2008年01月 アーカイブ

2008年01月01日

Remember,those quiet evenings

新年明けましておめでとうございます

jaz' room nu things

2008年01月04日

THE MODERN SOUND OF FINLAND

The Music Of Esa Pethman/THE MODERN SOUND OF FINLAND(WHAT MUSIC 0927-40790-1)

Pekka Gronowはこの「The Modern Sound Of Finland」のライナーノーツに、Esa Pethmanのジャズ・アンサンブルを聴いて1910年代のロマンチック・コンポーザーを想起したと書いている。この時代のクラシックでのロマン派といえばボクにはシェーンベルクだが、やはりヨーロッパ・ジャズや北欧ジャズにクラシックは切っても切れない関係にある。このアルバムはチャーリー・パーカーに大きな影響を受けたというテナーサックス奏者、エサ・ペスマンのリーダー作で、後にSuomi Jazzersでその名を知られるようになる当時まだ若いミュージシャンたちによるアンサンブルで録音されていて、フルートをシベリウス・アカデミ−(音楽学校)で学んだエサ・ペスマンならではのストリングスの多様、オーケストレーションによる編曲がされており、オリジナルは66年に発表され04/08/2003にリイシューされたFINN JAZZを象徴した作品でもある。シベリウスの名前がでたついでに書いておくが、フィンランドの作曲家であるジャン・シベリウス( Jean Sibelius 1865-1957 ❶)には「交響曲フィンランディア」 という曲があって❷、この曲や「The Modern Sound Of Jazz」に底通しているメランコリックなリリシズムは現在に通じる暗さでもあるように感じているがどうだろう。Finn Jazzが生まれる地理的条件として❸でみられるスケープが彼らの生活に密接に関係しているのだ。この「THE MODERN SOUND OF FINLAND」は勿論ファニチャーなどのスカンジナヴィアン・モダンに通じるおシャレなジャズである。

1.Blues For Duke 2.Shepherd Song 3.Etude No,1 4.mr. Peter 5.Blues Fantasie 6.Finnish Sohnapps 7.Lullaby 8.Disillusion 9.Al Secco 10.Nina's Dream
Tuotantp:Johan VIkstedt Aabitys:Jouka Ahera Layout:Jukka Pellinen Kansikuva:Kalie Kultala

http://web.abo.fi/fak/hf/musik/Sibelius/JP/
http://www.youtube.com/watch?v=RDzIpg3bEEM&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=_eTIa1KSkeI&feature=related

新年早々やっと巡り会った中古盤ブルーノートのDONALD BYRD「Slow Drag」、それにWhat MusicからのJacques & Micheline Pelzer Quartet「Song For Rene」などなどリイシュー数枚と、このEsa Pethmanのアルバム「Modern Sound of Finland」がボクのレコード初買いというのも、なにかこれから1年の音楽状況を示唆しているものかも知れないな。今年も中古盤巡りとリイシューもので終わりそうだな。

2008年01月09日

Donald Byrd Slow Drag

DONALD BYRD/SLOW DRAG(BLUE NOTE BST84292)

ハードバップのスピードと、ソウルジャズやファンクのスピリチュアル/ブルーリズムと、A3「Books Bossa」にみられるボッサテイストのジャズダンスが見事なまでに1枚のアルバムとして昇華され構成されていて、現在のクラブジャズ・グルーヴにぴったり適応するアルバムの1枚である。nu jazzやFinn Jazzと言えども未だこのリアルジャズの水準までには至っていない。60年代のジャズをリアルタイムに経験した人たちに嫉妬心を覚えるほどだ。いまレコード買うなら60年代ブルーノートのこのあたりのものに限る。それ以外のものは多くが無駄使いというものだ。「Slow Drag」でのソニー・レッドのアルトのrespy toneとバードのトランペットのユニゾンやソロの渋さ、ニヒルさといったらもう言葉にできないほどカッコいい。輸入レコードの新譜なんてそんなに期待できないから、今年はまず第一に過去のリアルジャズを時間をかけて聴き直し、現在のnu jazz、Finn Jazz、Club Jazzの潮流に繋がる作品を1枚々紹介することにするよ。

