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MERZBOW New Series

Often described as synonymous with ”Noise”, Merzbow has experimented with many things in its more than 40 years of activity.

Slowdown Records has developed a close friendship with Merzbow. He has released several original albums on the label, including 3RENSA, a collaboration with duenn and Nyantora released in 2017, as well as Kaoscitron, Kaerutope, Indigo Dada, Sparrow Color 1, and Sparrow Color 2. And from 2018 to 2022, we have developed a lengthy ”Slowdown Archive Series” that ultimately resulted in a lineup of 16 chapters (96 albums).

And this 2024, Slowdown Records is launching a new series that will extend Merzbow’s omnipresence. The series is unique in that it will be released exclusively in the form of digital albums on Bandcamp. This format may come as a surprise to many, as Merzbow has stubbornly emphasized the importance of physical media in the release of its work in the past. Akita, however, does not completely rule out the possibility that the works in this series will later be released in other media as well. However, this article will consider the impact on Merzbow’s discography of the quirkiness of the digital-only release, at least for the time being.

The tracks will be primarily selected by Masami Akita himself from previously unreleased material. In other words, this series can be seen as a continuation of the “Merzbox” 50-CD box set and the “Slowdown Archive Series,” in which Merzbow has quantitatively demonstrated the ungraspable nature of this project. And because it will be in digital format only, this series will be even more striking in its endlessly proliferating aspect.

The sheer volume of work that Merzbow has released on cassette, vinyl, CD, and various other media is legendary. It would be no exaggeration to say that the sheer vastness of it all is beyond recognition, as it is very difficult to grasp, let alone actually listen to or acquire. In short, Merzbow is ubiquitous in every aspect of the widely distributed media used to record sound. The content rate is staggering for a single individual activity. In the digital realm, many of Merzbow’s recent works have also been released as digital albums, and a variety of past works (1980s to the 2020s) are available through subscription services. However, when Merzbow has released digitally, it has most often been simultaneously released on physical media. It was very rare for a “digitalonly” release. So, this series will add a new dimension to Merzbow’s omnipresence.

In addition, an integral part of the series is the AI-created artwork by Masami Akita. Artwork has always been an important part of Merzbow’s work, along with sound. Collages and architectural photographs have suggested his backbone, while photographs and drawings of animals have conveyed changing thoughts and interests.

The new trend of using AI impresses us with the speed with which he incorporates new technologies into his work. He has often made bold decisions, such as switching to playing on his laptop at the end of the 1990s. Such flexibility is part of Merzbow’s “extreme” nature.

yorosz (aka Shuta Hiraki)

MERZBOW New Series

時にノイズ・ミュージックの代名詞のようにも語られ、極端に歪んだ響きを多用しつつ、40年以上に及ぶ活動の中で数多の試みを行ってきたメルツバウ。

そんなメルツバウとスローダウンレコーズの繋がりは深く、2017年にリリースされたduenn, Nyantoraとのコラボレーション作『3RENSA』を皮切りに、『Kaoscitron』『Kaerutope』『Indigo Dada』『雀色1』『雀色2』などのオリジナル・アルバム、そして2018年から2022年にかけては最終的に16章(1つの章は6つのアルバムで構成されるためトータルで96アルバム)ものラインナップとなった長大なアーカイブ・シリーズを展開してきた。

そしてこの2024年、このレーベルにて、メルツバウの遍在性を拡張するような、新たなシリーズがスタートする。本シリーズの特徴としてまず挙げなければならないのが、Bandcampでのデジタルアルバムという形式のみでリリースされることだろう。これまで作品のリリースにおいてはフィジカルメディアの存在を頑ななほどに重要視している印象のあったメルツバウだけに、本シリーズの在り方は、驚きをもって迎えられるかもしれない。秋田氏によると、本シリーズの作品が後に別のメディアでもリリースされる可能性はゼロではないということであったが、本稿では、少なくとも一旦は「デジタルのみ」でリリースされるという状況を前提に論を進めていく。

収録音源については、未発表音源から秋田昌美自身がセレクトしたトラックをメインに展開されていく予定である。つまりこのシリーズは、メルツバウがその「聴き切れなさ」、言い換えるなら「掴み切れない」在り様を物量的に示したといえる50枚組CDボックス『Merzbox』や16章に及ぶスローダウンレコーズのアーカイブ・シリーズに連なるものと捉えることができるだろう。そしてそれがデジタル領域のみで展開されるという性質上、本シリーズは『Merzbox』やスローダウン・アーカイブ・シリーズに比しても時に人知れず、際限なく増殖していく様相をより顕著に示すものとなるだろう。

