Author Archives: shrine.jp

<裸のラリーズ トリビュート盤>「Tribute to Les Rallizes DeNudes」SRCD050の内 DISC2 Live at Yaneura 1976.2.15/裸のラリーズについてのお詫び

裸のラリーズ トリビュート盤「Tribute to Les Rallizes DéNudés」SRCD050の内
DISC2 Live at Yaneura 1976.2.15 / 裸のラリーズについての
「著作権、原盤権 及び肖像権侵害」のお詫び

裸のラリーズ トリビュート盤
タイトル 「Tribute to Les Rallizes DéNudés」
レーベル 「shrine.jp」 品番「SRCD050」
JANコード「4562293380826」 (JAN/Amazon 「4562293381168」)
以下「ラリーズ トリビュートCDと明記」

1)弊社にて制作・販売の「ラリーズ トリビュートCD」は
原盤権、著作権、肖像権を保有されている水谷孝氏の許諾を得ずに
販売しているブ-トレグ(海賊盤)CDです。

2)裸のラリーズ 水谷孝氏が全く関与していない状況で企画、制作、販売
及びジャケット等の写真(ブックレット・ポスター)を使用した事に対し
深くお詫び申し上げます。

3)「ラリーズ トリビュートCD」に関係するアーティスト様及び参加バンドメンバー様
ご購入いただいたお客様、そして裸のラリーズ関係者様に深くお詫び申し上げます。

4)現在 商品の出荷停止、流通在庫の回収及び在庫の廃棄処分等を進めております。
水谷孝氏 そして関係各位様には 本当に申し訳けございませんでした。

株式会社スタジオワープ
代表取締役 中村泰之

SRSW 502 Sô-si Suzuki+Jun Morita『Vita Nova』

Sô-si Suzuki+Jun
『Vita Nova』

2023年10月20日リリース
¥2,420(with tax)
SRSW 502

Amazon  https://amzn.to/47VEjIs

仏⽂学者、作家、ミュージシャン、そしてEP-4の創設メンバーの⼀⼈でもある鈴⽊創⼠と、ワールド・ミュージック、ジャズ、エレクトリック・サウンドなどを跨ぐDJであり、近年はモジュラーシンセを⽤い即興性を重視した演奏、制作を積極的に⾏っている森⽥潤による共演盤がSHRINE.JP(twitter.com/ShrineJp/)よりリリース!これまでにライブやCDR作品『LAST CHANCE IN KOENJI』などで既に共演を重ねていた両者が初の公式盤として送り出す本作『Vita Nova』には、「五⽉⾰命」をコンセプトに、EP-4の佐藤薫を含む複数名のゲストによる声を巻き込みながら、演奏の徹底した推敲を経て完成された「組曲68年5⽉」を含む全11曲が収められている。

<作品概要>
“我々は五⽉⾰命的なものを⼀種の「残酷の演劇」(アルトー)と考えている。⾳楽史というものが不可能であればあるほど、これは(我々の)⾳楽史に属している。
この「⾳楽」は⾔うまでもなく何らかの形で「⽣」に関わっており、そのために我々は⾳楽の次元で「Vita Nova 新しい⽣」を提唱するのである。”
仏⽂学者、作家、ミュージシャン、そしてEP-4の創設メンバーの⼀⼈でもある鈴⽊創⼠と、ワールド・ミュージック、ジャズ、エレクトリック・サウンドなどを跨ぐDJであり、近年はモジュラーシンセを⽤い即興性を重視した演奏活動を展開、佐藤薫監修によるレーベルφonon (フォノン)より多数のソロ作(『LʼARTE DEI RUMORI DI MORTE』『Sonus Non Capax Infiniti』『60Snippets』)をリリースしている森⽥潤による共演盤がSHRINE.JP(twitter.com/ShrineJp/)よりリリース!
本作『Vita Nova』はこれまでライブやCDR作品『LAST CHANCE IN KOENJI』などで既に共演を重ねていた両者が初の公式盤として送り出す⼀作であり、「五⽉⾰命」をコンセプトに、EP-4の佐藤薫を含む複数名のゲストによる声を巻き込みながら、演奏の徹底した推敲を経て完成された全「組曲68年5⽉」を含む全11曲が収められている。
そのサウンドはジャンクなドラムスやピアノをはじめとした多種の楽器⾳、電⼦⾳、そしてノイズなど、性質を異にするマテリアルが、サンプリングなのか⾃⾝らによる演奏なのか∕即時なのか事後編集によるものかを容易に掴ませぬテクスチャーで礫の如く降り注ぐファナティックかつ呪術的なコラージュ・ジャズもしくはエクスペリメンタル・ジャムといった⾵情だが、⾳素材の素性の不確かさに反してその総体としての⾳楽はどこまでも⽣々しく現前性をむきだしにする、さながら「演劇」的な性質を帯びている(編集を経た時間の織物としての「映画」的なものとはかけ離れている)。
ランボーに聖アウグスチヌス、J.S.バッハ、ヴェーベルン、カッチーニの引⽤を纏い、器楽と電⼦と声が、即興と破滅的な編集が狂騒する、未曾有の⾳絵巻を是⾮体感いただきたい。
よろすず

Track list
suite Mai 68
01. La plage sous la route…
02. Au petit matin
03. No Confession
04. Le Spectacle était déjà abattu
05. The Dirty Left Bank 1
06. Nous voilà
07. Das Lied der D.
08. 5•21
09. The Dirty Left Bank 2
10. Tout sera disparu
11. Japanese Cold Turkey Homage to Michio Kadotani

SRSW 501 Molecule Plane『Apocrypha』

Molecule Plane
『Apocrypha』

2022年11月18日リリース
¥2,200(with tax)
SRSW 501

Amazon  https://amzn.to/3DWn3pY

関西を中心に電子音楽の作曲、ライブを行い、マスタリング・エンジニアとして多くの作品を手掛ける大塚勇樹による「持続的な音色の積層化とそれに伴う複合的なテクスチャ―の変容によって音響空間そのものの異化を誘発させる」ことをコンセプトとしたプロジェクトMolecule Planeの新作アルバムがshrine.jpよりリリース!本作『Apocrypha』はMolecule Planeにとって2017年リリースの『SCHEMATIC』(Kyou Records, 2017)以来、実に5年ぶりの発表となる3rdアルバム。収録楽曲はどれも電子音楽フェスティバルやコンサート企画のために制作されたものであり、元々はアルバム化の構想を持って制作されたものではなかったが、今回のアルバムリリースのオファーに際しこれらの楽曲群にひとまとまりのアルバムとしての価値が見出され、ミックスの再調整や音色レイヤーの再構成によって本作が生み出された。いわばこれらの楽曲は、「正典」に対する「外典=Apocrypha」として存在している。