Donald Byrd /Slow Drag'
( LP Blue Note Records 1967 )
Side 1:1.Slow Drag(Donald Byrd/time 9:40) 2.Secret Love(Webster-Fain/time 3:50) 3.Book's Bossa(ceder Walton/time 6:45)
Side 2:1.Jelly Roll(Sylvester Kyner/time 5:10) 2.The Loner(Cedar Walton-Ronnie Matthews/time 6:10) 3.My Ideal(Robbin-chase-Whiting/time 6:15)
Blue Note BST84292

Donald Byrd (tp) Sonny Red (as)
Cedar Walton (p) Walter Booker (b)
Billy Higgins (d, vo)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood
Cliffs, NJ, May 12, 1967

cover photo by Charles Keddie cover design by Forlenza Venosa Associates
recording by Rudy Van Gelder produced b Alfred Lion

「Slow Drag」のカッコ良さとは比較にならないけど資料として「Black Jack」でも。
http://www.youtube.com/watch?v=OTOFwANldSY&feature=related

2008年01月11日

Don't be frightened to display your talents

popular entertainment

昨夜、十日戎に詣でた。往き帰りの吉兆をつけた笹を持った商売繁盛を願う群衆の人の波に押されながら、"あらゆる「娯楽」の原型は多かれ少なかれ宗教的な神事としての「芸能」にある"という民族学者の言葉を思い出し、なぜ自分がこうした大衆世界からもっとも遠いところにスタンスをとり、数十年間、いまではFinn Jazzやnu jazzなどといって、いつも海外の先端音楽だけを追い続けて自分に収穫のない種ばかり蒔き続けてきたのだろうかと考えていた。

幸か不幸かボクにとっての音楽への関わりは東芝レコードの青春歌手というのがそもそもの始まりだった。当時「新御三家」としてレコード会社もプロダクションもかなりの力を入れて売り出し、3枚目のシングル「俺には天使の君だった」は日活映画「星影の波止場」というタイトルで映画化され、主演扱いで役者としても出演するなど、その他「ミュージック・フェア」「ロッテ歌のアルバム」「ヤング720」などのテレヴィ出演も多く恵まれたデヴューだったのだが、2年後、どうも体質的にあの河原乞食のような見せ物、さらし者的、そして虚像で成立している芸能界の空気に馴染めなく造反して引退してしまうのだが(このあたりの詳細は工作舎からの単行本「ロックエンド」で)、その後の「ロックマガジン」を初めとする編集者や音楽評論家、レコード・プロデューサーとして、またjaz' room nu thingsの経営など、現在までの活動のすべてがそのトラウマの反動からの返答だったように思う。普段めったにテレヴィは観ないのだが、正月は付けっぱなしにしていたそのテレヴィから漫才師や歌手たち、いわゆる芸人と呼ばれるひとたちの俗っぽい見せ物、大道芸のような芸能の数々が流れていた。思えばこうした芸能から最も遠いところに立脚することで、自分のアイデンティティを確立することを求め続けていたのだろう。観客が存在して初めて成り立つのが芸能。鑑賞者がいてもいなくても成立しているものが芸術だなどというのも無理があり信じていないが、クラブジャズ、nu jazzといえども「演技者と見物人の関係は、基本的には商業的関係である」という図式は覆せないのだ。70、80年代に先端音楽だったロックもパンクも、テクノすらこのニッポンではすべてが芸能として生き存えている。さて、ジャパニーズDj、ミュージシャンによって盗用されたフェイクなnu jazzやクラブジャズももはや芸能の道を歩みはじめている(笑)・・・。"商売繁盛で笹持ってこい・・"か。トラウマを乗り越え、解放されるためにも、そろそろやるか!