語り草ともなっているが、メルツバウはこれまでカセット、レコード、CDをはじめ様々なメディアで、膨大な数の作品を世に放ってきた。その広がりは、実際に聴く、手に入れるといった段階以前の「把握する」というレベルですら難しい、ある種認識を超えたものといっても大げさではないだろう。いうなれば、メルツバウという存在は、少なくとも音を記録するものとして広く流通しているメディアのあらゆる局面に(一個人の活動としてはあまりにも)驚くべき含有率で、「遍在」していると捉えることができよう。デジタル領域においても、少なくとも近年のメルツバウのリリースは相当な割合がデジタルアルバムとしてもリリースされており、サブスクリプションサービスにおいても、(80年代から2020年代までに及ぶ)様々な過去作品がそこに存在している(しかし、それでもメルツバウのディスコグラフィーにあってはごく一部である)。

しかしながら特徴的なのが、メルツバウのデジタルアルバムは、まずフィジカルメディアでのリリースが存在しており、それと合わせて世に出されるという場合がほとんどで、「デジタルアルバムのみ」でのリリースは非常に少なかったという点だ。つまり今回のシリーズのデジタル領域のみでの展開は、メルツバウの「遍在性」に新たな局面をもたらすこととなるだろう。

加えて本シリーズの欠かせない要素となるのが、近年秋田昌美が試行しているAIを用いたイメージを使用したアートワークである。メルツバウ作品において、サウンドと共にアートワークはどの時代においても重要な位置を占めてきた。コラージュや建築の写真などで示される氏のバックボーン(これらの要素はメルツバウの名の源であるメルツ建築=メルツバウを生み出したクルト・シュヴィッタースの活動における象徴的な要素だ)、動物の写真や絵が示す思想や関心の変化といった例を見れば、その重要性は明らかだ。

しかしながらAIの使用というトピックがまず私に印象付けたのは、新たな技術の登場に対し、それがフレッシュなうちに向き合い、自身の表現へと組み込むそのスピード感だ。これはメルツバウのキャリアでは90年代の終わりに早くもアナログ機材を封印しラップトップでの演奏に切り替えた、あの大胆さを想起させずにおかない。そう、衰えることのない驚異的なリリースペースだけでなく、何らかの技術的な刷新や社会的な出来事へのリアクションなどを、そこに組み込んでいく/紐づけていくフレキシブルさもまた、メルツバウ「らしさ」を構成するものなのだ。

よろすず

SDRSW147 Merzbow『Fantail Vision』(6 CD BOX)

MERZBOW
『Fantail Vision』(6 CD BOX)

¥6,600(with tax)
SDRSW-147
2022年12月15日リリース

Amazon  https://amzn.to/3sDEnJy

メルツバウの新作アルバム6作をまとめたボックスが登場!本ボックス『Fantail Vision』は2020~2022年に制作されたメルツバウの新作アルバム『Mukogenerator』『Mukomodulator』『Mukotronics』『Hinawave』『Animal Matiere』『Magnetic Rain』の6作によって構成されている。収録音源には今回が初出しとなる録音だけでなく、一部Soundcloud, Bandcampでデジタル配信したものが含まれている。

<作品概要>
メルツバウの新作アルバム6作をまとめたボックスが登場!本ボックス『Fantail Vision』は2020~2022年に制作されたメルツバウの新作アルバム『Mukogenerator』『Mukomodulator』『Mukotronics』『Hinawave』『Animal Matiere』『Magnetic Rain』の6作によって構成されている。収録音源には今回が初出しとなる録音だけでなく、一部Soundcloud, Bandcampでデジタル配信したものが含まれている。メルツバウはスローダウンレコーズからこれまでに『Kaoscitron』(2017)、『Indigo Dada』(2019)、『Kaerutope』(2019)、『雀色1』(2020)、『雀色2』(2020)という5作のオリジナル・アルバムをリリースしているが(これらの作品は『2017−2020』というボックスにまとめられてる)、今作は時期的にもサウンド的にもそれに続くメルツバウの現在を知るにうってつけの音源集といえるだろう。

各作品の詳細は以下の通り
Disk 1: 『Mukogenerator』はMerzbowのSoundcloudでデジタル配信された音源のオリジナル・ヴァージョン。Soundcloudで配信されたのは試聴用の圧縮音源だったため本作は高音質版となる。
Disk 2: 『Mukomodulator』はイタリアのレーベルSuperpangより2021年にデジタル・リリースされた作品に追加音源を加えたアルバム。曲名は制作時のオリジナルを使用したため配信時の曲名とは異なっている。
Disk 3: 『Mukotronics』はMerzbowのSoundcloudでデジタル配信したもののオリジナル・ヴァージョンに追加音源を加えたアルバム。Soundcloudで配信されたのは試聴用の圧縮音源だったため本作は高音質版となる。
Disk 4: 『Hinawave』は1曲目「hinawave #1」はArcaのDiscordサーバーから発展しリリースされたコンピレーションアルバム『MUTANTS MIXTAPE』Vol.6収録曲の別Mix。
Disk 5: 『Animal Matiere』は2022年録音の新作。英Cold Springより2022年にリリースされたアルバム『Animal Liberation – Until Every Cage Is Empty』の未収録曲が含まれている。
Disk 6: 『Magnetic Rain』は2022年録音の新作。

