ROY ST.JOHN / GLOBAL VILLAGE TRUCKING COMPANY

イギリス人のコミュニケーションの場所として
生活に根付いている歴史をもつパブや居酒屋で演奏される
パブ・ロックのルーツ・ミュージック
ROY ST.JOHN
GLOBAL VILLAGE TRUCKING COMPANY
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ.ロックへの回顧
CASCADES 23


ヴァージン・レコードとリチャード・ブライソンのイングリッシュ・ドリーム
ヴァージン・レコードが設立されたのは、'72年というから36年の歳月が経っている。当時17歳のリチャード・ブライソンは雑誌「ステューデント」誌の出版を振り出しに、レコードの通信販売、小売店経営、独仏の実験的音楽作品の輸入販売、レコーディング・スタジオ経営を成功させると、'72年にレコード会社ヴァージン・レコードを設立し、'73年5月23日に最初の新譜としてマイク・オールドフィールド「チューブラ・ベルズ」、ゴング「フライング・ティーポット」、スティーヴ・ヨーク「マナー・ライヴ」、ファウスト「ファウストⅣ」の4タイトルをリリース。'84年には「ヴァージン アトランティック航空」を設立、その後、インターネットや携帯電話事業といったIT分野への進出、ヴァージン・コーラなどの飲料水事業、「ヴァージン・シネマズ」、イギリス国内の鉄道の経営、金融事業などへ次々と参入。現在グループ全体で22カ国、25,000人の従業員を擁する規模にまで成長。 '04年にはヴァージン・ギャラクティックを立ち上げ、宇宙旅行事業にも参入を開始。'07~'08年には経営危機に陥った英ノーザン・ロック銀行の買収に名乗りを上げて話題を呼ぶ。熱気球による世界初の大西洋および、太平洋横断を成功し冒険家としても知られている。 今や年間40億ポンドの総売上高を誇るヴァージン・グループの創始者である彼は、2000年に英国エリザベス女王より”ナイト”の称号を授かり、サー・リチャード・ブランソンとなる。正にアメリカンならぬイングリッシュ・ドリームそのものである。

ROY ST.JOHN/IMMIGRATION DECLARETION
(VIRGIN/CAROLINE CA2008)
パブ・ロックの始まりは、タリー・ホーという名前のパブ(イギリス人のコミュニケーションの場所として生活に根付く歴史をもつ)から生まれた。そこで演奏される音楽はトラッドやカントリー・テイストを持つロックで、それを証明するかのようなアルバムが75年に発表されたキャロライン・レーベルからの2枚だ。ジェームス・ブラウンの"Papa's got A Brand New Bag"などにも影響されたRoy St.Johnのアルバムは、カントリー・ブルースの香りのするパブ・ロックだ。このアルバムには、ブリンズリー・シュウォーツのオルガン奏者Bob Andrewsや、ヘルプ・ユアセルフのMalcolm Morleyなどが参加している。パブ・ロックの始まりのイギリスでのカントリーブルースと言えばディープなデルタブルースの世界に心酔したイギリスのカントリーブルースシンガー、ギタリストのGRAHAM HINEのアルバム「BOTTLENECK BLUES」などを思い浮かべるが、この世界もとても奥深い。パブ・ロックのルーツやギターミュージックの始まりは、やはりエリック・クラプトン、キース・リチャーズら多くのミュージシャンに影響を与えたと言われているミシシッピ州出身のミュージシャン、ロバート・リロイ・ジョンソン(Robert Leroy Johnson)だろうか。

side one:1.Immigration Declaration 2.Slow Me Down 3.The Facts Of Life 4.Cool and Lazy 5.Californis Migrant 6.She Got The River
side two:1.Take a Chance on Loving Me Tonight 2.Maid of Orleans 3.Out in The Backyard 4.Gaudelia 5.Aztec Stomp 6.Waiting for The Lights to Change
produced by CHARLES SINCLAIR
ROY ST.JOHN(vocals) LES MORGAN(drums) CHARLES SINCLAIR(bass) MICHAEL PAICE(saxophone,harmonica) ROGER BROWN(accoustic guitar,harmonies and 'hey junior' ) ADRIAN PIETRYGA(electric guitar) BARRY FARMER(engineering and mixing)
ROGER RETTING(pedal steel guitar) MALCOM MORLEY(piano) BOB ANDREWS(organ) LINDSAY SCOTT(mandolin,violin)
engineered & mixed at Pathway Studio
1975 VIRGIN/CAROLINE RECORDS

GLOBAL VILLAGE TRUCKING COMPANY
(VIRGIN/CAROLINE C1516)
パブ・ロックの原石のようなフリーフォーム・ジャム・スタイルのGROBAL VILLAGE TRUCKING COMPANYは、後にケヴィン・エアーズ、10CC、ブリンズレー・シュウォーツを生む。パブ・ロックは'70年代~'80年代にかけてイギリスでパンク・ロックと同時期に表面化した音楽で、シンプルな曲の構成や労働者階級を意識した詞などにアメリカ南部をルーツとするブルース、カントリー、スワンプロックに触発された音楽がみてとれる。ロック・ミュージックがマスビジネスに移行する時代に、キャパシティの小さなホールやクラブで少人数に対してライブを行う姿勢を持つバンドの音楽をパブ・ロックとも言った。パブ・ロックでは'69年に結成されたブリンズリー・シュウォーツ(Brinsley Schwarz)が最も有名だが、その後、こうした流れはニック・ロウ、グラハム・パーカー・アンド・ザ・ルーモア、イアン・デューリー、エルヴィス・コステロなどに継承されていく。GLOBAL VILLAGE TRUCKING COMPANYは、このアルバム以外では'73年10月8日のライヴの模様を収録した2枚組アルバム「GREASY TRUCKERS:LIVE AT DINGWALLS DANCEHALL」のなかでCAMEL、HENRY COW、GONGとともにコンパイルされている。

side one:1.On the judgement day 2.Lasga's farm 3.Love your neighbour 4.Short change/tall story 5.Smiling revolution
side two:1.Love will find a way 2.If you don't mind(me saying) 3.The inevitable fate of Ms Danya Sox 4.Watch out there's mind about
JON OWEN(vocals,guitar) JAMES LASCELLES(organ,electric piano,vocals) JOHN McKENZIE(bass,vocals) SIMON STEWART(drums) MICHAEL MEDORA(lead guitars) CAROMAY DIXON(vocals) PETE KIRTLEY(guitar,vocals)
produced by Fritz Fryer
VIRGIN/CAROLINE RECORDS 1975

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