ELTON DEAN

フリージャズの 激しくパワフルなリズム 奔放に疾走するブラス
ミュージシャンの緊張が高まっていくなかのスリリングな会話
そして再び混沌の渦
ELTON DEAN
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧
CASCADES 30

ELTON DEAN/ELTON DEAN(JUST US)(CBS 64538)
エルトン・ディーン関係の作品では'78年作「El Skid」と、'76年作ヒュー・ホッパーの「Hopper Tunity Box」くらいで、70年代後半になるとボクの意識はもうすでにニューヨーク・パンクやその他のオルタナティヴな動向に向いていて、彼の80年代以後の活動を知らない。当時こうしたフリージャズやジャズよりの音楽は、プログレッシヴやカンタベリー・ジャズを聴いていたロック・リスナーには縁遠いものだった(いまでもそうじゃないかな、そうじゃないならFinn JazzのFCQやイタリアのLTC、ニコラ・コンテなどを聴いていて当たり前だが)。30年の時間を経て、カンタベリー周辺から逸脱した当時正当に評価されもしなかったジャズのアルバムだけが、時間を超えて鮮やかに蘇ってくる。それは時代を超えてジャズが持つ普遍性にあるとしかボクも言いようがない。
'45年10月28日、ノッティンガム生まれのエルトン・ディーンは幼少時にピアノとバイオリンを学び18歳にサックスを始め、'68年"Keith Tippett Group"、'66年"ブルーソロジー"を経て'69年に"ソフト・マシーン"のメンバーとして初めて名前を連ねる。'70年「Third」、'71年「Fourth」のアルバムに関わりながら、ソロ・アルバム「Elton Dean(Just Us)」を発表。'72年「Fifth」の発表を最後に"ジャスト・アス"の活動に専念するためソフト・マシーンを脱退する。"ジャスト・アス"のメンバーは、フィル・ハワード(ds)、マーク・チャリグ(cornet)、ニック・エヴァンス(tb)、ジェフ・グリーン(b)だった。’75年に発足された新らしいバンド"ナインセンス( NINESENSE)"、'73年オランダの"SUPERSISTER"に参加するなどの変遷を経て、"ナインセンス"で'79年まで活動していた。このソロ・アルバムは、エルトン・ディーン(as,saxello,el p)、フィル・ハワード(ds) 、マーク・チャリグ(cornet)、ネヴィル・ホワイトヘッド(el b)、マイク・ラトリッジ(el p,org)、ロイ・バビングトン(b)によるロンドンのAdvision Studiosでのスタジオ・セッション、フリー・インプロヴィゼーションによって制作されている。このアルバムからはアドリブとフリーフォーム、フリージャズの 激しくパワフルなリズム、奔放に疾走するブラス、ミュージシャンの緊張が高まっていくなかのスリリングな会話、そして再び混沌の渦といった、熱気溢れるプレイが伝わってくる。唯一残念に思うのは、マイク・ラトリッジのエレピはエレクトリック・マイルスとはほど遠く、ここからもソフト・マシーンの一端が垣間見えてくる(ウーン∧^^)ことかな。ドラムとベースから生まれる血液のように脈動する安定したグルーヴのうえを、サックスやトランペットなどのブラスがブロウし、吠え、テンションの高揚したミュージシャン同士のスリリングで緊張感ある会話こそが"ジャズ”が"ジャズ"たりうる所以だ。このアルバムにプラスαとしてトランペットもフィーチャーされていたら、言うことなかったけどな。残念なことにエルトン・ディーンは2006年に逝去している。

ELTON DEAN( alto sax, sexello,electric piano) PHIL HOWARD(drums) MARK CHARIG(cornet ) NEVILLE WHITEHEAD(elec.bass )
Mike Ratledge(organ) Roy Babbington(bass) Nick Evans(trombone) Jeff Green( string bass , guitar) Louis Moholo(drums)
SIDE 1:1.Ooglenovastrome 2.Something Passed Me By
SIDE 2:1.Blind Badger 2.Neo-Caliban Grides 3.Part : The Last
produced by Elton Dean
recorded live at Advision Studios London May 1971
CBS 1971

http://www.youtube.com/watch?v=w4MoDPW3UBI
http://www.youtube.com/watch?v=c8BxVPnGkvs

Comment ( 1 )

東山 聡 :

僕がロックマガジンを初めて買ったのは14歳の頃、voI.11からで確かECMやオガン?レーベルのカタログを掲載していました。vol.15は現代音楽の特集でした。ロック雑誌なのに何故ジャズやクラシックなの?その時の素直な感想です。この前話したラジオの事や、そう言った想いが現在(Finn jazzやnu jazz)に繋がっている気がします。

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