TERRY RILEY

TERRY RILEY
JOHN CALE


KLINGKLANG 13
「ジャズ的なるものから」エクスペリメンタル・ミュージックへの回顧 06

TERRY RILEY
テリー・ライリーは'35年カリフォルニア/コルファックスで生まれる。サンフランシスコのバーバリー・コーストにあるゴールド・ストリート・サロンで夜はラグタイム/ピアノを弾いてバークレーを拠点に活動していた。サンフランシスコ州立大学で作曲の修士号をとった後2年間ヨーロッパに渡り、Place
TERRY RILEY / IN C ( MS 7178 )
PugalleのFred Payve's Artist's Barでピアノを弾き、フランスやスカンジナヴィア半島にまで旅したりしている。キーボード奏者、ソプラノ・サクソフォン奏者の彼は、 "オールナイト・コンサート " と名付けたエレクトロニクスやリードオルガン、テープを用いたパフォーマンスを展開したり、地元サンフランシスコで知り合ったロバート・ベンソン、アン・ハルプリン、ラ・モンテ・ヤングなどとの合作/コンサートを
展開していた。" In C " の他、彼の初期の作品にはあらゆるキーボードのための" The Keyboard Studies " 、スウェディッシュ・ラジオとストックフォルムのロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックの委託によるナイチのための管弦楽伴奏の合唱隊のための曲 " Olson III " 、多様なテープによるディレイ操作を含むサクソフォンのための曲 " Poppy Nogood's Phantom Band " 、カンサス・シティのマジック・シアター・ショーの委託による9つの曲 " The Time-Lag Accumulatey " などがある。 " In C " は、'64年にサンフランシスコで作曲され、楽譜はただの・・に過ぎなく、これはどんなアマチュアでもアンサンブルでも簡単に演奏できるものだが、即興演奏ができ互いの音を聴きながら発展していける能力のあるミュージシャンが演奏してくれれば最高だと、彼は述べている。楽譜のなかにはパルスと題されるピアノ・パートが入っていないが、ピアノは演奏が続く間、キーボードの上の2つのC音をオクターブの8分音符で終始強く叩かれ、アンサンブルのメンバーはそれぞれパルスに
合わせて楽譜の53の音型に達したときにはダウンビートを置き、どれくらいの割合でどれくらい長く休止するかは奏者しだいだ・・・などと説明されている。個人的には、テリー・ライリーの音楽はインド古典声楽の名人Pandit Pran Nathの影響が濃くなった70年代後半には興味を無くしてしまっていたが、ジョン・ケイルとのコラボレーション" Church Of Anthrax " もミニマルとか現代音楽とかじゃなくジャズ・ロックと言った方がいい作品で、テリー・ライリーのサックスもジャズ・ミュージシャンとしての即興演奏、ジャズのエネルギーに満ちている。ジョン・ケイルはヴェルヴェット・アンダーグラウンド以前には元々現代音楽寄りのアーティストだったのだが、このアルバムは

Terry Riley - Repetitive Music Godfather

ウェールズ人ジョン・ケイルらしいAdam Millerのヴォーカルがフィーチャーされた " The Soul Of Patrick Lee " など、ケルトの自然すらも感じられるジャズ・ロックとカテゴライズすべきだろう。テリー・ライリー自身はこのコラボレーション作品を、それほど満足していないというのも頷ける。しかし、当時テリー・ライリーの音楽を聴いていた人の多くは現代音楽ファンではなく、ロック・ファンだったのだ。最近の彼の音楽はどんなものなのか聴いていないので分からないが、テリー・ライリーの初期の音楽は、詩人のアレン・ギンズバーグやゲーリー・スナイダーなどにみられる60年代のピッピー・カルチャーに根ざした自然と愛と平和と芸術と自由を愛するニューエイジ、ナチュラリズム、トランス神秘主義、エコロジカルな世界観が謳われたものと、ボクは解しているが。音楽的には東欧の民俗音楽の、ある種の音楽的パターンを続けて何度も繰り返す事をさすオスティナート ( ostinato / がんこな、執拗な ) ・テクニックの、リズムパターンや音程/和音の反復とゴシック/バロック世界、単刀直入に言えば永遠の時間が流れエクスタシーへと誘う " トリップ・ミュージック" こそがテリー・ライリーのミニマル・ミュージックだった。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドからウェストコースト・ジャズ・トランペッターのチェット・ベイカー、クラフトワーク、ブライアン・イーノなど多くのアーティストに影響を与えたテリー・ライリーの反復性音楽であった。

http://www.terryriley.com/

TERRY RILEY / IN C ( MS 7178 )
Music of Our Time
A: In C
B: In C
Terry Riley - leader and saxophone
with members of the Center of the Creative and Performing Arts in the State University of New York at Buffalo: Margaret Hassell,
The Pluse; Lawrence Singer, Oboe;
Darlene Reynard, Bssoon; Jon Hassell, Trumpet;
Jerry Kirkbride, Clarinet;
David Shostac, Flute;
David Rosenboom, Viola;
Stuart Dempster, Trombone;
Edward Burnham, Vibraphone;
Jan Williams, Marimbaphone
produced by David Behrman
engineering: Fred Plaut, Russ Payne
recorded at 30th Street Studio, New York Cuty, 1968
notes by Paul Williams, editor and publisher " Crawdaddy " Magazine
cover art: Bill Bryant
The Score of " In C " copyright ⓒ Terry Riley 1964
COLOMBIA MASTERWORKs 1968