よろすず

SDRSW146 Merzbow『New Ear Control』(6 CD BOX)

MERZBOW
『New Ear Control』(6 CD BOX)

¥6,600(with tax)
SDRSW-146
2022年11月18日リリース

Amazon  https://amzn.to/3xW56UU

2018年にスタートしたスローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズ、その第16弾となるボックス作品が登場!本ボックス〈New Ear Control〉はメルツバウの2016-2017年の音源を収めた6つのアルバム『Nil Cluster』『Lacrima』『Bluedron』『Orthogenesis』『450Q』『Noise5706』によって構成されている。この時期にメルツバウは『Aodron』(Automation Records, 2017)や『Eureka Moment』(Black Smoker Records, 2017)、『Hyakki Echo』(Dirter Promotions, 2017)、そしてSun Raの音源を素材として用いた『Strange City』(Cold Spring, 2016)などをリリースしており、本ボックスにはこれらの作品に近しいサウンドの演奏も含まれている。また収録音源は全て編集、オーバーダブなどを一切行っていない一発録りのものであり、録音後のミックスでは音量、定位などのバランス調整のみが行われている。

<作品概要>
2018年にスタートしたスローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズ、その第16弾となるボックス作品が登場!本ボックス〈New Ear Control〉はメルツバウの2016-2017年の音源を収めた6つのアルバム『Nil Cluster』『Lacrima』『Bluedron』『Orthogenesis』『450Q』『Noise5706』によって構成されている。スローダウン・レコーズのアーカイヴ・シリーズは2018年にスタートし、メルツバウの活動が始まった1979年の録音から年代順に音源をコンパイルしてきたが、今回のシリーズによってその年代はメルツバウが同レーベルよりリリースしたオリジナル・アルバム『Kaoscitron』(2017)の時期に追いつくこととなるため、年代順のアーカイヴは今回が最後となる。
この時期にメルツバウは『Aodron』(Automation Records, 2017)や『Eureka Moment』(Black Smoker Records, 2017)、『Hyakki Echo』(Dirter Promotions, 2017)、そしてSunRaの音源を素材として用いた『Strange City』(Cold Spring, 2016)などをリリースしており、本ボックスにはこれらの作品に近しいサウンドの演奏も含まれている。ゼロ年代半ばに再度アナログ機材を導入したメルツバウは2010年代に入ってからはそこに様々なガジェットシンセなども組み込み、多層的なドローンやシーケンサーによるフレーズなどをメルツ・サウンド=ノイズと掛け合わせることで作風の拡張(もしくはメルツ・サウンドによる種々の電子音楽技法への侵食)を見せてきた。そしてこの2016~2017年に至っては、新たに組み込まれてきた技法や音響とノイズとの境界線は融解し、まだらなテクスチャーのあらゆる音がノイズとして響く新たなメルツ・サウンドが確立されている。

各作品の詳細は以下の通り
Disc 1: 『Nil Cluster』はSun Raの音源を素材とした『Starange City』と同時期の録音。
Disc 2: 『Lacrima』は『Hyakki Echo』と同時期の音源。グラニュラー・シンセシスのコンピュ
ータ・ソフトによる制作。
Disc 3: 『Bluedron』は『Aodron』や『Eureka Moment』と同時期の音源。
Disc 4: 『Orthogenesis』はいくつかのパターンを試奏しているライブのリハーサル音源。
Disc 5: 『450Q』は新しいエフェクターの試奏を兼ねた習作と思われる音源。
Disc 6: 『Noise5706』は新しいエフェクターの試奏を兼ねた習作と思われる音源。
また収録音源は全て編集、オーバーダブなどを一切行っていない一発録りのものであり、録音後のミックスでは音量、定位などのバランス調整のみが行われている。

よろすず

SDRSW145 Merzbow『35 CD BOX』

MERZBOW
『35 CD BOX』

¥38,500(with tax)
SDRSW-145
2022年10月21日リリース

Amazon  https://amzn.to/3T6hZVd

2018年にスタートし、全15シリーズが発表されたスローダウン・レコーズによるメルツバウの未発表/発掘音源を収めたアーカイブ・シリーズ、その第11~15シリーズを集めたボックスが登場!本作『35 CD BOX』にはこのアーカイブ・シリーズの11~15弾シリーズ(各シリーズ6作×5シリーズ=30作)に、更に2017年から2020年にスローダウン・レコーズから発表されたメルツバウのオリジナル・アルバム5作からなる『2017-2020』(5CD)を加えた計35作が収録されている。アーカイブ・シリーズは1979年の録音から時系列順に発表されており、本ボックスの収録作では2006年以降、作風のうえではラップトップ・コンピュータのみによるライブを止めて再びアナログ機材を使うようになってからのメルツバウの様々な試みを辿ることができる。

