2008年04月 アーカイブ

2008年04月11日

SPIRITUAL JAZZ/JAZZ MAN

VARIOUS/SPIRITUAL JAZZ(Jazzman Records JMAN 020)
"as far as spirituality is concerned... i feel that i want to be the force which is truly for good" '66年のFrank Kofskyのインタヴューで語っていたジョン・コルトレーンの言葉が内スリーブの最初に記述されている去年jaz' room nu thingsのクラブイヴェント"Hit The Spot!"で、ジャズマンのGerald Shortと話していた時に、来年はスピリチュアル・ジャズだと言ってたその「SPIRITUAL JAZZ」のコンパイル・アルバムがジャズマンから先日リリースされた。'68-'77年までのアンダーグラウンドの、選ばれた秘儀な、モーダル
・アンド・ディープ・ジャズが12曲2枚組に収録されたここでの数々は、スピリチユアル・ジャズ・ファンといえども馴染みの深いものではなく、ジャズヘッズを持つGerald Shortたちによって発掘され、アフター・コルトレーン時代のおいしい部分のスナップショットだが、未知のスピリチュアル・ジャズを知るうえでも貴重なもの。いまやジャズで踊る=クラブジャズも進歩し前進し、日々改革されているのだ。90年代じゃあるまいし、いつまでも4つ打ちの打ち込みに呪縛されたディープハウスやジャズハウスでもあるまい。Soul Jazz、black Jazz、Spiritual Jazzの"秘密主義と個人的夢想家、自由を奪われた者、変人奇人、神秘主義と政治的急進論者たちの60年代の夢"がいまやクラブのフロアに侵入しようとしている。James Tatum Trio Plus、The Frank Derrick Total Experience、Mor Thiam、TRIBE人脈Ja MilのHastings Street Jazz Experienceなどのモーダルからアフロ・ジャズ・ファンク、ポエトリー・リーディングなど、我々が持っている過去のスピリチュアル・ジャズの概念すらも変えるほどの素晴らしいアルバムだ。個人的にも去年までのFinn Jazzからハードバップを一歩前進させたフリーを内包した、こうしたスピリチュアルなグルーヴを持ったもので今年はDJイングしようと考えていたが、そうした矢先のタイミングいいリリースで感謝している。nu thingsでもボクがオーガナイズする春、夏から秋にかけてのイヴェントは、Finn Jazzやnu jazzを引き継ぎながら、新たにスピリチュアル・ジャズを加え展開していきたいと考えています。そちら方面のミュージシャンやDJがおられましたら、是非連絡下さい。


VARIOUS/SPIRITUAL JAZZ(Jazzman Records JMAN 020)
side A:1.The James Tatum Trio Plus - Introduction 2.Lloyd Miller - Gol-e Gandom 3.Morris Wilson Beau Bailey Quintet - Paul's Ark 4.Mor Thiam - Ayo Ayo Nene
side B:1.Ndikho Xaba & the Natives - Nomusa 2.The Positive Force With Ade Olatunji- The Afrikan in Winter 3.Salah Ragab & the Cairo Jazz Band - Neveen
side C:1.The Frank Derrick Total Experience - No Jive 2.Hastings Street Jazz Experience - Ja Mil 3.Ronnie Boykins - The Will Come, Is Now
side D:1.Leon Gardner - Be There 2.Ohio Penitentiary 511 Jazz Ensemble - Psych City
produced for re-issue by Gerald Short
researched and compiled by:Malcolm Catto,Hugo Menzez and Gerald Short
liner notes:Francis Gooding,Hugo Mendez,Gerald Short
JAZZMAN 2008

jazzmanrecords.co.uk
www.jazzmanrecords.co.uk
myspace.com/wedigdeeper
myspace.com/jazzmangerald

2008年04月14日

NATIVE "It's Time"

13/4 sun pm18:00-pm22:00
IT'S TIME live:NATIVE
中村智由 (sax&flute) 大久保健一(b) 山下佳孝(ds) 杉丸太一(p)

