2008年03月 アーカイブ

2008年03月25日

THE RIGHT SPIRIT/QUINTETTO LO GRECO

QUINTETTO LO GRECO/THE RIGHT SPIRIT(SCHEMA SCCD432)

この2ヶ月近く、過去の70年代から現在までボクの聴いてきた音楽をアーカイヴしようと、CASACADES「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧というタイトルですでに100枚以上の作品を最考察してきたが、色々資料などを調べているうちに、当時は知ることもできなかった新しい発見もあって、ついつい楽しくなってのめり込んでしまった。そのせいで本来の日記、ブログや新しい音楽情報のほうが等閑になってしまっていた。そこで"OBLIQUE STRATEGIES"と"Talkin' About Jazzy Things"に分けて、過去と現在の情報のベクトルを同時にチェックできるように、サイトのレイアウトも少し変えてみました。1月の終わりから今日まで、新譜もすべてチェックしているのだが、購入したものといえばやはり70年代ジャズのリイシューものが多く、Finn Jazzやnu jazzの知名度は以前とは比較にならないほど浸透しつつあり、過去のリッキー・チック周辺のレコードの売れ行きもいいのに、その後のたいした動きはない。まるで時代が静止してしまったかのような閉塞感のあるこの空気は、この今という時代を生きている我々が無意識に発している気配が顕現したものでもあるのだ。キミは、新しいことなど、なにも求めてはいない、ということだ。最近KYとかの、空気を読むということがよく言われるようになったが、つねにひとの視線や動向を気にしてから、自分のとるべき態度を決めて生きるなんて、どうかと思うよ。KYとかのギャル言葉が流行るのも、実は誰もひとのことなど気にもかけていないことの表れなんだ、けど。
さて、nu jazzの動きのなかで、唯一要チェックの作品が発表された。SCHEMAレーベルからリリースされたドラマーとベーシスト、エンツォとジャンニのロ・グレコ兄弟の新生QUINTETTO LO GRECOのセカンド・アルバム「The Right Spirit」は、GIANNI LO GRECOから発展したクインテットで、若いピアニストSimone Daclon、黒人トランペッターGendrickson Mena Diaz "Puci"などを新たに迎え、伝統的なバップイズムを継承しながら、次世代ジャズへの発展途上にあるnu jazzやFinn Jazzに続く、現在のクラブジャズ・シーンに一石を投じるほど素晴らしいハードバップ+ポストバップ、nu cool jazzが収録されている。彼らはソウルスタンス名義でもクラブジャズの作品をリリースしているし、ジェラルド・フリジーナの作品にも参加している。もともとロ・グレコ兄弟は、イタリアのジャズ界においては有名なミュージシャンで、Gerardo Frisina、Nicola Conte、Gianluca Petrella、Invisible Session、Mario Biondi、Rosalia De Sousaに続くイタリアン・ニュー・ジャズの台風の目になるだろう。それほどファースト・アルバム「Snap Count」をも含めた過去の彼らの作品を刷新するほどの新らしいジャズの文脈が聴こえてくる。さて、QUINTETTO LO GRECOは、マイルス・デイヴィス、ウェイン・シューター、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、ハービーハンコックを超えたのだろうか。

01. Steppin' to Bop
02. Legend Generation
03. Blues Inflected
04. Updated Sound
05. Soft Blowing
06. Over Power
07. Flowing Lines
08. Idols
09. Invitation
10. From Time to Time
11. The Right Spirit

Gianni Lo Greco: drums
Enzo Lo Greco: double bass
Simone Daclon: gran piano
Germano Zenga: tenor sax
Gendrickson Mena Diaz “Puci” : trumpet, flugelhorn
produced by Enzo and Gianni Lo Greco

2008年03月28日

STICK UP!

ドイツ、ベルリンのトリオ「KOKO+1」の斉藤易子と、TONE QUARTETの影山朋子のヴィブラフォンをフィーチャーした昨夜のイヴェント「Stick Up!」は、普段nu thingsで聴きなれているnu jazzやClub Jazz、リアルジャズとは違ってKOKO+1は室内楽ジャズのようで、ヴィブラフォンとピアノ、そしてベース・クラリネットという普段そんなに耳にすることのない編成でとても新鮮だった。丁度タイミングよろしくOblique Strategiesで70年代のヨーロッパでのフリージャズをアーカイヴしているところだったので、最近その周辺のジャズをよく聴いていたせいだろうか、'70年代のインカスなどにあったフリージャズのグルーヴと似たものを感じた。全曲オリジナルの、ニコ・マインフォルドのピアノのクラシカルなテイストのなかに、フリージャズ的アプローチのトピアス・シルマーのベース・クラリネットと斉藤易子のヴィブラフォンが溶け合いニッポンのジャズシーンではめったに聴けない、ちょっぴりリリシズムも感じる室内楽ジャズが聴けた。彼女たちはまだ30歳前半のジャズミュージシャンだが、ヨーロッパのジャズシーンはきっと奥が深いんだろうな。

KOKO+1 齊藤易子(サイトウタイコ) (vib) ニコ・マインホルド(p)
トビアス・シルマー(a-sax & clarinet & bassclarinet)

TONE QUARTETは、いつものようなクラブジャズを意識した演奏ではなく、フリージャズのアプローチが強く全面にでている音楽を展開していた。それはきっと、今回のドラムスが塩入基弘だったからだろうが、彼は三田村管打団でも打楽器を担当していて、今夜のフリーフォームなジャズでのドラムスもなかなかのテクニックを感じたし、最初から最後までTONE QUARTETともよく息があっていて、いつもとは違う彼らのグルーヴが構築されていた。

TONEQUARTET 刀祢直和(b) 影山朋子(vib) 関谷友加里(p) 塩入基弘(ds)

STICK UP 27 March'08 pm20:00-pm23:30

※手前味噌で申し訳ないが、nu thingsのお客さんは"儲かってなんぼ"という嫌らしい土地柄オオサカにあって、心から音楽が好きで、なによりも音楽を聴きに来てくださっている最良のマナーを持ったリスナーが多いと、つくづく思う。店側のコンセプトとして、飲食業にみられる水商売的態度を排除して、自由でクールな空気を重んじるあまり、至らない点は多々あるが、それだけは胸をはって言える。こうしたオーディエンスがもっと増えてオオサカの音楽シーンがより活気づくといいね。昨夜は平日にも関わらず年齢層の幅も広く、多くのお客さんが来て下さり、ありがとうございました。

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