『阿木譲の光と影」シリーズ 第三弾 Isolate Lineインタビュー

『阿木譲の光と影」シリーズ 第三弾 Isolate Lineインタビュー

『音響実験の地球生命体に与える影響について』

第三弾は、remodel復活のコンピレーション『a sign 2』にも楽曲を提供しているIsolate Line。そのこと以外に予備知識はない。ただ今回インタビューするために最新作『INTERSTELLAR』と『2021: A space odyssey』の2作品を聴いてみた。アルバム・タイトルからイメージされるような外宇宙から内宇宙へと旅をしている映像的な風景が見える作品だ。このような楽曲を作る彼が何者で阿木譲とどのように関わり、どのような影響を受けたのか。そして今の時代をどのように感じているのか。彼の目には晩年の阿木さんがどのように映っていたのか。
さて未知なるIsolate Lineとの会話をはじめよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Isolate Line(泉森 宏泰)の活動については、こちらのページにアクセスしていただきたい。
https://remodelremodel.bandcamp.com
http://studiowarp.jp/shrine/
https://hyahar.bandcamp.com
https://twitter.com/IsolateLine
https://soundcloud.com/isolate-line
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●泉森 宏泰
○嘉ノ海幹彦

【音楽との出会い】

○はじめまして、嘉ノ海です。インタビューを快諾していただき感謝しています。どうぞ、よろしくお願いします。

●はじめまして、泉森です。こちらこそ、よろしくお願いします。

○早速ですが、Isolate Lineと音楽の出会いはどのようなものだったのでしょうか?ジャンルとかミュージシャンとかレーベルとかは?

●高校生の時に、当時流行っていたヴィジュアル系バンドを結成してボーカルをしていました。元々はハードロックが好きだったのですが、Nirvanaを聴き始めたのをキッカケにグランジやオルタナロックにハマり。その後Radioheadや Björkを聴くようになってから、徐々にエレクトロニクス(サウンドや機材、ソフトウェアそのもの)に惹かれるようになりました。
バンドはその後流行り流されミクスチャーロックにスタイルを変えますが、最終的には音楽性の違いで消滅しました。

○共同でバンドをやるのと個人で楽曲を作っていくのでは、音楽の作り方が全く違うと思いますが、なぜ共同作業には魅力がなくなったのでしょうか?また音楽性の違いとはどのようなものだったのでしょうか?

●共同作業に魅力がなくなったという訳ではないのです。今も楽曲に生演奏を導入するなどしており、誰かと共同で音を作ることは新しい発見や化学反応があると思っています。
新作にもSparklerというギタリストに参加してもらっています。当時のバンドはメジャーデビューを夢見たロック好きの若者の集まりだったのですが、時代の変化とともにスタイルを変えていった結果、心がエレクトロニクスや実験的な音に偏ってしまったからだと思います。

○どのようなきっかけで電子音楽を作り始めましたか? そしてどのような音楽が好きだったのでしょう?

●バンド消滅後、独りで音楽を作っていかないといけない状況に迫られ、PCとCubaseを購入しました。
この当時は Squarepusherや Aphex Twin、Autechre(WARP周辺)、Fennesz(editions mego)から、Mogwai やGodspeed You Black Emperor等のポストロックをよく聴いていました。

○この時期から今の楽曲の作り方にシフトしていったわけですね。

●この頃はDAW(Digital Audio Workstation)のシーケンス機能を使ったオーディオ加工に興味があり、データにエフェクトをかけてドローンを作ってました。2004年に初めてのライブした時は、このサウンドにギターノイズ(シューゲイザーサウンド)を重ねるセットでした。

○最初のライブはどのようなシチュエーションだったのでしょうか?

●難波にあるLOSER STORE OSAKAでDJやミュージシャンを集めてイベントをするからと、オーナーのKILLERさんに声をかけて頂いたのがきっかけです。テクノやヒップホップのDJに挟まれる形でノイズを演奏していたので、お客さんはどう聴けば良いのかわからなかったと思います(笑)

【阿木譲との出会い】

○なるほど。ところで、阿木譲との出会いは?いつ、どこで、どんな状況だったのでしょう?

