時の演奏。
(2) 同年6月21日、米ミシガンのラジオ局WHFRで行った放送用ライヴ。
CD-4 2002 Vol.1(KYOU-018)
(1) 2002年5月26日、難波ベアーズで毎年開催されるノイズ祭典「Noise May-Day」出演時。
(2) 同年3月29日、心斎橋Fukugan Plus。1980年代初頭にAMDEK社が組み立てキットとして販売したパーカッション・シンセサイザーPCK-100を使用。
CD-5 2002 Vol.2(KYOU-019)
(1) 2002年5月3日、芦屋山村サロン「阪神淡路大震災復興支援チャリティ・コンサート」での演奏。
(2) 同年5月2日 山村サロンでのライヴ前日に京都東山の自宅Studio Meccaで録音したリハーサル音源。
CD-6 2003(KYOU-020)
(1) 2003年4月25日、大阪新世界ブリッジ
(2) 同年5月16日、京都三条カフェ・アンデパンダン
(3) 同年10月12日、京都木屋町club EAST
(東瀬戸悟)

Vanity Recordsと『ロック・マガジン』1978-1981

Vanity Recordsと『ロック・マガジン』1978-1981
                 嘉ノ海幹彦(元ロック・マガジン編集/FMDJ)

『ロック・マガジン』が一番活動的だった1979年から81年にかけて、編集長・阿木譲の元で編集を行ない、生活も共にしながら濃密な時間を過ごした。この体験をもとに、インディーズ・レーベルの先駆けであったVanity Recordsの内実を書いておこう。

■Vanity Records始動
Vanity Recordsは1978-1981年刊行の『ロック・マガジン』と連動していた。というより『ロック・マガジン』の延長線上に存在し多数のアーティスト作品がリリースされた。
そのためリリース作品は『ロック・マガジン』誌面で展開していた音楽状況やコンセプト、思想、時代性が色濃く反映している。
またその時々で最先端のアーチストを選び、旬の作品群だということを強く意識して製作された。
『ロック・マガジン』15号(1978年1月号)のLAST WORDには、2年間暖め続けていたVanity Recordsの活動を開始することと、Vanity Records第一弾『浄/DADA』を1978年6月25日にリリースすることがすでに記載されている。以上の事柄をふまえると1976年の『ロック・マガジン』の創刊から阿木の念頭には既にvanity構想があったことが伺える。
併せて非常に興味を引くのが阿木と工作舎『遊』の松岡正剛との交流が始まったことが書かれていることであり、その後数年に亘り『ロック・マガジン』と『遊』は雑誌や編集を超えて人的交流も盛んに行われることになる。
Vanity Recordsもその例外ではなく、工作舎との関連から『遊』などの出版物を中心にパステル画を数多く描き装丁も手掛けていたまりのるうにいが、VANITY0002『Crystallization/SAB』1978/09のジャケットを描くことになった。
■Vanity Records当初の方針
Vanity Recordsに関して『ロック・マガジン』26号 特集「モダーン・ミュージック」(1979年8月号)に以下の記載がある(抜粋)
《vanity recordsは無名だが才能をもったアーティストにレコード製作という機会を活用し、このレーベルを足場により広範囲に活動できことを目的として発足された。
  Vanity Records方針として
  ①エレクトロニクス・ミュージック
  ②”家具としての音楽”シリーズ(現代音楽)
  ③歌謡曲業界への進出
  ④実験的な新しいヴィジョンを持つ音楽
   (パンク、ニューウエイヴ、フリーミュージック、現代音楽等)
  を追求し、レコード制作を行う。
  現在送られてくるテープによりオーディションを実施中。》
ここで②”家具としての音楽”シリーズ(現代音楽)について、Vanity Records発足当初、構想していたことを記載したい。
阿木は、イギリスの作曲家ブライアン・イーノが明確なコンセプトをもってリリースしたObscure Recordsの10枚組シリーズ(1975-1978)を強く意識していた。Obscureとは、Weblio 英和辞典によると、はっきりしない、ぼんやりした、不明瞭な、あいまいな、(複雑すぎて)あいまいな、解しがたい、人目につかない、へんぴな、世に知られない、(薄)暗いとある。その直後イーノはAMBIENTレーベルとして環境音楽(地図音楽)を展開することになる。
それに対して構想されていたVanity Recordsの”家具としての音楽”シリーズは中国北宋時代の「十牛図」をコンセプトとしていた。「十牛図」とは禅の修業を牧牛にたとえその過程を10の段階に分け「図」と「頌(じゅ)」により表現されたものだ。
「図」は水墨画で表現され「頌」はその絵に添えられた象徴的な言葉である。
戦後、思想家鈴木大拙(1870-1966)はアメリカで東洋思想を紹介しその中で「十牛図」も英訳した。鈴木大拙はアメリカの作曲家ジョン・ケージを始め様々なアーティストに強い影響を与えた。1972年にイギリスのSSWキャット・スティーヴンスが「十牛図」に沿ったアルバム『Catch Bull At Four』(「十牛図」の4枚目「得牛(とくぎゅう)」)を発表しており、阿木も愛聴していたので、「十牛図」のことは既知のことだった。
Vanity Recordsの「十牛図」は、音楽という時代表象と禅的な普遍性をもった10種類の表象(シーニュ/シニフィエ)とを時代精神というニューロンで結び付けたいという思いをもって企画された。
つまり、「十牛図」の「図」と「頌」に「音楽」を加えることにより、音楽という時代表現を通じて考える(公案)ための有用音楽は10枚組みLPとしてリリースが計画されていた。
Vanity Recordsの「家具の音楽」は単なるサウンド・インスタレーションとは全く異なり、問いかける有用性のある家具=道具としてのアンビエント・ミュージックとなるはずだった。しかし残念ながら実現することはなかった。
だが、そのコンセプトは確実に『BGM/Back Ground Music』や『Ready Made/Normal Brain』の作品に引き継がれている。(後述)
また、Vanity Recordsから”雅楽(四天王寺「蘇莫者」)”、”ヒカシュー”、”ノイズ(工藤冬里+大村礼子)”、”ウルトラ・ビデ”のリリース計画があったことを記載しておく。
■『ロック・マガジン』と連動したVanity Records展開
『ロック・マガジン』で告知し、その主旨に賛同する数多くのアーティストによる作品が編集室に送られてきた。
またカセットテープを持参し作品に対する考えを熱く語るアーティストもいた。
Vanity Recordsではアーティストが予め作成してきたテープを、録音スタジオでミキシングとリマスタリングをすることが多かった。
またジャケット・デザインやBOXの中のおまけも含め、装丁は全て阿木が行なった。
レコードのリリース枚数は各作品につき300から500枚のプレスだったと記憶している。
Vanity Recordsとは別に、『ロック・マガジン』1979年10月号~1982年1月号の各号には付録のソノシート(全て片面プレス)が添付されていた。各号の特集に合わせて多種多様なものが合計で12枚作成された。この内容は、Vanity Recordsからのミュージシャンによる未収録曲を含むカット・リリース、コンピュータ合成音響音、二十世紀初頭の音声詩朗読、取材時のインタヴューやライブ音源などである。
※内容の詳細については東瀬戸作成のWEB用補足資料リストを参照。

■『ロック・マガジン』主催Vanity Records関連イベント
『ロック・マガジン』主催の初めて対外的なイベントとして、1979年12月23日「NEW PICNIC TIME」を大阪芸術センターで開催した(協賛・ドイツ文化センター)。Vanity Recordsもミュージシャンによるライヴ、講演、ビデオ・アート、ジャケット・アート展示など、様々なジャンルのアーティストが一同に集合したイベントだった。”ミスター・カイト”(東京ロッカーズ)、”ノイズ(工藤冬里+大村礼子)”、”アーント・サリー”、”TOLERANCE”、”DADA”、”ウルトラ・ビデ”、あがた森魚、SAB、藤本由紀夫、向井千恵、端山貢明、松岡正剛、鋤田正義、ブライアン・イーノのヴィデオアート、グループ・メタモルフォーゼの展示などマルチメディアなイベントだった。
イベント名の「NEW PICNIC TIME」は、新しい時代の新しい遊び場の象徴として、”ペル・ウブ”のアルバム名より拝借した。
■Vanity Records
VANITY0001『浄/DADA』 1978/07
『浄/DADA』はVanity Records第1作目を飾るにふさわしい作品だ。ユーロプログレの系譜にある純粋に宇宙的音響の世界を表現した。初期の『ロック・マガジン』創刊~1977年1月(6号)を象徴している音世界であった。
時代性を排して外的世界の音連れは1曲目から地上の鼓動へと連動する。
天上界からのエーテル力は物質を溶かす働きがある。その意味で『浄/DADA』は1978年時点の天上の音楽ともいえる。
世紀末ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービンが目論んだ神秘体験としての音の響きが、電子音楽の衣をまとい”DADA”の音楽として現前する。
VANITY0002の『Crystallization/SAB』では、宇宙に充満するエーテル体は『浄/DADA』とは異なった地球深部の凝縮力(=Crystallization)に向かい、この2作品でセットを形成している。

VANITY0002『Crystallization/SAB』1978/09
アルバムジャケットは、フランスの思想家ロジェ・カイヨワの『石が書く』に掲載された瑪瑙と、まりのるうにいによる工作舎のシンボルマークである土星のパステル画をデザインしたものだ。
土星の輪と瑪瑙の輪が弱い相互作用で存在している。惑星と地球との関係の中に”SAB”の音楽が響く。『Crystallization/SAB』はどこまでも内的でスペキュレーティブな作品だ。
物質が結晶化するにはほんの少しの不純物が必要だが、”SAB”の不純な響きがフランスの詩人シャルル・ボードレールの『コレスポンダンス(霊的交感)』のように「芳香と色彩と音響とが呼応しあい」結晶化する時の音楽を奏でている。
カイヨワは「石の中に宇宙の謎が文書として記録されている」という。まさに結晶化とは凝固する瞬間に受苦を伴いその魂を受肉させる。宇宙からのエーテル体の地上への働きかけに凝縮力があるからだ。
SABは、この作品を発表した後、ライフスタイルも変えインドの神秘思想家バグワン・シュリ・ラジニーシに師事し徐々に音楽活動から遠ざかっていった。
『Crystallization/SAB』は、彼のその後の精神活動を予感させる作品だ。

VANITY0003『アーント・サリー/アーント・サリー』 1979/05
パンクミュージックは時代への直接的キリスト衝動の発露としての音楽だ。それはその時代を生きた人だけが体験できる特権かもしれない。その後は心象風景となり、常に遠ざかっていく。
ただ状況を言語化しその歴史を探索し、その表象を発掘するのが歴史哲学としての役割だ。散歩した街路のショウウインドウの中に、ふらっと入った喫茶店の紅茶の香りに、さっき見かけた黒い犬に、古い雑誌の一枚の写真に、見逃せない痕跡を蜘蛛の糸のように絡めとる。ヒューのボーカルとビッケの引っかくようなギターが時代(いまここ)を逆なでする。
そして”アーント・サリー”は「文学」という鎧を纏い、武装し※ 無謀ではなく賢く果敢に戦場から撤退しながら、蝸牛の足跡のように時代へ痕跡を残した。そんなバンド、”アーント・サリー”の作品は、時代の恩寵としての音楽だ。
僕は通勤の護送列車の中でウォークマンに録音したアーント・サリーを繰り返し聴き時代からの逃走を計画していた。ハーメルンの笛に導かれるように。
”アーント・サリー”は、”INU”、”ウルトラ・ビデ”などと共にライブハウス心斎橋「バハマ」でよく聴いた。心斎橋「バハマ」という名は歴史に記憶されるべきだ。
※「文学的武装」とは、ウジェーヌ・イヨネスコの『禿の女歌手』やブレーズ・サンドラールの『世界の果てまで連れてって 』などを表象のファッションを纏うこと。

VANITY0004『ANONYM/TOLERANCE』1979/10
”TOLERANCE”は電子音楽とエロティシズムの系譜の音楽であり、匿名性のパンクミュージックの香りをほんの少し残す音楽でもある。
まだ言葉は記号ではなく意味するものを持っていた時代の記憶。丹下順子のプロジェクトはそんな痕跡が少しだけ感じられる。
エレクトロニクスは誰にでもどんな時代でもエロティックな響きを与えてくれる。
ポスト構造主義が日本の地霊に受肉するための恩寵なのか。電子音楽の拡張性は体験(深く聴くということ)を通じて聴き手(自分)を変容させる。
”ANONYM”とは匿名の意だが、なにものでもないもののための音楽だ。

