THE RIGHT SPIRIT/QUINTETTO LO GRECO
QUINTETTO LO GRECO/THE RIGHT SPIRIT(SCHEMA SCCD432)
この2ヶ月近く、過去の70年代から現在までボクの聴いてきた音楽をアーカイヴしようと、CASACADES「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧というタイトルですでに100枚以上の作品を最考察してきたが、色々資料などを調べているうちに、当時は知ることもできなかった新しい発見もあって、ついつい楽しくなってのめり込んでしまった。そのせいで本来の日記、ブログや新しい音楽情報のほうが等閑になってしまっていた。そこで"OBLIQUE STRATEGIES"と"Talkin' About Jazzy Things"に分けて、過去と現在の情報のベクトルを同時にチェックできるように、サイトのレイアウトも少し変えてみました。1月の終わりから今日まで、新譜もすべてチェックしているのだが、購入したものといえばやはり70年代ジャズのリイシューものが多く、Finn Jazzやnu jazzの知名度は以前とは比較にならないほど浸透しつつあり、過去のリッキー・チック周辺のレコードの売れ行きもいいのに、その後のたいした動きはない。まるで時代が静止してしまったかのような閉塞感のあるこの空気は、この今という時代を生きている我々が無意識に発している気配が顕現したものでもあるのだ。キミは、新しいことなど、なにも求めてはいない、ということだ。最近KYとかの、空気を読むということがよく言われるようになったが、つねにひとの視線や動向を気にしてから、自分のとるべき態度を決めて生きるなんて、どうかと思うよ。KYとかのギャル言葉が流行るのも、実は誰もひとのことなど気にもかけていないことの表れなんだ、けど。
さて、nu jazzの動きのなかで、唯一要チェックの作品が発表された。SCHEMAレーベルからリリースされたドラマーとベーシスト、エンツォとジャンニのロ・グレコ兄弟の新生QUINTETTO LO GRECOのセカンド・アルバム「The Right Spirit」は、GIANNI LO GRECOから発展したクインテットで、若いピアニストSimone Daclon、黒人トランペッターGendrickson Mena Diaz "Puci"などを新たに迎え、伝統的なバップイズムを継承しながら、次世代ジャズへの発展途上にあるnu jazzやFinn Jazzに続く、現在のクラブジャズ・シーンに一石を投じるほど素晴らしいハードバップ+ポストバップ、nu cool jazzが収録されている。彼らはソウルスタンス名義でもクラブジャズの作品をリリースしているし、ジェラルド・フリジーナの作品にも参加している。もともとロ・グレコ兄弟は、イタリアのジャズ界においては有名なミュージシャンで、Gerardo Frisina、Nicola Conte、Gianluca Petrella、Invisible Session、Mario Biondi、Rosalia De Sousaに続くイタリアン・ニュー・ジャズの台風の目になるだろう。それほどファースト・アルバム「Snap Count」をも含めた過去の彼らの作品を刷新するほどの新らしいジャズの文脈が聴こえてくる。さて、QUINTETTO LO GRECOは、マイルス・デイヴィス、ウェイン・シューター、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、ハービーハンコックを超えたのだろうか。
01. Steppin' to Bop
02. Legend Generation
03. Blues Inflected
04. Updated Sound
05. Soft Blowing
06. Over Power
07. Flowing Lines
08. Idols
09. Invitation
10. From Time to Time
11. The Right Spirit
Gianni Lo Greco: drums
Enzo Lo Greco: double bass
Simone Daclon: gran piano
Germano Zenga: tenor sax
Gendrickson Mena Diaz “Puci” : trumpet, flugelhorn
produced by Enzo and Gianni Lo Greco