●2011年10月21日の「nu things JAJOUKA」(2010年オープン)でのライブが初の出会いです。その日はYuKi AOE君主催の「-:concep:-Little Garden」というイベントだったと記憶しています。僕の他には主催のAOE君、Seiho君が出演していました。バーカウンター沿いの椅子に座りタバコを吸っている阿木さんのもとへ挨拶に行った事を今も鮮明に覚えています。タバコを吸いながらスタッフの平野さんに「今日は客が少ないなぁ…この子(僕)が一番お客を呼んでいるから、今度イベントする時は呼んであげなさい」と仰っていました。半分は僕の音楽の事には何も触れないんだ…という気持ちと、半分はコレから「nu things」に出れるんだという希望に満ちた気持ちでした。

○初対面の阿木さんは好印象だったんですね(笑)

●でも、その後、2012年10月のイベントまでの1年間nu thingsのイベントに呼んでもらうことありませんでしたが(笑)

○阿木さんは、見た目サングラスをかけているし気さくな感じでもなかったでしょ。

●周りのミュージシャンからは極力関わらない方が良いとアドバイスされていたので、挨拶に伺った時はとても恐る恐るでした(笑)。音楽に対する感想は頂けませんでしたが、物腰の柔らかい喋り方をされる方で、周りが恐る理由がわかりませんでした。ただ…カリスマ性というかオーラのある方だなぁと思いました。

○昔から初対面でもストレートに切り込んでくる人ですからね(笑)

●僕は人見知りするタイプなので、ある意味ありがたかったですね(笑)

○で、その1年後から阿木さんのイベントに参加することになるんですね。

●大阪に住んでいた2012年末から2015年夏頃まで、阿木さんの組まれたイベントに、殆ど呼んでいただいていました。

Isolate Lineが最初に参加した阿木譲企画のイベント
2012年10月27、28日(土、日) EXHIBITION [ GRAPHIC NOTATION ]
1914年にL・ルッソロによって作曲された騒音音楽「都市の目覚め」の、イタリア未来派が始めた図形譜( Graphic Notation )は、70年代後半から80年代中期にかけて音楽雑誌rock magazineをエディトリアルしていた頃から、その記号的な美しさに魅了されよくグラフィックデザイン/レイアウトに応用させてもらった ( そして70年代後期ロンドンでブライアン・イーノにインタビューした時教えてもらったコーネリアス・カーデューのグラフィックスコアなどなど ) 。現在、尖端で表出している電子音楽は、もはや21世紀版現代音楽といったほうが妥当だろう。それらの音楽はmp3などのデータや波形に変換され配信されているものだから、よけいにこうした図表や図柄、テクスト等によって記譜された音の可視化が必要になってくる。
exhibition 「 Graphic Notation 」は、スコアの意味だけではなくヴィジュアル・アートとしての図形譜( Graphic Notation )と、ラップトップの箱の中にデータ化された電子音楽の視覚化 ( 阿木 譲 )
※このイベントはライブをメインに、アーチストが各々つくり出す図形譜、イメージを具現化し展示する新しい展開として開催します。(阿木譲)

○この阿木さんの文章は初めて読むのですが、面白そうですね。音楽のことではなくビジュアルのことが書かれている。このイベントへはIsolate Lineとしてどのように臨んだのですか?