関西を中心に電子音楽の作曲、ライブを行い、マスタリング・エンジニアとして多くの作品を手掛ける大塚勇樹による「持続的な音色の積層化とそれに伴う複合的なテクスチャ―の変容によって音響空間そのものの異化を誘発させる」ことをコンセプトとしたプロジェクトMolecule Planeの新作アルバムがshrine.jpよりリリース。
大塚勇樹は京都府在住の電子音楽家、マスタリング・エンジニア。大阪芸術大学で電子音響音楽の作曲およびアクースモニウムの演奏と音響技術を学び、同大学院博士(前期)課程を修了。
2010年頃よりRoute09名義やimaとのユニットA.N.R.i.などでクラブ・ミュージックの制作やライブを行いながら、自身の専門分野であるアクースモニウムの演奏やそれによって上演される作品の制作も継続。またマスタリング・エンジニアとしても活動し、これまでに檜垣智也、福間創、テンテンコなどの作品を手掛けている。
Molecule Planeは彼が「持続的な音色の積層化とそれに伴う複合的なテクスチャ―の変容によって音響空間そのものの異化を誘発させる」ことをコンセプトに2014年に始動したソロ・プロジェクトであり、これまでに『Acousticophilia』(299 MUSIC, 2016)、『SCHEMATIC』(Kyou Records, 2017)という2枚のCDアルバム、更にbandcampにてライブ・レコーディングに特化したエクストラ・アルバム「The Extra-Ordinary」シリーズをリリースしている。近年非常にフレキシブルに展開されているモジュラーシンセサイザーを用いたライブ活動も多くはこの名義の下で行われており、現在彼の音楽活動の核となっているプロジェクトといえるだろう。
本作『Apocrypha』は2017年リリースの『SCHEMATIC』以来、実に5年ぶりの発表となる3rdアルバム。収録楽曲はどれも音楽フェスティバルやコンサート企画のために制作されたものであり、元々はアルバム化の構想を持って制作されたものではなかったが、今回のアルバムリリースのオファーに際しこれらの楽曲群にひとまとまりのアルバムとしての価値が見出され、ミックスの再調整や音色レイヤーの再構成によって本作が生み出された。オリジナル・アルバムをアーティストにとっての「正典」とするならば、これらの楽曲はいわば「外典=Apocrypha」として存在している。
クラブ、アクースマティック、そしてサウンド・エンジニアリング、多方面から音楽に携わるその経験から導き出された本作の音像は、「響きを彫り込むこと」の探求という性質をもってアンビエント、ドローン、ノイズ、コンクレートを縫合し、圧倒的な深淵さをもって聴き手を包囲する。

収録曲の詳細は以下の通り
1. Aerial – ボンクリ・フェス 2022「電子音楽の部屋」における「プログラム D 大塚勇樹/モレキュル・プレーン作品特集」のオープニング、導入のための作品として制作。
2. Pilgrimage – 奈良「新しい音」芸術祭 2018「コンサート4=Trip Around The Ears」にてアーティスト本人のアクースモニウム演奏で初演。旅、ツーリズムをテーマとした電子音響音楽を上演するというコンサートであったため「巡礼」を意味するタイトルが冠されている。
3. Heretics – 奈良「新しい音」芸術祭 2020 のために制作。十席限定のコンサートのため聴衆との距離感がより密接で、その空間的特徴を意識して制作されている。
4. The Empress – 2018年に東京の両国門天ホールで開催された Electronic and Acousmatic Paris-Tokyo Sounds [day 2 -Acousmatic-]のために制作。ボンクリ・フェス 2022「電子音楽の部屋」でも一部改訂のうえ上演された。
5. Disentangle – ボンクリ・フェス2022「電子音楽の部屋」での上演用に制作。「プログラム D大塚勇樹/モレキュル・プレーン作品特集」の最後を飾った作品。
6. Cortex – MOTUS-CCMC2018 KYOTO のために制作。タイトルは皮質、外皮といった意味で、前作『SCHEMATIC』での試みを引き継ぎつつサウンドの表層やレイヤー構造の深化が目指された作品。
7. Hekatoncheir – CCMC2019 Tokyo のために制作。モジュラーシンセサイザーでのライブ活動が活発化したタイミングで制作されており、そこでの経験がフィードバックされている。
8. Pseudepigrapha – 収録曲で唯一本作の為に着手された新作。アルバムタイトル「外典」はこれまでの収録曲の性質を指したものだが、本曲は唯一このアルバムのために作られたものであるため、その異質さ故に「偽典」を意味するタイトルが冠されている。

よろすず

Track list
01. Aerial
02. Pilgrimage
03. Heretics
04. The Empress
05. Disentangle
06. Cortex
07. Hekatoncheir
08. Pseudepigrapha

remodel 49 V.A.『VANITY SAMPLE』

V.A.
『VANITY SAMPLE』

2022年3月18日リリース
¥2,200(with tax)
SRSW 499

Amazon  https://amzn.to/3rtnQIv

『Rock Magazine』編集長の阿木譲によって1978年に設立され、パンク以降の価値観で活動する新たなバンドや、バンド活動を経た音楽家のオルタナティブなアプローチ、時代の先端としてのエレクトロニクス・ミュージックやインダストリアル・ミュージックなど、同時代の先鋭的な音楽動向をいくつかの側面から捉えてみせたVanity Records。本作『VANITY SAMPLE』は、そのカタログの中から楽曲をセレクトし1枚のアルバムとしてまとめた編集盤。近年の再発に伴い現行のリスナー、アーティストからも賛辞の声が挙がるToleranceに始まり、SAB、Sympathy Nervous、Kiiro Radical、Nose、Invivo、Nishimura Alimotiの楽曲が収録されており、短い期間の中にもいくつかのフェイズを持ったVanity Recordsの動向をコンパクトなかたちで辿ることができる。

<作品概要>
『Rock Magazine』編集長の阿木譲によって1978年に設立され、パンク以降の価値観で活動する新たなバンドや、バンド活動を経た音楽家のオルタナティブなアプローチ、時代の先端としてのエレクトロニクス・ミュージックやインダストリアル・ミュージックなど、同時代の先鋭的な音楽動向をいくつかの側面から捉えてみせたVanity Records。
本作『VANITY SAMPLE』は、日本初のインディペンデント・レーベルの1つともいわれ70年代末から80年代初頭の日本の自主制作/インディーズ音楽シーンを語る上において欠くことのできない重要な存在であるこのVanity Recordsのカタログの中から、楽曲をセレクトし1枚のアルバムとしてまとめた編集盤。
NWWリストに選出されるなど同時代の作家に影響を及ぼすだけでなく、近年の再発に伴い現行のリスナー、アーティストからも賛辞の声が挙がるToleranceに始まり、レーベル初期における海外の音楽動向への視線と差別化の意思が伺えるSAB、エレクトロニクス・ミュージックへの視線を先鋭化させていくレーベルの姿が表れた1980年のリリース作品からSympathy Nervous、そして1981年から本格化するINDUSTRIAL MYSTERY MUSIC=工業神秘主義音楽という方向性のリリースからはKiiro Radical、Nose、Invivo、Nishimura Alimotiの楽曲が収録されており、短い期間の中にもいくつかのフェイズを持ったVanity Recordsの動向をコンパクトなかたちで辿ることができる一作となっている。