In C by Terry Riley - original recording - Part 1
http://www.youtube.com/watch?v=OjR4QYsa9nE

Terry Riley's In C with 124 musicians (Excerpt)
http://www.youtube.com/watch?v=vJSEcoeCgus&NR=1

JOHN CALE AND TERRY RILEY / CHURCH OF ANTHRAX ( S 64259 )
A: 1. Church Of Antrax
2. The Hall Of Mirrors In The Palace At Versailles
B: 1. The Soul Of Patrick Lee ( vocals - Adam Miller )
2. Ides Of March
3. The Protege
produced by John Cale and John
McClure
Terry Riley - piano, organ, soprano saxophone
John Cale - bass, harpsichord, piano, guitar, viola, organ, liner notes
engineer : Don Meehan
cover art: Kim Whitesides
cover design: John Berg, Richard Mantel
photography: Don Hunstein
CBS 1970

TERRY RILEY / A RAINBOW IN CURVED AIR ( CBS 64564 )
A: A Rainbow In Curved Air
B: Poppy Nogood And The Phantom Band
all the music on this recording is played by Terry. in A Rainbow he plays electric organ, electric harpsichord, rocksichord, dumbec and tambourine
Poppy Nogood is for soprano saxophone and electric organ
The Spatially separated mirror images were adapted for studio recording
by Glen Kolotkin and resemble the sound Terry Gets in his all-night concerts
produced by David Behrman
engineering: Glen Kolotkin, Roy Segal
front cover montage: John Berg
back cover illustration: Virginia Team
CBS 1971
ロックバンド・ザ・フーのギタリスト・ピート・タウンゼントのシンセサイザーパートに霊感を与えたといわれた " A Rainbow in Curved Air " 。ここではライリーがすべての楽器を演奏している。ライナーノーツには当時の時代を反映した " すべての戦争は終わった。ペンタゴンもその役割を終えて、赤、黄、緑に塗られた。国旗が縫い合わされて、明るいサーカスのテントが作られた。政治家はここで無邪気にサーカスの出し物をするのだ " という散文詩が書かれている。ライリーはオリエンタリズムに理想郷を見たのだろうか。サイケデリアなユートピア志向か・・。イギリスの思想家トマス・モアの唱えたユートピアは500マイル×200マイルの巨大な三日月型の島にあり、住民はみな白くて美しい清潔な衣装を着け、財産を私有せず、必要なものがあるときには共同の倉庫のものを使い、人々は勤労の義務を有し、日頃は6時間の農業にいそしみ、空いた時間に芸術や科学研究を行うという、まるで共産主義思想の理想像のようなものだけど、我々の経済至上主義世界は、ひとへの妬みや中傷、欲望が渦巻く、まるで地獄のようだね。近代化のつけとしての、おそらくこの資本主義世界の破綻も近いことだろう。そうした悪夢のような混沌とした未来世界こそがユートピアだというひともいるし、北朝鮮のような非人間的な管理社会があるいは人間にとってのユートピア世界だというひともいる。いづれにせよ、我々は愛だけが救済の、地獄に生を受けたのだ。

Terry Riley - A Rainbow in a curved air - 1969
http://www.youtube.com/watch?v=jVKzpkueTIQ

Terry Riley: A Rainbow in Curved Air
http://www.youtube.com/watch?v=apxuRKWmEJs

TERRY RILEY / HAPPY ENDING ( F 46. 125 )
A: Journey From The Death Of A Friend
B: Happy Ending
produced by Igor Wakhevitch
music for Joel Santoni's film "LES YEUX FERMES". Recorded at the Strawberry Studio, Château d'Hérouville, France, in March-April 1972
photography by Bernard Perrine
WARNER BROS. RECORDS 1972
'72年にジョエル・サントーニ監督の " Les Yeux Fermes " という映画のために書き下ろされた楽曲。俗世界から脱するため、目を閉じて生きる決意をした男を描いたストーリー。テリー・ライリーのサントラは、80年代までは、'72年のこの作品と、'74年の " Lifespan " でのAlexander Whitelaw監督の "Lifespan"、そして'86年のAlain Tanner監督 " No Man's Land " の3作だけである。

Terry Riley - Journey From The Death Of A Friend {Part 1 of 2}
http://www.youtube.com/watch?v=EvRBoKaBeKA