VANITY0005『乗物図鑑/あがた森魚』1980/04
阿木から、昔からの知り合いであるあがた森魚から、再起を図るために手を貸してほしいと依頼されているとの話があった。当時のあがた森魚の事情は知らないし聞いてもいない。ただその取っ掛かりとして Vanity Recordsからアルバムをリリースするということだった。タイトルは『乗物図鑑』。
阿木の「コンセプトはテクノ・ポップであり、泣きの曲はなしだよ」、と始まった。
あがた森魚は自分のことを”A児(えいじ)”と名のった。製作期間は一週間。通常、録音からミックスまで一か月間近くを要する作業を、Vanity Recordsでは経費の関係から一日で”完パケ”まで持っていく慣わしだったが、あがた森魚の録音には二日間をかけるという”特別待遇”であった。
今から考えると、それでもたった二日間だった!!
メイン・サポーターである『Crystallization』のSABとは、その時に初めて会った。バグワン・シュリ・ラジニーシに師事していたSABはホーリー・ネームを名乗った。「僕はSABではない。これからはホーリー・ネームで呼んでくれ」と言ったが、みんなSABと呼んだ。当時珍しかったギター・シンセサイザーを持参していた。
サポートメンバーである藤本由紀夫とは大阪北浜の〈三越劇場〉で彼の作品を発表した時に声をかけて知り合った。事前打合せの段階で、あがた森魚と同じく稲垣足穂のファンである藤本由紀夫が足穂と瀬戸内晴美(寂聴)とのNHKラジオでの対談をカセットで保有しており、話の途中で足穂が飛行機の口真似をし始める箇所を編集し、「エアプレイン」(A面・四曲目)のイントロで使用した。足穂の声の後から藤本由紀夫のコルグのシーケンサーが演奏された。
このアルバムの「Rの回答」(B面・三曲目)で向井千恵の胡弓が聞ける。彼女は現在も定期的に即興演奏を中心にライヴ活動をしている。『ロック・マガジン』を通して知り合ったドラムは”飢餓同盟” の安田隆と”ウルトラ・ビデ”のTaiqui、ギターが”コンチネンタル・キッズ”のしのやん(篠田純)と”INU”の北田昌宏、そして『ロック・マガジン』編集の明橋大二がピアノを弾いている。
この録音でプログレ、現代音楽、エレクトロニクス、パンク、即興演奏の違った音楽の方向性を模索する多種多様のミュージシャンが集まったのも1979年を象徴している。
たった一週間でテレックスの「Twist a St.Tropez」は「恋のラジオ・シティ」(A面・一曲目)に、ジョイ・ディヴィジョンの「She’s Lost Control」は「サブマリン」(A面・三曲目)として結実した。「サブマリン」のバック・ボーカルは、ヒュー、向井千恵、竹内敬子。「連続香水瓶」(B面・四曲目)のミニマル・ミュージックはテリー・ライリーを想起させる。
コンセプトがテクノ・ポップだが、最後に録音した「黄昏ワルツ」(B面・二曲目)は、あがた森魚が一人でピアノを弾きながらの”一発録り”だった。
アルバムジャケットには、第2次世界大戦敗戦直後のドイツの写真を引用しデザインしている。敗戦国ドイツの少年が瓦礫の上で敵国アメリカの輸送機に手を振っている写真。まるで現代の少年十字軍だ。

VANITY0006『R.N.A.O Meet P.O.P.O/RNA ORGANISM』1980/05
佐藤薫の初期プロデュース作品。
”RNA ORGANISM”の一番初めの出現は、Vanity Recordsのミュージシャンが多く出演した1979年12月のロックマガジン主催のイベント「NEW PICNIC TIME」の匿名の観客としてだった。
頭髪を緑色に染めた集団。それは佐藤薫率いる時代に拮抗した過激派であり他の観客を刺激した。
当時佐藤薫が主宰(拠点?)していた京都河原町のディスコ「クラブ・モダーン」では、ダンスミュージックとして西アフリカの民族音楽をかけていた。何の加工もせずそのままの音源でリスナー(参加者)は朝まで踊っていた。
その「場所」は僕らが名付けたエスノ(エスノミュージックとテクノとを融合した)ミュージックの実験空間でもあったのだ。当然エスノにはジェイムズ・ブラウンなどのR&B、イヌイットの狩猟の音楽、日本の舞楽なども含まれていた。
イギリスでは”THE POP GROUP”や”THE SLITS”の音楽が新しい原始リズムを刻んでいた。二十世紀初頭ロシアの作曲家イゴーリ・ストラヴィンスキーの”春の祭典”のように…。
佐藤薫は現在も時代精神を反映した個人レーベル「フォノン」で時代の響き(ドローン)を発信し続けている。二十一世紀音楽は「響き」をいかに時代の背景音として捉えるかにかかっている。現在の彼の音楽的冒険はいわば二十一世紀にメタモルフォーズし再登場したパンクミュージックだ。

VANITY0007『SYMPATHY NERVOUS/SYMPATHY NERVOUS』1980/07
新沼好文の『SYMPATHY NERVOUS/SYMPATHY NERVOUS』は、商業主義的音楽集団”Yellow Magic Orchestra”に対する『ロック・マガジン』としての返答だ。
「YMO」の音楽のように時代に迎合した表象ではなく、あくまでも個的に自作の電子楽器UCGシステムやコンピュータを駆使し、夭折したドイツ表現主義詩人ゲオルク・ハイムのアフォリズムに登場する古参兵のように「それにもかかわらず敢えてなお」の精神性で作成された。
『ロック・マガジン』2007号(1980/09)誌上で新沼は、まず自分は音を生産する機械主義者であり、作品を作る行為のことを編集と語っている。また機械を使っている時にエロティシズムを感じることもあるとも。
だからこそ”SYMPATHY NERVOUS”の音楽は、エレクトロニクスでなければならなかったし、リアルな時代の快楽主義者達の音楽であり得たのだ。

VANITY0008『BGM/Back Ground Music』1980/09
白石隆之の作品。まだ高校生だった彼は大阪に来てVanity Records作品の多くをレコーディングしたサウンドクリエイションにおいて1日で録音した。
『ロック・マガジン』では「家具の音楽」を特集していたが、「家具の音楽」とは、元々フランスのベル・エポック時代の作曲家エリック・サティが「家具のように、そこにあっても日常生活を邪魔しない音楽、意識的に聴かれることのない音楽」をコンセプトとしていたものだ。「家具の音楽」の思想はその後ブライアン・イーノによって「Ambient Music」へと昇華させた。
Vanity Recordsの『BGM/Back Ground Music』(1980/09)もこの系譜に位置される。
1980年代以降音楽が新たな展開を見せる前夜に出された「Erik Satie Funiture Music特集」号(1980/11)では、サティの音楽や思想そのものの捉えなおしを行い、工業神秘主義音楽などオルタネイティヴな世界への準備を行ったのである。
その展開としての”Back Ground Music”は、ブルガリアの思想家エリアス・カネッティ『群集と権力』で記述されているアーケードの中の群集、大衆の中に存在する潜在意識、意識下で蠢く醒めた欲望機械のための音楽だ。
群集の複数の足音は、ある瞬間から創発性をおび時代の意味深長なリズムとなり、体内整流音楽へと変化する。『BGM』は突如として身体に現れる創発性の音楽として意識された。
ちなみに同じタイトルの「YMO」の『BGM』は1981年3月にリリースされたが、全く異なる音楽である。
なお現在、白石隆之は80年代に体験した音楽を昇華し今日の音としてリリースを予定しているときく。さてどんな響きを提供してくれるか楽しみだ。

VANITY0009『Ready Made/Normal Brain』1980/10
藤本由紀夫の『Ready Made/Normal Brain』は、”Kraftwerk”の「The Man Machine」の『ロック・マガジン』的回答としての音楽だ。
藤本由紀夫は、”Kraftwerk”の音楽についてエレクトロニクスをピュアに使用していることを評価していた。ピュアでありながら緻密、ジョン・ケージの音楽にも通低する。
1962年10月に来日した際にジョン・ケージが鈴木大拙と交わした会話で、ケージが「先生の講義で忘れられない言葉は、”山は山である。春は春である。”という名句です。私はその時に”音は音である”と霊感のように思ったんです。」と話している。
この大拙の言葉は、十牛図第9の「返本還源」のことを示している。
続けて大拙の「現代音楽というものは、非常に知的なものだということをいう人がおるが」という問いに対して、ケージは「それがあんまり、知的なものにならないように、一生懸命努力しているのです。知的なものじゃつまらない」「音は、ただ音であるようにしたいと」と答えている。(『芸術新潮』1962年11月号より)
『Ready Made/Normal Brain』に関連して『ロック・マガジン』01(1981年01月号)では”Normal Brain”のコンセプトシートを掲載した。
”Normal Brain”の由来は、19世紀イギリスの作家メアリー・シェリーのゴシック小説の『フランケンシュタイン』では若きフランケンシュタイン博士が死者を蘇えらせようとして、Normal BrainとAbnormal Brainとを取り違え「怪物」を生み出してしまった物語だ。藤本由紀夫は1世紀以上を経て、フランケンシュタイン博士が取り違えた「怪物」の脳を”Normal Brain”として蘇えらせた。
また、アルバムタイトルの『Ready Made』はフランスの美術家マルセル・デュシャンが、1917年に男性用小便器に偽のサインを入れ、「Fountain(泉)」というタイトルをつけて公募展に応募し、これは「これはアート作品だ」と言って、本人自らが「レディメイド」と呼んだことからの引用である。
デュシャン・フリークである藤本由紀夫らしい。
デュシャンは、音楽芸術に対しても「音楽的誤植」という概念も打ち出している。
イギリスの作曲家デヴィッド・カニンガムの「Grey Scale (1977)」の「Error System」もデュシャンを強く意識した作品だ。
藤本由紀夫は2015年デヴィッド・カニンガムとロンドンで二人会を開催したり、現在も交流しているそうだが、音楽へのアプローチはお互い影響を与え合っているのだろう。
藤本由紀夫は、”Normal Brain”以降も「音は、ただ音であるようにしたい」と思索し続けている。

VANITY0010-11『2LP MUSIC/V.A.』1980/12
ロシアのセルゲイ・エイゼンシュタイン監督映画『戦艦ポチョムキン』の中で登場する戦艦の叛乱に呼応するオデッサ市民のように、『ロック・マガジン』の呼びかけに多数のミュージシャンが作品を送ってきた。
”MUSIC”は音楽と題された作品だが、時代に対しての蜂起した作品群だ。その蜂起の仕方は13組のアーティストで多種多様であり、ひとつとして同質のものはない。
『ロック・マガジン』では、ジェネシス・P・オリッジが「industrial music for industrial people」として展開したindustrial musicを工業神秘主義音楽と名付けた。80年代の音楽は、この工業神秘主義音楽に代表される実験的でオルタナティヴな方向性へと変わっていく。
ロックでは”Cabaret Voltaire”や”Bauhaus”が登場し”Adam and the Ants”が「未来派宣言」を歌っていた。

VANITY0012『DIVIN/TOLERANCE』1981/03
『DIVIN/TOLERANCE』はVanity Recordsを代表する実験的で新しい時代に対する新たなヴィジョンを感じさせる電子音楽(エレクトロニクス・ミュージック)で、丹下順子による新「工業神秘主義」音楽だ。
フランスのベル・エポック時代にロシアの作曲家ニコライ・オブーホフは十二音技法を開拓した後「クロワ・ソノール」という十字架を模した電子楽器を開発した。時代への強い衝動は微分音階から無限音階を通り越し響きそのもののエーテル化を企てた。
この地下鉱脈のように引き継がれたかすかな電子音は、フランス語で「神」を意味する”DIVIN”という名を冠した作品の中で聴くことができる。
地上界と天上界の間で凝縮と溶解を螺旋状に繰り返すエレクトリックな音響音楽。
『DIVIN/TOLERANCE』はVanity Records最後のLP作品としてふさわしい。
しかし、果たしてわれわれは、響きと音階の構造に初めて気がついた古代ギリシャの哲学者ピタゴラス以降、ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが惑星の軌道の中に夢み、ドイツの司祭アタナシウス・キルヒャーが試みた宇宙の神秘と真理の音楽、天界のメロディーを聴くことが出来るだろうか。

VA-S1『Polaroid/Sympathy Nervous』1980
VA-S2『Hide & Seek/Mad Tea Party』1980
VA-S3『You’ll No So Wit/Perfect Mother』1980
声はエレクトロニクスと同化し電子の一部となり、記号と非記号が電極の中を行き来する情念的音楽群だ。彼らの音楽は電子楽器を駆使し実験的でありながら同時にエロスも感じさせるポップ・ミュージックである。
1980年は、『乗物図鑑/あがた森魚』『R.N.A.O Meet P.O.P.O/RNA ORGANISM』『SYMPATHY NERVOUS/SYMPATHY NERVOUS』
『BGM/Back Ground Music』『Ready Made/Normal Brain』『2LP MUSIC/V.A.』が相次いでリリースされVanity Recordsにとってピークの年だった。
この3枚は同年に同時リリースされた。まさに時代がなせる業か。
■『VANIY TAPES』
 VAT-1『Gray Cross/Salaried Man Club』1981
 VAT-2『Denki Noise Dance/Kiiro Radical』1981
 VAT-3『Pocket Plaetaria/Den Sei Kwan』1981
 VAT-4『B.B.B./Invivo』1981
 VAT-5『Endless Dark Dream/Wireless Sight』1981
 VAT-6『Shibou/Nishimura Alimoti』1981
時代の表層のハイブリッド、もはや時代の速度に対応するため、カセットテープという衣装の纏いでリリースされた。
ここでジョン・ケージの”音は音である”という言葉を思い出して欲しい。もはや現前した音源を体験するのみであり、疑問や議論の余地はない。
『VANIY TAPES』の記録は記憶(血液)の中で再生産され、時代と共に常に新しく変質する。
ひとつひとつに深く耳を傾けて見ると、蝸牛官から耳骨を経て時空を超えて過去と未来の「音=響き」が聞えてくるであろう。
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注)『スペクテイター』44号拙文「はみ出し偉人伝・その1」より引用。

※ 文中敬称略

※WEB用補足資料リスト
<ソノシート> 1979〜1981年 ロック・マガジン誌付録 全て片面プレス。

MAX MATHEWS – The Magnetic Field of The Earth(vanity 2001)
 コンピュータ音楽のパイオニアの一人、マックス・マシューズによる地磁気を動きを音化した作品。