盛況に終わった13/4のnu thingsでのNATIVEの新しいアルバム"Just Four"のリリース・パーティから、1ヶ月ぶりに昨夜jaz' room nu thingsで恒例の彼らのライヴ"it's Time"が行われた。大阪以外でも、NATIVEが2月10日から約2ヶ月間かけて東京から地元の名古屋、広島、仙台など各地で行われた"Just Four リリース・ツアー"もまたニュー・アルバムの出来具合と同じように、オーディエンスからのいい反応と、好評のなかで迎え入れられているようだ。イタリアのニコラ・コンテ、フィンランドのリッキーチックでのユッカ・エスコラ、ファイヴ・コーナーズ・クインテットなどの動きを反映して、ニッポンのクラブシーンにこうしたハードバップ+ポストバップ、nu cool jazzと言われるスタイリッシュなジャズにクラウドたちが注目し始めて既に5年は経っているだろう。しかしそのなかでジャズ畑から表出してきたミュージシャンが、ジャズクラブとクラブシーンでも活動出来る音楽スキルとバックボーンを持っているのはNATIVEだけだろう。そして、ひとつのピークを迎えているNATIVEの"おいしいジャズ"が聴けるのはきっといまが旬だろう。

jaz' room nu thngsを立ち上げたのは、10年前に北欧の家具や建築、スカンジナヴィアン・ジャズに魅了されていた時期があって、そこでの記号をそのまま音楽の世界におろしていき展開できたらいいだろうなという思いから、クラブでもなく、ライヴハウスでもなく、カフェでもない"jaz' room"という箱を4年前に作ったのだが、だけどまだ時代はそうしたものに追いついていなく、最近になってやっとボクのやろうとしていたことに少しは理解してくれる若者が数人現れ始めたというところだ。来る者は拒まず、去る者は追わずがいまでもボクの主義だから、もっと気楽にスタッフの平野クンにでも連絡とって音楽人生楽しんでください。nu thingsの店の空気感がクールだから排他的な店だと思われてるけど、実はnu thingsみたいな自由で開放的な"場"なんてどこ探してもないとボクは思ってるけど。
NATIVEの音楽もきっとそうだろう。彼らの洗練されたニュー・クールジャズは、あまりにもオシャレ過ぎ、一般からはまだまだ遠い音楽なのかも知れない。70-80年代の頃は音楽に力があった。誰もが新しい音楽に触発され音楽のない生活なんて考えられなかった。こうしたnu jazzやFinn Jazz、nu cool jazz、post bapという音楽や、jaz' room nu thingsでの動きや場を、是非もっと利用してキミの生活に活用し楽しい特別な時間を過ごして欲しいものである。よろしく!

NATIVE/JUST FOUR(XQDX-1002)
Tomoyoshi NAKAMURA(alto & soprano sax,flute)
Taichi SUGIMARU(acoustic piano,fender rhodes)
Kenichi OHKUBO(acoustic bass)
Yoshitaka TAMASHITA(drums,percussion)
1.Mirage 2.The Edge Of Daylight 3.Uncolored Frame 4.Just Four 5.Spiral Insight 6.Confession 7.Get Along In My Life
recorded and mixed at Soy Bean Studio by Takuma Ichikawa
NATURE BLISS 2008

2008年04月28日

NICOLA CONTE"VIAGEM"

ぼくが大宝幼稚園に通っていた幼少の頃、帰り道に毎日のように大丸心斎橋店の階段や、その踊り場、壁面の大理石に埋め込まれたアンモナイトの化石を見るのが日課のようになっている密かな愉しみだった。大丸心斎橋店はヴァリーズが設計したネオゴシック、アールデコ装飾建築でも有名だが、特に心斎橋筋の玄関口の巨大なピーコック・レリーフ、ダビデの星をモチーフにしたアールデコ装飾、エレベーター周りのアラベスク調のデザインは子供の頃と変わりなくいまも健在で、ボクの原体験がこの心斎橋大丸と芸者さんの三味線の音が聴こえていた頃の新町や堀江にあるといってもいいほどだ。

