VANITY BOX カタログ 全作品リスト&解説 CD-6

CD-6 R.N.A.ORGANISM – R.N.A.O Meets P.O.P.O(1980 年)VANITY 0006

all designed by R.N.A.O.
R.N.A.O. is 0123
                   Chance
                   Zero
thanks to Dudu *inorganic People
special thanx to Friend Jean-Jacques
produced by AGI Yuzuru
VANITY RECORDS 1980

匿名ユニット” R.N.A. オーガニズム” による唯一のアルバム。ロンドンからエアメールで送られたカセットテープを基に制作された。現在ではEP-4の佐藤薫がプロデュースした最初のグループとして知られる。0123、Chance、Tetsuの3人により1978年に結成。宅録とスタジオライヴで趣味的活動を続け、翌年Tetsu の脱退と同時にZeroが加入。本アルバムはその時期の録音で、リズムボックス、ギター、シンセ、ヴォイスに様々なガジェットを用いたスーパーチープなオルタナ・ダブを展開する。ジャケットはレタリングシートをまんま使用のミニマルデザインが印象的だ。無クレジットだが音楽プロデュースは佐藤薫。
ライヴ活動は、スタジオライヴを録音しカセットで送りつけるという特殊な方法で行っていた。本作のほか、81年のコンピレーション『沫』や83年のTACOのファースト『タコ』にも参加している。

 


Ⅱ 嘉ノ海幹彦

佐藤薫の初期プロデュース作品。 ”RNA ORGANISM”の一番初めの出現は、Vanity Recordsのミュージシャンが多く出演した1979年12月のロックマガジン主催のイベント「NEW PICNIC TIME」の匿名の観客としてだった。 頭髪を緑色に染めた集団。それは佐藤薫率いる時代に拮抗した過激派であり他の観客を刺激した。 当時佐藤薫が主宰(拠点?)していた京都河原町のディスコ「クラブ・モダーン」では、ダンスミュージックとして西アフリカの民族音楽をかけていた。何の加工もせずそのままの音源でリスナー(参加者)は朝まで踊っていた。 その「場所」は僕らが名付けたエスノ(エスノミュージックとテクノとを融合した)ミュージックの実験空間でもあったのだ。当然エスノにはジェイムズ・ブラウンなどのR&B、イヌイットの狩猟の音楽、日本の舞楽なども含まれていた。 イギリスでは”THE POP GROUP”や”THE SLITS”の音楽が新しい原始リズムを刻んでいた。二十世紀初頭ロシアの作曲家イゴーリ・ストラヴィンスキーの”春の祭典”のように…。 佐藤薫は現在も時代精神を反映した個人レーベル「フォノン」で時代の響き(ドローン)を発信し続けている。二十一世紀音楽は「響き」をいかに時代の背景音として捉えるかにかかっている。現在の彼の音楽的冒険はいわば二十一世紀にメタモルフォーズし再登場したパンクミュージックだ。

 


Ⅲ Y.Hirayama

佐藤薫プロデュースの本作はダブやファンクが持つトランシーな感覚に注目しており、この時点でEP-4の萌芽が確認できると言っても良い。ミニマルなアートワークと連動するようにギターや加工された声によるノイズの反復が少しずつ表情を変えていくサイケデリアは、音数からコンセプトに至るまで情報過剰な現代にこそ新鮮に響く。
ジェームス・ブラウンの曲名をもじった「Say It Loud, I’m Dilettante, I’m Proud」は肉体だけでなく頭に訴えかける自己暗示的ファンクで、後のワープ・レコーズから多くリリースされるリスニング・テクノの影をそこに見ることができるし、ニヒルなエンドロール「Matrix」は佐藤が2017年のライヴを皮切りにスタートさせたEP-4 [fn.ψ]によって鳴らされるノイズに通じている。