よろすず

Track list
01. TOLERANCE / Two Owls
02. TOLERANCE / Voyage Au Bout De La Nuit
03. TOLERANCE / Pulse Static(Tranqillia)
04. SAB / Agate
05. SYMPATHY NERVOUS / Sympathetic Nerves
06. SYMPATHY NERVOUS / Polyester 35 Micron
07. KIIRO RADICAL / Denki Noise Dance Part 1
08. NOSE / Dolby Nr On
09. KIIRO RADICAL / Denki Noise Dance Part 9
10. INVIVO / M.I.C
11. NISHIMURA ALIMOTI / Inkasanka

SRSW 499 Junya Hirano『VANITY/REMODEL MIX 2』

Junya Hirano
『VANITY/REMODEL MIX 2』

2022年2月18日リリース
¥2,200(with tax)
SRSW 499

Amazon  https://amzn.to/3zoj4OH

伝説の音楽評論家/プロデューサー阿木譲が立ち上げた2つのレーベル、Vanity Recordsとremodel(レーべルオーナー中村泰之)の音源のみを使用した2時間以上に及ぶDJ MIX!生涯をかけて尖端音楽を追求し続けた、阿木譲の類い稀なるセンスを証明するかのように、およそ30年の年月を隔てた2つのレーベルの音源は違和感なく溶け合い、聴き手の時間軸を無化し、空間を歪ませる。「真に先鋭的な表現は、過激であると同時に普遍的でもある」というパラドックスを体現する作品。

text by: peeq / 市川洋一

<作品概要>
阿木譲によって1978年に設立されたVanity Recordsは、日本最初のインディペンデント・レーベルとされている。無名だが才能を持ったアーティストにレコード製作の機会を与えることを目的とし、ポストパンク、ニュー・ウェイヴ、プログレッシブ・ロック、エレクトロニクス、現代音楽、実験音楽など様々な先鋭的音楽表現の坩堝として、各タイトル300~500枚という極めて限られた流通量と、4年弱の短い活動期間にも関わらず、今や伝説的な存在となっている。長らくレーベルの全貌は謎に包まれていたが、2020年の相次ぐ再発で、その活動の実体が漸く把握可能となった。
Vanity Records終焉の後も、DJとしての活動(阿木自身はレヴィ=ストロースに倣って”Bricolage”と呼んだ)や、アートジン「0g(ゼロゲージ)」の編集・執筆などを通じて、新しい表現を開拓し続けた阿木譲が、2011年に設立した最後のレーベルがremodel(レーべルオーナー中村泰之)である。『我々は、この同時代の夢、新しい感覚や感性を共有する「少年」のようでありたい』と語った阿木譲は、先鋭的な電子音楽に特化したremodelの活動を通じて、時代の最先端を走り続けていることを改めて表明した。
大阪のヴェニューenvironment 0g (zero-gauge)の運営およびremodelのディレクションなど、阿木譲の意思を継承・発展させた活動を展開しているJunya Hiranoによる本MIXは、Vanity Recordsとremodelの音源のみで製作されており、過去と未来を意図的に撹乱することで、阿木譲が追求してきた過激な音楽表現の断端を生々しく現在に再提示する。阿木譲の遺したモノリスの如き巨大なレガシーの入門編としても最適な作品だ。

text by: peeq / 市川洋一

Track list
01. Zenro / Magnetic Field
02. Tolerance × Junya Tokuda / Pulse Static (Tranqillia)
03. Cindytalk / A Different Breed Of Flower
04. Den Sei Kwan / -1
05. orthythmo / Licht
06. KANCHENJUNGA / Fabricated Malice
07. RYECROFT / Hooo
08. NISHIMURA ALIMOTI / Yasai Ga Kirai
09. KIILO RADICAL / Denki Noise Dance Part 8
10. Isolate Line / irritum-iRobot-
11. Renick Bell / Upheaval but Unshaken
12. Tolerance / Bokw Wa Zurui Robot (Stolen From Kad)
13. SYMPATHY NERVOUS / GO ON AND OFF
14. Kiyoshi Izumi / Depth Patch
15. SALARIED MAN CLUB / Close My Eye
16. Sunao Inami / Stay Home
17. Juri Suzue / Rotten Miso
18. KENTARO HAYASHI / Gargouille

SRSW 498 Junya Hirano『VANITY/REMODEL MIX 1』

Junya Hirano
『VANITY/REMODEL MIX 1』

2022年2月18日リリース
¥2,200(with tax)
SRSW 498

Amazon  https://amzn.to/3EOqQCG

伝説の音楽評論家/プロデューサー阿木譲が立ち上げた2つのレーベル、Vanity Recordsとremodel(レーべルオーナー中村泰之)の音源のみを使用した2時間以上に及ぶDJ MIX!生涯をかけて尖端音楽を追求し続けた、阿木譲の類い稀なるセンスを証明するかのように、およそ30年の年月を隔てた2つのレーベルの音源は違和感なく溶け合い、聴き手の時間軸を無化し、空間を歪ませる。「真に先鋭的な表現は、過激であると同時に普遍的でもある」というパラドックスを体現する作品。

text by: peeq / 市川洋一

<作品概要>
阿木譲によって1978年に設立されたVanity Recordsは、日本最初のインディペンデント・レーベルとされている。無名だが才能を持ったアーティストにレコード製作の機会を与えることを目的とし、ポストパンク、ニュー・ウェイヴ、プログレッシブ・ロック、エレクトロニクス、現代音楽、実験音楽など様々な先鋭的音楽表現の坩堝として、各タイトル300~500枚という極めて限られた流通量と、4年弱の短い活動期間にも関わらず、今や伝説的な存在となっている。長らくレーベルの全貌は謎に包まれていたが、2020年の相次ぐ再発で、その活動の実体が漸く把握可能となった。
Vanity Records終焉の後も、DJとしての活動(阿木自身はレヴィ=ストロースに倣って”Bricolage”と呼んだ)や、アートジン「0g(ゼロゲージ)」の編集・執筆などを通じて、新しい表現を開拓し続けた阿木譲が、2011年に設立した最後のレーベルがremodel(レーべルオーナー中村泰之)である。『我々は、この同時代の夢、新しい感覚や感性を共有する「少年」のようでありたい』と語った阿木譲は、先鋭的な電子音楽に特化したremodelの活動を通じて、時代の最先端を走り続けていることを改めて表明した。
大阪のヴェニューenvironment 0g (zero-gauge)の運営およびremodelのディレクションなど、阿木譲の意思を継承・発展させた活動を展開しているJunya Hiranoによる本MIXは、Vanity Recordsとremodelの音源のみで製作されており、過去と未来を意図的に撹乱することで、阿木譲が追求してきた過激な音楽表現の断端を生々しく現在に再提示する。阿木譲の遺したモノリスの如き巨大なレガシーの入門編としても最適な作品だ。