●大量に印刷した写真や文章を切り刻んでコラージュした作品を発表しました。サンプリングやフィールドレコーディングを分解して再構築するという意味をこめた図形譜となります。

○いわゆる現代音楽の作曲家がグラフィック・スコアという技法を使うようになったのは、音符や演奏方法の指示、音の強弱、音の長さ、テンポなどを指示している譜面での制限を打破するためでした。アルノルト・シェーンベルク以降の12音技法からトータル・セリエリスムへと流れる音楽技法の進化過程に出現したものなんです。つまり音楽芸術が常に移ろい行く社会と連動している時代と対峙することが出来なくなった背景がある。だから阿木さんが書いている電子音楽の視覚化とは少し観点が違うだろうと思います。
ただここに書かれている20世紀初頭は、産業革命後工業化が進み、都市の姿が変貌したと同時に、都市生活者が大量に発生した時代でもありました。それに戦争への熱狂と予感があったと思います。「僕ら、詩に速度を与えた」と宣言したルッソロは、都市の活力を模して騒音発生装置を作りますからね。それらはクラッシックの文脈とは違うのですが、デザインやヴィジュアルという美術史的観点からみると、面白い試みだと思います。

●この後、何度かのイベントを重ねて、2013年6月22日の「Minimalu Fluid」終わりの打ち上げでremodel再始動の話を伺いました。発案者はYuki AOE君だったと思います。
当時、僕や徳田順也さんを含めた7人くらいのミュージシャンが選出されていたと記憶しています。(Junya Tokuda 、Yuki AOE、ARMS、Kazuto Yokokura 、NASAA、Taiki Masai 、Isolate Line )
プロジェクト稼働後、徳田さんが抜けARMSが抜けMasai君が音信不通になるなどのトラブルがありました。

○もちろん、remodelというレーベルについては、どのようなコンセプトだったのかも含めてご存知だったのですよね。

●実は予備知識がまったく無かったのです(笑)。『a sign paris-ozaka-kyoko』も後になって知ったぐらいでした。

○Momusの『in samoa』(remodel 06)が2012年8月9日にリリースされたのを最後にremodelは停止されていましたからね。remodelの再始動と聞いて泉森さんはどう思いましたか?

●remodelの名前以上に、同年代で集まったミュージシャンで新しい何かが作れる事に期待感が膨らみましたね。

○何かが生まれるんだと思ったのですね。その後remodelプロジェクトはどうなったのでしょうか?

●2013年7月に阿木さん発案で「galileo galilei」というミュージック・コンクレートに作風を限定したイベントを5日間連続で実施しました。コンセプトは参加ミュージシャンに一任し、共同で考えたオブジェを展示する斬新な試みでした。このイベントの最終日に事故が起き、その後remodelの話は休止となりました。思い起こせば阿木さんのヴィジョンや求めれるものに集まったミュージシャンがついていけなかったの要因だったかと思います。

○「最終日に事故」って何が起きたんですか?

●事故というか・・・衝突といった方が表現は正しいのかもしれません。参加ミュージシャンのプライドとnu thingsオーナーとしての阿木さんの考え方の違いにより口論になりました。

2013年7月29日-8月2日(月-金) GALILEO GALILEI
“E pur si muove”(それでも地球は動く)ー
過去の些細な〝つぶやき〟が世界の今に至るまで拡散している。
本当にその〝つぶやき〟があったのか今となっては事実確認も出来ず、いわば伝説と化した半信半疑のツイートである。
もしかしたら、そのような限りなく薄弱透明なものの集積で世界は成り立っているのではないだろうか。
更にいえば、理の真偽も交錯した小さな断片の集積が作り出す世界を生きているのではないのか。
当エキシビションにおけるインスタレーションは、
「複数の解体されたスピーカー上に設置された銀半球から直接聴き取れる微小な物音が響き合い、プロジェクションされた映像未満の反射光が周囲を照らし淡々と回り続けていく」というもの。
そこに示されるのは、この瞬間の要約であり、大きな物語が紡ぐその先ではない実存に谺(こだま)した未来像である。(NASAA)

