52ND STREET

52ND STREET
FACTORY RECORDS
FACTORY BENELUX
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 79
CASCADES 79

52ND STREET
52ND STREETは'80年後半にマンチェスターで形成されたジャズファンク・バンドで、不思議と80年代を通して彼らの曲はアメリカのビルボード・チャートに20位にランクインされたり、イギリスのクラブシーンで常にDJイングされ話題に取りあげられるほど注目度が高かった。現在まで変わることなく流れ続けているハウスミュージックの鋳型がここにある。
52ND STREET/LOOK INTO MY EYES(FAC 59)
トニー・ヘンリー(ギター)、デリック・ジョンソン(ベース)、デズモンド・アイザックス(キーボード)、トニー・トンプソン(ドラムス)、およびジェニファー・マックロード(ヴォーカル)から成り、途中からはラインアップがジェニファー・マックロードの変わりにビーヴァリー・マクドナルド(リード・ボーカル)、デズモンド・アイザックスの変わりにジョン・デニソン
(キーボード)とメンバーチェンジを繰り返し、時にヴォーカルにローズ・ウィリアムズ、サクソフォーンにエリック・ゴッデンをフィーチャーしながらマンチェスター周辺の様々な地方で活動を続け、ローカルのファンクDJ Mike Shaftが彼らのデモテープをPiccadilly Radio showsで流したり、 DJ Richard Searlingや元サドカフェのマネージヤーDerek Brandwood(RCAレコード)などがデヴューシングルまでの道のりを作り、デリック・ジョンソンと兄弟のア・サーティン・レシオのドナルド・ジョンソンを通じて彼らのシングルがファクトリーからリリースされることになる。最初トニー・ウィルソンはファクトリーの初期にリリースしたレゲエバンドX・O・DUSの失敗から、52nd Streetの音楽にあまり乗り気ではなかったらしい。'82年にリリースされた12インチシングル"Look into My Eyes/Express"は、ドナルド・ジョンソンのプロデュースの下に発表されている。その後、'83年に52nd Streetはニューヨークのヒップホップ・コミュニティと、ビル・ラズウェルがジャズキーボーディスト、ハービー・ハンコックとコラボレートした作品などに影響されエレクトロニック・サウンドとドラムマシーンを駆使した12インチシングル"Cool As Ice/Twice As Nice"を発表する。この曲はその後、多くの海賊盤がアメリカで出回わり、ビルボードの20位まで上昇したことでも有名だ。当時その成功を目の当たりにしたA&Mが次のシングルを要求したが、ファクトリー・レコードはそれに対して決定的な答えをだせず、いつの間にかその話は宙に消え、52nd Streetのメンバー間で内輪もめが起こり始める。ヴォーカルのビーヴァリー・マクドナルドはクアンドゥ・クアンゴーに移り、その跡をDiane Charlemagneが埋め、マネージャーも変更してバンドは再編成されサードシングル"Can't Afford"がリリースされる。当時トニー・ウィルソンは、この変化に嬉しくなく、この決定が52nd Streetの迅速な終焉に通じると述べていたが、結局この言葉通り'84年にリリースされたサード・シングルを最後に52nd Streetの幕は下りてしまった。

52ND STREET/LOOK INTO MY EYES(FAC 59)
A:LooK INTO MY EYES
B:Express
Vocals: Beverley McDonald
Bass vocals: Derek Johnson
Guitar vocals: Tony Henry
Keyboards: John Dennison
Drums: Tony Thompson
Synth F/X: Be Music (Bernard Sumner)
Engineered by Phil Ault
Produced by Donald Johnson
Recorded at Revolution Studios, Cheadle
FACTORY RECORDS 1982

52ND STREET/COOL AS ICE(FBN 20)
A1:Cool As Ice
restructured by John'JellyBean'Benitez
engineered by John Gluck/Oz
produced by Donald Johnson
A2:Twice As Nice*
engineered by John Gluck/Oz
poduced by Donald Johnson
A2 mix:Oz
A Factory Benelux Product
made in Belgium
FACTORY BENELUX 1983

52ND STREET/COOL AS ICE(FBN 20)
A1:Cool As Ice
engineered by John Gluck/Oz
produced by Donald Johnson
52nd Street are Beverley McDonald/Derel Johnson/John Dennison/Tony Henry/Tony Thompson
*saxaphone:Mike Pickering
synth prog:BeMusic
A2 mix:Oz
recorded at Revolution Studios Cheadle
A2:Twice As Nice*
engineered by John Gluck/Oz
produced by Donald Johnson
A2 mix:Oz
A Factory Benelux Product
made in Belgium
FACTORY BENELUX 1983

52ND STREET/CAN'T AFFORD(FAC 118)
A:Can't Afford
written by 52nd Street
produced by BeMusic
B:Unorganised Mix
written by 52nd Street
produced BeMusic
52nd Street are Tony Thompson(drums) Tony Henry(guitars,vocals) Derek Johnson(bass,vocals) John Dennison(keyboards) Diane Charlemagne(lead vocals)
engineered by:Chris Nagle
assisted by Nigel Beverly
recorded and mixed at:Strawberry North.
edited at Ikon F.C.L. by Malcom Whitehead
FACTORY RECORDS 1984

VA/FACTORY BENELUX GREATEST HITS(FBN 27)
side 1:1.A Certain Ratio - Guess Who? (Remix) 2.52nd Street - Cool As Ice * 3.Quando Quango - Love Tempo **
side 2:1.Cabaret Voltaire - Yashar *** 2.The Wake - Something Outside 3.Stockholm Monsters - Miss Moonlight
Production: see individual releases.
Design: Albert Pepermans
* "Re-edited by John Jellybean Benitez".
** "Re-structured by Mark Kamins".
*** "Re-make re-model by John Robie".
Thanks to Alexander 'Mac' Macpherson for imagery. Thanks to OMNY for info.
FACTORY BENELUX 1983
ベルギー、クレプスキュールからのアヴァンファンクのコンピレーション。

52ND STREET
http://www.youtube.com/watch?v=YOhYu0dwK2c

52ND STREET ※52nd Streetとは、マンハッタンの52丁目のこと。マンハッタンの5番街とセヴンスアベニューの間のニューヨーク52番街は、20世紀半ばまでジャズとストリートライフの街としてジャズ・クラブがひしめき合い、その絶頂期'30 年から'60年まで、ニューヨーク52番街のクラブはチャーリー・パーカー、ビリーホリデー、マイルス・デイビス、ディジー・ガレスピー、アート・テイタム、セロニアス・モンク、ファッツ・ウォーラー、ハリー・ギブソンなどのジャズがつねに流れ多くのジャズ伝説を生んだ。モンクの"52nd Street Theme"という曲にあるようにビバップとジャズ・スタンダードの象徴としての街でもあった、しかしマイルスの"自伝"にも述べられているように、60年代までに伝説的なクラブの大部分がつぶれ、最後のクラブは'68年にそのドアを閉じたという。現在52nd Streetは、銀行やショップ、デパートで溢れていてほとんどジャズ史の跡を残していない。なのになぜジャズミュージシャンはいまもニューヨークなどに行き、レコーディングするのだろうか。それは年間約15万人が訪れるというビートルズのあのアビーロードの横断歩道で写真を撮って喜んで帰ってくる観光客と変わらないだろうに。現在のニューