CHRISTOPHER HOBBS / JOHN ADAMS / GAVIN BRYARS / BRIAN ENO - OBSCURE RECORDS

obscure no.2
CHRISTOPHER HOBBS
JOHN ADAMS
GAVIN BRYARS
BRIAN ENO
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧
CASCADES 45

CHRISTOPHER HOBBS/JOHN ADAMS/GAVIN BRYARS
ENSEMBLE PIECES
(OBSCURE no.2)
'75年の「Ensemble Pieces」はブライアン・イーノのプロデュースによるオブスキュア2作目にあたる3人の作曲家、クリストファー・ホブス、ジョン・アダムス、ギャヴィン・ブライヤーズによるもの。
CHRISTOPHER HOBBS "Aran" "McCrimmon Will Never Return"
クリストファー・ホブスは1950年9月9日、ミドルセクスの、アクスブリッジで生まれた。トリニティ音楽大学で、将学生としてピアノとバスーンを3年間学んだ後、'67-'69年までロイヤル・アカデミー音楽院でコーネリアス・カーデュー(作曲)とパトリシア・ブラディ(パーカッション)とともに学ぶ。'68年、Expertmevtal Music Catalogue(イギリスとアメリカのエクスペリメンタル・ミュージックのソースを基礎にしたもの)を設立し、'69年のスクラッチ・オーケストラ設立の際にも関わり、'68ー’71年までAMMのメンバーとして、'71-'73年までPromenade Theatre Orchestra、'73-'76年、White Duo、'87-'89年Hartzell Hilton Band、'73ー'91年までロンドンのドラマ・センターのミュージック・ディレクターなど、多くの経歴のなかで、ジョン・ホワイト、ギャヴィン・ブライヤーズ、マイケル・ナイマン、クリスチャン・ウォルフ、コーネリアス・カーデュー、ブライアン・イーノ、ハワード・スケンプトン、マイケル・パーソンズなどと関わり、ヨーロッパ、アメリカで多くのパフォーミング活動を続けていた。
ボブスはまたDe Montfort Universityでの音楽史、作曲法、ダンスにおける音楽、ジャズ、インプロヴィゼーションについての音楽教師や客員講師としての顔も持っている。長い間エリック・サティの仕事に携わっていることからも、彼の音楽の基礎は間違いなくエリック・サティだろう。このアルバムのなかの“ARAN”は古代のイギリスを喚起するリードオルガン、おもちゃのピアノなどを結合させた簡素なミニマリズムによって構築されていて、バリ島の民族音楽ガムランの、オリエンタルな織物のテキスタイルのような風合いを持っている。“McCRIMMON WILL NEVER RETURN ”は、ここでもスコットランドのバグパイプのような音色を奏でる、古代のイギリスを喚起する4台のリード・オルガンが使われているが、テリー・ライリーのミニマル・ミュージックを想起させる。
http://www.musicnow.co.uk/composers/hobbs.html