TERRY RILEY / PERSIAN SUGERY DERVISHES ( 83.501 • 83.502 )
Performance one
interpretation en public
le 18 avril 1971 a Los Angeles
producteur delegue pour Shandar : Bruce Conner
ingenieur du son: Patric Clesson
Face 1: Performance One, Part 1
Face 2: Performance One, Part 2
performance two
interpretation en public
le 24 mai 1972 a Paris
concert organise et enregistre par Shandar
au Theatre de la musique
Face 1: Performance Two, Part 1
Face 2: Performance Two, Part 2
composition & improvisations:
Terry Riley ( electric organ + feed back )
SHANDAR 1972
音響のきめと、そのパターンと、情感、それらが延々と続く今日のドローンやフィールド・レコーディングの始まり、それがテリー・ライリーの音響だった。聴き手にギミックや衝撃を与え知覚のなかに強引に滑り込ませようという意図のない音楽は、延々と自分の姿を鏡で、または紡がれた織物をみるような、あるいはカフェに座り窓の外の光景を眺めるように世界の表層をただ客観的に見ているうちに過ぎる時間のようなものだろう。ボクはこうした音響は嫌いじゃない。だけど、ここには音楽によって発展していくなにものもないのだ。音楽の体験を耳だけでするひとのための音楽。フランスのShandarからリリースされた、71年のロスでのライブと72年のパリでのライブ音源を収録した2枚組。

TERRY RILEY/PERSIAN SURGERY DERVISHES
http://www.youtube.com/watch?v=NA5R6MF3UZU

TERRY RILEY / LIFESPAN ( ST 1011 )
Original Soundtrack Of Alexander Whitelaw's Film " Le Secret De La Vie "
Face 1: G. Song
Mice
Slow Melody In Bhairavi
In The Summer
Face 2: The Oldtimer
Delay
musique composee et interpretee par
Terry Riley
une production Alexander Whitelaw et Jean-Marie Leduc
*Avec Hiram Killer / Tina Aumont / Klaus Kinski
STIPRECORD 1975

G Song - Terry Riley and Kronos Quartet
http://www.youtube.com/watch?v=hc3Z83whwus

TERRY RILEY / SHRI CAMEL ( M 35164 )
A: 1. Anthem Of The Trinity
2. Celestial Valley
B: 1. Across The Lake Of The Ancient Word
2. Desert Of Ice
producer, composed, organ ( Yamaha Yc-45-d electronic organ ), Computer ( digital delay ) - Terry Riley
technician ( electronic design, technical assistance ) - Chet Wood
engineer - Don Cody
cover art - Barbara Zolotl, Bernard Zolotl
all selections composed and performed live by Terry Riley on a Yamaha YC-45-D electronic organ tuned in just intonation and modified by computerized digital delay
CBS MASTERWORKS 1980
西洋と東洋との融合だと言ってヤマハ・オルガンにディレイをかけて演奏しているインドの古典音楽を思わせるこの作品の頃から、テリー・ライリーの音楽に興味が持てなくなってきたのはなぜだろう。ボクは民族主義的な音楽や言語、文化、宗教などの伝統的世界観に価値を置く情緒的なベクトルを嫌悪している。ニッポン人としてのアイデンティティすらなき今、むしろ異文化がぶつかり、新たな意味を構成していくグローバル化の流れに身を置く方がいい。先端の音楽はすべてハイブリッドで多国籍な寄せ集めから生まれ、生物の多様性や他の生物の細胞を利用して、自己を複製させ突然変異して増殖していくウィルスにも似たものだと思っているからか・・?。

Terry Riley - Across the Lake of the Ancient Word
http://www.youtube.com/watch?v=XmivdLr6DXM

TERRY RILEY / DESCENDING MOONSHINE DERVISHES ( KUCK 047 )
A: Part 1
B: Part 2
Terry Riley : synthesizer, vocals, main performer, liner notes
Stephen Hill: remastering
Ulrich Kraus: engineer
Roberto Masotti: photography
Helmut Zimmermann: illustration
KUCKUCK 1982
テリー・ライリーの75年のライブ・パフォーマンスを収録したもの。

TERRY RILEY / NO MAN'S LAND ( PL 1267-17 )
A: 1. Jewel Movement
2. Medusa's Refrain (Part Two)
3. A Spark From The Infinite (Part Two)
4. Return From The Dream Collector
B: 1. Jaipur Local
2. Blue Anthem
3. A Spark From The Infinite (Part One)
4. Medusa's Refrain (Part One)
Krishna Bhatt - sitar, tabla
Terry Riley - prophet V synthesizer, piano, vocals
all selections composed by Terry Riley
recorded & mixed at Aquarius Studio in nov. 84
engineered by Jean Ristori
a co-production Terry Riley & Jean-Claude Camelia
with the co-operation of Alain Tanner & Plainisphare
cover design & artwork : Jean-Pierre Dattner, Patric Luscher & Jean-Claude Camelia
made in Switzerland
PLAINIS PHARE 1986
Alain Tanner監督 " No Man's Land " のオリジナル・サウンド・トラック。シタール/タブラ奏者Krishna Bhattとのコラボレーションによるタブラとシタールによるインディアン・パーカッションをバックにテリー・ライリーのピアノとサイケデリックなシンセサイザー・ソロが絡み、彼のヴォーカルも聴ける。

Terry Riley youtube
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=TERRY+RILEY&aq=f

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2009年06月24日 00:35 に投稿されたエントリーのページです。

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