BRIAN ENO – The Voice of Brian Eno(vanity 2002)
 1979年8月6日、ニューヨークで阿木譲が行ったインタヴューから抜粋。

あがた森魚 – 恋のラジオシティ(vanity 2003)
 『乗物図鑑』からの先行カット。テレックス『Twist A Saint Tropez』がアレンジの下敷きとなっている。

NORMAL BRAIN – Frottage(vanity 2004)
 アルバム『Lady Maid』収録曲の微妙にピッチが異なる別ヴァージョン。45回転と表示されているが33回転が正しい。

TOLERANCE – Today’s Thrill(vanity 2005)
 2枚のアルバム『Anonym』、『Divin』には未収録の録り下ろし曲。

ほぶらきん – 村のかじや(vanity 2006)
 自主制作シングル『キングホブラ』からの4曲『村のかじや』『魚うり』『ゴースン』『ペリカン・ガール』を収録。

VA – Phonetische Poesie(vanity 8101)
 ロシア立体未来主義のアレクセイ・クルチョーヌィフとカジミール・マレーヴィチ、ハノーファー・ダダのクルト・シュヴィッターズによる音声詩を収録。

システム – Love Song(vanity 8102)
 大阪で活動した女性5人組。アーント・サリー(Phew)とティーネイジ・ジーザス(リディア・ランチ)の間をゆくようなポスト・ノーウェイヴ。

G.LEWIS + B.C.GILBERT + A.M.C. – Cross, Grow, Prayer(vanity 8103)
 グラハム・ルイス、ブルース・ギルバート、アンジェラ・コンウェイの1981年アルバム『ドーム3』からの先行提供音源。

DIE KRUPPS – 6 Jun 1981 At Krefeld Haus Blumenthal(vanity 8104)
 1981年6月6日、独クレーフェルトで行われたデビュー・ライヴから『Stahlwerksynfonie』を収録。

FURIOUS PIG – 3 June 1981 The Venue London(vanity 8105)
 ロンドンで活動した奇妙なヴォイス・パフォーマンス/アカペラ・グループ。1981年6月3日、ヴェニューでのライヴ。

HOLGER CZUKAY ‎– June 3 1981 At His House Köln W.Germany(vanity 8201)
 1981年6月3日、ケルンのホルガー・シューカイ自宅でのインタヴュー・テープから抜粋。

最後になりましたが、この文章を書くにあたり、機会を与えて頂いたスタジオワープの中村泰之さん、内容についてのアドバイスを頂いた東瀬戸悟さん、校訂を担当してくださった能勢伊勢雄さんに感謝します。

remodel 05 V.A. 『VANITY BOX』

発売日:2019年10月21日
定価:¥18,000(-税別)
品番:remodel 05
仕様:□オリジナル マスターテープよりデジタル リマスタリング
           □vanity records 13作品・CD11枚組(紙ジャケット)
           □限定500set ボックスカラー
            (ピンク 250set, イエロー 250set)
           □各CDジャケットはオリジナルレコードジャケットを再現
           □オリジナルボックス(195㎜×140㎜×43㎜)
           □ヴァニティ ロゴステッカー
           □ライナーノーツ

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V.A.
VANITY BOX

CD-1 TOLERANCE/Anonym(79年)
CD-2 TOLERANCE/Divin(81年)
CD-3 NORMAL BRAIN/Lady Maid(80年)
CD-4 SYMPATHY NERVOUS/Sympathy Nervous(80年)
CD-5 ≪7インチ・シングル≫
        ・SYMPATHY NERVOUS/ポラロイド(80年)
        ・マッド・ティー・パーティー/ハイド&シーク(80年)
        ・パーフェクト・マザー/You’ll no so wil (80年)
CD-6 R.N.A.ORGANISM/R.N.A.O. meets P.O.P.O.(80年)
CD-7 BGM/Back Ground Music(80年)
CD-8 あがた森魚/乗物図鑑(80年)
CD-9 AUNT SALLY/Aunt Sally(79年)
CD-10 SAB/Crystallization(78年)
CD-11 DADA/浄(78年)

remodel 05
21.Oct 2019 release
18.000yen+tax

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「VANITY BOX – Vanity Records/musicis up and down」1978年から1981年にかけてヴァニティレコードからリリースされたアルバムと7インチシングルを11枚にコンパイルした集大成的ボックスセット。
すべてオリジナル マスターテープよりデジタル リマスタリング。

<作品概要>
’70年代末日本の自主制作/インディーズ音楽シーン黎明期を語る上において忘れることの出来ないレーベルの一つに大阪の『Vanity』がある。2018 年に死去した『Rock Magazine』誌(以下RM)編集長、阿木譲が1978年に立ち上げたこのレーベルは、英米のパンク運動と様々なインディペンデント・レーベル勃興にいち早く呼応し、RM の編集方針と連動しながらエレクトロニクス・ミュージックとポスト・パンク的エクスペリメンタル・ミュージック、当時のオルタナティヴな最尖端スタイルを展開。1982年活動休止までの4年間に11枚のLP、3枚の7″ シングル、12枚のソノシート、6本のカセットテープを制作した。
RMの付録だったソノシート以外は300~500枚の限定プレスであり、カセットテープは数十本程度のコピーのため、全作品を聴いたことのある人はごくわずかだが、同時代の世界水準に照らし合わせても極めて尖鋭的でユニークな作品が並び、高い評価を得ている。近年はインターネットを通してその存在を知った新しいリスナーも加わって全作品の再発売が望まれていた。

テキスト/ 東瀬戸 悟

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-1

CD-1 TOLERANCE – Anonym(1979 年) VANITY 0004

personnel
synthesizer with electronic echo unit,
piano & voice: Junko Tange
effective guitar: Masami Yoshikawa
dedicated to the Quiet Men from a Tiny Girl
recorded & mixed at Studio Sounds Creation osaka April 1979
engineered by Naoki Oku
assistant engineered by Yoshiteru Mimura
cover photo by Toshimi Kamiya
produced by Yuzuru Agi
Vanity records
502 Soraru-Kiyoka 1-6-8 Shinmachi Nishiku Osaka
phone 06 538 3644
VANITY RECORDS 1979

東京の丹下順子のソロ・ユニット。丹下が奏でるエレクトリック・ピアノ、シンセサイザー、簡素なエレクトロニクス、かぼそく呟くような朗読に加えて、吉川マサミのノイジーなスライド・ギターがゆっくりと渦巻きながら渾然一体となり、モノトーンで抽象音化されたアニムスが立ち現れる。ジャケットは写真集「東京綺譚」を刊行した神谷俊美。
英エクスペリメンタル/ コラージュ音響の大御所、スティーヴン・ステイプルトン(NWW: ナース・ウィズ・ウーンド)は1980年アルバム『To The Quiet Men From A Tiny Girl』のタイトルを本作クレジット文一節から引用。ステイプルトンが影響を受けたア-ティストを網羅した所謂『NWW リスト』にもトレーランスを選出した。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

”TOLERANCE”は電子音楽とエロティシズムの系譜の音楽であり、匿名性のパンクミュージックの香りをほんの少し残す音楽でもある。 まだ言葉は記号ではなく意味するものを持っていた時代の記憶。丹下順子のプロジェクトはそんな痕跡が少しだけ感じられる。
エレクトロニクスは誰にでもどんな時代でもエロティックな響きを与えてくれる。
ポスト構造主義が日本の地霊に受肉するための恩寵なのか。電子音楽の拡張性は体験(深く聴くということ)を通じて聴き手(自分)を変容させる。
”ANONYM”とは匿名の意だが、なにものでもないもののための音楽だ。

 


Ⅲ Y.Hirayama

狭い地下室の中で響き渡るかのようなジャムは、ゆっくりと、しかし確実にコズミックな音の塊へと変貌していく。奏者のパーソナリティはもちろん、演奏している様子さえ想像がつかない虚ろなサウンドは、虚栄を意味するヴァニティの名に忠実であると同時に、それが有効であった時代の証左となっている。現代のようにポータブルプレイヤーを通した屋外での再生や会話のBGMにあてがうのではなく、閉じられた空間で音楽に没入していく体験のために設計された作品だ。その陰は同時代のナース・ウィズ・ウーンドは勿論のこと、アンディ・ストットにまで伸びている。

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-2

CD-2 TOLERANCE – Divin(1981 年)VANITY 0012

recorded 30/ 12 /80
2,5,6/1 / 81
mixed 8,9,12/ 1
mixer: Cimei-Bushman 19Ylam
luminal: j-Tange
input: M-Yoshikawa
, Hypersp+
cover concepts: Fusifix, Gekko-U4
produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1981

丹下順子、吉川マサミ:トレーランスのセカンド・アルバム。タイトルはフランス語で『神』の意味。前作で聞けたギターは後退、ドラムマシーンの躍動感とエレクトロニクスの律動が強調され、無機的で曇った空間にほのかな色彩感が加わり不思議な音響が創出される。T-5では角谷美知夫(腐っていくテレパシーズ)の『ぼくはズルいロボット』の詩を流用。ミックスはイーレムの大森智明(Bushman-19)が担当。
ファーストとセカンドの間にはRM付録でアルバム未収録曲『Today’s Thrill』の片面ソノシートも制作。今聞き返しても古びた部分はなく時代的な耐久性が高い。残念ながら、この後の活動は途絶えてしまっている。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

『DIVIN/TOLERANCE』はVanity Recordsを代表する実験的で新しい時代に対する新たなヴィジョンを感じさせる電子音楽(エレクトロニクス・ミュージック)で、丹下順子による新「工業神秘主義」音楽だ。
フランスのベル・エポック時代にロシアの作曲家ニコライ・オブーホフは十二音技法を開拓した後「クロワ・ソノール」という十字架を模した電子楽器を開発した。時代への強い衝動は微分音階から無限音階を通り越し響きそのもののエーテル化を企てた。
この地下鉱脈のように引き継がれたかすかな電子音は、フランス語で「神」を意味する”DIVIN”という名を冠した作品の中で聴くことができる。
地上界と天上界の間で凝縮と溶解を螺旋状に繰り返すエレクトリックな音響音楽。
『DIVIN/TOLERANCE』はVanity Records最後のLP作品としてふさわしい。
しかし、果たしてわれわれは、響きと音階の構造に初めて気がついた古代ギリシャの哲学者ピタゴラス以降、ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが惑星の軌道の中に夢み、ドイツの司祭アタナシウス・キルヒャーが試みた宇宙の神秘と真理の音楽、天界のメロディーを聴くことが出来るだろうか。

 


Ⅲ Y.Hirayama

『アノニム』よりもリズミックかつエレクトロニックになったアルバム。リズムマシンとシンセサイザーがギターにとって代わっていたヨーロッパ・ポストパンクの動向を反映した編成となっている。最小限の音を反復させるファウストやカン的なジャーマン・ロック的手法と、テープ加工とエレクトロニクスというスロッビング・グリッスル経由のインダストリアル・ミュージックの影響がより強く出ている。「Misa (Gig’s Tapes In “C”)」で確認できるテープの逆回しとパンニングによるサイケデリックな音響を筆頭に、演奏してる図がイメージできない非人間性は前作よりも更に高くなった。イーレムが同年に出した国産バンドによるコンピレーション『沫』に通じる荒涼としたサウンドは間違いなく「時代の音」だが、2010年代のシンセウェイヴに象徴されるノスタルジーを伴った消費から離れていることで、本作およびヴァニティの神秘的とも言える存在感は増すばかりである。

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-3

CD-3 NORMAL BRAIN – Lady Maid(1980 年) VANITY 0009

Normal Brain are Fujimoto Yukio
Shimura Satoshi
Torii Ayumi

produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1981

幼少期よりテープレコーダー、カメラ、映写機で遊び、大阪芸術大学音楽工学科で電子音楽を学んだ藤本由紀夫のユニット。アナログ・シンセサイザー、リズム・マシーン、学習玩具スピーク & スペル、英会話学習用テープなどを使用し、その簡易性と特質を最大限に生かした知的で機知に富んだ音楽を組み立てる。アルバム・タイトルはマルセル・デュシャンを信奉する藤本らしいトリック。
80年代半ばに従来の電子音楽を捨て、日常の中に潜む聴覚、視覚、嗅覚、触覚を喚起する美術家/ アーティストとして、様々なサウンド・オブジェの制作やインスタレーションを始める。2001年と2007年にヴェニス・ビエンナーレに出品。国立国際美術館、西宮市大谷記念美術館、和歌山県立近代美術館にて同時個展を開催するなど国内外で高い評価を得ている。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