○これを読むと確かに面白そうですね。やっぱり、音楽というよりアートのフィールドでの実験というイメージのような感じを受けます。

●そうですね。アートフィールドでの実験であり、参加したミュージシャンにとっては精神的に追い込まれた状態で奏でる実験音楽のようなイベントでした。
オブジェについては、NASAAとAOE君のアイデアが元になっていました。2013年2月の「Biological Speaker」の時に、NASAAがキッチン用のボールを使ったインスタレーションをしたのですが、そのボールとスピーカーを組み合わせるアイデアをAOE君が出し、ARMSがコイン電池で発光するLEDを提供してくれました。それらの断片的なものをNASAAが具体化して基本設計にまとめて作品にしました。NASAA、AOE君、スタッフの平野さんが深夜に作業をし、足りなかった配線の材料調達をYokokura君が行い、雨宮ユキさんが明け方に食事を作ってくれました。関係者が提供できるリソースをフルに投入して作ったイベントでした。また、それが出来たのも阿木さんの無茶振りがきっかけである事は紛れもない事実です。ちなみに、ピンポン球にLED入れるのは阿木さんアイデアでした(笑)

○その時の「複数の解体されたスピーカー」が、今の0G(エンヴァイロメント:ゼロジー[ゼロゲージ]2015年3月オープン)の壁にかかっているインスタレーションになっているのですね。

●その後2014年4月に、阿木さんの推薦により六本木「SuperDeluxe」で行われたRed Bull Music Academy presents 0g night「DO BLOOM IN THE SILENCE」に出演しました。
その際にはCD音源『test I: i.a.m.y.o』が限定販売されました。

○4月19日に行われたトーク/ライブ/DJのことですね。できれば詳しく教えて欲しいです。

●阿木さんが『ロック・マガジン』誌のために、取材した70~80年代の欧米NO WAVEシーンなどを捉えた貴重な映像の上映とトーク、ライブは大阪と東京の電子音楽家6名での演奏されました。その後阿木さんのブリコラージュがあり全3部構成で構成されたイベントでした。(ARMS、Yuri Urano、Isolate Line、MADEGG、Yui ONODERA、Akihiko MATSUMOTO)

六本木[ 0g night: do Bloom in the Silence ]

【阿木譲から受けた影響】

○阿木さんとの出会いが音楽家Isolate Lineに与えた影響や今に繋がることを聞かせてください。

●まずは、今も制作やライブ活動を続けているのは、阿木さんとの出会いが無ければあり得なかったと思います。2012年10月の「graphic notation」に参加するまで、Isolate Line の活動はほぼ休止状態でしたが、イベントに頻繁に呼んでもらえたので新曲を作るようになっていきました。また阿木さんを通じて知った音(modern Love、stroboscopic Artefacts、modal analysis、hidden hawaii、Samurai horo 等)が、今のIsolate Line の音になっているのは間違いありません。

○初めてIsolate Lineの音を聴いたときには、EMPTYSETの音響をイメージしました。
阿木さんが音源を紹介する際は、単に音楽がカッコいいというだけではなく言葉を伴って説明をしていたと思いますが、どのように受け取っていましたか?

● EMPTYSETは強く影響を受けたアーティストの1組です。『Material』を紹介した文章の中では、その制作工程についても触れられており、同様の音響実験がしたくて営業時間外の店を借りて録音した事もありました。

○トーチカから覗いた風景ジャケットの作品ですね。阿木さんのEMPTYSET評も面白いと思います。また泉森さんの音作りの話を通して、阿木さんとの繋がりも良くわかります。ところで、ブログで書かれているのは阿木さんの「音楽評論」ですが、これらについてはどのような感想をお持ちでしょうか。

●新しい音を探す時は阿木さんのブログを読んで、国内外問わずレコードや音源を買い漁っていました。
とにかく知的で芸術性の高い文章を書かれる方で、いつブログを止めるか分からなかった為、記事をコピーして繰り返し読んでいました。

○「いつブログを止めるか分からなかった為」と感じられていたのはどうして? それまでにも経験したのですか?

●阿木さんがよく仰ってたんですよ。「いつブログを止めるか分からないよ。今のうちコピーするならしておきなさい」と(笑)

○なるほど(笑い)。前のものにこだわっていると次のステップにはいけないと公言している人ですからね。
そんな阿木さんと出会って、会話から記憶に残っている具体的なやりとりや言葉はありますか?