そして子供の頃のボクにとってはデパートの、都市を彩るショーウインドーは、いつも短い期間で変わってしまうおもちゃ箱、箱庭で、その一瞬のキラキラした儚い夢のような世界をウィンドーのガラス越しに額を押し付けながら家に帰るのも忘れるほどに、いつまでも見蕩れていた。ボクが常に新しい音楽に興味を惹かれるのは、子供の頃の時代ごとに別の顔をみせるそのショーウィンドーの世界を呼び戻そうとしているのかも知れないな。"ジャズ的なるもの"やnu jazzは都市のディスプレイ世界にとてもよく似ている。(写真は現在大丸心斎橋のショーウインドーに飾られているGIRL人形)

NICOLA CONTE PRESENTS 「VIAGEM」/
A COLLECTION OF 60'TH BRAZILIAN BOSSA NOVA & JAZZ SAMBA
(FAROUT FARO 126CD)
ボサノヴァの50年間(1958--2008)、ボサノヴァ誕生50周年を記念してニコラ・コンテがコンパイルした作品。60年代のコパカパーナ、"イパネマの娘"が再現されたかのようなブラジリアン・ボッサ・ノヴァとサンバ・ジャズがコレクションされていて、'60年代ジャズに端を発した独創的なボサノヴァや、当時の試行錯誤的な音楽など、ボサノヴァ発展の証となる楽曲の数々が収録されている。BADEN POWELLとVINICIUS MORAES共作のボサノヴァのクラシック"Canto De Ossanha"は、TRIO MARAYAによって再解釈され、JORGE BENの名作"Vamos Embora Uau"がBOSSA JAZZ TRIOのヴァージョンで、ボサノヴァとジャズをスタイリッシュに融合した'60年代ブラジルの最も有名なインストゥルメンタル・ジャズ・トリオZimbo Sambaの"Zimbo Samba"、Ana Luciaのボッサ・ヴォイスがロマンティックな"Balanco Do Mar"、重厚なダブル・ベースとダブル・トロンボーンのSansa Trioの"SambaEm Blue"、Hector Costita Sextetoのオリエンタル・テイストのバップチューン"Tokio"、という具合に。メランコリックなTenorio Jr.の"Nebulosa"から始まり"Samadhi"でラストを飾るまで全15曲が収録されている。ニコラ・コンテのスタイリッシュなセンスのいい感覚で溢れているコンパイル・アルバムだ。「コード・チョイス、ハーモニー、メロディー、リズムセクション…すべてにおいて、今日では完全に失われた類の音楽と言っていいだろう。みんなこんなふうに演奏しなくなってしまった。"Viagem"ではこれまであまり知られていない曲や、ブラジリアン・レコードの深さが再発見できるようなクラシックな楽曲をセレクトした」とニコラ・コンテ。それこそ都会の60年代のショーウィンドーの、コパカパーナやリオデジャネイロの、"Girl From Ipanema"に恋するかのようなオシャレなボサノヴァ、ジャズサンバがギュウギュウ詰めにされている。

1.Tenorio Jr/Nebulosa 2.Trio Maraya/Canto De Ossanha 3.Hector Costita Sexteto/Tokio 4.Wanda Sa/Vivo Sonhando 5.Ana Lucia/Balanco Do Mar 6.Zimbo Trio/Zimbo Trio 7.Djalma Dias & Sambossa 5/Cidade Vazia 8.Octeto de Cesar Camargo Mariano/Samblues 9.Yvette/Preconceito 10.Bossa Jazz Trio 11.Sansa Trio/Samba Em Blue 12.Edgard & Os Tais/Bambe-Lo 13.Claudia & Brazilian Octopus/Gosto De Ser Como Sou 14.Som 3/Margarida B 15.Tenorio Jr/Samadhi
FAR OUT RECORDINGS 2008

東京ショーウインドー
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/REPORT/SW/

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