2008年01月14日

Look at the order in which you do things

jaz' room nu things 始動

ついさっきNATIVEのライヴが終わってひとり御堂筋を通って南船場の部屋に帰ってきたが、路上には連休の中日の午前0時だというのに、もはや人の影はなく静まりかえっていた。寒波のせいもあるだろうが、最近の大阪経済の現状を象徴していて行き交う車も少なくなんだか不気味でさえあった。
昨夜の東京からのCo.ffayを招聘してのイヴェント「nu jazz generation」は、オーストラリア人のDJ JULES( HIJAK)が呼んでくれていた彼の友人である外国人たちが、終わりまでnu thingsの空気をつくりだしてくれていて、それに加え女性客が多く理想的ないい感じのクラブ・イヴェントだった。
平均年齢27歳のCo.ffayのジャズは彼らのCD「うずねいろミュージアム」(UD-001)や、小林径 監修によるコンパイルCD Routine Jazz Presents "Nouvelle Vague"でも聴かれるが、ニューヨークのジャズにみられる現在形ジャズとハードバップの2本立てといった感の音楽で、全体的な印象はnu jazzというよりは、どちらかと言うと知的でストレート・アヘッドなジャズだった。印象的だったのは松永卓朗のトランペットプレイが光っていたこと。今後はクラブジャズの記号をより多く採りいれて活動するとのことである。
TONE QUARTETは、いつものように相変わらずスリリングなジャズを演奏していたが、若干24歳の若い女性ジャズミュージシャン、影山朋子(vib) 関谷友加里(p) を前面にフィーチャーして、そろそろ次のアルバム制作に向かって新曲でも作り、全曲オリジナルの新しいTONE WALRDを聴いてみたいなと思った。彼女たち次世代ジャズミュージシャンのテクニックも、充分過ぎるほど世界に通じるまでの高いスキルが感じられ、古いジャズの体質を彼女たちこそが打ち破ってnu jazzをも包括した新しいジャズシーンを築いてくれたなら、嬉しいね。


DJ:JULES (HIJAK) + JAG


Co.ffay:太田耕平(ds) 松永卓朗(tp) 森田修史(ts) 田窪寛之(p) 池尻洋史(b)


TONE QUARTET:刀祢直和(b) 影山朋子(vib) 関谷友加里(p) 引田裕路(ds)


今夜の「It's Time!」NATIVEのライヴはニューアルバム「Just Four」発売を控えたリラックスした遊びの多い楽しいステージだった。繊細なまでに美しくNATIVE JAZZで構築されたレコードでの音楽と同じように、彼らのステージはスタイリッシュで上品過ぎ、その評判は正直もうひとつだったが、最近の彼らのステージはレコードでは聴けないライヴならではのエモーショナルでダイナミックなパフォーマンスとグルーヴが演出され、いまでは、そのライヴもNATIVE JAZZの大きな魅力、強みとなっている。ライヴを重ねるごとにnu thingsには若いNATIVEファンが着実に増え続けていることでも、それが立証されている。3月にnu thingsでも行われるNATIVEのリリースパーティがいまから楽しみだ。


NATIVE:中村智由 saxophones, flute 大久保健一 acoustic bass 山下佳孝 drums 杉丸太一 piano

2008年01月16日

DEJAVU REC ● ENDO SCOPPA+GIL CUPPINI+BUDDY COLLETTE

イタリアのDEJAVU RECからリイシューされた3枚のアルバムは、去年の暮れにニッポンでリリースされた「国内ユニバーサル完全限定アナログ正規リイシュー/アナログ復刻5+1」とは比較にならないほど、現在のnu jazz、クラブジャズのツボを押さえたアルバム厳選がされている。もはやこの3枚はクラブジャズの定番であり、DJなら必携の作品だ。

BUDDY COLLETTE/THE POLYHEDRIC
(DEJAVU REC DJV 2000036)
ウェストコースト・ジャズを代表するフルート、クラルネット、アルトサックスなどを操るマルチリード奏者バディ・コレットがイタリアへ渡り1961年にディノ・ピアナ、レナート・セラーニ、フランコ・チェリといったイタリアジャズ界の雄と録音したアルバム。それに加え旧ユーゴスラビア出身で哀愁のトランペッターといわれているダスコ・ゴイコヴィッチがA2 A4 B1 B2にクレジットされている。全体的にはクラブDJにはもはや定番のアフロキューバン・ジャズ「Orfeo Negro」や「Mounya Labeli Matatoo」などにみられるラテン色の強いハードバビッシュなアルバムだ。「Orffo Negro」以外の7曲すべてはバディ・コレットのオリジナル曲。

A:1.Orfeo Negro 2.Blues For Nicola 3.Mouny Labeli Matatoo 4.Paddy
B:1.A Taste Of Fresh Air 2.Pickford Street 3.Skater For Mater 4.Blues
cover design by Renzo Clerici
cover foto by Camera Color Milano

Buddy Collette(cl,as,fl) Dusko Gojkovic(tp) Dino Piana(tb) Renato Sellani(p) Franco Cerri(g) George Joyner(b) Jimmy Pratt(ds)
supervision Jimmy Pratt. edited by gurtler Bros.Milano ITALY