text by: peeq / 市川洋一

Track list
01. MR / 213
02. SAB / Yume-no-ishi
03. Konstructal / Grunt
04. NECTER LOW / ARTIFICIAL ONE
05. SYMPATHY NERVOUS / AUTOMATIC TYPE
06. SALARIED MAN CLUB / gray cross part 1
07. KIIRO RADICAL / Denki Noise Dance Part 1
08. Nuearz / erato
09. DEN SEI KWAN / Transparent Radio
10. Cindytalk / Subterminal
11. Juri Suzue / MERZBOW Remix (Frayed Life/Musty Basement/Lack/Not Exist)
12. DEN SEI KWAN / Pocket Planetaria
13. SALARIED MAN CLUB / Perspective
14. NISHIMURA ALIMOTI / Bunbunbae
15. Tolerance / Misa (Gig’s Tapes In “C”)
16. Junya Tokuda / Uncanny

SRSW 497 shotahirama『DON’T STRESS TOMORROW』

shotahirama
『DON’T STRESS TOMORROW』

2022年1月21日リリース
¥2,200(with tax)
SRSW 497

Amazon  https://amzn.to/3lnQTd6

2010年代に研ぎ澄まされたグリッチ音響が瞬くオーディオ編集の極点ともいえる作品を多数発表し、2019年発表の『Rough House』からは一転、ターンテーブルを楽器として用いる発想に端を発したサンプリング・ビート集をコンスタントにリリースしているshotahirama。そのビート集の最新系となるCD作品『DON’T STRESS TOMORROW』がshrine.jpよりリリース。同レーベルから2021年3月にリリースされた『GET A LOAD OF ME』に引き続きターンテーブルとElektron社のドラムシンセ/シーケンサーであるMACHINEDRUMを用いたオーバーダブなしの一発ライブレコーディングで制作されており、彼の出身地でもあるNYの90年代ヒップホップを思わせる煙たく曇った音質のホーンやボイスサンプルが時にはリラクシンな、また時には愁いを帯びた緊張感のあるムードを醸し出している。

<作品概要>
ニューヨーク出身、2006年にElectronoise Group(ENG)を立ち上げ中心的なメンバーとして活動を開始、2010年代からはソロ活動を活発化させ自身が主宰するレーベルSIGNAL DADAより『Nice Doll To Talk』、『Post Punk』など先鋭的な作品を立て続けに発表してきたshotahirama。
2010年代に研ぎ澄まされたグリッチ音響が瞬くオーディオ編集の極点ともいえる作品を多数発表し、更にはダブを取り込んだ新境地にまで踏み込んだ彼だが、2019年発表の『Rough House』からは一転、ターンテーブルを楽器として用いる発想に端を発したサンプリング・ビート集をコンスタントにリリースしている。
shrine.jpからリリースされる本作『DON’T STRESS TOMORROW』もその作風にあり、同レーベルから2021年3月にリリースされた『GET A LOAD OF ME』に引き続きターンテーブルとElektron社のドラムシンセ/シーケンサーであるMACHINEDRUMを用いたオーバーダブなしの一発ライブレコーディングで制作されている。
『GET A LOAD OF ME』ではドラムシンセにて生成されたサウンドをメインとしたアブストラクトなエレクトロ風味のトラックとサンプリングを用いたブーンバップ寄りのトラックがバランスよく収録されていたが、本作ではサンプリングの割合を増やし、90年代の東海岸ヒップホップを思わせる煙たく曇った音質のホーンやボイスサンプルが時にはリラクシンな、また時には愁いを帯びた緊張感のあるムードを醸し出している。またジャジー・ブレイクス的な仕上がりの1、4曲目ではレコードのスクラッチ奏法をスローダウンしたかたちで用い、ループに縛られない撓んだサウンドが大胆にビートを横切るなど、ターンテーブルのより自由な使用も聴き取れる。コンスタントなリリースからも窺えるように、現在のshotahiramaにとってビートメイクは正に「Daily Operation」のようになっているのであろう。その最新報告を是非とも一聴いただきたい。

よろすず

Track list
01. DON’T STRESS TOMORROW
02. COME CLOSE TO ME
03. NAME TAG
04. AFTER LAUGHTER
05. MY KINDA MOVES
06. DAILY OPERATION
07. WHAT CHU’ KNOW
08. CANDY STORE
09. FEEL THE HIGH
10. NOW A DAZE

SRSW 494 KENJI TSUDA『Untitled』

KENJI TSUDA
『Untitled』

2021年12月17日リリース
¥2,200(with tax)
SRSW 494

Amazon  https://amzn.to/2ZFsx6m

90年代中頃より制作を開始、2006年にMagic Book Recordsのコンピレーション・アルバム『電電オバケカーニバル』に8mm名義で参加、以降大阪や神戸を中心にオーディオビジュアル・ライブを行っているKenji Tsudaによる初アルバムがshrine.jpよりリリース!本作『Untitled』には30秒程度のものから15分近くに及ぶものまで、様々な作風の電子ノイズ/グリッチ音響が全30曲収められている。90年代後半~ゼロ年代初頭のいわゆるグリッチ・エレクトロニカからの手法的連続性を強く感じさせつつ、物音と表現されるような微音工作やリズミック・ノイズのフィーリングも携えており、明確な用途を持ったいわゆる効果音などとは異なる、さながら「所在なき音」のブリコラージュの如き逸品。

<作品概要>
90年代中頃より制作を開始、2006年にMagic Book Recordsのコンピレーション・アルバム『電電オバケカーニバル』に8mm名義で参加、VJ Romlus名義でのパフォーマンスや【K】名義でのDJも行いつつ、大阪や神戸でのオーディオビジュアル・ライブを中心に活動しているKenji Tsudaによる初アルバムがshrine.jpよりリリース。
本作『Untitled』には30秒程度のものから15分近くに及ぶものまで、様々な長さと内容の電子ノイズ/グリッチ音響が全30曲収められている。アルバム自体にもそれぞれの曲にも実質的にタイトルは付いておらず、色を排した抽象的なアートワークからも可能な限り音を意味で装飾せず届けようという意図が伺える(デザインもKenji Tsuda自身が担当)。サウンドは偶発性や不確定性に身を任せたようなグリッチ的な音の縺れや急勾配な変化をベースとしており、突発的な音の切り替えが多発するもの、物音のループのように錆びれた音響が淡々と続くもの、サンプリングされた具体音と思しき音響が顔を覗かせるコンクレート的ニュアンスを持ったものと様々な作風がまばらに現れるが、常に雪原に立ち尽くすような(寂寥さすら感じさせる)クールな佇まいは一貫している。
90年代後半~ゼロ年代初頭のいわゆるグリッチ・エレクトロニカからの手法的連続性を強く感じさせつつ、物音と表現されるような微音工作やリズミック・ノイズのフィーリングも携えており、明確な用途を持ったいわゆる効果音などとは異なる、さながら「所在なき音」のブリコラージュの如き逸品。

よろすず

Track list
01. ~ 30. 計30トラック、各トラック無題

SRSW 496 V.A.『The Shadows In Thy Glimpse: Bedouin Records Selected Discography 2016-2018』

V.A.
『The Shadows In Thy Glimpse: Bedouin Records Selected Discography 2016-2018』

2021年11月19日リリース
¥2,750(with tax)
SRSW 496

Amazon  https://amzn.to/3inhxBh

現代のアンダーグラウンド・テクノ/エクスペリメンタルを独自の視点で拾い上げ、重厚なデザインのヴァイナルで世に送り出してきた先鋭レーベルBedouin Records、その初のレーベルコンピレーションが日本独自でCD化!本作『The Shadows In Thy Glimpse: Bedouin Records Selected Discography 2016-2018』はレーベルのこれまでのカタログからセレクトされたトラックによって構成されており、2016年にリリースされたJohn Heckleのトラックに始まり、以降2018年までのレーベル作品がほぼリリース順に並んでいる。PANからのリリースもあり近年注目を集めるPan Daijingや、Nene Hatunなどの新鋭、そしてこのレーベルにてデビューとなったユニットAQXDMやEartakerのトラックが含まれており、レーベルの審美の確かさだけでなく、よりチャレンジングな動向を追うこともできる。

<作品概要>
現代のアンダーグラウンド・テクノ/エクスペリメンタルを独自の視点で拾い上げ、重厚なデザインのヴァイナルで世に送り出してきた先鋭レーベルBedouin Records、その初のレーベルコンピレーションが日本独自でCD化!
Bedouin Recordsは2014年にロンドンで始動し、これまでUAE、ベルリン、バンコクへと拠点を移しながら活動。インダストリアル、ノイズに纏われ脱色されたヒプノティック・テクノ/ロウ・ハウスをメインに、ドゥームやサイケデリックの感覚を含んだ現代的なエクスペリメンタル/エレクトロニクスなど、アンダーグラウンドから独創的な世界観を持つ多数のアーティストを発掘し、重厚なデザインのヴァイナルで世に送り出してきた。拠点を移しながら活動しているためかヨーロッパ、北米、アジアなど幅広い地域のアーティストが属していることも特徴だ。
本作『The Shadows In Thy Glimpse: Bedouin Records Selected Discography 2016-2018』はBedouin Recordsが送り出す初のレーベル・コンピレーション・アルバム。選曲はレーベルのこれまでのカタログから行われており、2014~2016年の作品からセレクトされた『Serpent Made of the Snake’s Desire: Bedouin Records Selected Discography 2014-2016』と、2016~2018年の作品からセレクトされた本作が同時リリースされる。
本作には2016年にリリースされたJohn Heckleのトラックに始まり、以降2018年までのレーベル作品がほぼリリース順に並んでいる。PANからのリリースもあり近年注目を集めるPan Daijingや、Nene Hatunなどの新鋭、そしてこのレーベルにてデビューとなったユニットAQXDM(Aquarian, Deapmash)やEartaker(Die Suck, Goth-Trad, Masayuki Imanishi)のトラックが含まれており、レーベルの審美の確かさだけでなく、よりチャレンジングな動向を追うこともできる。サイバートランスなシンセサウンドや、マントラや鳴り物などのトライバルな要素を取り入れた楽曲も収録されており、音楽性の広がりを感じられるのもポイントだ。

収録アーティスト(John Heckle、Hieroglyphic Being & The Truth Theory Trio、Ekman、Pan Daijing、J Tijn、Nene Hatun、Tzusing、Arad、Ekman、AQXDM、Merzbow、Eartaker)

よろすず

[ CD 1 ]
01. John Heckle – Mesopotamia
02. Hieroglyphic Being & The Truth Theory Trio – The Papyrus Of Ani
03. Ekman – Alchemy
04. Pan Daijing – Exile
05. J Tijn – Beedle
06. Nene Hatun – Dementia

[ CD 2 ]
01. Tzusing – Flow States
02. Arad – Inti
03. Ekman – Quintic
04. AQXDM – Ballad 002
05. Merzbow – Tomarigi, Pt.2
06. Eartaker – Killing Stone

SRSW 495 V.A.『Serpent Made of the Snake’s Desire: Bedouin Records Selected Discography 2014-2016』

V.A.
『Serpent Made of the Snake’s Desire: Bedouin Records Selected Discography 2014-2016』

2021年11月19日リリース
¥2,750(with tax)
SRSW 495

Amazon  https://amzn.to/3omLg0Z

現代のアンダーグラウンド・テクノ/エクスペリメンタルを独自の視点で拾い上げ、重厚なデザインのヴァイナルで世に送り出してきた先鋭レーベルBedouin Records、その初のレーベル・コンピレーションが日本独自でCD化!本作『Serpent Made of the Snake’s Desire: Bedouin Records Selected Discography 2014-2016』はレーベルのこれまでのカタログからセレクトされたトラックによって構成されており、レーベル最初のリリースとなったAllison Chanicに始まり、初期の作品がほぼリリース順に並んでいる。レーベルの常連であるEkmanや、日本のRyo Murakamiなどのトラックも含まれており、ダークかつ深遠なベース・ミュージックの連鎖によってレーベルの提示する世界観を堪能できる。Bedouin Recordsの入門にはうってつけの一作。