●僕のライブは作品同様にストーリーに重点を置いており、メロディラインのある曲や、ライブの構成の中に突然ピアノのインストを入れるなど緩急を意識してた為か、「お前はロマンチストだなぁ」とよく言われてました。
後は、文脈は覚えてないのですが、イベント「Minimalu Fluid」の後に「お前は天才ってやつだな」と珍しく褒めていただいたのを覚えています。確かにミックスのバランスがよく音が分離していて聴きやすかった気がします。
後は音楽を言語化する事と発信する時には連続性が重要だと仰っていました。

○阿木さんのブリコラージュには行ってましたか?
そもそもブリコラージュとは、構造人類学者クロード・レヴィ=ストロースが『野生の思考』で使っていた言葉ですね。未開の民族が、生活に使っている道具を計画性や理念に裏付けられていない使い方をするための方法です。つまりその場の状況に応じて、限られた道具を組み合わせることにより、新しい価値を産み出すような概念です。それらの道具は、通常の使用用途に戻されます。いわば身の丈に合った組み合わせの技術なんです。

●阿木さんがブリコラージュという言葉を使わなかったら、知らなかった言葉ですね(笑)

○そうなんですよね(笑)。0gで知り合った人から「嘉ノ海さん、阿木さんのブリコラージュに行きました?」って聞かれて、えっ何ってなりました(笑)。一瞬レヴィ=ストロースが阿木さんと何の関係があるのかと。でも少し考えたら阿木さんらしいなあと思いました。

●阿波座に住んでいた時に家から徒歩5分の場所に「nu things」があったので、ブリコラージュはよく通ってました。ライブ録音したCD-R音源が来場者に配られることもあり、ブログを読む時のように新しい音欲しさに通い、かけておられる曲について何かと質問をしてました。「君たちのやっている音は古いから、早くここまで来なさい。僕は明日になれば別の場所にいるけど」とよく笑いながら仰っていました。

【晩年の阿木譲について】

○さて結局、阿木さんが生きている間にremodelは再始動しませんでした。
泉森さんはどのように、阿木さんの晩年をどのように見ていましたか?

●2015年7月に仕事の都合で大阪から東京へ転勤となりました。辞令が出た夜に阿木さんに電話して転勤の報告をしました。出られた瞬間、知っていたかのように「東京か…」と言われたのを覚えています。その後は東京へ行く前に0gで集大成のようなイベントをやっていけと言われました。平日の7月28日に行ない、阿木さんと直接言葉を交わしたのは、その日が最後でした。最後は東京でも頑張れよというたわいもない会話でした。

○2015という年は、3月に0gがオープンし、8月にがんの手術をしている。その直前ですね。阿木さんの様子はどうでしたか?

●体調が悪いのか、少し元気がない様子でした。0gに行けばいつもいらっしゃる印象でしたが、イベントに顔を出す回数も減っていたように思います。

○東京に転勤してからはどのよう見ておられたのですか?

●東京へ行ってからは、ブログとTwitterだけが阿木さんからの情報を得る媒体でした。僅か3年ばかりの時を共有した阿木さんでしたが、その当時は本業の仕事も忙しく、また東京という新天地に移った事もあり、阿木さんの強制力から解放された気がしていました。その3年後にまさか他界されるとは、この頃は想像も付きませんでした。いずれは大阪に戻ると思っていたので、大きくなった姿を見せようと思って日々を過ごしていました。

○泉森さんにとっての0Gという場所性については、どのように思われていますか?
つまりライブとは?音楽を共有する空間について聞かせてください。

●あらゆる音源が聴くものではなく体感するものだと考えています。阿木さんという存在や0gという場所が音楽家の感性を磨きあげ、ライブしフィードバックを受けて音を磨き、またライブするというサイクルが回っていたと思います。阿木さんはもうこの世にいらっしゃいませんが0gという場所は僕にとって帰るべきホームだと思っています。今も0gで活躍している仲間を見て羨ましく感じています。