藤本由紀夫の『Ready Made/Normal Brain』は、”Kraftwerk”の「The Man Machine」の『ロック・マガジン』的回答としての音楽だ。
藤本由紀夫は、”Kraftwerk”の音楽についてエレクトロニクスをピュアに使用していることを評価していた。ピュアでありながら緻密、ジョン・ケージの音楽にも通低する。
1962年10月に来日した際にジョン・ケージが鈴木大拙と交わした会話で、ケージが「先生の講義で忘れられない言葉は、”山は山である。春は春である。”という名句です。私はその時に”音は音である”と霊感のように思ったんです。」と話している。
この大拙の言葉は、十牛図第9の「返本還源」のことを示している。
続けて大拙の「現代音楽というものは、非常に知的なものだということをいう人がおるが」という問いに対して、ケージは「それがあんまり、知的なものにならないように、一生懸命努力しているのです。知的なものじゃつまらない」「音は、ただ音であるようにしたいと」と答えている。(『芸術新潮』1962年11月号より)
『Ready Made/Normal Brain』に関連して『ロック・マガジン』01(1981年01月号)では”Normal Brain”のコンセプトシートを掲載した。
”Normal Brain”の由来は、19世紀イギリスの作家メアリー・シェリーのゴシック小説の『フランケンシュタイン』では若きフランケンシュタイン博士が死者を蘇えらせようとして、Normal BrainとAbnormal Brainとを取り違え「怪物」を生み出してしまった物語だ。藤本由紀夫は1世紀以上を経て、フランケンシュタイン博士が取り違えた「怪物」の脳を”Normal Brain”として蘇えらせた。
また、アルバムタイトルの『Ready Made』はフランスの美術家マルセル・デュシャンが、1917年に男性用小便器に偽のサインを入れ、「Fountain(泉)」というタイトルをつけて公募展に応募し、これは「これはアート作品だ」と言って、本人自らが「レディメイド」と呼んだことからの引用である。
デュシャン・フリークである藤本由紀夫らしい。
デュシャンは、音楽芸術に対しても「音楽的誤植」という概念も打ち出している。
イギリスの作曲家デヴィッド・カニンガムの「Grey Scale (1977)」の「Error System」もデュシャンを強く意識した作品だ。
藤本由紀夫は2015年デヴィッド・カニンガムとロンドンで二人会を開催したり、現在も交流しているそうだが、音楽へのアプローチはお互い影響を与え合っているのだろう。
藤本由紀夫は、”Normal Brain”以降も「音は、ただ音であるようにしたい」と思索し続けている。

 


Ⅲ Y.Hirayama

シンセサイザーに加えて、当時日本では珍しかったスピーク・アンド・スペルを採用したサウンド。シンセサイザーが身近な存在になったポストパンク時代は良くも悪くもそれに依存したものになりがちだが、ここではクラフトワークとキャバレー・ヴォルテールの中間に立つような感覚、ポップであると同時にドライなそれが提示されている。ネタがわかると途端にユーモラスに感じる「You Are Busy, I Am Easy」を筆頭に、アマチュアイズムの活かし方・殺し方がコントロールできていると書けばよいのか、アカデミックなルートを辿ってきた藤本由紀夫氏ならではのバランス感覚が冴える。「Fragment」は初期タンジェリン・ドリーム的なエレクトロニクス実験に挑戦した記録で、イーノのオブスキュア・レーベルからのリリースにも近い。

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-4

CD-4 SYMPATHY NERVOUS – Sympathy Nervous(1980 年)VANITY 0007

Sympathy Nervous
Yoshihumi Niinuma – UCG system with Korg synthesizers
& voice
Tatsuya Senzaki – some noises by his guitar, voice
recorded and mixed at Niinuma’s Private Studio
cover photo by Achim Duchow
produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORD 1980

『U.C.G.』と命名された自作のコンピュータ・システムを駆使し、当時としては水準の高いプログラミング技術と音響デザイン力を誇った新沼好文によるプロト・テクノ・ユニット。千崎達也のノイズ・ギターが効果的なアクセントとなりインダストリアル的要素も強い。ジャケット写真はラ・デュッセルドルフのロゴ・デザインやRM 表紙画を手掛けたドイツの画家/ 写真家アヒム・デュホウ。
本作発表後は東京を離れ郷里でプログラマーの仕事をしながら地道に録音を続け、90年代に入りテクノ・シーンへ参入。
ベルギーK.K. と契約を結び積極的に活動を再開。
2000年に入って岩手県宮古市で国産テルミンの工房を設立するが、3.11被災を受け工房と全財産を失う。米ミニマル・ウェイヴは新沼のために過去音源を編集したチャリティ・アルバムを2枚制作し援助活動を行った。2014年逝去。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

新沼好文の『SYMPATHY NERVOUS/SYMPATHY NERVOUS』は、商業主義的音楽集団”Yellow Magic Orchestra”に対する『ロック・マガジン』としての返答だ。
「YMO」の音楽のように時代に迎合した表象ではなく、あくまでも個的に自作の電子楽器UCGシステムやコンピュータを駆使し、夭折したドイツ表現主義詩人ゲオルク・ハイムのアフォリズムに登場する古参兵のように「それにもかかわらず敢えてなお」の精神性で作成された。
『ロック・マガジン』2007号(1980/09)誌上で新沼は、まず自分は音を生産する機械主義者であり、作品を作る行為のことを編集と語っている。また機械を使っている時にエロティシズムを感じることもあるとも。
だからこそ”SYMPATHY NERVOUS”の音楽は、エレクトロニクスでなければならなかったし、リアルな時代の快楽主義者達の音楽であり得たのだ。

 


Ⅲ Y.Hirayama

ノーマル・ブレインが参照していたクラフトワークやクラスターのようなジャーマン・ロック電子音派に加え、パンク経由のロバート・レンタルとトーマス・リアらのライヴやノイエ・ドイチェ・ヴェレ・ムーヴメントにも通じているピュアなエレクトロニック・ミュージック。その先見性とタイミングの早さはずば抜けており、長い時を経てロン・モアリなどのロウ・ハウスにも大きく先回りすることとなった。後にテクノへ合流するのも納得で、鈍重なベースや残響を筆頭に、大音量と相応のオーディオシステムで再生すれば全身で体感すべきサウンドであると理解できる。

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-5

CD-5 <7″ シングル> ジャケット写真は3 枚全てBGM 白石隆之の撮影。
SYMPATHY NERVOUS – Polaroid(1980) VA-S1

system & sonic design by Niinuma Yoshihumi
Sympathy Nervous
produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1980

ヴォコーダーで歌うA面のキャッチーさは、そのままポラロイド・カメラのCM曲にも使えそうなほど。3曲全てアルバム未収録。

 

MAD TEA PARTY – Hide And Seek(1980)VA-S2

composed and performed by M.T.P.
engineered and all tapes operation – Tchimay ( Bushman 19)
cover photo – Takayuki Shiraishi
recorded at Theory Studio
remixed at YLEM Studio ’80 Spring
contact – YLEM 03 460 8469
executive produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1980

吉祥寺マイナーやイーレムに出入りしていた白石喜代美が率いるガールズ・トリオ。ダブ処理とテープ逆回転をふんだんに使ったエッジーで愛らしいポスト・パンク・ポップ。

 

PERFECT MOTHER ‒ You’ ll No So Wit(1980)VA-S3

water muzzy
tecno-end
fan
Gancan – g,b,per., vo
Summition – synthesized-vo, randam-D-tuning -g, per
Nono – tape, effect
Atsko – vo
composed by Perfect Mother
cover photo – Takayuki Shiraishi
thanks to Tchimay ( Bushman 19 )
all electronics & engineer
home recording by Sound Cookee 144
teac-30-4
at YLEM Studio
executive produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1980

東京の音楽/ アート集団『イーレム』組織者、上田雅寛が率いるレフトフィールド・エレクトロニック・ポップ・グループ。後に山崎春美のTACOに参加し、新人類の一人として注目された野々村文宏が在籍。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

声はエレクトロニクスと同化し電子の一部となり、記号と非記号が電極の中を行き来する情念的音楽群だ。彼らの音楽は電子楽器を駆使し実験的でありながら同時にエロスも感じさせるポップ・ミュージックである。 1980年は、『乗物図鑑/あがた森魚』『R.N.A.O Meet P.O.P.O/RNA ORGANISM』『SYMPATHY NERVOUS/SYMPATHY NERVOUS』 『BGM/Back Ground Music』『Ready Made/Normal Brain』『2LP MUSIC/V.A.』が相次いでリリースされVanity Recordsにとってピークの年だった。 この3枚は同年に同時リリースされた。まさに時代がなせる業か。

 


Ⅲ Y.Hirayama

7インチで発表された3組の音源を収録したもので、いずれもメインストリームに投げかけるように(他のリリースと比べて)ポップな曲群が揃っている。明確な主張や意図を表さないヴァニティだったが、これら一連のシングル音源は表面上だけ煌めいているサウンドに溢れた世間(そこに生きる個人をわずかに揺さぶるだけだとしても)を変えようと試みた形跡のように思えてしまう。 シンパシー・ナーヴァスはアルバムでも響かせているシンセサイザー製パーカッションをここでも披露し、ヴォコーダーでノイズのような語りを聞かせてくれる。 ダブ的なエフェクトを施して生演奏を加工し尽くすマッド・ティー・パーティーは英国ポストパンクに忠実な渇いた音を持ち、何を意図しているかを教えてくれない寡黙さと、テープの逆回しを用いた「Modern Time’s Pop」の長閑さの奇妙なバランスに惹き付けられる。 ミニマル・ウェイヴが2018年にリリースしたコンピレーション『ザ・ベッドルーム・テープス』にも1曲収録されているパーフェクト・マザーは、ヴァニティのリリースを一繋ぎにしたミックステープのようなテープ・コラージュ「Ephemeral Pieces」が圧巻。

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-6

CD-6 R.N.A.ORGANISM – R.N.A.O Meets P.O.P.O(1980 年)VANITY 0006

all designed by R.N.A.O.
R.N.A.O. is 0123
                   Chance
                   Zero
thanks to Dudu *inorganic People
special thanx to Friend Jean-Jacques
produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1980

匿名ユニット” R.N.A. オーガニズム” による唯一のアルバム。ロンドンからエアメールで送られたカセットテープを基に制作された。現在ではEP-4の佐藤薫がプロデュースした最初のグループとして知られる。0123、Chance、Tetsuの3人により1978年に結成。宅録とスタジオライヴで趣味的活動を続け、翌年Tetsu の脱退と同時にZeroが加入。本アルバムはその時期の録音で、リズムボックス、ギター、シンセ、ヴォイスに様々なガジェットを用いたスーパーチープなオルタナ・ダブを展開する。ジャケットはレタリングシートをまんま使用のミニマルデザインが印象的だ。無クレジットだが音楽プロデュースは佐藤薫。
ライヴ活動は、スタジオライヴを録音しカセットで送りつけるという特殊な方法で行っていた。本作のほか、81年のコンピレーション『沫』や83年のTACOのファースト『タコ』にも参加している。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

佐藤薫の初期プロデュース作品。 ”RNA ORGANISM”の一番初めの出現は、Vanity Recordsのミュージシャンが多く出演した1979年12月のロックマガジン主催のイベント「NEW PICNIC TIME」の匿名の観客としてだった。 頭髪を緑色に染めた集団。それは佐藤薫率いる時代に拮抗した過激派であり他の観客を刺激した。 当時佐藤薫が主宰(拠点?)していた京都河原町のディスコ「クラブ・モダーン」では、ダンスミュージックとして西アフリカの民族音楽をかけていた。何の加工もせずそのままの音源でリスナー(参加者)は朝まで踊っていた。 その「場所」は僕らが名付けたエスノ(エスノミュージックとテクノとを融合した)ミュージックの実験空間でもあったのだ。当然エスノにはジェイムズ・ブラウンなどのR&B、イヌイットの狩猟の音楽、日本の舞楽なども含まれていた。 イギリスでは”THE POP GROUP”や”THE SLITS”の音楽が新しい原始リズムを刻んでいた。二十世紀初頭ロシアの作曲家イゴーリ・ストラヴィンスキーの”春の祭典”のように…。 佐藤薫は現在も時代精神を反映した個人レーベル「フォノン」で時代の響き(ドローン)を発信し続けている。二十一世紀音楽は「響き」をいかに時代の背景音として捉えるかにかかっている。現在の彼の音楽的冒険はいわば二十一世紀にメタモルフォーズし再登場したパンクミュージックだ。

 


Ⅲ Y.Hirayama

佐藤薫プロデュースの本作はダブやファンクが持つトランシーな感覚に注目しており、この時点でEP-4の萌芽が確認できると言っても良い。ミニマルなアートワークと連動するようにギターや加工された声によるノイズの反復が少しずつ表情を変えていくサイケデリアは、音数からコンセプトに至るまで情報過剰な現代にこそ新鮮に響く。
ジェームス・ブラウンの曲名をもじった「Say It Loud, I’m Dilettante, I’m Proud」は肉体だけでなく頭に訴えかける自己暗示的ファンクで、後のワープ・レコーズから多くリリースされるリスニング・テクノの影をそこに見ることができるし、ニヒルなエンドロール「Matrix」は佐藤が2017年のライヴを皮切りにスタートさせたEP-4 [fn.ψ]によって鳴らされるノイズに通じている。

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-7

CD-7 BGM – Back Ground Music(1980 年)VANITY 0008

BGM
Shiraishi Takayuki – g. v. sy
Kawashima Harunobu – b.g.
Hashimoto Syuichi – sy.
Ebisawa Kenichi – d
recorded and mixed at Studio Sounds Creation
on July 1980
engineered by Oku Naoki
produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1980

当時、17歳の高校生だった白石隆之が自身の音楽ヴィジョンを具体化するために旧友の川島晴信らを誘い1980年夏に東京から大阪へ遠征し1日で録音。ポスト・パンク、ファンク、ディスコビート、ダブ、インダストリアルのエッセンスが混在する早熟なティーネイジ・エクスペリメンタル・スタジオ・ユニット。ライヴ活動は行っていない。無駄を省いたベース・ラインを弾き出す川島は後に『Der Zibet』に参加。
白石は、本作発表後、園原潤とのデュオ『MLD』『Tristan Disco』でセルフ・プロデュースと録音スキルを学びながらシングルを制作。80年代末にデトロイト・テクノと出会ったことを契機に90年代以降はテクノ/ クラブ・ミュージックへとシフト。国内外の様々なレーベルからソロ作品を発表し、テクノ、ハウス、ブレイクビーツ、アンビエントと柔軟にスタイルを横断しながら活動中。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