<作品概要>
現代のアンダーグラウンド・テクノ/エクスペリメンタルを独自の視点で拾い上げ、重厚なデザインのヴァイナルで世に送り出してきた先鋭レーベルBedouin Records、その初のレーベルコンピレーションが日本独自でCD化!
Bedouin Recordsは2014年にロンドンで始動し、これまでUAE、ベルリン、バンコクへと拠点を移しながら活動。インダストリアル、ノイズに纏われ脱色されたヒプノティック・テクノ/ロウ・ハウスをメインに、ドゥームやサイケデリックの感覚を含んだ現代的なエクスペリメンタル/エレクトロニクスなど、アンダーグラウンドから独創的な世界観を持つ多数のアーティストを発掘し、重厚なデザインのヴァイナルで世に送り出してきた。拠点を移しながら活動しているためかヨーロッパ、北米、アジアなど幅広い地域のアーティストが属していることも特徴だ。
本作『Serpent Made of the Snake’s Desire: Bedouin Records Selected Discography 2014-2016』はBedouin Recordsが送り出す初のレーベル・コンピレーション・アルバム。選曲はレーベルのこれまでのカタログから行われており、2014~2016年の作品からセレクトされた本作と、2016~2018年の作品からセレクトされた『The Shadows In Thy Glimpse: Bedouin Records Selected Discography 2016-2018』が同時リリースされる。
本作にはレーベル最初のリリースとなったAllison Chanicに始まり、初期の作品がほぼリリース順に並んでいる。レーベルから多数の作品を発表しているEkmanや、日本のRyo Murakamiなどのトラックも含まれており、ダークかつ深遠なベース・ミュージックの連鎖によってレーベルの提示する世界観を堪能できる。Bedouin Recordsの入門にはうってつけの一作。

収録アーティスト(Allison Chanic、Imugem Orihasam、Dez Williams、Ekman、J. Tijn、Imaginary Forces、Hieroglyphic Being & The Truth Theory Trio、Healing Force Project、Bintus、Eomac、Ryo Murakami、Constantine Skourlis)

よろすず

[ CD 1 ]
01. Allison Chanic – Painlessly In Love (Lakker Remix)
02. Imugem Orihasam – It Ain’t Assertion When Only What They Have Scope To Make It (Eomac Remix)
03. Dez Williams – Acid Bath
04. Ekman – The Consciousness Of An Anthropic Mechanism
05. J. Tijn – Shy
06. Imaginary Forces – Council Flat (Roly Porter Burning Light Version)

[ CD 2 ]
01. Hieroglyphic Being & The Truth Theory Trio – Keep Your Mind Open
02. Healing Force Project – WayWard Flow
03. Bintus – Reincarnated Savage
04. Eomac – Same Heart, Same Breath, Same Life, Same Death
05. Ryo Murakami – Sun
06. Constantine Skourlis – Cosmos

SRSW 493 Isolate Line『2021: A space odyssey』

Isolate Line
『2021: A space odyssey』

2021年10月15日リリース
¥2,200(with tax)
SRSW 493

Amazon  https://amzn.to/3mKJFRQ

2004年に活動を開始、相反する音の融合をコンセプトに、インダストリアル・ノイズ・アンビエント・ダブ・エレクトロニカを横断したスタイルで、プログラミング・生演奏を融合/分解/再構築したサウンドを展開する東京拠点のサウンド・クリエイター/プロデューサー、Isolate Lineによる初アルバムがshrine.jpよりリリース!本作『2021: A space odyssey』は10年以上のキャリアを持つ彼の待望の初アルバムであり、架空のSF映画のサウンドトラックというテーマの下、テクノロジー(実験)とタイムレス(永続)を焦点に制作された。remodelより同時リリースされるデジタル・アルバム『INTERSTELLAR』とはテーマを共にする連作という位置づけであり、本作『2021: A space odyssey』は後編にあたる。

<作品概要>
東京を拠点にサウンド・クリエイター/プロデューサーとして活動するIsolate Lineによる初アルバムがshrine.jpよりリリース。Isolate LineはHiroyasu Izumoriによるソロ・プロジェクト。2004年に活動を開始、相反する音の融合をコンセプトとし、インダストリアル・ノイズ・アンビエント・ダブ・エレクトロニカを横断したスタイルで、プログラミング・生演奏を融合/分解/再構築したサウンドを展開する。六本木SuperDeluxeで行われたRed Bull Music Academy presents 0g night「DO BLOOM IN THE SILENCE」への出演をはじめ、舞台音楽、短編映像作品などへの楽曲提供など幅広く活動。音源リリースとしては2014年に自身もその発足に関わったインディペンデントレーベルhyAharよりデジタルEP『UNFORMAT VIOLA』『R』をリリース。更に同年、限定販売のコンピレーションCD『test I: i.a.m.y.o』へ参加。そして2020年にremodelよりリリースされた2枚組コンピレーション『a sign 2』にも楽曲が収録されている。本作『2021: A space odyssey』は10年以上のキャリアを持つ彼の待望の初アルバムであり、また単独作としては初のフィジカルリリースとなる一作。キューブリックのかの名作を思わせるタイトルにも表れているように、架空のSF映画のサウンドトラックというテーマの下、テクノロジー(実験)とタイムレス(永続)に焦点を当て制作されている。またremodelより同時リリースされるデジタル・アルバム『INTERSTELLAR』とはテーマを共にする連作という位置づけであり、本作『2021: A space odyssey』は後編にあたる。アルバムの中心となるのはGravityと題された楽曲群であり、『INTERSTELLAR』に収録された「Gravity-zero」と、本作に収められた3曲、合わせて4編で起承転結を表現している。本作冒頭に配された「Gravity-Nostalgia」はオペレーション音声のコラージュで幕を開け、ピアノやドラムなどの器楽的サウンドと強烈な存在感を持つ電子音が重なる。Isolate Lineの持ち味である「相反する音の融合」が表れただけでなく、アトモスフェリックでありながらもどこまでも芯の通った電子音のテクスチャーや、個々のサウンドの磨き上げられたような明瞭さが目覚ましい1曲。「Gravity-5Dimension」では散発的なビートとSE、ノイズなどが不定形なアンサンブルを形成。各々のサウンドが何らかの面で不規則性を持った振る舞いを見せるが、巨視的なレベルでグルーヴが維持されたような感触があり、ランダムネスと構造的な美しさの相互作用が感じられる知性的なトラックとなっている。そして「Gravity-Event Horizon」では裁断された性急なドラムンベースのリズムパターンと、加速度的に厚みを増すシンセによって聖性へ突き抜けるラストが現出する。

よろすず

Track list
01. Gravity-Nostalgia-
02. Arithmetic
03. Victim-Silicon Creature-
04. Nexus
05. Gravity-5Dimension-
06. Natallie-Magnetic Rose-
07. Geodesics
08. Gravity-Event Horizon-
10. FOR R

SRSW 490 Aube『Tapes 1992-1994 (GR 7CD Box)』

Mayuko Hino
『Akashic Records』

shrine.jp再販売㊽
2021年9月20日リリース
¥3,300(with tax)
SRSW 490

Amazon  https://amzn.to/3zrGd28

91年から対外的な音楽活動を開始、本職の工業デザイナーである技術を生かした凝った装丁のカセット・パッケージでのリリースや、作品ごとに一つの素材から抽出された音のみを用いるアプローチによってすぐさまノイズ作家として独自の存在となり、以降国内外のレーベルから精力的なリリースを続けた中嶋昭文によるノイズ・プロジェクトAUBE。本作『Tapes 1992-1994 (GR 7CD Box)』は氏の死去後にその足跡に改めて光を当てるために企画された、shrine.jpによる「G.R.O.S.S.」の初期カセット作のCD化シリーズをまとめたボックスセット。『Spindrift』『Drip』『Luninous』『Flash-Point』『Submerged Tension Remix』『Frequency for Collapse』『E-Power』の全七作を収録している。