○特にIsolate Lineの作り出す音響は、それを体験するには、それなりの音響機材が必要ですよね。

●表現の本質はライブにあり、音源という枠の中ではどうしても越えれないものを感じます。
あらゆる感情を同時に表現する事が僕にとっての究極であり、ソレはライブ以外では表現できないものだと思っています。

○ライブとはなんでしょう。聴いている者が同じ空間を共有する。デヴィッド・チュードアがライブ・エレクトロニクスとは作曲の一形態だといいましたが、新しい音楽空間ということでしょうか?

●新しい音楽空間なのかもしれませんね。演奏者と聴いている者が同じ空間を共有し、その場の空気や感覚をリアルタイムに音へフィードバックする。それがライブなんだと思います。

【Isolate Lineについて】

○最後に2つ質問をさせてください。まず今後の活動のプランを教えてください。

●2タイトル発表後は、自主レーベルを発足し、そこからの音源リリースを考えています。2タイトルとは異なるコンセプトの実験性に重きを置いたモジュラーシンセのみの音源を11月に発表しようとおもっています。その後は、Isolate Line以外の自身のユニットやプロデュースしているアーティストの音源をリリースするつもりです。また次のアルバムは「死と孤独」をテーマにしたアルバムを作りたいと考えています。

○もうひとつは、他のミュージシャンにも聞いた質問です。
新型コロナ・ウイルス=パンデミックの同時代に対して、どのような感想を持っていますか?
生きている間にこのような時代(世界が民族や言語を超えて同時に同じ惨禍にある)と対峙することは、幸運にも(失礼)そうあることではありません。

●少し宗教じみた考えかもしれませんが、神に近づこうとしたバベルの民が言葉を乱されて世界中に拡散したのち、人類は再びネットの力を使って一つになろうとしてきました。(ネットは地球を張り巡らすように地球という一つの生命体に近づこうとしていた)ソレに対する、神からの新たな試練のように考えています。人は地上から離れらないように、コミュニケーションの本質は直接の対話にあると考えています。ソレを妨げるウィルスは人類への究極の試練であり挑戦なんだと思います。

○面白い視点だと思います。「人は地上から離れらないように」というのは、最新作『2021: A space odyssey』とも共通していますね。重力がない状態では、確実に意識変化も起きると思います。地上でも変性意識状態は起きますからね。ウイルスは40億年前に生命が誕生したときから、生命に作用しながら変異を繰り返してきたのでしょう。

●そうですね。生命誕生から繰り返されてきた事なんだと思います。

○僕が知らなかった、晩年の阿木さんに少し触れた気がしました。いきなりの質問にも答えていただきありがとうございました。是非近いうちにライブでお会いしましょう。楽しみにしております。

●ありがとうございます。是非ライブでお会いしましょう。

【改めて阿木譲のこと・・・インタビューを終わって】

○泉森さんにとって阿木譲とはどんな人物だったのか。

●とにかく優しい人でした。そして高い理想を持ちソレを実現する為の覚悟を求める方でした。自分がどうなりたいのか、何をしたいのか、実現する為には何をすれば良いのか。阿木さんのいう事が全てでは無かったとは思いますが、少なくとも何の変化もない日々の中で自己満足を繰り返す事に比べると、確かな方法論の一つを示してくれていたのだと思います。
強制力とスピード感が半端ないので理解できていても付いていけるかは別ですが(笑)

【Isolate Lineの仕事】

○2020年5月リリースのremodel 07 V.A.『a sign 2』の「Belsomra」「Abilify」について

●BelsomraとAbilifyは両曲ともモジュラーシンセのみを使用して作った音源です。何でも自由に作れるソフトウェアから、ある意味の足枷(モジュラーシンセの操作性への不慣れ)がある状態で、どこまで、Isolate Line のサウンドが作れるかの挑戦的な曲となっています。因みに2曲とも、僕が心療内科でもらっている薬の名前です。精神的に追い込まれている状況下でモジュラーシンセでの実験により産まれました。