白石隆之の作品。まだ高校生だった彼は大阪に来てVanity Records作品の多くをレコーディングしたサウンドクリエイションにおいて1日で録音した。
『ロック・マガジン』では「家具の音楽」を特集していたが、「家具の音楽」とは、元々フランスのベル・エポック時代の作曲家エリック・サティが「家具のように、そこにあっても日常生活を邪魔しない音楽、意識的に聴かれることのない音楽」をコンセプトとしていたものだ。「家具の音楽」の思想はその後ブライアン・イーノによって「Ambient Music」へと昇華させた。
Vanity Recordsの『BGM/Back Ground Music』(1980/09)もこの系譜に位置される。
1980年代以降音楽が新たな展開を見せる前夜に出された「Erik Satie Funiture Music特集」号(1980/11)では、サティの音楽や思想そのものの捉えなおしを行い、工業神秘主義音楽などオルタネイティヴな世界への準備を行ったのである。
その展開としての”Back Ground Music”は、ブルガリアの思想家エリアス・カネッティ『群集と権力』で記述されているアーケードの中の群集、大衆の中に存在する潜在意識、意識下で蠢く醒めた欲望機械のための音楽だ。
群集の複数の足音は、ある瞬間から創発性をおび時代の意味深長なリズムとなり、体内整流音楽へと変化する。『BGM』は突如として身体に現れる創発性の音楽として意識された。
ちなみに同じタイトルの「YMO」の『BGM』は1981年3月にリリースされたが、全く異なる音楽である。
なお現在、白石隆之は80年代に体験した音楽を昇華し今日の音としてリリースを予定しているときく。さてどんな響きを提供してくれるか楽しみだ。

 


Ⅲ Y.Hirayama

「Neo Dancer」と名付けられた曲が象徴するように、モダンなダンス・ミュージックとしてのファンクに執心した作品。同時代にパンクとファンクを交配させていたジェームス・チャンスよりも、ダブの催眠的なグルーヴをも取り入れたパブリック・イメージ・リミテッドなどに共鳴したサウンドである。同じくしてダブとファンクに触発されたRNAはエレクトロニクスに特化し、ミックス≒作曲な方法論をとっているが、こちらはあくまで演奏が主体となっており、終始ベースがギターやシンセを押しのけつつ活躍しているところもポストパンクという時代を感じさせる。中心人物の白石隆之は後にテクノやアンビエントに居場所を見つけるが、言葉を伴うことなく「アブストラクト」と曲名でも示されるように抽象であり続ける音楽を考えれば、それも必然に思える。

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-8

CD-8 あがた森魚 – 乗物図鑑(1980 年)VANITY 0005

Agata Morio – vocals, compose, piano
Sab – synthesizer, strings, vocorder,
clabinet, lead guitar, bass guitar, guitar synthesizer,
bass synthesizer, rhythm box, echo, flanger,
electronics & arrangement
Fujimoto Yukio – electronics,
special synthesizer programming, effect synthesizer
special thanks to:
Phew + Idiot Girls – chorus
Mukai Chie – ko kyu
Yasuda Takashi – drums
Taiqui – synthesized drums
Punk Boys: Jun Shinoda & Kitada – side guitar
Roland Corporation Osaka
recorded at Studio Sounds Creation on November 1979
engineered by Oku
produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1979

フォーク歌手として1972年に『赤色エレジー』の大ヒットを放ったあがたがテクノ・ポップを取り入れ、ヴァージンVS結成への足掛かりとなった重要転機作。Sab、藤本由紀夫(ノーマル・ブレイン)、Phew、北田昌宏(INU)、篠田ジュン(SS、コンチネンタルキッズ)、富家大器(ウルトラビデ、アインソフ)、向井千惠(イースト・バイオニック・シンフォニア、シェシズ)、安田隆(飢餓同盟)が参加。わずか2日間で制作されたラフな録音ながら、あがたの歌にポスト・パンク+ テクノ・ポップ・サウンドが出会い、20世紀少年の夢見るブリキ玩具仕立てのレトロ・フューチャー世界が組み立てられている。『恋のラジオ・シティ』はテレックス、『サブマリン』はジョイ・ディヴィジョン曲を下敷きにアレンジ。『エアプレイン』ではあがたが敬愛する稲垣足穂の肉声をループ処理しコラージュ使用。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

阿木から、昔からの知り合いであるあがた森魚から、再起を図るために手を貸してほしいと依頼されているとの話があった。当時のあがた森魚の事情は知らないし聞いてもいない。ただその取っ掛かりとして Vanity Recordsからアルバムをリリースするということだった。タイトルは『乗物図鑑』。
阿木の「コンセプトはテクノ・ポップであり、泣きの曲はなしだよ」、と始まった。
あがた森魚は自分のことを”A児(えいじ)”と名のった。製作期間は一週間。通常、録音からミックスまで一か月間近くを要する作業を、Vanity Recordsでは経費の関係から一日で”完パケ”まで持っていく慣わしだったが、あがた森魚の録音には二日間をかけるという”特別待遇”であった。
今から考えると、それでもたった二日間だった!!
メイン・サポーターである『Crystallization』のSABとは、その時に初めて会った。バグワン・シュリ・ラジニーシに師事していたSABはホーリー・ネームを名乗った。「僕はSABではない。これからはホーリー・ネームで呼んでくれ」と言ったが、みんなSABと呼んだ。当時珍しかったギター・シンセサイザーを持参していた。
サポートメンバーである藤本由紀夫とは大阪北浜の〈三越劇場〉で彼の作品を発表した時に声をかけて知り合った。事前打合せの段階で、あがた森魚と同じく稲垣足穂のファンである藤本由紀夫が足穂と瀬戸内晴美(寂聴)とのNHKラジオでの対談をカセットで保有しており、話の途中で足穂が飛行機の口真似をし始める箇所を編集し、「エアプレイン」(A面・四曲目)のイントロで使用した。足穂の声の後から藤本由紀夫のコルグのシーケンサーが演奏された。
このアルバムの「Rの回答」(B面・三曲目)で向井千恵の胡弓が聞ける。彼女は現在も定期的に即興演奏を中心にライヴ活動をしている。『ロック・マガジン』を通して知り合ったドラムは”飢餓同盟” の安田隆と”ウルトラ・ビデ”のTaiqui、ギターが”コンチネンタル・キッズ”のしのやん(篠田純)と”INU”の北田昌宏、そして『ロック・マガジン』編集の明橋大二がピアノを弾いている。
この録音でプログレ、現代音楽、エレクトロニクス、パンク、即興演奏の違った音楽の方向性を模索する多種多様のミュージシャンが集まったのも1979年を象徴している。
たった一週間でテレックスの「Twist a St.Tropez」は「恋のラジオ・シティ」(A面・一曲目)に、ジョイ・ディヴィジョンの「She’s Lost Control」は「サブマリン」(A面・三曲目)として結実した。「サブマリン」のバック・ボーカルは、ヒュー、向井千恵、竹内敬子。「連続香水瓶」(B面・四曲目)のミニマル・ミュージックはテリー・ライリーを想起させる。
コンセプトがテクノ・ポップだが、最後に録音した「黄昏ワルツ」(B面・二曲目)は、あがた森魚が一人でピアノを弾きながらの”一発録り”だった。
アルバムジャケットには、第2次世界大戦敗戦直後のドイツの写真を引用しデザインしている。敗戦国ドイツの少年が瓦礫の上で敵国アメリカの輸送機に手を振っている写真。まるで現代の少年十字軍だ。

 


Ⅲ Y.Hirayama

ヴァニティのポップ・サイドを担うアルバムの一つで、ドライ極まりない音楽の中に当時のヨーロッパ圏のメインストリーム(「サブマリン」のアイデア元であるジョイ・ディヴィジョンなど)への目配せも感じられる強かさがある。あがた本人の意向というよりはプロデューサーとしての阿木の趣向と2日だけの制作スケジュールによるところはあれど、「黄昏ワルツ」のように本来のあがたの味であるロマンチックな世界観が独特のサイケデリアの形成を手伝っている。「エアプレイン」で用いた声のサンプル化は「連続香水瓶」でより音楽的に使われ、その音と声が溶けゆく音響はグルーパーの青写真とすら呼べる。

 

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-9

CD-9 AUNT SALLY – Aunt Sally(1979 年)VANITY 0003

all words by Phew
personel
Phew – vocals
Bikke – guitar, vocals
Mayu – keyboards
Y. Nakaoka – bass
T. Maruyama – drums
recorded & mixed at Studio Sounds Creation Osaka February – March 1979
engineered by Naoki Oku
assistant engineered by Toshiteru Mimura
cover art & photo by Masayoshi Sukita
produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1979

INU、ウルトラビデ、SSと並び、関西パンク・シーンを代表した伝説的グループ。1978年6月結成、1979年10月解散。
録音時のメンバーはPhew(vo)、Bikke(g、vo)、Mayu(key)、中岡義雄(b)、丸山孝(ds)。Phew の文学的歌詞と魅惑的な歌唱、荒削りながら的確な演奏が織り成す独創的世界。わずか1年ほどしか活動しなかったティーンエイジ・バンドの輝きを奇跡的に記録した名盤である。ジャケットはマーク・ボラン、デヴィッド・ボウイ、YMOなどの撮影で知られ、当時のRM表紙写真を担当した鋤田正義。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

パンクミュージックは時代への直接的キリスト衝動の発露としての音楽だ。それはその時代を生きた人だけが体験できる特権かもしれない。その後は心象風景となり、常に遠ざかっていく。
ただ状況を言語化しその歴史を探索し、その表象を発掘するのが歴史哲学としての役割だ。散歩した街路のショウウインドウの中に、ふらっと入った喫茶店の紅茶の香りに、さっき見かけた黒い犬に、古い雑誌の一枚の写真に、見逃せない痕跡を蜘蛛の糸のように絡めとる。ヒューのボーカルとビッケの引っかくようなギターが時代(いまここ)を逆なでする。
そして”アーント・サリー”は「文学」という鎧を纏い、武装し※ 無謀ではなく賢く果敢に戦場から撤退しながら、蝸牛の足跡のように時代へ痕跡を残した。そんなバンド、”アーント・サリー”の作品は、時代の恩寵としての音楽だ。
僕は通勤の護送列車の中でウォークマンに録音したアーント・サリーを繰り返し聴き時代からの逃走を計画していた。ハーメルンの笛に導かれるように。
”アーント・サリー”は、”INU”、”ウルトラ・ビデ”などと共にライブハウス心斎橋「バハマ」でよく聴いた。心斎橋「バハマ」という名は歴史に記憶されるべきだ。
※「文学的武装」とは、ウジェーヌ・イヨネスコの『禿の女歌手』やブレーズ・サンドラールの『世界の果てまで連れてって 』などを表象のファッションを纏うこと。

 


Ⅲ Y.Hirayama

とにかくパンクによるパンク殺しがアーント・サリーである。直接的なメッセージが省かれていたヴァニティのリリースの中でも数少ない歌と詩によるアルバムで、10代のニヒリズムに彩られる詩世界とその繊細さは、「強くあれ」と説き続ける旧態の音楽およびカルチャー、その最たるものの一つであるロックンロールを引きずるパンクをも拒絶している。既に音が悪くて当たり前というマナーが出来上がっていたパンク・ロックのクリシェに対して、しっかりとスタジオで録音している点も見逃せない。

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-10

CD-10 SAB – Crystallization(1978 年)VANITY 0002

personnel:
Sab – Sh-3A strings , SQ-10 ms-20, acoustic piano, e guitar,
echo machine, equlizer, flaging machine, phase shifter, frying pan,
distortion, comptesar, noise
gate, line river
Meg – strings ( Al ) with frying pan, SQ-10 MS-10
( B4 again) , echo machine, frying pan, equilizer
Ravi – sitar ( B4 ) , some flute (B4 )
recorded at Studio Sounds Creation
Osaka July, 1978
engineered by Oku
cover illustration and aret :Marino Lounie
produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1978

当時19歳のマルチ・インストルメンタル奏者、SABが各種シンセサイザー、エレクトロニクス、ギターを多重録音して作り上げた作品。一部ゲスト・ミュージシャンによるシタール、フルートもあり。タイトルとおり鉱物が結晶化してゆくような硬質で透明感のある水晶振動音楽が聞ける。サイケデリックとプログレッシヴ・ロックの残り香を漂わせながらメディテイショナルなニューエイジ音楽へと向かう直前の微妙な時代の気配が流れる本作は、昨今のニューエイジ・リヴァイヴァルや海外からの日本のアンビエント音楽再発見の動向と見事にリンクする。ジャケットは稲垣足穂の本などで幻想的なパステル画を描く、まりの・るうにい(工作舎、松岡正剛の夫人)。
ヴァニティではあがた森魚『乗物図鑑』の主アレンジャーとして活躍したが、バグワン・シュリ・ラジニーシに傾倒し渡米。
その後の活動は不明。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

アルバムジャケットは、フランスの思想家ロジェ・カイヨワの『石が書く』に掲載された瑪瑙と、まりのるうにいによる工作舎のシンボルマークである土星のパステル画をデザインしたものだ。
土星の輪と瑪瑙の輪が弱い相互作用で存在している。惑星と地球との関係の中に”SAB”の音楽が響く。『Crystallization/SAB』はどこまでも内的でスペキュレーティブな作品だ。
物質が結晶化するにはほんの少しの不純物が必要だが、”SAB”の不純な響きがフランスの詩人シャルル・ボードレールの『コレスポンダンス(霊的交感)』のように「芳香と色彩と音響とが呼応しあい」結晶化する時の音楽を奏でている。
カイヨワは「石の中に宇宙の謎が文書として記録されている」という。まさに結晶化とは凝固する瞬間に受苦を伴いその魂を受肉させる。宇宙からのエーテル体の地上への働きかけに凝縮力があるからだ。
SABは、この作品を発表した後、ライフスタイルも変えインドの神秘思想家バグワン・シュリ・ラジニーシに師事し徐々に音楽活動から遠ざかっていった。
『Crystallization/SAB』は、彼のその後の精神活動を予感させる作品だ。