<作品概要>
AUBEは1959年京都生まれの中嶋昭文によるノイズ・プロジェクト。
80年代からシンセサイザーなどを用いて趣味の範囲で小規模な音響制作などを行っていた彼は、1990年に美術作家の有地左右一+笹岡敬によるインスタレーション作品『Water1990』の音楽を担当したことを契機に翌91年からAUBEとして対外的な音楽活動を開始。同年ヴァニラ・レコーズからデビュー・カセット『Hydrophobia』を発表、92年には自主レーベル/デザイン・プロジェクトである「G.R.O.S.S.」を設立し、自身を含む国内外のノイズ・アーティスト達の作品を、本職の工業デザイナーである技術を生かした凝った装丁のカセット・パッケージでリリース。
他にも世界各国のレーベルからのオファーに応えるかたちで精力的に作品をリリースし続けるが、健康上の理由により2005年頃から活動のペースを落とし、2013年9月25日永眠。
音響制作においては作品ごとに一つの素材から抽出された音のみを用い、それを源に多種のエフェクト操作によって強靭かつ気品あるノイズ音響を現出させることを特徴とする。
本作『Tapes 1992-1994 (GR 7CD Box)』は氏の死去後にその足跡に改めて光を当てるために企画された、shrine.jpによる「G.R.O.S.S.」の初期カセット作のCD化シリーズ全七作をまとめたボックスセット。
収録内容は以下の通り
①『Spindrift』 – 「水」の音を題材とした作品。
②『Drip』 – 美術作家、笹岡敬の個展時に行なったライヴ・パフォーマンスの録音を加工して制作された音源。
③『Luninous』 – AUBE活動初期に親交が深かった美術作家、有地左右一と笹岡敬によるインスタレーション「Luminous」から生まれたもので、変圧して意図的に切れかけの状態にした蛍光灯と点灯管の点滅音を題材としている。
④『Flash-Point』 – AUBE活動初期に親交が深かった美術作家、有地左右一と笹岡敬による蛍光灯の点滅を題材にしたインスタレーション「Luminous」への音響制作参加の発展形として、大阪造形センターで行われたライヴ・パフォーマンスを収録。
⑤『Submerged Tension Remix』 – 1993年に岡崎豊廣(ディスロケーション)のレーベル「Steeple & Globe」からリリースした『Submerged Tension』のリミックス版。
⑥『Frequency for Collapse』 – 美術作家しばたゆりが岡山の廃ビルにあったアート・スペース「自由工場」内に1993年から1994年末のビル解体に至るまで設置したインスタレーション『崩壊の周波数』に関連する作品。
⑦『E-Power』 – 電圧制御発信器(VCO)を用いた作品。AUBEは自作において発信器(もしくはシンセ)を用いる場合には「一つの素材を用いる」というスタンスから1VCOでの演奏、制作にこだわっていた。

よろすず

CD list
CD1. Spindrift
CD2. Drip
CD3. Luminous
CD4. Flash-Point
CD5. Submerged Tension Remix
CD6. Frequency For Collapse
CD7. E-Power

SRSW 485 Mayuko Hino『Akashic Records』

Mayuko Hino
『Akashic Records』

shrine.jp再販売㊼
2021年9月20日リリース
¥1,100(with tax)
SRSW 485

Amazon  https://amzn.to/3DlNfro

1989年から音楽活動を開始し、C.C.C.C.のメンバーとしてジャパノイズ隆盛の一角を担うなど精力的に活動してきたノイズ・アーティスト日野繭子が、そのキャリアにおける初のソロ名義作として2014年にshrine.jpより発表したアルバム。すべてライブ録音で制作され、生々しさを重視するためPCの使用や波形編集は一切行われていない。真鍮板やメタル・ジャンク類のほか、ichion(荒石亮)によって制作された特注の6連テルミン・オシレーターも用いており、コンパクトにまとめられた1曲1曲が厚み、色合い、速度感、そして静けさなど様々に異なる輝きを放つ。30分以上に及ぶ唯一の長尺トラック「The Golden Rule」はアルバム中でも随一の轟音ノイズが切れ目なく持続しうねる一曲だが、フリーケンシーの上下や粗さのニュアンスの変化にはどこまでも曲線的な流れの滑らかさがあり、美しい。

<作品概要>
1989年から音楽活動を開始したノイズ・アーティスト日野繭子がそのキャリアにおける初のソロ名義作として2014年にshrine.jpより発表したアルバム。
彼女は高校卒業後に女優業を開始、1978年より若松孝二監督作『13人連続暴行魔』をはじめ多くのピンク映画に出演。1989年の芥正彦演出「リボン・惑星・涙の木」(草月ホール)を最後に女優を休業し、ノイズ・アーティストとしての活動を開始する。
90年代には長谷川洋、小堺文雄、長久保隆一と共に結成したバンドC.C.C.C.としてジャパノイズ隆盛の一角を担うが、2003年頃からは中医学を学ぶために表現活動を休止。
そして約8年後の2011年に演奏活動を再開し、ソロやJunkoと大西蘭子との「DFH-M3」、山本精一とHiko、Isheeとの「Transparentz」として2021年現在まで精力的に活動している。2018年に英Cold Springより2ndアルバム『Lunisolar』を発表、2021年に同じくCold SpringよりMasonna/山崎マゾの別ユニットControlled Deathとのスプリット12インチを発表。
『Akashic Records』は日野繭子のキャリアにおける初のソロアルバムであり、2014年にiTunes限定でリリースされた。本作はそれを後年CD化したものであり、オリジナルアートワークのシートに加え東瀬戸悟によるライナーノーツが同封されている。
制作はすべてライブ録音で行われ、PCの使用や波形編集は一切行われていない。真鍮板やメタル・ジャンク類のほか、ichion(荒石亮)によって制作された特注の6連テルミン・オシレーターも用いており、コンパクトにまとめられた1曲1曲が厚み、色合い、速度感、そして静けさなど様々に異なる輝きを放っている。30分以上に及ぶ唯一の長尺トラック「The Golden Rule」はアルバム中でも随一の轟音ノイズが切れ目なく持続しうねる一曲だが、フリーケンシーの上下や粗さのニュアンスの変化にはどこまでも曲線的な流れの滑らかさがあり、聴き手の神経を音の渦の中に自然に滑り込ませるような演奏となっている。

よろすず

Track list
01. Veil of Ignorance
02. Mediator
03. Mebius Strip
04. Atomism
05. Autos Akos = Autacoid
06. Klein Bottle
07. Quality of Pleasure
08. The Golden Rule
09. FOR R (Noise Remix)
10. FOR R