<作品概要>
2018年よりスタートしたスローダウン・レコーズによるメルツバウの未発表/発掘音源を収めたアーカイブ・シリーズは、メルツバウが秋田昌美と水谷聖のデュオ編成で活動していた最初期の音源を集めた『Early Sessions 1979-1981』に始まり、2014~2015年の音源を収めた『After Hours』に至るまで全15シリーズが発表されている。
本作『35 CD BOX』はこのアーカイブ・シリーズの11~15弾シリーズ(各シリーズ6作×5シリーズ=30作)を集め、更に2017年から2020年にスローダウン・レコーズから発表されたメルツバウのオリジナル・アルバム5作からなる『2017-2020』(5CD)を加えたボックス・セットである。
これらのシリーズは1979年の録音から時系列順に発表されており、それぞれのシリーズは対応する時期の膨大な未発表音源などから何らかのコンセプトや音楽的特徴を意識して編纂されている。『35 CD BOX』収録の11~15シリーズでは2006年以降のメルツバウの試みを辿ることができる(1~10シリーズは『60CD BOX』に収録)。
収録シリーズの概要は以下の通り。
・ラップトップ・コンピュータのみによるライブを止めて再びアナログ機材を使うようになった2006~2007年の音源を収めた第11シリーズ『Arrangement』
・メルツバウがドラム演奏を取り入れた作風を展開した2008~2009年の音源を収めた第12シリーズ『Drum & Noise』
・東日本大震災への創作での反応、直接的なアニマル・ライツではないテーマへの移行の始まり、そして新たな機材(小型のオシレーター・シンセ、ドローン・マシーン、ミニ琴など)の導入などの動きを見せた2011~2012年の音源を収めた第13シリーズ『Horizon』
・2014年の未発表録音からシーケンサーをバックに演奏したものを集めた第14シリーズ『Double Beat Sequencer』
・スローダウンレコーズより発表されていたメルツバウのオリジナル・アルバム5作品をまとめた『2017-2020』
・2014~2015年の音源からシーケンサーを用いていない演奏を中心に集めた第15シリーズ『After Hours』

よろすず

CD1. Arrangement
CD2. Drum & Noise
CD3. Horizon
CD4. Double Beat Sequencer
CD5. 2017-2020
CD6. After Hours

SDRSW144 Merzbow『After Hours』(6 CD BOX)

MERZBOW
『After Hours』(6 CD BOX)

¥6,600(with tax)
SDRSW-144
2022年9月16日リリース

Amazon  https://amzn.to/3onmSva

2018年にスタートしたスローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズ、その第15弾としてリリースされた作品をまとめたボックスが登場!本ボックス〈After Hours〉にはメルツバウの2014~2015年の音源を集めた『Purple Fish』『Janus Guitar』『Beetle』『Seven Sides』『White Bird』『Persimmon Mask』の6作を収録。同時期の録音が含まれた前シリーズ〈Double Beat Sequencer〉ではシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められており、そちらには収まり切れなかったこの時期のメルツバウの様々な試行錯誤を拾い上げるには絶好の音源集となっている。

<作品概要>
2018年よりスタートしたメルツバウの未発表/発掘音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズ、その第15シリーズは2014~2015年の音源を集めた『Purple Fish』『Janus Guitar』『Beetle』『Seven Sides』『White Bird』『Persimmon Mask』の6作であった。そしてそれらをまとめたボックス作品がこの〈After Hours〉である。前シリーズ〈Double Beat Sequencer〉では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている(いくつかシーケンサーを使用しているトラックもある)。既出のオリジナルアルバムでは『Wildwood』(Dirter Promotions, 2015)や『Torus』(Jezgro, 2017)などが本シリーズと重なる時期の録音である。
本シリーズ〈After Hours〉の収録作品にはギターを用いたものや、僅かではあるがシーケンサーを用いたもの、コラボレーション用の素材として使用されたことのあるトラック、ガジェットシンセの使用が伺えるものなど多彩な特性や背景を持ったものが含まれている。演奏の方向性もギターやシーケンサーなど特段耳を引く要素が含まれるものがある一方で、ドローン的なサウンドが自然に組み込まれるようになっていたり、重奏的な音像を生み出したりとアルバム毎に変化の幅が大きい。
〈After Hours〉の録音時期は前シリーズ〈Double Beat Sequencer〉と重なるものでもあるため、本ボックスはそちらには収まり切れなかったこの時期のメルツバウの様々な試行錯誤を拾い上げるには絶好の音源集といえるだろう。

よろすず

CD1 Purple Fish
CD2 Janus Guitar
CD3 Beetle
CD4 Seven Sides
CD5 White Bird
CD6 Persimmon Mask

SDRSW143 Merzbow『Persimmon Mask』

MERZBOW
『Persimmon Mask』

¥2,200(with tax)
SDRSW-143
2022年3月18日リリース

Amazon  https://amzn.to/3LgYAgw

スローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズは第15弾に突入!今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている。本作『Persimmon Mask』には2015年9~10月に録音された5つの演奏を収録。周期的なうねりを持った低音やドローンなどによって形作られるキャンバスにひたすらノイズが塗り付けられる、焦点の絞られた演奏がコンパクトかつ高密度で収められている。