○2021年10月15日リリースのremodel XX 『INTERSTELLAR』、shrine.jp SRSW 493 『2021: A space odyssey』について

●『INTERSTELLAR』と『2021:A space odyssey』はテーマを共にする連作となります。前編後編の関係です。メインコンセプトはテクノロジー(実験)とタイムレス(永続)です。架空のSF映画のサウンドトラックをテーマとし、楽曲が織りなすストーリーを構成しており、アルバムの中心となるGravityシリーズは、『INTERSTELLAR』に収録のGravity_zeroと合わせて4編で構成し起承転結を表現しています。それぞれの楽曲は偶然性からの破壊/再構築で制作。
偶然性=ランダムシーケンスやモジュラーシンセ、オーディオ加工による音響実験を試みています。そして実験で得られた音に情景や感情を織り込み楽曲へ昇華しています。

【Isolate Lineへの個人的な質問】

○好きな作家や作品について教えてください。最近読んだ本は?

●実はあまり本を読みません…。おすすめの本があれば教えていただきたいくらいです。映画は好きでよく見るのですが…。

○じゃあ(笑)、最近観た中で一番良かった映画は?またベスト5を教えてください(笑)

● Ari Aster監督の『Mid summer』が最近見た映画では1番良かったですね。カルトをテーマにしたホラーで、舞台が白夜のスウェーデンということもあり視覚的には明るいのですが、それが逆に恐怖を助長している映画です。
これまで見た映画で言うと…ベスト5を絞るのが難しいのですがSFを中心に、Christopher Nolan監督の『Interstellar』『Inseption』、Denis Villeneuve監督の『Arrival』『Blade Runner 2049』、Darren Aronofsky監督の『π』等はサウンドトラック含めて好きですね。

○インタビューを終わって
「阿木譲の光と影」というテーマで、泉森さんの話を聞きたかったのだが、ミュージシャンからリスペクトされている阿木さん像が浮かび上がってきた。
阿木さんは、泉森さんが大阪から東京へと居を移した年にがんの手術し、その後全身にがんが転移して3年後に死去した。阿木さんが残したものは金銭を含め何もなかったが、今でも彼らの指標の一部になっていることは間違いなさそうである。つまり阿木さんとの出会いやイベントなどを通じて共同作業をすることにより化学反応が起き、その受肉した魂が変化しながら生き続けているということなのだろう。
そもそも音は生まれたら空気を通して振動しはじめるが、その瞬間から減衰していく。しかし残響を通して、記憶という闇の中で音は貼りついてしまい、その音は言葉への昇華される。阿木さんがいったように言葉は記号(シーニュ)でしかないのだが、創作活動という労働を通して言葉は、魂へと再生産されるのかも知れない。

2012/11/30-12/2 (fri-sun)
Sound Art – A Biological Speaker –
11/30 (fri) 19:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
LIVE:
Takanori
tape libido

Bricolage:
AGI Yuzuru

12/a1 (sat) 17:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
LIVE:
Yuki Aoe
DEATH FLAMINGO into the memai
Masataka Nagano + kazuto yokokura
[yakan]
masaru saito

Bricolage:
AGI Yuzuru

Visual:
Paravora

12/2 (sun) 17:00-22:00 2000yen(inc 1drink)
LIVE:
PSYCHOLONICA
Kyohei Hayashi
Isolate Line

Bricolage:
AGI Yuzuru
Visual:
イケグチタカヨシ

ーー

2013/1/25&26 (fri&sat)
Chaos Theory
25 (fri) 19:00-22:00 2000yen(inc 1drink)
LIVE: Isolateline / ネオジオ.シンプル
Installation: 森山雅夫

