remodel 47 Cindytalk『of ghosts and buildings』

Cindytalk
『of ghosts and buildings』

¥2,530 (with tax)
remodel 47
2021年5月21日リリース

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82年にシンガーのCinderとギタリストのDavid Clancyによって結成、Cinderの歌声がThis Mortal Coilにてフィーチャーされるなどポスト・パンクの潮流の中で独自の耽美性を持った活動を展開した後、2000年以降は彼女のソロに近いかたちで電子音楽/実験音響の色合いを強め、毎年ロンドンと神戸を行き来しながらEditions Megoより多数の傑作をリリースしてきたCindytalk。その5年ぶりの新作『of ghosts and buildings』がremodelよりリリース。Cinderが現在拠点としているスコットランドで、新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウン期間に、完全に独りで制作されており、そして失われた愛をテーマとした作品であるということで、彼女は本作をその愛の喪失、そして日本の関西地方への、「ある種のラブレター」と語る。

<作品概要>
80年代にポスト・パンクの潮流の中で生み出された耽美な音楽性、そして2000年以降にその美学を電子ノイズでアブストラクトに描き出した多数の傑作で知られるCindytalkの新作が、阿木譲とスタジオワープ=Slowdown Recordsにより立ち上げられたレーベルremodelよりリリース。
Cindytalkは1982年に(前年まで共にThe Freezeというパンクバンドのメンバーであった)シンガーのCinderとギタリストのDavid Clancyによって結成されたエクスペリメンタル・プロジェクト。
80~90年代にはバンド/ロック・ミュージックとしての枠組みを維持しつつ、インダストリアルやエクスペリメンタルなサウンドも動員し、Cinderの歌唱を生かした音楽性を展開。この時代には彼女の歌声がThis Mortal Coil『It’ll End in Tears』においてフィーチャーされるなど、ポスト・パンクの潮流の中で築かれた独自の耽美性が際立っていた。
そして2000年以降はCinderのソロ・プロジェクトに近いかたちとなり電子音楽/実験音響の色合いを強め、毎年ロンドンと神戸を行き来しながら活動しEditions Megoより多数の作品を発表。80年代の作品において歌声を中心に描かれていた耽美な世界観を、時には揺らめくオーロラ、また時には吹き荒れる雹を思わせるテクスチャーの電子ノイズによって描き出し、PitaやFenneszといった面々と並走するような手法に自身の美学を染み込ませた新境地を見せた。
本作『of ghosts and buildings』はCindytalkにとって2016年の『The Labyrinth Of The Straight Line』以来、実に5年ぶりのフルアルバム。Cinderが現在拠点としているスコットランドで、新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウン期間に、完全に独りで制作されており、そして失われた愛をテーマとした作品であるということで、彼女は本作をその愛の喪失、そして日本の関西地方への、「ある種ののラブレター」と語る。
アルバムの核となるのは10分を超える長尺で(新しく導入されたモジュラーシンセなども用いた)エッジーな電子ノイズやパッド・サウンド、ドローンなどの多層化を追求したトラック群であり、Editions Megoからの作品群において印象的であったピアノや声の存在は(使用されてはいるようだが)一聴して嗅ぎ取れない程抽象的なものとなり、ループシーケンスなどのテクノに近い成分も4曲目のみと限定的な使用に留まっている。
これまでになくふんだんなリバーブの扱いも印象的であり、特に3曲目で見せるポスト・インダストリアルも射程に捉えたようなエフェクト処理は鈍色の物質性を持ったノイズにSci-Fiな空間性を付加し、官能と不穏を湛えたパッドと共に終末感に満ちたハーモニーを形成する。そしてラストの5曲目では彼女が神戸市に住んでいた頃に録られた19分間のフィールドレコーディングが用いられ、それが終わりの後、霊が持ち出した記録映像を見るかのような儚さと幻想性を漂わし、アルバムは閉じられる。 よろすず

Track List:
1 I Don’t Know How I Feel About Tomorrow
2 A Different Breed Of Flower
3 Long For The Future Long For The Past
4 In Deep Forest Green
5 The Mountain Meets Us In Our Hearts