<作品概要>
これまで14のシリーズがリリースされているスローダウン・レコーズによるメルツバウの未発表音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズは第15弾に突入。
今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている(いくつかシーケンサーを使用しているトラックもある)。既出のオリジナルアルバムでは『Wildwood』(Dirter Promotions, 2015)や『Torus』(Jezgro, 2017)などが本シリーズと重なる時期の録音である。
本作『Persimmon Mask』には2015年9~10月に録音された5つの演奏を収録。
1曲目以外は10分以内とコンパクトにまとめられており、演奏の内容も周期的なうねりを持った低音やドローンなどによって形作られるキャンバスにひたすらノイズが塗り付けられる、焦点の絞られたものとなっている。唯一10分を超える1曲目も、野太いドローンの持続にノイズが絡みつく様相となっており、空間を支配するドローンの存在感に対しノイズがそれをこじ開けるように切り込む様がアルバム中でも特筆すべき緊張感を生んでいる。

よろすず

Track list
01. 15-10-2159a
02. 15-10-819
03. 15-10-533
04. 15-9-1302
05. 15-10-2159b

SDRSW142 Merzbow『White Bird』

MERZBOW
『White Bird』

¥2,200(with tax)
SDRSW-142
2022年3月18日リリース

Amazon  https://amzn.to/3B3UWSz

スローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズは第15弾に突入!今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている。本作『White Bird』には2015年3~9月に録音された3つの演奏を収録。それぞれの演奏はサウンドのバランスや展開などで大きく異なっており、この時期のメルツバウの機材や演奏の趣向の多面性が表れた内容となっている。

<作品概要>
これまで14のシリーズがリリースされているスローダウン・レコーズによるメルツバウの未発表音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズは第15弾に突入。
今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている(いくつかシーケンサーを使用しているトラックもある)。既出のオリジナルアルバムでは『Wildwood』(Dirter Promotions, 2015)や『Torus』(Jezgro, 2017)などが本シリーズと重なる時期の録音である。
本作『White Bird』には2015年3~9月に録音された3つの演奏を収録。
1曲目はガジェットシンセなどによるものと思われるドローンや反復性のあるサウンドとノイズが変化しながらも拮抗を保って進む緊張度の高い演奏、2曲目は一転してシーケンサーによるフレーズを中心にノイズが切り込んでくる演奏、そして3曲目は歪みの強いサウンドを複数用い終始荒々しい様相で突っ切る演奏と、この時期のメルツバウの機材や演奏の趣向の多面性が表れた内容となっている。

よろすず

Track list
01. 15-9-2047
02. 15-3-2058
03. 15-6-1207

SDRSW137 Merzbow『2017-2020』(5 CD BOX)

MERZBOW
『2017-2020』(5 CD BOX)

¥5,500(with tax)
SDRSW-137
2022年2月18日リリース

Amazon  https://amzn.to/3sSXqkj

スローダウンレコーズより発表されていたメルツバウのオリジナル・アルバム5作品をまとめたボックス・セットが登場!本ボックス『2017-2020』は2017年リリースの『kaoscitron』、2019年に同時リリースされた『Kaerutope』と『Indigo Dada』、そして2020年に同時リリースされた『雀色1』と『雀色2』の5作品が収録されている。これ以前の長きに渡る活動のどの期間を切り取ってもそうであるように、2017~2020年の間でもメルツバウの作品には確立された演奏法と新たな機材やアプローチの異なるバランスでのせめぎ合いが見て取れる。ここに収められた5作それぞれが見せる総合性や特殊性は2010年代後半のメルツバウを捉えるにあたり、際立った要点ともなってくれるだろう。

<作品概要>
スローダウンレコーズより発表されていたメルツバウのオリジナル・アルバム5作品をまとめたボックス・セットが登場。本作『2017-2020』はスローダウンレコーズよりメルツバウが発表していたオリジナル・アルバム5作をまとめたボックス・セットである。メルツバウは同レーベルより2018年から過去の未発表/発掘音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズを展開しており、そちらはシリーズごとに制作時期や音楽的なコンセプトによってまとめられているが、本ボックスはそれぞれが個別に制作されたオリジナル・アルバム作品であるため、個々に大きく異なる音楽性を持っている。
収録内容は2017年リリースの『kaoscitron』、2019年に同時リリースされた『Kaerutope』と『Indigo Dada』、そして2020年に同時リリースされた『雀色1』と『雀色2』の5作品。
『kaoscitron』には泡立つような電子音の奔流の中をメルツバウらしいノイズが切り裂くように進む「622」と「flamingo cloud」に加え、くぐもったビートや撓み揺れながらハーモニーを形成するシンセサウンドがドラマチックに移り変わっていく組曲形式の「kaoscitron part1~3」を収録。『Kaerutope』ではビット落ちしたような粗いサウンドとカットアップ・エディットが混交する新境地を見せ、『Indigo Dada』では一転80年代の既存音源のサンプリングや90年代のうねる電子パルスの上でのノイズの炸裂を思わせる多彩な作風を披露。そして『雀色1』『雀色2』ではシンセサイザー(EMS SYNTHI ‘A’, Moog Mother 32, Behringer Model D)を鍵盤(KorgMonologue)で操作するというメルツバウとしては大変稀なアプローチを用い、近年メルツバウが行ってきた音楽性の異なる様々なアーティストとの共演からのフィードバックを感じさせる作風を開拓している。
これ以前の長きに渡る活動のどの期間を切り取ってもそうであるように、2017~2020年の間でもメルツバウの作品には確立された演奏法と新たな機材やアプローチの異なるバランスでのせめぎ合いが見て取れる。本ボックスに収められた『kaoscitron』、『Kaerutope』と『Indigo Dada』、そして『雀色1』と『雀色2』、それぞれが見せる総合性や特殊性は2010年代後半のメルツバウを捉えるにあたり、際立った要点ともなってくれるだろう。