GIL CUPPINI QUINTET/Gil Cuppini Quintet
(DEJAVU REC DJV2000037)
MEAZZI EDIZIONI DISCOGRAFICHEからリリースされていたBasso Valdambrini QuintetのドラマーであるGil Cuppiniの「SAME」がリイシューされた。これは58、59年のセッションが収録されたもので、メンバーはBASSO VALDAMBRINI、RENATO SELLANI、GIROGIO AZZOLINI、ERALDO VOLONTEなど、イタリアン・ジャズを代表するそうそうたるメンバーがクレジットされている。GERRY MILLIGANの「BERINE'S TUNE」、MILES DAVIS「WALKIN」、ART BLAKEY「MOANIN'」等の有名なジャズのカヴァーとアフロキューバンなオリジナル「IL NORD」などで構成されている。収録されている全13曲のハードバップからアフロキューバンまでのグルーヴは、現在のクラブジャズのバイブルとなる仕様だ。

A:1.The Drums 2.Bernie's Tune 3.Il Nord 4.Moanin' 5.Topsy 6.L'uomo Dal Bracio D'oro
B:1.Duo 2.Circeo 3.There's A Small 4.Il Vecchio 5.Walkin' 6.Lover Man
7.I'll Remember April

Gil Cuppini(ds) L.Gullin(bs) O.Vandmbrini(tp) S.fanni(tp) G.Basso(ts)
E.Volonte(as) Renato Sellani(p) G・Azzolini(b) E・Righhello(p) G・Buratti(b)

ENZO SCOPPA QUINTET/STANDARDS
(DEJAVU REC DVJ 2000038)
50年代からローマの伝説的なジャズ・コンボ Modern Jazz Gang で活躍するイタリア・ジャズ界の重鎮、エンゾ・スコッパのスタンダード・ジャズ集。「The End Of Love Affair」「East Of The Sun」ハンク・モブレーの「 This I Dig Of You 」ボサノバ・ナンバー「Eu E Voce」エンゾ・スコッパのオリジナル「Blue Zone」などの6曲のスタンダード・ジャズ・ナンバーで構成されたアルバム。クール、モード、ハード・バップなどのセンスいい選曲がされてあり、こうしたジャズもnu jazzやFinn Jazzをイニシエーションしたクラブジャズ・ファンの耳にはもう充分通用するだろう。

A:1. The End Of Love Affair 2. East Of The Sun 3. Five Hundred Miles
B:1. This I Dig Of You 2. Blue Zone 3. Eu E Voce
arrangements by Enzo Scoppa

Enzo Scoppa(ts,ss) Gianbattista Gioia(flh) Claudio Colasazza(p)
Francesco Puglisi(b) Amedeo Ariano(ds)
recorded at Stefano Di Battista Studios Rome ITALY

2008年01月22日

Spiritual Jazz /Strata East/THE JOHN BETSCH SOCIETY

Spiritual Jazz /Strata East/THE JOHN BETSCH SOCIETY

アフター・コルトレーン そしてスピリチュアル・ジャズにおける新たなハード・バップの再解釈

去年12/1のクラブイヴェント「Hit The Spot」でJazzman Geraldと話したとき、2008年のイギリスでのクラブシーンはスピリチュアル・ジャズが再燃しそうだと言ってた。彼のレーベルJAZZMANからも「Spiritual Jazz: Modal & Esoteric Jazz from the Underground 1968 – 1977」というアフター・コルトレーンというべきスピリチュアル・ジャズが12曲コンパイルされたアルバムが近々発売される。ボクにとってBLACK JAZZ、TRIBE、Strata-Eastレーベルにみられるスピリチュアル・ジャズは、Doug Carn、Osunlade、クリス・ボーデンなどの音楽を聴いていた90年代後半のイギリスのソウルジャズ・レーベルを通じて知ったのだが、もともとこうしたジャズの発生は71年のブラック・ジャズ・レーベル、ストラタ・イースト(トランペッター、チャールズ・トリヴァーと知性派ピアニストのスタンリー・カウエルが立ち上げたレーベル)での、音楽的にはジョン・コルトレーンから受け継いだスピリチュアルな精神性と60年代後半におけるハード・バップの再解釈などが最も大きな要因のひとつだが、当時としては黒人たちの政治的/社会的背景からの、ミュージシャン主導の真の黒人の自立(Strata)をめざしたレーベルだった意味も大きい。考えれば当時のブルーノートだって白人(ドイツ人)によってコントロールされた黒人のミュージシャンによる白人のためのジャズだったんだからね。

