SDRSW67 Merzbow『Untitled 1991 Vol.3』

MERZBOW
『Untitled 1991 Vol.3』

¥2,000+税
SDRSW-67
2019年9月20日リリース

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これまで4つのシリーズが発表されているメルツバウのアーカイブシリーズ、第5弾となる本シリーズではこれまであまりアーカイブなどの機会に収録されてこなかった1991年の録音が中心的にリリースされる。 本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり(ミックスとマスタリングは2019年)、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。リアルタイム・ミックスな制作手法によるライブ感溢れるノイズの応酬に加え、80年代の作風がフラッシュバックされるような瞬間も存在し、ある種のハイブリッドといえるような仕上がりとなっている。

<作品概要>
本シリーズで中心的にリリースされる1991年の作品の特徴として、レコードのスクラッチやサンプリングが1980年代の『抜刀隊』の時のようなコラージュ的ではない新たな手法で使用されている点が挙げられる。それは具体的にはNextやDigitech社製のサンプリング・ディレイの導入によってもたらされた、よりリズミカルでカットアップ的な使用方である。当時の作品は4chの複数のカセットの他に2chの複数のカセット、更に生演奏などをライブでカットアップし、ミックスすることで制作されていたが、今回はその素材となったテープ(ほとんどは4chのカセット)がカットアップなどを行わずほぼ未編集のまま使用されている。また、当時はTASCAM Porta Twoを使用してミックスが行われていたが、現在はその機材がないためTASCAM MFP-01を使用して新たなミックスが行われた。本作は無機的なタイトルが示す通り1991年の録音であり、それ以上の他作品との関りなどを示す情報は記載されていない。速度を緩めず疾走するような印象の強い本シリーズの音源の中で本作は隙間や緩急が大胆に表れ、また2曲目の前半では比較的歪みの度合いが少ない電子音が、3曲目ではジャズやラジオ音声のようなサンプルがしっかりと聴き取れる状態でノイズの応酬の中に織り交ぜられるなど、80年代の作風がフラッシュバックされるような瞬間もある。しかしながらリアルタイム・ミックスな制作手法によるライブ感が衰えることはなく、ある種のハイブリッドといえるような仕上がりとなっている。1991年という時期に特有の要素をしっかりと備えつつ、この特定の短い期間においても確かに存在する変化の兆しが垣間見える一作。 よろすず

Track List:
1. May 891Mix
2. 917Mix01
3. 19914Mix2-Far East Network