よろすず

CD1 kaoscitron
CD2 Indigo Dada
CD3 Kaerutope
CD4 雀色1
CD5 雀色2

SDRSW141 Merzbow『Seven Sides』

MERZBOW
『Seven Sides』

¥2,200(with tax)
SDRSW-141
2022年2月18日リリース

Amazon  https://amzn.to/3eIG0yH

スローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズは第15弾に突入!今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている。本作『Seven Sides』には2015年6月に録音された2つの演奏を収録。すべて未発表の音源であるが、2曲目「15-6-2740」は過去にコラボレーション用の素材として使用されている。16分ほどの1曲目、28分ほどの2曲目とともに長尺の演奏であり様々な展開を要した演奏となっている。

<作品概要>
これまで14のシリーズがリリースされているスローダウン・レコーズによるメルツバウの未発表音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズは第15弾に突入。
今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている(いくつかシーケンサーを使用しているトラックもある)。既出のオリジナルアルバムでは『Wildwood』(Dirter Promotions, 2015)や『Torus』(Jezgro, 2017)などが本シリーズと重なる時期の録音である。
本作『Seven Sides』には2015年6月に録音された2つの演奏を収録。すべて未発表の音源であるが、2曲目「15-6-2740」は過去にコラボレーション用の素材として使用されている。
16分ほどの1曲目、28分ほどの2曲目とともに長尺の演奏であり様々な展開を要した演奏となっているが、特に2曲目は緊張度の高い強迫的な和声のドローンや、パルス、ノイズ、反復音などが多層的に鳴らされ、(コラボレーションに素材として使用されたことが信じがたいような)マキシマムな音響を現出させる強力な演奏となっている。

よろすず

Track list
01. 15-6-1603
02. 15-6-2740

SDRSW140 Merzbow『Beetle』

MERZBOW
『Beetle』

¥2,200(with tax)
SDRSW-140
2022年2月18日リリース

Amazon  https://amzn.to/3HuwSdw

スローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズは第15弾に突入!今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている。本作『Beetle』には2014年11~12月に録音された4つの演奏を収録。すべて未発表の音源であるが、2曲目「14-11-946」は過去にコラボレーション用の素材として使用されている。収録された演奏それぞれが異なる音像で構成され、バラエティーに富んだ一作。

<作品概要>
これまで14のシリーズがリリースされているスローダウン・レコーズによるメルツバウの未発表音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズは第15弾に突入。
今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている(いくつかシーケンサーを使用しているトラックもある)。既出のオリジナルアルバムでは『Wildwood』(Dirter Promotions, 2015)や『Torus』(Jezgro, 2017)などが本シリーズと重なる時期の録音である。
本作『Beetle』には2014年11~12月に録音された4つの演奏を収録。すべて未発表の音源であるが、2曲目「14-11-946」は過去にコラボレーション用の素材として使用されている。
1曲目では90年代後半の作品を思わせる明瞭な音像の電子音とメルツバウらしいひび割れたノイズサウンドの拮抗が示されるが、2曲目ではトレモロがかったアブストラクトなサウンドとやや遠めに鳴るノイズが浮遊し、3曲目では複数のサウンドが混濁しカオティックな様相を呈すなど、収録された演奏それぞれが異なる音像で構成されている点が興味深い。特に2曲目はメルツバウ単独の演奏として聴くと情報量や音の重心が特徴的なものとなっており、コラボレーションに使用されたという事実が頷ける仕上がり。

よろすず

Track list
01. 14-11-1825
02. 14-11-946
03. 14-11-949
04. 14-12-1258

SDRSW139 Merzbow『Janus Guitar』

MERZBOW
『Janus Guitar』

¥2,200(with tax)
SDRSW-139
2022年1月21日リリース

Amazon  https://amzn.to/3o3CowK

スローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズは第15弾に突入!今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている。本作『Janus Guitar』には2014年の9月と12月に録音された2つの演奏を収録。35分を超える長尺の2曲目ではEMS Synthi-Aやノイズ・サウンドとともにギターが使用されており、同時期のメルツバウ作品の中でも珍しい作風となっている。