THE JOHN BETSCH SOCIETY/EARTH BLOSSOM(SES-19748)

この「Earth blossom」は現在フランスへ移住し活動中のドラマーJohn Betschによる74年のテネシー州ナッシュビルで録音された唯一のリーダー作で、5名からなるパーカッションによるポリリズミック・グルーヴが全編を支配している。 「Ode to Ethiopia」でのポリリズミック・グルーヴの上を、フルート、ピアノ、サックスがワルツのロマンチックなメロディを奏でる。こうしたスピリチュアルものも精神の高揚を呼び覚まし云々とか、強い社会へのメッセージ性がこめられたものとか"フリージャズ"なんてダサフルイ概念でとらえないで、なによりもハード・バップの再解釈としての21世紀のクラブジャズ、ダンスミュージック、nu jazzの流れにあるものとしてとらえて当然だろうと思っている。

Side A:1.Ode To Ethiopia 2.Earth Blossom 3.Open Pastures 4.Song For An Untitled Lady
Side B:1.Ra 2.Darling Doria 3.Get Up And Go

Billy Puett,flute/alto flute/alto and tenor sax/bass clarinet
Bob Holmes,piano/electric piano/percussion
Ed "Lump" Williams,electric bass/acoustic bass/percussion
Jim Bridge,guitar/percussion
John Betsch,drums/percussion
recorded january 11,1974 at Glaser Productions.inc, Nashville Lehning

THE JOHN BETSCH SOCIETY/EARTH BLOSSOM(HS006VL)

70年代NYCロフトジャズ/スピリチュアルジャズの拠点となったレーベルStrata Eastに残されたレア音源The John Betsch Society「Earth Blossom」からの7inchシングルカット。これはHeavenry Sweetnessからリリースされている。サイドA「Earth Blossom」にはCarlos Nino率いるBuild An Ark and Najite & The Agindotan Family BandのRemixが収録され、サイドB「Ode To Ethiopia」はアルバムからのシングルカット。今後も、こうしたスピリチュアル・ジャズの記号はイギリスやフランスのクラブシーンをベースにリイシューされ続けるだろう。
www.myspace.com/heavenlyssweetness

JAZZMAN/DANCE THE LATIN FUNK

VA/DANCE THE LATIN FUNK(JMAN.064)
 
「DANCE THE LATIN JAZZ」「DANCE THE LATIN SOUL」に続いてのJazzmanからの7インチ3枚組ラテン・コンピレーション第3弾「DANCE THE LATIN FUNK」。ニューヨークのスパニッシュ・ハーレムやブロンクスに住むラテン系の移民たちによって持ち込まれたラテン音楽は、60年代初頭、FANIAレーベルや、ラテン音楽のスタンダード Tico Tico にちなんでGeorge Goldnerによって48年に設立された Tico レーベル、ラテン/ブラジル音楽のCOTIQUEなどのレーベルから星の数ほどの作品がリリースされていて、多くのヒット曲がある。この周辺のレコードもそろそろ蒐集したいなと思うけれど、まだそこまでは手が回らない。

JAZZMANからは今回はそうしたレーベルから、Tito Puenteの「Hit the bongo」「Black brothers」、Mongo Santamariaの「Mambomongo」、The Latinairesの「Camel walk」、Al Escobar「Tighten up」、Cholloの「I got the feeling」の計6曲がコンパイルされている。個人的には今回の「DANCE THE LATIN FUNK」が最も気に入っているかも。Finn Jazzやnu jazzにおけるアフロキューバン・ジャズとここらあたりのラテンものも、不思議と相性が合う。

