英国ロマン主義文学、コールリッジの「The Rime of the Ancient Mariner(老水夫行)」をテーマにしたベッドフォードの交響曲
DAVID BEDFORD
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧
CASCADES 16
英国のロマン主義文学の始まりといわれているサミュエル・テイラー・コールリッジのThe Rime of the Ancient Mariner『老水夫行』は、最初、1798年のワーズワース、コールリッジの共著『抒情歌謡集』(Lyrical Ballards)の巻頭に発表されたもので、1817年に他の詩集に収録された際、大幅に改訂された。
"サミュエル・テイラー・コールリッジ(Samuel Taylor Coleridge, 1772年10月21日 - 1834年7月25日)は、イギリスのロマン派詩人であり、批評家、哲学者でもある。コールリッジは幻想的な作風で知られ、無意識からわき起こって来るイメージを、言葉に直したような、神秘的で怪奇な詩作品がある。「クーブラカーン(Kubla Khan)」、「老水夫行(The Rime of the Ancient Mariner)」、「クリスタベル姫(Christabel)」等の詩で知られる。とりわけ、「クーブラカーン」においては、作者自身が、この作品は麻薬の吸引によって生じた陶酔状態のなかで見た幻覚を、目覚めてから急いで文章にしたものであるが、途中で用事で席を立った後、続きを書こうとして、内容をもはや思い出せなかったと述べている。しかし、『クーブラカーン』を精密に分析すると、これは幻覚的イメージの単なるメモではなく、首尾一貫した構成と構想を備えており、最終行に至って、詩は完成しているので、コールリッジが敢えて虚言を弄しているか、または彼自身も詩作の過程について、錯覚を抱いたのかも知れない"(ウィキペディア フリー百科事典より抜粋/引用)。
DAVID BEDFORD/THE RIME OF THE ANCIENT MARINER
(VIRGIN V2038)
このアルバムでは、「老水夫行(The Rime of the Ancient Mariner)」の7編からなるストーリーをロバート・パウエルのナレーションによって物語られる。
「 ある老水夫が、結婚式に向かう客のひとりを眼光鋭く呼び止めて語った、古い航海のお話。老水夫の乗った船がある時南極近くに流されて、吹雪吹き荒れる氷の中で漂流してしまう。そこに現れた 1 羽の海鳥。水夫たちはその海鳥が幸運を運んできてくれた、と大いに歓迎する。海鳥もよく懐き船は助かると思ったところで、この海鳥を若き日の老水夫が殺してしまう。なんの理由もなく」。
「その海鳥の死によって船は呪いを受け、北へ北へ赤道近くに流され、そこからパタリと身動きが取れなくなってしまう。灼熱の中風が全く吹かないのだ。海鳥の屍は老水夫の首に。罪の証である。とそこへ 1 艘の幽霊船が現れ、一緒に乗っていた水夫たちはみな渇きから死に絶え、死神に連れて行かれてしまった」。
「ひとり呪われた船で漂流を続ける老水夫。その 「 死中の生 」 の中で、あるとき水蛇のあまりの美しさに、初めて人間以外の生き物に愛情を見出すのである。すると首にかけられた海鳥の屍は海に消え落ちていった。ようやく呪いから解き放たれのだ」。
「しかし老水夫は、一生かけて生き物を慈しむことを説いて回り償い続けなければならない。ずっーと、ずっーと...。」(http://en.wikipedia.org/wiki/The_Rime_of_the_Ancient_Mariner の翻訳版から抜粋/引用)
物語りの大筋はこういったもので、アホウドリに代表されるいわゆる海鳥というのは、水死した船乗りの魂であると信じられ吉凶を左右するもの、それを殺せば必ず祟りにあうことになるという考えが核になった、老水夫を通して人間が正しい宗教的道徳に目覚めるプロセスがストーリー展開されている。「ダ・ヴィンチ・コード」の大ブーム以来、歴史的イエス・キリストの実像をめぐる議論が沸騰しているが、このアルバムもまた真のイエス像を追い求めたものかも知れない。デヴィッド・ベッドフォードの’75年ヴァージン/キャロラインから発表されたアルバム「 The Rime of the Ancient Mariner」での音楽は、ナレーションにロベート・パウエル、シンガーにロンドンのクイーンズ・カレッジの2人、そしてマイク・オールドフィールドがエレキギターで参加しているだけで、すべてのクラシカルで 叙情的な作曲や、多重録音で行われたサウンド構築はデヴィッド・ベッドフォードひとりで行っている。オープニングとエンディングでの婚礼描写の曲はティールマン・スセイトーの1561年の「ラ・ムーリスク」、Bサイドのクイーンズ・カレッジの学生達による歌は民謡の「リオ・グランテ」が使われアレンジされている。
DAVID BEDFORD(Grand Piano,Lowrie Organ,Challenger Gem Organ,Church Organ,Piano Strings,Descant and Treble Recorders,Chime Bars,Windebottlephone,Glorgindel Sound Machine,Swanee Flute,Violin,Cymbals,Gong.)
MIKE OLDFIELD(Guitar.)
ROBERT POWELL(Narrator.)
Singers:Classes 2 and 3 from Queen's College London,Soloists:Diana Coulson,Lucy Blackbum.
engineered by Michael Glossop
produced by David Bedford
cover:Gustav Dore
1975 VIRGIN RECORDS
ヴァージンから発表されているデヴィッド・ベッドフォードの他の作品「The Odyssey」、「Instructions For Angels」ではシンセサイザーなどのエレクトロニックも使われるようになり、ここでも壮大なシンフォニー・ドラマが描かれているが、ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック時代にテリー・ライリーなどのミニマル、フリーミュージックの洗礼も受け、イタリアでルイジ・ノノに師事し作曲や音楽理論を学んだ彼ならではの、古典派からローマン派を横断し、かつ実験的な交響曲が聴こえてくる。
DAVID BEDFORD/THE ODYSSEY
(VIRGIN V2070)
side one:1 Penelope's Shroud(i) 2 King Aeolus 3 Penelope's Shroud (ii) 4 The Phaecian Games 5 Penelope's Shroud (iii) 6 The Sirens
side two:1 Scylla And Charybdis 2 Penelope's Shroud (iv) 3 Circe's Island
4 Penelope's Shroud Completed 5 The Battle In The Hall
David Bedford(ARP2600 synthesiser,string sinthesiser,febder rhodes,electric piano,clavinet,vibraphone,hammond organ etc) 、 Queens College Of London Choir (vocals)、Andy Summers, Mike Oldfield (guitar)
1976 VIRGIN RECORDS
DAVID BEDFORD/INSTRUCTIONS FOR ANGELS
(VIRGIN 2090)
side one:1.Theme 2.Variation 1 "Wanderes of the Pale Wood.Part 1" Variation 2"Wanderers of the Pale Wood.Part 2" 3.Variatin 3 "The Dazzling Burden" Variation 4 "Be Music,Night"
side two:1.Variation 5 "First Came the Lion-Rider" 2 .Variation 6 "Instructions for Angels" 3.Finale "The Valley-sleeper,the Children,the Snakes and the Giant"
DAVID BEDFORD(keyboards & percussion) MIKE OLDFIELD(guitar) MIKE RATLEDGE(synthesiser) The Leicestershire Schools Symphony Orchestra
produced by David Bedford cover-Cooke Key
1977 VIRGIN RECORDS