<作品概要>
これまで14のシリーズがリリースされているスローダウン・レコーズによるメルツバウの未発表音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズは第15弾に突入。
今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている(いくつかシーケンサーを使用しているトラックもある)。既出のオリジナルアルバムでは『Wildwood』(Dirter Promotions, 2015)や『Torus』(Jezgro, 2017)などが本シリーズと重なる時期の録音である。
本作『Janus Guitar』には2014年の9月と12月に録音された2つの演奏を収録。1曲目はノイズや電子音が広くばらまかれるような演奏だが、金属を打ち付けるような明確なアタックを持ったサウンドが随所で多用されておりインダストリーな印象を与える。そして35分を超える2曲目ではEMS Synthi-Aやノイズ・サウンドとともにギターが使用されており、同時期のメルツバウ作品の中でも珍しい作風となっている。過去のメルツバウの作品ではブラックメタルの影響が濃い作品(『24 Hours – A Days of Seals』(Dirter Promotions, 2002)や『Coma Berenices』(Vivo, 2007)など)においてギター・サウンドの使用が見られたが、本作の演奏ではそれらに通じるサスティンのきいた音のバーストだけでなく、千鳥足なフレーズのサイケデリックな演奏が表れたり、ノイズサウンドと溶け合い背景的な存在となるなどより多様な扱いがなされている。

よろすず

Track list
01. 14-12-1546
02. 14-9-3759

SDRSW138 Merzbow『Purple Fish』

MERZBOW
『Purple Fish』

¥2,200(with tax)
SDRSW-138
2022年1月21日リリース

Amazon  https://amzn.to/3d6c2nE

スローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズは第15弾に突入!今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている。本作『Purple Fish』には2014年9月に録音された4つの演奏を収録。1、3、4曲目ではシーケンサーが使用されており、そこにEMS VCS3やEMS Synthi-Aを組み合わせた演奏となっている。また2曲目ではVermonaのアナログ・キックドラム・ジェネレーターKick Lancetが使用されており、シーケンサーを用いた演奏とは異なる重心の低さが印象的なコントラストを生んでいる。

<作品概要>
これまで14のシリーズがリリースされているスローダウン・レコーズによるメルツバウの未発表音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズは第15弾に突入。
今回のシリーズでは2014~2015年の録音を取り上げる。前シリーズ『Double Beat Sequencer』では同時期のシーケンサーを用いた音源が取り上げられていたため、本シリーズではシーケンサーを用いていない演奏を中心に音源が集められている(いくつかシーケンサーを使用しているトラックもある)。既出のオリジナルアルバムでは『Wildwood』(Dirter Promotions, 2015)や『Torus』(Jezgro, 2017)などが本シリーズと重なる時期の録音である。
本作『Purple Fish』には2014年9月に録音された4つの演奏を収録。1、3、4曲目ではシーケンサーが使用されており、そこにEMS VCS3やEMS Synthi-Aを組み合わせた演奏となっている。非常にシンプルな構成ながら、それ故に歪んだ高域のフィードバック音のようなサウンドや複雑なモジュレーションによって奇怪な運動性を持った電子音が明瞭に耳に飛び込んでくる。また2曲目ではVermonaのアナログ・キックドラム・ジェネレーターKick Lancetが使用されており、シーケンサーを用いた演奏とは異なる重心の低さが印象的なコントラストを生んでいる。

よろすず

Track list
01. 14-9-1108
02. 14-9-3513c
03. 14-9-2249
04. 14-9-1911

SDRSW136 Merzbow『Double Beat Sequencer』(6 CD BOX)

MERZBOW
『Double Beat Sequencer』(6 CD BOX)

¥6,600(with tax)
SDRSW-136
2022年1月21日リリース

Amazon  https://amzn.to/3o7rOF9

2018年にスタートしたスローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズ、その第14弾としてリリースされた作品をまとめたボックスが登場!本ボックス〈Double Beat Sequencer〉にはメルツバウの2014年の未発表録音からシーケンサーをバックに演奏したものが集められた『Double Beat Sequencer Vol.1~6』の6作を収録。シーケンサーはDwarfcraft Devicesの8ステップシーケンサーThe Pitch Grinderを使用。シリーズ名の一部ともなっているDouble BeatはMerzbowが愛用するRolandのWah FuzzペダルAD-50の名称である。シーケンサーの使用自体が珍しいだけでなく、そのサウンドもこれまでの作品と異なる重心を持った独特なものとなっている。