2008年01月24日

From the futurism to the spiritual jazz

From the futurism to the spiritual jazz

未来派・ Futurismo・ Futurism・ フトゥリズモ ・フューチャリズム

ドイツCOMPOSTからリリースされていた90年代後半のFuture Sound Of Jazzに見られた未来派のヴィジョンがなによりも心地良かった時期があった。もともとボクはロシア構成主義からダダイズム、ドイツでのバウハウスなどに見られるジオメトリックでモダンな近代合理主義的デザインが好きだったこともあり、イタリアの詩人フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティ (Filippo Tommaso Marinetti; 1876-1944)の「未来主義創立宣言」での過去の芸術の徹底破壊と機械化によって実現された近代社会のスピード(速度の美)や運動性を讃える姿勢を、デトロイトテクノや90年代後半に表出したFuture Sound Of Jazzに重ね合わせてとらえていた。ボクのなかでエレクトリックな音楽の始まりは70年代後半のクラフトワークの表出から、テクノポップ、ポストインダストリアル(ノイズミュージックの原点をルイジ・ルッソロのミュージック・アート「騒音芸術」と考えていたり http://www.youtube.com/results?search_query=+Luigi+Russolo&search=Search)へと流れ、90年代に入るとデトロイトテクノ、ブリープハウス、そしてドラムンベースへと漂流を続けるのだが、Future Sound Of Jazzというコンセプトはなににも増して未来派ならではの"子供じみた移ろいやすさと楽観主義的遊び心"を満たしてくれた。
http://www.youtube.com/watch?v=X402kBJv7mc&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=7zHYApspsJg&feature=related

ブルーノート・レーベルなどにみられるモダンなデザイン感覚に惹かれるのも、ボクのこうした嗜好が若い頃から現在まで、なんら変わっていないことを裏付けているのかも知れない。最近はこうしたエレクトロ・ミュージックをそれほど聴かなくなりジャズ漬けの日々を送っているが、去年の暮れにリリースされたCHRISTIAN PROMMER'S DRUMLESSON/DRUM LESSON VOL.1(SONAR KOLLEKTIV SK162CD)の、過去の90年代テクノハウスですらジャズミュージシャンによってジャズに再構築され再生されていたのを聴くと、すでにDJカルチャーの終焉を意味していて、テクノやエレクトロ、打ち込みという記号は、PCで音楽を創造するときの作曲ツールとして使用されることはあっても、ラップトップやテクノという記号からは21世紀に引き継がれるアヴァンギャルドな未来派のダイナミズムとスピード感覚を感じることは不可能になってしまった。それは「FUTURE SOUNDS OF JAZZ VOL.11」(compost 275-1)のノスタルジーとレトロ感覚しかないダサいミニマルなテクノハウスを聴けばキミも納得できるだろう。(左上の写真はCD From The Valt;Planet E Classics Collection Vol.1)


未来派からスピリチュアル・ジャズへ

TRIVE COLLECTIVE/Livin In A New Day(planet e PE65294-1)

デトロイト・ブラック・ジャズの伝説的レーベル「Tribe」の創始者たち、Phil Ranelinの音楽と詩をもとに、Marcus Belgrave、Wendel Harrisonをフィーチャーしたカール・クレイグがプロデュース、ミックスした12インチシングル。あのDetroit Experimentを彷彿とさせるが、デトロイト・テクノの現在形からもすでにテクノの影は消えている。Carl Craigの元に集結したTribe Collectiveの、「未来派」から「スピリチュアル・ジャズ」へのスペシャル・プロジェクトが愈々始まったようだ。そう、すべてが「ジャズ的なるもの」へ傾れ込んでくるのだ。それはもう21世紀の始まりの必然的な事件。

CARL CRAIG/PARIS LIVE(planet e PE65290-1)

カール・クレイグのジャズ的なるものへの強い傾向は96年のInnerzone Orchestra「Bug In The Bass Bin」で始まり99年の「Programmed」、そして2003年の「Detoroit Experiment」でひとつの句読点を迎えたと思う。その頃からボクはエレクトロ音楽や打ち込みによるジャズに興味をなくし、生楽器で構築するnu jazzやリアルジャズにその対象が移ってしまったが、この12インチシングルはだから4年ぶりにカール・クレイグの音楽を聴いたことになる。しかしこの「PARIS LIVE」の、デトロイト・モダンジャズ・シーンの WENDELL HARRISON(clarinet、saxphone)と KELVIN SHOLAR(keyboards)の2人、URのMAD MIKE BANKS(keyboards) をフィーチャーした「Twilight」「At Les」でのオブスキュアなスピリチュアル・ジャズは、21世紀の新たな概念を持つ未来派への誘惑に再び駆られるほど素晴らしい。
http://www.youtube.com/watch?v=OsmDYsdHIP8&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=rUwwdaSDVM8

2008年01月26日

A New Beginning

A New Beginning
DJ AGI Yuzuru (阿木譲)