 


Ⅲ Y.Hirayama

短期間ながらヴァニティお抱えのエンジニア的役割を担っていたサブによるニューエイジ調のエレクトロニクス絵巻。そのサウンドスケープと方向性にはクラウス・シュルツェといった所謂コズミックと称されるシンセサイザー・ミュージックの影響が顕著で、ヴァニティにとってジャーマン・ロックはイーノと並ぶインスピレーション元であったことを決定付ける。和製ニューエイジの先駆的存在である喜多郎(かつて所属していたファー・イースト・ファミリー・バンドのアルバムはシュルツェのプロデュース)や、東洋をテーマに作ったダダの『浄』と異なり、エキゾチズムや土着性をも排した感覚は、脈々と流れ続けて今日何度目かの隆盛を見せるニューエイジ・ムーヴメントに発見される時を待っているかのようである。

 

VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-11

CD-11 DADA – 浄(1978 年)VANITY 0001

personnel:
Mutsuhiko Izumi – guitar, korg synthesizer
Kenji Konishi – piano, korg synthesizer
special thanks to Hiroshi Natori ( percussive synth 1 )
Yasuhiko Horiuchi ( water 4) , Jiro Yamada
recorded at Studio Sounds Creation Osaka 19th, April, 1978
engineered by Oku
produced by AGI Yuzuru
*this records was inspired by “Gaki Zoshi” 餓鬼草紙
and dedicated to Eno
VANITY RECORDS 1978

70年代中期の関西ハードロック/ プログレッシヴ・ロック・シーンで活動した飢餓同盟(平山照継・在籍)の小西健司とカリスマ(菅沼孝三・在籍)の泉陸奥彦が1977年に結成したエレクトロニクス&ギター・デュオ。本来の彼等の楽曲はもっと華やかで綿密に構築された作風だったが、阿木の要望によって東洋的な叙情性と静謐さを強調したインプロヴィゼイションで録音。ジャケットは平安時代の餓鬼の救済に関する説話を描いた絵巻『餓鬼草子』の背景部分を拡大引用。アンビエントの概念を提唱しはじめた時期のブライアン・イーノに捧げられている。
1981年にキング/ ネクサスからメジャー・デビュー。デュオ解消後、小西は4-Dを結成、1994~2000年にかけてP-MODELに参加。泉はジャズ・ロック・バンドKennedy を経てコナミへ入社、『ギタドラ』シリーズの楽曲を手掛けゲーム音楽作曲家として活躍。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

『浄/DADA』はVanity Records第1作目を飾るにふさわしい作品だ。ユーロプログレの系譜にある純粋に宇宙的音響の世界を表現した。初期の『ロック・マガジン』創刊~1977年1月(6号)を象徴している音世界であった。
時代性を排して外的世界の音連れは1曲目から地上の鼓動へと連動する。
天上界からのエーテル力は物質を溶かす働きがある。その意味で『浄/DADA』は1978年時点の天上の音楽ともいえる。
世紀末ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービンが目論んだ神秘体験としての音の響きが、電子音楽の衣をまとい”DADA”の音楽として現前する。
VANITY0002の『Crystallization/SAB』では、宇宙に充満するエーテル体は『浄/DADA』とは異なった地球深部の凝縮力(=Crystallization)に向かい、この2作品でセットを形成している。

 


Ⅲ Y.Hirayama

78年に立ち上げられたヴァニティ初のリリースはパンク・ロックではなくブライアン・イーノへの回答として始まり、イーノがロバート・フリップと共同で作ったアルバムや、オブスキュア・レーベルからリリースした一連のレコードを追いかけるかのようなサウンドとなっている。アマチュア志向を良しとするパンクにとって、演奏技術や構成の複雑さ、そしてコンセプチュアルであることが常識であったプログ・ロックは否定の対象だったが、あえてそれをルーツとするダダに白羽の矢を立てることで、パンク・ロックの形骸化を指摘していたのかもしれない。
揺らめくエレクトロニクスが延々と続いていく様は昨今のシンセサイザー・ミュージックまたはニューエイジのリバイバルとシンクロする部分も大きいが、泉陸奥彦の微かにブルージーなギターは他にない個性を見せている。

 

remodel 03 V.A. 『Musik』

発売日:2019年10月21日
定価:¥4,000(-税別)
品番:remodel 03
仕様:□オリジナル マスターテープよりデジタル リマスタリング
           □CD2枚組( 紙ジャケット)
           □限定400set
           □各CDジャケットは新デザイン
           □オリジナル レコードジャケットのカード入り
           □135㎜×135㎜×17㎜のオリジナルボックス
           □ヴァニティ ロゴステッカー
           □ライナーノーツ

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V.A.
Musik

CD-1
01. Pessimist-Sattyuzai
02. Un Able Mirror-Hischool Pigs
03. Un Able Mirror-Ignorant Animal
04. Mr-213
05. Adode/Cathode-..Of The Passive Voice Through The Light
06. Kiiro Radical-Denki Noise Dance 1
07. Kiiro Radical-Denki Noise Dance 2
08. Kiiro Radical-Denki Noise Dance 3
09. Kiiro Radical-Denki Noise Dance 4
10. Kiiro Radical-Denki Noise Dance 5
11. Tokyo-Cassette Tape

CD-2
01. Daily Expression-Inka Sanka 1
02. Daily Expression-Inka Sanka 2
03. Plazma Music-Green Brain
04. Nose-Dolby Nr On
05. New York 1976
06. Arbeit-Bundes Nachrichten Dienst
07. Invivo-Isolation
08. Necter Low-Artificial One

remodel 03
21.Oct 2019 release
4.000yen+tax

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ヴァニティレコードより1981年にリリースされた2枚組ボックスセット「Musik」の初CD化。すべてオリジナル マスターテープよりデジタルリマスタリング。
当時、日本中から送られてきたカセットテープの中から13アーティストを選んでLP2枚組に収録したレコード。
初期宅録ミュージックのモニュメント的作品集。

<作品概要>
VA – Musik(1981年)
全国各地からRMへ送られてきた100本以上のカセット・テープの中から選出された13組を収録した2枚組コンピレーション。手頃になったシンセサイザーやマルチ・トラック・レコーダーの登場で80年代中期から世界中のアンダーグラウンド・シーンで活性化するエクスペリメンタルな宅録テープ音楽発生初期のモニュメント作品。
第五列とピナコテカからのリリース作がある『Adode/Cathode』、成田宗弘(ハイライズ)の『Tokyo』、B.C.レモンズ前身『Plazama Music』、RM表紙画を描いたアヒム・デュホウの『Arbeit』、ヴァニティから単独カセットが出された『黄色ラジカル』と『Invivo』、阿木本人によるニューヨークでのフィールド録音『New York』以外は、詳細不明の匿名アーティスト達が並んでいる。テープ・ヒス・ノイズまみれでロウファイな音質を超えた様々なアイデアとDIYスタイルの集積。

テキスト 東瀬戸 悟

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

ロシアのセルゲイ・エイゼンシュタイン監督映画『戦艦ポチョムキン』の中で登場する戦艦の叛乱に呼応するオデッサ市民のように、『ロック・マガジン』の呼びかけに多数のミュージシャンが作品を送ってきた。
”MUSIC”は音楽と題された作品だが、時代に対しての蜂起した作品群だ。その蜂起の仕方は13組のアーティストで多種多様であり、ひとつとして同質のものはない。
『ロック・マガジン』では、ジェネシス・P・オリッジが「industrial music for industrial people」として展開したindustrial musicを工業神秘主義音楽と名付けた。80年代の音楽は、この工業神秘主義音楽に代表される実験的でオルタナティヴな方向性へと変わっていく。
ロックでは”Cabaret Voltaire”や”Bauhaus”が登場し”Adam and the Ants”が「未来派宣言」を歌っていた。

 


Ⅲ Y.Hirayama

スロッビング・グリッスルによって拡散していったDIYムーヴメントとしてのインダストリアル・ミュージック、それが育んだカセットテープ文化にならって作られたようなオムニバス企画である。参加者が一部を除いて詳細不明であり、80年代初頭その刹那にしか現れなかったインディ・ミュージック、商業用ラベルとなる前のそれを切り取った貴重かつ痛快な記録だ。
スーサイドの影響色濃いプラズマ・ミュージックや、LAFMS的サウンド・モンタージュを見せるアルバイト、アーロン・ディロウェイのプロトタイプにも思えるアノード/カソードやネクター・ロウなど、今日エクスペリメンタルと称されているサウンドの型が既に日本の中でも確立されていたことを証明する意味でも重要なコンピレーションである

 

remodel 04 V.A. 『VANITY TAPES』

発売日:2019年10月21日
定価:¥9,000(-税別)
品番:remodel 04
仕様:□オリジナル カセット テープより デジタル リマスタリング
           □CD6枚組 ( 紙ジャケット)
           □限定300set
           □各CDジャケットは新デザイン
           □135㎜×135㎜×22㎜のオリジナルボックス
           □ヴァニティ ロゴステッカー
           □ライナーノーツ

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V.A.
VANITY TAPES

CD-1 SALARIED MAN CLUB – Gray Cross
CD-2 KIIRO RADICAL – Denki Noise Dance
CD-3 DENSEI KWAN – Pocket Planetaria
CD-4 INVIVO – B.B.B.
CD-5 WIRELESS SIGHT – Endless Dark Dream
CD-6 NISHIMURA ALIMOTI – Shibou

remodel 04
21.Oct 2019 release
9.000yen+tax

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6本のカセットテープをボックスにした「Limited Edition Vanity RecordsBox Set」の初CD化。『Music』同様、全国から寄せられたカセット・テープの中から6アーティストを厳選。単独販売とボックスでの6本セット販売があった。ボックスにはジャン・コクトーの詩「Mon oreille est un coquillage Qui aime le bruit de la mer. 私の耳は貝のから 海の響をなつかしむ」が記されたカードが添えられている。ボックスは70セット限定とされているが実際には30セット程度しか作られていない。1981年リリース。
すべてオリジナル カセットテープより デジタル リマスタリング。

<作品概要>
CD-1 SALARIED MAN CLUB – Gray Cross
ホワイトカラーとしてのアイデンティティを高らかに宣言するサラリーマン3人組が奏でる頭脳労働インダストリアル・サウンド。京都dee-Bee’sでライヴ活動も行っていた。イーレムのコンピレーション・アルバム『沫』にも参加している。

CD-2 KIIRO R ADICAL – Denki Noise Dance
鳥取県米子市の持田雅明による『黄色ラジカル』。繊細で隅々まで計算の行き届いたミニマル電気ノイズの乱舞は阿木から「今の時点では日本のエレクトロニクス・ミュージックの頂点」と絶賛された。『Music』にも5曲収録されている。

CD-3 DENSEI KWAN – Pocket Planetaria
福島市の斎藤英嗣による『電精KWAN』。オリジナル・テープには稲垣足穂めいた” 因果交流、電燈は少年のズボンの隠しでカチコチなる一箇のビー玉でありま す(ポケット・プラネタリーム概論)” というテキストが添えられていた電子の 精が騒めく箱庭的ノイズ世界。

CD-4 INVIVO – B.B.B.
逗子市のタチバナマサオによる作品。前半6曲は『In Vivo:生体内』、後半6 曲は『In Vitro:試験管内』と生物学用語が付けられた顫動する音のバイオミュータント生成実験の記録。『Music』にも1曲収録されている。

CD-5 WIRELESS SIGHT – Endless Dark Dream
ミニコミ誌『無線音楽』を発行するワカエ・クニオのプロジェクト。ピアノ、メトロノーム、ラジオ・ノイズだけを使い、静謐でポスト・クラシカルなアンビエント空間をスケッチ。映像と舞踏を絡ませたパフォーマンスも行う。

CD-6 NISHIMUR A ALIMOTI – Shibou
西村有望のソロ名義作『脂肪』。ギター/ ベース/ ドラム/ヴォイスのバンド編成で初期アモン・デュール、メタボリストなどを想起させるプリミティヴで重く引き摺ったオルタナティヴ・サイケデリック・ロックを聞かせる。

テキスト 東瀬戸 悟

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

時代の表層のハイブリッド、もはや時代の速度に対応するため、カセットテープという衣装の纏いでリリースされた。
ここでジョン・ケージの”音は音である”という言葉を思い出して欲しい。もはや現前した音源を体験するのみであり、疑問や議論の余地はない。
『VANIY TAPES』の記録は記憶(血液)の中で再生産され、時代と共に常に新しく変質する。
ひとつひとつに深く耳を傾けて見ると、蝸牛官から耳骨を経て時空を超えて過去と未来の「音=響き」が聞えてくるであろう。

 


Ⅲ Y.Hirayama

『ミュージック』同様、スロッビング・グリッスル経由のインダストリアル・ミュージックまたは次に登場したカム・オーガニゼーションなどに同調したような企画で、カセットテープという媒体の選出や、個々のアートワークからもその影響が見てとれる。黄色ラヂカルを筆頭に、エレクトロニクスとテープ特有のノイズによって形作られるアブストラクトな音は正に時代を象徴するものだが、特筆すべきは西村有望『脂肪』のトライバルなサウンドとそれを採用していることだ。80年代中盤に現れるヨーロッパのインダストリアル・ミュージック第二波、例を挙げれば23スキドゥーのようなインダストリアルのエスノ化を見据えている。