JOHN ADAMS "American Standard"1.John Philip Souse" 2.Cgristian Zeal And Activity 3.Sentimentals
ヨーロッパのモダニズム理論の原則に流れている美学から、より遠く離れた拡がりのある表現に富んだ言語への方向転換こそが、ジョン・アダムスが音楽で図る態度で、ニューイングランド生まれの彼は、クラリネットを10歳の頃父から、そしてマーチングバンド、コミュニティ・オーケストラでプレイすることによってその基礎が形成された。その後ボストン交響楽団、バーバード大学での経験が彼の音楽の方向性を決定づけた。'71年に北カリフォルニアに移り住み、それ以来現在までサンフランシスコ・ベイエリアに住んでいる。イーノのオブスキュアNO.2「ensemble Pieces」で"American Standard"を発表した以後、'80年代中期までにロンドン・シンフォニエッタと「Chamber Symphony/Grand Pianola」、サンフランシスコ・シンフォニーと「John Adams/Harmonielehre」などの作品を発表している。'85年に詩人のAlice Goodmanとステージ・ディレクター Peter Sellarsと2本のオペラ「Nixon in China」「The Death of Klinghoffe」をコラボレーションし、最新作にはモーツアルトの"The Magic Flute"にインスパイアされたという「A Flowering Tree」があり、現在も精力的に活動を続けている。最近の作品で、特に興味深いのは、2006年にNonesuchレーベルから発表された「John Adams: The Dharma at Big Sur/My Father Knew Charles Ives」で、カリフォルニア風景に溶け込んだジャック・ケルアック、ゲーリー・スナイダー、ヘンリー・ミラーなどや、チャールズアイブスのような作家によって奮い立たせられた、エレクトリック・バイオリンとオーケストラのための作品や、2006年のロサンゼルス・フィルハーモニーのためにキューレートした「ミニマリストジュークボックス」だ。ジョン・アダムスのコンダクターとしての活動を支えているのは、ドビッシー、ストラウス、ストラビンスキーからラヴェル、ザッパ、アイブス、およびエリントンなどのさまざまな作曲家によって成立し、 客演指揮者として米国とヨーロッパの音楽祭のディレクター、ニューヨーク・フィルハーモニック管弦楽団、クリーブランド管弦楽団、シカゴ・シンフォニー、ロンドン交響楽団などオーケストラによって表現される。 この「Ensamble Pieces」での“AMERICAN STADARD”は、ブラスバンドで用いる大きな金管楽器スーザフォーンと、教会の牧師が説教しているかのような宗教的なラジオトークショーのテープと、デユーク・エリントンの"Sophisticated Lady"の、アメリカを象徴する3つの記号を用いて作曲されたもの。
http://earbox.com/biography.html

GAVIN BRYARS "1,2,1-2-3-4"
ギャヴィン・ブライヤーズのこのレコーディングのための実験的な試みを録音したもの。10人のパフォーマーがそれぞれやるべき役割を決められ、そのうえでヘッドホンを耳につけカセットマシンから流れるジャズベースのテーマ音を聴き、他のパフォーマンスの出す音を聴くことが出来ない環境をつくり、そのことで、それぞれの役割が調子外れに演出されるだろうことを計算した遊び心、おもしろさを実験的に試みたもの。結果はそのことによる断絶と分裂がバラバラになることなく、奇妙にもナチュラルで統一され合致されたパーツが録音され、ひとつの不思議な構造を持った音楽が創造されている。
(ギャヴィン・ブライヤーズのバイオグラフィーはCASCADES44を参照)

side one:
Christopher Hpbbs"Aran"
Christopher Hobbs:tubular bells,triangles,cowbells,toy piano.
John White:reed organ,toy piano,triangles,drums.
Gavin Bryars:reed organ,triangles,wood blocks,cymbals.
John Adams "American Standard" 1.John Philip Sousa 2.Christian Zeal and Activity 3.Sentimentals
from a live performance by The New Music Ensemble of The San Francisco
conservatoryof Music at the Museum of Art on March 23rd 1973.
recording engineer(U.S.A.):Alden Jenks.
side two:
Christoher Hobbs"McCrimmon Will Never Return"
Gavin Bryars and Christopher Hobbs:reed organs.
Gavin Bryars "1,2, 1-2-3-4"
Gavin Bryars:double bass. Christopher Hobbs:piano Cornelius Cardew:cello Derek Bailey:guitar. Mike Nicolls:drums. Celia Gollin and Brian Eno:vocals. Andy Mackay:oboe. Stuart Deeks:violins. Paul Nieman:trombone.
engineered by Phil Ault.
produced by Brian Eno.
OBSCURE 1975

※30年ぶりの、当時のロック的な耳で聴いていたオブスキュアと現在のジャズ的なる耳で聴くオブスキュアとは同じものではない。その違いのすべてはボクの生きた証=時間の累積、経験のうえで変容した意識/世界観の違いによって生まれるものなのだろう。そして、現在のボクにとってはオブスキュアでの音楽もまた100%「ジャズ的なるもの」なのだ。

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