<作品概要>
2018年よりスタートしたメルツバウの未発表/発掘音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズ、その第14シリーズは2014年の未発表録音からシーケンサーをバックに演奏したものを集めた『Double Beat Sequencer Vol.1』『Double Beat Sequencer Vol.2』『Double Beat Sequencer Vol.3』『Double Beat Sequencer Vol.4』『Double Beat Sequencer Vol.5』『Double Beat Sequencer Vol.6』の6作であった。そしてそれら6作全てをまとめたボックス作品がこの〈Double Beat Sequencer〉である。
シーケンサーはDwarfcraft Devicesの8ステップシーケンサーThe Pitch Grinderを使用。シリーズ名の一部ともなっているDouble BeatはMerzbowが愛用するRolandのWah FuzzペダルAD-50の名称である。このような傾向の音源は既出の作品では『Nezumimochi』(Cold Spring, 2014)や『Wildwood』(Dirter Promotions, 2015)に含まれている。
メルツバウにとってシーケンサーの使用例はこれまで非常に少ないが、その作風の変遷の中では様々な手段で反復するサウンドを用いられてきた。しかしながら本シリーズのシーケンサーによるループフレーズは例えばゼロ年代の作品で多用されたアシッドなベースサウンドのループなどに比べ高く広い音域で動くことが多く、どこか身軽な重心で展開していく演奏となっている。またシーケンサーのサウンドが切断されることで生まれるブレイク的な場面や、ノイズやAD-50を通したサウンドなどシーケンス以外の部分でもループが生み出され複数のグルーヴが並走する場面など、演奏に起伏を生むための趣向も様々なかたちで味わうことができる。

よろすず

CD1 Double Beat Sequencer Vol.1
CD2 Double Beat Sequencer Vol.2
CD3 Double Beat Sequencer Vol.3
CD4 Double Beat Sequencer Vol.4
CD5 Double Beat Sequencer Vol.5
CD6 Double Beat Sequencer Vol.6

SDRSW135 Merzbow『Horizon』(6 CD BOX)

MERZBOW
『Horizon』(6 CD BOX)

¥6,600(with tax)
SDRSW-135
2021年12月17日リリース

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2018 年にスタートしたスローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズ、その第13 弾としてリリースされた作品をまとめたボックスが登場!本ボックス〈Horizon〉にはメルツバウが東日本大震災への創作での反応、直接的な
アニマル・ライツではないテーマへの移行の始まり、そして新たな機材(小型のオシレーター・シンセ、ドローン・マシーン、ミニ琴など)の導入などの動きを見せた2011~2012 年の音源を収めた『Insect 801』『雲の絶対値 Kumo No Zettaichi』『Sugamo Flower』『Bit Blues』『Kotorhizome』『Gman+』の6 作を収録。オシレーター・シンセやドローン・マシーンによる独特なテクスチャーのドローン・サウンドの多用が耳を引くが、それがリズミックなアプローチと重なるものやノイズ演奏と混然一体となり厚みやラウドさを感じさせるもの、そして終始なだらかに変化していく静謐さを保ったものなど様々な作風に結び付いている。

<作品概要>
2018年よりスタートしたメルツバウの未発表/発掘音源を中心に収めたアーカイブ・シリーズ、その第13シリーズは2011~2012年に録音された音源を収めた『Insect 801』『雲の絶対値 Kumo No Zettaichi』『Sugamo Flower』『Bit Blues』『Kotorhizome』『Gman+』の6作であった。そしてそれらをまとめたボックス作品がこの〈Horizon〉である。
この時期には東日本大震災があり、メルツバウは福島とチェルノブイリの原発事故による放射能汚染をテーマにした『Dead Zone』という作品を2011年にウクライナのレーベルQuasi Pop Records からリリース、他にも『UZU ME KU』(Samboy Get Help! Recordings, 2012) のジャケットに用いられた長沢浄水場の写真には震災によって亀裂の走った柱が映っているなど、早くから創作によって事態への反応を見せた。
また、英Hypnagogia の依頼によりこの時期に着手された「聖牛」をテーマにした三部作『Kamadhenu』、『Surabhi』、『Gomata』は引き続きアニマル・ライツがテーマの作品ではあるが、『Lop Lop』(Rustblade, 2011)、そして後の『Konchuuki』(Essence Music, 2015) など直接的なアニマル・ライツではないテーマへの移行が徐々に見られる時期でもある。
加えて機材面でも新しく小型のオシレーター・シンセ、ドローン・マシーン、ミニ琴などの導入があり、サウンドを非常に強く特徴づけている。
収録されている6作ではオシレーター・シンセやドローン・マシーンによる独特なテクスチャーのドローン・サウンドの多用が共通項として見いだせるが、そこにリズミックなアプローチが重なるものもあればノイズ演奏と混然一体となり厚みやラウドさを感じさせるもの、そして終始なだらかに変化していく静謐さを保ったものなど最終的な作風は様々に異なっている。

よろすず

CD1 Insect 801
CD2 雲の絶対値 Kumo No Zettaichi
CD3 Sugamo Flower
CD4 Bit Blues
CD5 Kotorhizome
CD6 Gman+