 

KYOU-032 Kassel Jaeger/ Jim O’Rourke『Wakes on Cerulean』

発売日:2019年8月16日
定価:¥2,000(-税別)
品番:KYOU-032

Amazon  https://amzn.to/2N20fMH
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Kassel Jaeger/ Jim O’Rourke
Wakes on Cerulean

1.Wakes on Cerulean A
2.Wakes on Cerulean B
3.#0073A2(bonus track)

KYOU-032
16.Aug 2019 release
2.000yen+tax

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Editions Mego、Shelter Pressなどの先鋭的なレーベルから作品をリリースし、同時にGRM(フランス音楽研究グループ)の芸術監督を務めるなど近年の幅広い活動で注目を集めるKassel JaegerがJim O’Rourkeとのコラボレーションで作り上げた2017年リリースの傑作『Wakes on Cerulean』がこの度ボーナストラックを加えて初CD化!音のパラメータの複雑な管理を用い、抽象的な音響を追求する電子音楽家として近年更なる高みに達しているジム・オルークと、他者との電子音響のミックスにおいて物語性やサウンドの調和を巧みに生み出すKassel Jaeger、両者の手腕が見事に結実しており、多様な音色と動的な展開を要しながらも聴き手の意識を逆立てない、いわば水面の揺れや潮の満ち引きのような動と静を湛えた音響作品となっている。

<作品概要>
Kassel Jaegerは1981年フランス生まれのFrançois J. Bonnetが音源制作やライブなどのアーティスト活動にて用いる名義である。彼は近年Editions Mego、Senufo Editionsなどの先鋭的なレーベルから単独での作品をリリースし、Stephan Mathieu、Oren Ambarchi、Giuseppe Ielasiなど数々の先鋭的な作家とコラボレーションを行うだけでなく、本名名義でGRM(フランス音楽研究グループ)の芸術監督を務めるなど幅広い活動で注目を集めている人物だ。そんな彼が2017年にJim O’RourkeとのコラボレーションでEditions Megoよりリリースした作品が本作『Wakes on Cerulean』である。オリジナルはLPとデジタルアルバムの形式であったためCD化は今回が初となり、特筆すべき点としてアルバムのラストにボーナストラックとして「#0073a2」が追加収録されている。Steamroomでのリリースなどから抽象的な音響を追求する電子音楽家として近年更なる高みに達していることが伺えるジム・オルークであるが、近年において他者との電子音響のミックスをメインとした作品は珍しく、彼のディスコグラフィー上でも貴重な一作といえるだろう。一人の卓越した音響作家としてはもちろん、他者の音との関りにおいて物語性やサウンドの調和を巧みに生み出すKassel Jaegerの手腕も存分に発揮されている。多様な音色と動的な展開を要しながらも聴き手の意識を逆立てない、いわば水面の揺れや潮の満ち引きのような動と静を湛えた豊かな電子音響/ドローンの傑作だ。 よろすず

KYOU-031 Kassel Jaeger 『Aster』

発売日:2019年8月16日
定価:¥2,000(-税別)
品番:KYOU-031

Amazon  https://amzn.to/2N2jMgf
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Kassel Jaeger
Aster

1.Aster
2.Tenebrae
3.Un autre archipel
4.Exposure Scale-Clair de Lune
5.Rose Poussiere
6.Set the planet on fire,you’ll get a star
7.Ner
8.Uminari
9.I’etoile du matin
10.Stellification(bonus track)

KYOU-031
16.Aug 2019 release
2.000yen+tax

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Editions Mego、Shelter Pressなどの先鋭的なレーベルから作品をリリースするなど近年の精力的な活動で注目を集めているKassel Jaegerは、同時に本名のFrancois Bonnet名義でGRM(フランス音楽研究グループ)の芸術監督を務めるなどアカデミックなミュージック・コンクレートの系譜に深く携わる人物であり、現在の電子音響音楽のシーンにおいて先鋭と歴史を繋ぐキーマンといえるだろう。本作『Aster』は2017年にEditions Megoより2枚組LPとデジタルアルバムの形態でリリースされた。CD化は今回が初であり、特筆すべき点としてアルバムのラストに「Stellification」がボーナストラックとして追加されている。性質の異なる様々な音色の操作と接続から、アクースマティックの先に見いだされた新たな詩情や霊性が立ち上がるような、独特の趣を持った一作だ。

<作品概要>
Kassel Jaegerは1981年フランス生まれのFrançois J. Bonnetが音源制作やライブなどのアーティスト活動にて用いる名義である。この名義で彼はこれまでにEditions Mego、Senufo Editionsなどから単独名義の作品をリリースし、他にもJim O’Rourke、Giuseppe Ielasi、Stephan Mathieuなど錚々たる面子と共演作をリリースしている。また本名名義ではGRM(フランス音楽研究グループ)の芸術監督を務め、Editions Mego傘下のレーベルRecollection GRMの監修を行うなど、アカデミックなミュージック・コンクレートの系譜に深く携わる人物でもあり、総じて現在の電子音響音楽のシーンにおいて先鋭と歴史を繋ぐキーマンといえるだろう。
『Aster』は2017年にEditions Megoより2枚組LPとデジタルアルバムの形態でリリースされた。CD化は今回が初であり、特筆すべき点としてアルバムのラストに「Stellification」がボーナストラックとして追加されている。
本作はミュージック・コンクレート~アクースマティック・ミュージックのエキスパートとしての彼の一面が反映された硬派な音響作品であると同時に、00年代半ばのアンビエント・ドローンの余波を微かに思わせるような液状化したサウンドのレイヤーによる音響構築や、2010年代に入って以降の電子音楽のシーンにおけるモジュラーシンセを用いたパフォーマンスの隆盛の流れを聴きとることも可能な仕上がりとなっており、Kassel Jaegerとしてのディスコグラフィーにおいても、また現代のエクスペリメンタルや電子音響といった音楽のシーンというより広い視座においてもハイブリッドといえる。性質の異なる様々な音色の操作と接続から、アクースマティックの先に見いだされた新たな詩情や霊性が立ち上がるような、独特の趣を持った一作だ。 よろすず

KYOU-030 Eartaker 『Harmonics』

発売日:2019年3月15日
定価:¥2,000(-税別)
品番:KYOU-030

Amazon  https://amzn.to/2FHdEFF
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Eartaker
Harmonics

1. Our Possession
2. Iron Trivet
3. Nue
4. Ground Spider
5. A Lady Who Experience…
6. Killing Stone
7. Stupa
8. Dojo-ji Temple
9. Black Mound

KYOU-030
15.Mar 2019 release
2.000yen+tax

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深く重たいオーラを纏ったエレクトロニック・ミュージックを扱うアラブ首長国連邦のレーベルBedouinからLPでリリースされていた2作品がきょうレコーズよりCDで同時リリース!『Harmonics』は長年に渡り独自のダンス・ミュージックを創作してきたプロデューサーGoth-Trad、サウンドアーティストのMasayuki Imanishi、ヴォーカリストのDiesuckによるユニットEartakerの初アルバム。種々のエクストリーム・ミュージックを消化し、丹念にデザインされた独自のドゥーム・エレクトロニクスを聴かせる必聴の一作。日本盤CD化に伴い5曲目にボーナストラック「A Lady Who Experience…」を収録。

<作品概要>
ドラムン・ベースやダブ・ステップなどを消化しながら独自のダンス・ミュージックを創作してきたプロデューサーGoth-Trad、近年海外のレーベルから活発に作品をリリースしているサウンドアーティストのMasayuki Imanishi、ヴォーカリストのDiesuckによるユニットEartakerの初アルバム。時にインダストリアル、または民族音楽を思わせる音色で打ち込まれる強靭なビートと、粗くうねる電子音、そしてグロウル・ボイスの重なりはノイズやドゥーム・メタルといった種々のエクストリーム・ミュージックの混成といえるが、各々の音がセッション的にまき散らされるのではなく、必然性のあるタイムとスペースで鳴らされ端正なデザイン性を感じさせる。世界の終わりと新しい世界の裂け目から聴こえてくるようだと形容されるそのサウンドは、退廃だけでなく祝祭の響きをも確かに宿し、儀式的なイメージを促すだけでなくその場に吹きすさぶ風や大気の揺れ、地面の軋みなどの現象にまで聴く者の想像力を羽ばたかせてくれるだろう。キャリア初期からノイズなどのアブストラクトな音響を自身のサウンドに巧みに用い、近年はBorisとのコラボレーションも行っていたGoth-Tradにとっては理想的ともいえる布陣で描かれる独自のドゥーム・エレクトロニクスを是非体感してほしい。日本盤CD化に伴い5曲目にボーナストラック「A Lady Who Experience…」を収録。 よろすず

<試聴サイト>
https://bedouinrecords.bandcamp.com/album/harmonics

KYOU-029 Constantine 『Hades』

発売日:2019年3月15日
定価:¥2,000(-税別)
品番:KYOU-029

Amazon  https://amzn.to/2FGZXqm
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Constantine
Hades

1. Cosmos
2. Divide
3. Fos
4. Emptiness
5. Erebus

KYOU-029
15.Mar 2019 release
2.000yen+tax

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深く重たいオーラを纏ったエレクトロニック・ミュージックを扱うアラブ首長国連邦のレーベルBedouinからLPでリリースされていた2作品がきょうレコーズよりCDで同時リリース!『Hades』はギリシャのアテネ生まれの作曲家Constantineの初アルバム。電子音、器楽、環境音など様々なマテリアルを用いたラグジュアリーかつダークなドローン・サウンドと、ベース・ミュージックの影響を感じさせる低域をいかしたサウンドデザインによって紡がれる切迫感と重みのある音響が聴く者の鼓膜と肌を震わせる。日本盤CD化に伴い3曲目にボーナストラック「Fos」を収録。

<作品概要>
ギリシャのアテネ生まれの作曲家Constantine Skourlisは2015年にChristos SakellaridisとのユニットEkkertとしてアルバム『When All Is Lost Nothing Is Forgotten』を発表しているが、ソロ名義であるConstantineとしては本作が初のアルバムリリースだ。『Hades』はSteve Reich、Mika Vainio、そして哲学者のHenri Bergsonによって導かれ、ギリシャのカリムノス島とレスボス島の洞窟の奥深くや冬の嵐の中で行われたフィールドレコーディングに電子音、ストリングスやピアノ、打楽器などを加えるかたちで制作された。Ekkertではクラシカルなピアノの旋律を基調にドローンやノイズ、ベース・ミュージックのフィーリングを溶かし込んだ作風を披露していたが、本作においてはより重層的な帯状の音楽形成が指向され壮大ともいえるほどにビルドアップされたサウンドを聴かせてくれる。多様なマテリアルを用いたラグジュアリーかつダークなドローン・サウンドと、ベース・ミュージックの影響を感じさせる低域をいかしたサウンドデザインによって紡がれる響きは、インダストリアルやドゥームなどにも通じる切迫感と重みを持ち、聴く者の鼓膜と肌を震わせる。日本盤CD化に伴い3曲目にボーナストラック「Fos」を収録。 よろすず

<視聴サイト>
https://bedouinrecords.bandcamp.com/album/hades

KYOU-027 RYO MURAKAMI 「2013-2018」

発売日:2018年10月19日
定価:¥5,000(税別)
品番:KYOU-027

Amazon  https://amzn.to/2CsnxD7

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RYO MURAKAMI
「2013-2018」

CD 1 Depth of Decay
CD 2 Terminal the culture
CD 3 Deist
CD 4 Esto
CD 5 Stunning

KYOU-027
19.Oct 2018 release
5.000yen+tax

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本ボックスは リョウ ムラカミのファーストアルバム「Depth of Decay」(2013)から最新アルバム「Stunning」(2018)迄5タイトルのアルバムをCD5枚に渡って収録する選集となっている。
今回のBOX化が初めて5タイトルを通して聴いていただくきっかけとなり 感動の強化が変換される体験を是非!!

<作品概要>
BOXに収録された5枚のCDは リョウ ムラカミ
CD1 「Depth of Decay 」 (2013年release, 2018年2月CD Reissue)
CD2 「Terminal the Culture」 (2014年release, 2018年3月CD Reissue)
CD3 「Deist」 (2015年release, 2018年4月CD Reissue)
CD4 「Esto」 (2016年release, 2018年5月CD Reissue)
CD5 「Stunning」 (2018年release, 2018年9月CD Reissue)

2013年から2018年までにリリースされたLPレコードやカセットテープがオリジナルリリース音源となっている。
今回のBOXを5タイトル通して聴くことにより改めてリョウ ムラカミというアーティストの大きなパワーをまざまざと見せつけた作品集として位置付けられる。

「フォノン/きょう/スローダウン」Label Showcase LIVE 2018

2018.10.21(SUN)「フォノン/きょう/スローダウン」Label Showcase LIVE 2018

新レーベル フォノン/きょうレコーズ/スローダウンレコーズの3つのレーベルによるショウケース ライブ2018。
メルツバウ,佐藤薫(EP-4),そして二人による共演。リョウ ムラカミ,ニャントラ+ダエン。今年各レーベルで
リリース展開した代表的なアーティストによるライブイベント。京都メトロに集結!!



KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2018 フリンジ「オープンエントリー作品」

<ACT>
Merzbow
Merzbow+佐藤薫(EP-4)
佐藤薫(EP-4)
Nyantora+duenn
Ryo Murakami

<DATE>
2018.10.21(SUN) OPEN 18:30/ START 19:00

<ADV./DOOR>
前売 3.000円(ドリンク代別途)
当日 3.500円(ドリンク代別途

<一般PG前売>
8月18日(土) 10:00~ 発売開始
チケットぴあ (Pコード:125-731)
ローソンチケット (Lコード: 54067)
e+ ( https://bit.ly/2O4jamD )

<メトロ前売 メール予約>
8月18日(土) 予約受付開始
当日会場にて 前売価格でのご精算となります。
・メール予約<ticket@metro.ne.jp>で前売料金にてのご予約を受け付けています。
前日までに、公演日、お名前と枚数を明記してメールして下さい。前売料金で入場頂けます。

※本公演は【禁煙】となりますので ご理解ご協力 よろしくお願いします。

 

3RENSA「REDRUM」Release Party in OSAKA

2018.10.20(SAT)『3RENSA「REDRUM」Release Party in OSAKA』

<ACT>
佐藤薫(EP-4) LIVE 21:20-22:00
3RENSA (Merzbow.duenn.Nyantora)LIVE 22:05-23:05
<以下、23:10~順不同>
DJ THINK a.k.a YPY (Live)
Synth Sisters (Live)
Yousuke Yukimatsu
Albino Sound
Jun Takayama (slomos/speedometer.)

<DATE>
2018.10.20(SAT) OPEN 21:00/ START 21:20

<ADV./DOOR>
前売 3.000円(ドリンク代別途500円)
当日 3.500円(ドリンク代別途500円)
23:10から入場の方 2.000円(ドリンク代込)

<コンピューファンク前売 メール予約>
8月18日(土) 10:00~予約受付
当日会場にて 前売価格でのご精算となります。
・メール予約<info@compufunk.com>で前売料金にてのご予約を受け付けています。
前日までに、公演日、お名前と枚数を明記してメールして下さい。前売料金で入場頂けます。

※本公演は【禁煙】となりますので ご理解ご協力 よろしくお願いします。


KYOU-026 RYO MURAKAMI 「Stunning」

発売日:2018年9月21日
定価:¥2,000(-税別)
品番:KYOU-026

Amazon  https://amzn.to/2TXnFBD
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RYO MURAKAMI
「Stunning」

1. Modern Structure
2. Theory
3. Stunning
4. Achromatic
5. Discipline

KYOU-026
21.Sept 2018 release
2.000yen+tax

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2018年春 スペインのレーベル「セマンティカ」から カセットテープでリリースされた
リョウ ムラカミ「Stunning」。 今回、国内盤CD化となります。

<作品概要>
スペインの重要なレーベル「セマンティカ」からリリースされたアルバムトラックは 2015~16年に制作された音源である。
当時アラブの「Bedouin Records」から2枚のアルバムを制作している中で同時期に生まれた楽曲でもあり 新作として位置付けられる強度を持った全5曲。
マスタリングは世界中の名アーティストたちを手がけてきた ベルリンのRashad Beckerが担当。
まさにリョウ ムラカミの大きなパワーをまざまざと見せつけた作品集。

KYOU-028 Imaginary Forces 『The Venus Hunters』

発売日:2018年8月17日
定価:¥2,300(-税別)
品番:KYOU-028

Amazon  https://amzn.to/2FwbKrb

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Imaginary Forces
The Venus Hunters

1. Now.Zero
2. The Time-Tombs
3. Track 12 (Part 1)
4. Track 12 (Part 2)
5. The Venus Hunters
6. The Killing Ground

KYOU-028
17.Aug 2018 release
2.300yen+tax

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本作はUK・ロンドンのアントニー・ハートによるイマジナリー・フォーシズのラスト・アルバムである。このアルバムをもって彼はイマジナリー・フォーシズ名義の活動を封印する。
彼は現在、ベーシック・リズム、そして2018年にファースト・アルバムをリリースしたイーストマン名義で活動を展開し、ストリートにおいてサウンド/ビートを交錯させている。いっぽう、イマジナリー・フォーシズ名義での活動は、ストリートとエクスペリメンタルを交錯する実験の場として機能していたように思える。それがこの2018年に(とりあえずかもしれないが)、「終わり」を迎えた。

<作品概要>
『The Venus Hunters』は、イマジナリー・フォーシズのサウンドの結晶であり、同時に到達点なのだ。その音響的地点に、アントニーは自分の「耳」と「手」で到達した。アカデミックな勉強の成果ではなく、「ロウ」(低い)地点、つまり路上・ストリートから行き着いたのである。彼の音楽は、ビート・トラックであろうが、エクスペリメンタル音楽であろうが、ドラムンベースであろうが、常にアクティビスト的なストリートの乾いた空気をまとっている。まさに「ロー・キー・ムーヴメンツ」だ。
おそらくアントニー・ハートは、音楽/サウンドによって自分が生きているこの世界へのアジャストとアゲインストを同時に行おうとしている。それは「行動する」と「思考する」が同義でもあろう。彼がカルチュアル・スタディーズの思想家スチュアート・ホールやポール・ギルロイを参照するのも、そこに理由がある。彼の思想と意識は路上と共にある。
それゆえ微かなメランコリアも、刺激的な電子音のむこうに鳴っている。闘争と憂鬱。エクスペリメンタルとアーキズムとメランコリア。本作は、これら相反する思想と感覚が混濁し、アントニー・ハートの複雑な人間性もまた浮き彫りにしていく。  デンシノオト

KYOU-025 Ryo Murakami+duenn 『moire』

発売日:2018年7月20日
定価:¥2,000(-税別)
品番:KYOU-025

Amazon  https://amzn.to/2TVPSbX

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Ryo Murakami+duenn
moire

1.one ment6
2.Rust
3.wald
4.nonexistence

KYOU-025
20.July 2018 release
2.000yen+tax

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本作『moire』はインダストリアル/ダーク・アンビエント・サウンドで知られるRyo Murakamiとアンビエント/ドローン作家duennの共作アルバムである。このいっけんまったく相反する個性は、どのような音響を生成したのか。本作はその興味深い試みの記録であり、現代の音響感覚を象徴するダーク・アンビエントの結晶である。

<作品概要>
『moire』は、まぎれもなくRyo Murakamiとduennの音響が「交錯」する競作でありながら、二人の個性が「融解」しているアルバムでもあった。「交錯」と「融解」の境界線が消失し、新しい生命体=音響の誕生のごとき未知のアンビエント/ドローンが生成していた。
Ryo Murakamiとduennの初競作アルバムが、このように予想を超える「交錯/融解」を実現したことに深い驚きを禁じ得ない。単なる交錯ならば、ありえる。普通の融解ならば、予想が付く。しかし『moire』の「層」となっているノイズやドローンを聴き込んでいくと、いったいどちらが手掛けた音なのか?という認識は、いつしか逆転し、無化し、その問いかけが意味をなさなくなる瞬間が多々あった。「個」を超えた「音響空間」の誕生とでもいうべきか。「人間以降のドローン/アンビエント」を思わせる未知の響きを『moire』のノイズや持続音は、確かに鳴らしていた。  デンシノオト

KYOU-119 Nathan Jones/Kepla 『The Happy Jug』

発売日:2018年7月20日
定価:¥3,500(-税別)
品番:KYOU-119

Amazon  https://amzn.to/2FFZPGM

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Nathan Jones/Kepla
The Happy Jug

1. The Happy Jug

KYOU-119
20.July 2018 release
3.500yen+tax

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『The Happy Jug』はCDに音響作品、ブックレットにテクストを掲載している。Jonesのテクストは現代英国の政治/社会状況(2015年における英国の総選挙)と個人の問題の関係性を浮き彫りにし、Keplaのサウンドは言語・肉体を電子マテリアル化する。音楽とテクストの交錯から生まれた新しいアート作品だ。

<作品概要>
『The Happy Jug』は〈Entr’acte〉が送り出すCD+ブックレットによるアート作品である。ロンドンの作家/アーティストNathan Jonesの小説をサウンド・アーティストKeplaが音響作品として制作した作品だ。作中の朗読をNathan Jonesと妻Ninaが担当している。
Jonesはアーティストであり、イベント・出版・展示会など行うリヴァプールのニューメディア&パフォーマンス・エージェンシー「マーシー」のディレクターとランカスター大学美術学部の講師も務める才人だ。代表作は「The Act of Reading」(15)、「Syndrome」(14~15)、「Electronic Voice Phenomena」 (09~13)などである。彼はテクストと時間の関係を思考する。
Kepla=Jon Daviesは「精神地理学を投影」し、「資本主義の概念化を実践する」音響作家だ。セルフリリースのEPを発表した後、17年にNYのレーベル〈PTP〉からメディア理論家DeForrest Brown Jrと『Absent Personae』をリリースした(ヴィデオ・アーティストChris Boydによる未来的なヴィデオも制作された)。
『The Happy Jug』はCDに音響作品、ブックレットにテクストを掲載している。Jonesのテクストは現代英国の政治/社会状況(2015年における英国の総選挙)と個人の問題の関係性を浮き彫りにし、Keplaのサウンドは言語・肉体を電子マテリアル化する。音楽のテクストの交錯から生まれた新しいアート作品だ。  デンシノオト

KYOU-118 Tom Mudd 『Gutter Synthesis』

発売日:2018年7月20日
定価:¥2,300(-税別)
品番:KYOU-118

Amazon  https://amzn.to/2RwoqoD

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Tom Mudd
Gutter Synthesis

1. Gutter Synthesis 1
2. Gutter Organ 1
3. Gutter Synthesis 2
4. Gutter Organ 2
5. Gutter Synthesis 3
6. Gutter Organ 3

KYOU-118
20.July 2018 release
2.300yen+tax

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Tom Muddは、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジの講師で、音楽研究者/サウンド・アーティストでもある。〈Entr’acte〉からリリースされた『Gutter Synthesis』。本作について音響作家John Wallは「豊かな感情の層が詰まっている」と述べる。人工と感情の交錯。テクノロジーによって生成する豊穣な電子音楽がここに。

<作品概要>
Tom Muddは、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジの講師で、音楽研究者/サウンド・アーティストでもある。彼は「音楽の相互作用における非線形的なダイナミクスの役割」についての研究を重ね、ソフトウェアとコンポジションとインプロヴィゼーションの関係性とサウンドの新しい合成方法を探求している。15年にはポルトガルはリスボンで開催されたライブインターフェースに関する国際会議で「デジタル音楽インターフェースへの非線形動的過程の導入効果の調査」を発表した。また、Graham Dunning主宰の〈Fractal Meat Cuts〉からリリースされたコンピレーション・アルバム『Ghost In The Machine Music』(15)に4曲を提供したことでも知られる。
〈Entr’acte〉からリリースされた『Gutter Synthesis』は「ガター合成ソフトウェア」によって生成された楽曲を収めた電子音響作品だ。「ガター合成ソフトウェア」とは「純粋なデジタル合成プロセスであり共振/ダッフィング発振器のネットワークを使用して非常に物理的な音響的な音を作り出す」ソフトウェアのことをいう。アルゴリズムで生成された本作について音響作家John Wallは「豊かな感情の層が詰まっている」と述べる。人工と感情の交錯。テクノロジーによって生成する豊穣な電子音楽がここに。 デンシノオト

KYOU-117 Dale Cornish 『Xeric』

発売日:2018年6月15日
定価:¥2,300(-税別)
品番:KYOU-117

Amazon  https://amzn.to/2CoSO9T

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Dale Cornish
Xeric

Xeric Pattern 1
Xeric Pattern 2
Xeric Pattern 3
Xeric Pattern 4
Xeric Pattern 5

KYOU-117
15.Jun 2018 release
2.300yen+tax

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本作『Xeric』は、ロンドンのエクスペリメンタル・テクノ・アーティストDale Cornishが、2014年に〈Entr’acte〉からリリースした5作目のアルバムである。10年代の〈Entr’acte〉を代表するアーティストといっても過言ではない。「パルス・ミニマル・テクノイズ」とでも形容したいほどに独自の音響空間を構築しているのである。この〈Entr’acte〉の重要作を「ニュー・レトロスペクティブ」として聴くこと。それは現在の音響シーンのあり方を逆方向から照らす貴重な聴取体験になるだろう。

<作品概要>
本作『Xeric』は、ロンドンのエクスペリメンタル・テクノ・アーティストDale Cornishが、2014年に〈Entr’acte〉からリリースした5作目のアルバムである。同レーベルからは本作以外も独自の電子音響アルバムを4作ほど発表しており、10年代の〈Entr’acte〉を代表するアーティストといっても過言ではない。
『Xeric』は、全5曲の分解されたミニマル・テクノとでも形容したいほどにスタティックでノイジーなエクスペリメンタル・トラックを収録しているアルバムだ。レーベル・インフォメーションに「リズム、宇宙、沈黙を探求するパルス/パーカッシヴなジェスチャーの認識」と記されているように、サイレンスとノイズが絶妙にコンポジションされている点が大きな特徴といえよう。「パルス・ミニマル・テクノイズ」とでも形容したいほどに独自の音響空間を構築しているのである。
なかでも17分ほどの断続的ミニマリズム/分断的ミニマル・テクノの“Xeric Pattern 4”、「音の間=サイレンス」ですらもリズムとして生かしきったノン・ビートの“Xeric Pattern 5”は、本作の特徴を表す名トラックといえる。Dale Cornishの作品中、一、二を争うほどに無色のミニマリズムを追求したエクスペリメンタルで実験的なアルバムである。 デンシノオト