昨夜は寒気に包まれたひと際寒い夜だったのに、A New Beginningに顔を見せて下さってありがとうございました。少しは満足してもらえただろうか。

ラスト2時間のブルーノートでのハードバップ群と、中間でのボッサ、ラテン、アフロキューバンなどのnu jazzに繋げるオープニングから1時間は、リイシューもののFinn JazzやItalian JazzのEERO KOVISTONENNやGIL CUPPINなどのレコードでグルーヴを作ろうと試してみたけれど、テンション的にも、時代感覚的にもいまひとつグルーヴがつかめなく、Lars GullinにしてもBasso Valdambriniにしても、このあたりヨーロピアン・ジャズのリイシューものはノスタルジック過ぎてイメージしている空間が作れず中途半端で終わってしまったように思う。このあたりはムード作りのためにラウンジ的にDJイングするのが相応しいのかも? よくよく考えれば当たり前のことなんだけど、昨夜はっきり解ったことは白人ミュージシャンのハードバップと黒人ミュージシャンのハードバップはまるで異質な音楽だということか。やはり個人的にはラストの2時間ぶっ飛ばしていたハードバップが最もしっくり来るし、DJイングしていても気持ちいい。今回はひとつのコンセプトに集約さず、ちょっと欲張り過ぎたようだ。だけどあれが現在のクラブジャズのリアルな音楽状況、現状なのだ。とりあえず簡単なご報告まで。

ラスト2時間のハードバップ・グルーヴは、ブルーノートの60年代の下記のアルバムなどからコンパイルして構築しました。御参考に。
●DUKE PEARSON/The Phanyom(BST 84293) ●LEE MORGAN/Caramba! (BST 84289)
●JACKEY McLEAN/Demon's Dance(BST 84345) ●ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS/The Witch Doctor (BST 84258) ●McCOY TYNER/Tender Moments (BST 84275) ●DONALD BYRD/Slow Drag (BST 84292) ●HORACE SILVER QUINTET/The Cape Verdean Blues (BST 84220) ●PETE LA ROCA/Basra (BST 84205) ●KENNY DORHAM/Una Mas (BST 84127) ●JACKEE Mc LEAN/One Step Beyond (BST 84137) ●ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS/Indestructible! (BN 4193)

2008年01月28日

ltc-Serenata EP

ltc-Serenata EP(Ricky Tick RT20)

フィンランド、ヘルシンキのRicky Tickから発表されたイタリアのピアノトリオLTCのセカンド12インチシングル。日本で先行発売されたCD「A DIFFARENT VIEW」に収録されていたFrancy Boland/Jimmy Woodeのクラシック「Just Give Me Time」以外の「Serenata」「Visions Of Blue」の2曲は去年11月にローマで録音された新曲。ダンスフロアのためのジャズと銘打ってリリースされているが、ニコラ・コンテ・コンボのメンバーとしての顔も持つ彼らの音楽はItalian Jazzやclub Jazz、nu Jazzというよりも生粋の「モダンジャズ」だ。Baltic Seaを航海するヨットだろうか、ジャケット写真のモダニズム、その洗練されたバウハウス的な美しさはPietro Lussu(piano)、Pietro Ciancaglini(bass)、Lorenzo Tucci(drums)の3人からなるLTCのジャズを象徴している。こうしたアルバムを一日も早くプロデュースしたいと、ジャズミュージシャンと巡り会うのを予々思い続けているが、これくらいのジャズを演奏するスキルを持った若いプレイヤーはニッポンにも腐るほどいる。だけどこれほどのnu jazzやクラブジャズ的時代感覚を持ったオリジナルを作曲できるジャズミュージシャンはいない。そこが海外のジャズミュージシャンとニッポンのジャズミュージシャンの違いだ。可能なら音楽スキルと並はずれの感覚とカッコいいルックスを兼ね備えた次世代の若いジャズミュージシャンとの運命的出会いを待つことにしよう。それにしても美しいジャケットだ。

Produced by Pietro Lussu
Recorded and Mixed by Simone Satta at Diapason Studio,Rome
Additional Production on tracks A & B2 by Tuomas Kallio
Percussion by Abdissa "Mamba" Assefa on tracks A & B2
Mastered by Bo Kondren at Calyx Mastering,Berlin
Sleeve photo by Giovanni Rinaldi,Istockphoto/Design by Antti Eerikainen
Ricky-Tick records 2008

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