SRSW 488 shotahirama『Surf』(4CD)

shotahirama
『Surf』(4CD)

shrine.jp再販売㊻
2021年8月20日リリース
¥2,145(with tax)
SRSW 488

Amazon  https://amzn.to/3eSQKLm

2006年にElectronoise Group (ENG)を立ち上げ中心的なメンバーとして活動を開始、2010年代からはソロ活動を活発化させ自身が主宰するレーベルSIGNAL DADAより『Nice Doll To Talk』、『post punk』など先鋭的な作品のリリースを続けるNY出身のアーティストshotahirama。本作『Surf』は彼が研ぎ澄まされた電子ノイズと瞬発性に溢れたカットアップ/コラージュの作風を携えて2014年に怒涛の勢いでリリースした4作品『post punk』『Cluster』『clampdown』『Modern Lovers』をまとめたボックス・セット(ポスター、缶バッチ2個、ブックレット封入)。彼のキャリアにおけるブレイクスルーをパッケージした逸品。

<作品概要>
2006年にElectronoise Group (ENG)を立ち上げ中心的なメンバーとして活動を開始、2010年代からはソロ活動を活発化させ自身が主宰するレーベルSIGNAL DADAより『Nice Doll To Talk』、『post punk』など先鋭的な作品のリリースを続けるNY出身のアーティストshotahirama。
本作『Surf』は彼が研ぎ澄まされた電子ノイズと瞬発性に溢れたカットアップ/コラージュの作風を携えて2014年に怒涛の勢いでリリースした4作品をまとめたボックス・セット(ポスター、缶バッチ2個、ブックレット封入)。ここで確立された作風はこれ以降もしばらくは(レゲエ/ダブなど新たな要素を巻き込みながら)彼の作品の軸となっていくため、『Surf』はそのキャリアにおけるブレイクスルーをパッケージした逸品といえるだろう。
収録内容は以下の通り
①『post punk』 – 極限まで研ぎ澄まされた電子ノイズと瞬発性に溢れ時空をスクラッチするかのようなカットアップ/コラージュによる13分のグリッチ音響パンク。以降の作品の雛形でありながらも、確固たる完成度を感じさせる重要作。
②『Cluster』 – 基本的な作風は『post punk』と地続きであるが、本作は惑星や恒星の名前が冠された6つのトラックからなるトータル32分と明確に異なる構成が取られ、壮大な構造美を描く。
③『clampdown』 – 東京のアンダーグラウンドシーンで活躍するMiclodietとのスプリット作。『post punk』において、電撃的なまでのグリッチノイズの炸裂が感じさせた「速度」が更新されるかのような内容。
④『Modern Lovers』 – 福岡のduennlabelよりカセットでリリースされた作品のCD化。近い時期の作品とは趣を異にしたドローン・ノイズ的な一作となっている。曲タイトルは「And the Elevator Music in the WTC」。自身の出身地であるNYへの喧騒にまみれたレクイエムのように響く。

よろすず

CD list
CD1. post punk
CD2. clampdown
CD3. Cluster
CD4. Modern Lovers

SRSW 489 hakobune『2007-2015 box』

hakobune
『2007-2015 box』

shrine.jp再販売㊺
2021年7月20日リリース
¥2,200(with tax)
SRSW 489

Amazon  https://amzn.to/3qp1DJC

兵庫県出身、2007年に京都で本格的に活動を開始し、東京へと拠点を移しながらも世界中のインディペンデント・レーベルからハイペースで作品を発表し続け(その総数は2016年初頭時点でフルアルバム55作、スプリットやEPを合わせると68作を数える)、Chihei Hatakeyamaなどと共に日本のアンビエント/ドローンのシーンを牽引する存在となっている依藤貴大によるソロ・ユニットhakobune。本作『2007-2015 box』は彼の作品のうち既に廃盤となった作品などからセレクトされた特別な編集盤シリーズの全六作『2007-2008』『2009-2010』『2011』『2012 winter』『2012-2013』『2014-2015』をまとめたボックスセット。使用機材の変化、音が生む多様なイメージ、微睡や陶酔などそれがもたらす効果など、様々な観点からドローン/アンビエント深淵を覗くカタログのような作品集。

<作品概要>
兵庫県出身、2007年に京都で本格的に活動を開始し、東京へと拠点を移しながらも世界中のインディペンデント・レーベルからハイペースで作品を発表し続け(その総数は2016年初頭時点でフルアルバム55作、スプリットやEPを合わせると68作を数える)、Chihei Hatakeyamaなどと共に日本のアンビエント/ドローンのシーンを牽引する存在となっている依藤貴大によるソロ・ユニットhakobune。
本作『2007-2015 box』は彼の作品のうち既に廃盤となった作品などからセレクトされた特別な編集盤シリーズの全六作をまとめたボックスセット。
収録内容は以下の通り
①『2007-2008』 – 当時ギター・ドローン界隈で勢いのあったレーベルInstallの主宰者David Taggとのスプリットからの音源など、hakobuneの活動初期にあたる2007~2008年の作品から抜粋された音源を収録。
②『2009-2010』 – David TaggのレーベルInstallからの『a yearlong thought』、Hibernate Recordingsから少部数発表された3インチCD『isohel』、hakobuneが2009年にNobuto Sudaと立ち上げたレーベルTobira Recordsの第一弾リリースであるRichard Lainhartとのスプリット10インチからの音源を収録。
③『2011』 – 2011年にリリースされた『I Discover I’m Missing』(Apollolaan Recordings)、『Words Left Behind On Ashes』(Cassauna)、『Shadow On The Lawn』(Organic Industries)など7つのアルバムからの音源を収録。
④『2012 winter』 – 国産カセットレーベル吟醸派からの『Apparitions Just Outside The View』、2011年に逝去したRichard Lainhartの追悼作『While Shadows Sweep Across The Lawn』(Somehow Recordings)からの音源などを収録。
⑤『2012-2013』 – Constellation Tatsuからの2つのカセット作『Looping Around The Forest I Thought I Remembered』と『The Cowboy Across The River』をはじめ、カセット/CD/レコードという多様なフォーマット、レーベル第一弾というメモリアルな抜擢、ゲームアプリへの音楽提供など、この時期の活動の広がりに基づいた音源を収録。
⑥『2014-2015』 – 『Love Knows Where』(Constellation Tetsu)、『Sinking Stars』(Beer On The Rug)、『Mizukagami』(Sacred Phrases)など、すべてカセットでリリースされた作品からの音源を収録。

よろすず

CD list
CD1. 2007-2008 / hakobune
CD2. 2009-2010 / hakobune
CD3. 2011 / hakobune
CD4. 2012 winter / hakobune
CD5. 2012-2013 / hakobune
CD6. 2014-2015 / hakobune