26 (sat) 18:30-23:00 2000yen(inc 1drink))
LIVE: Kezzardrix / Yuki Aoe / kazuto yokokura / Takanori / takecha
Installation: 森山雅夫

「人間は、たとえ物理現象を完全に解明したとしても、初期値を完全に観測できないので、決して未来を予測できない」という結論で大きな衝撃を与えた「カオス理論」。
ラップトップでプログラムされた音楽や演奏でも、条件や状況が変わればすべてが同じように再生されることはない。
この2つが不思議と符合するではないか。

カオス理論 参考url: http://www.h5.dion.ne.jp/~terun/doc/kaosu.html

ーー

2013/2/22-24 (fri-sun)
Biological Speaker
昨年11/30-12/2にサウンドアートと音響空間デザインというコンセプトの下、音楽を聴く環境そのものを100台以上のスピーカーをフロアの床に配置してアーティストの演奏する音響を空気の振動としてバイオロジカルに聴き取る空間をnu thingsに現出させた[ Biological Speaker ]。
その第2回目の開催が早くも決定!

22 (fri) 19:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
bricolage:
AGI Yuzuru
DJ:
Yuki Aoe
Visual:
Paravora

23 (sat) 18:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
LIVE:
masaru saito
Unyo303
Isolate Line
kazuto yokokura
Fumiaki Nagasawa
Pineart
hideo nasasako

24 (sun) 18:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
diatribes(from Swiss)
NASAA
∠yuLLiPPe
Taiki Masai

ーーー

2013/4/27&28 (sat&sun) open 18:00 / start 18:30 2000yen(inc 1drink)
Minimal Fluid

27 (sat)
LIVE:
Unyo303
masaru saito
masataka nagano&kazuto yokokura
Yuki Aoe

VISUAL:
Paravora

28 (sun)
LIVE:
Isolate Line
Taiki Masai
junya tokuda
NASAA
MINE
Takecha

ーーー

2013/6/22 (sat) 17:00-23:00 2000yen(inc 1drink+先着30名様にWhereabouts Recordsのレーベルサンプラーをプレゼント)
Minimal Fluid

LIVE:
Yui Onodera
Yuki Aoe
Taiki Masai
NASAA
junya tokuda
kazuto yokokura
Isolate Line

ーーー

2013/7/29-8/2 (mon-fri) 19:00-23:00 1000yen(no drink)
Galileo Galilei
ACT: Isolate Line / Yuki Aoe / NASAA / Taiki Masai / kazuto yokokura / AGI Yuzuru

ーーー

2013/8/30,31,9/1 (fri,sat,sun)
Rhizomatic Structures

30 (fri) 19:30-23:00 2000yen(inc 1drink)
ACT: Isolate Line / ARMS/ MINE / and more…

31 (sat) 18:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
ACT: ロマンチカ學校 / kazuto yokokura / ARMS / and more…

9/1 (sun) 18:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
ACT: ARMS / masaru saito / ∠yuLLiPPe / DJ 101 / and more…

ーーー

2013/10/19&20 (sat&sun) 18:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
shin akiyama dmx sculpture: compositions for “nu things“ – Minimal Fluid –
19 (sat)
dmx sculpture: shin akiyama
LIVE: Isolate Line / ARMS / masaru saito / Route09
bricolage: AGI Yuzuru

20 (sun)
dmx sculpture: shin akiyama
LIVE:∠yuLLiPPe / S-Noi / Unyo303 / [yakan]
bricolage: AGI Yuzuru

ーーー

2013/12/14 (sat) 18:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
incidences
LIVE: Ryo Murakami / ARMS / junya tokuda / Isolate Line / masaru saito / Yuki Aoe

ーーー

2013/12/29 (sun) 18:00-23:00 2000yen(inc 1drink)
Minimal Fluid
LIVE: Isolate Line / [yakan] / ロマンチカ學校 / SAYONARA NEURON / Tree And Water / methodctrl.

泉森 宏泰 -Hiroyasu Izumori-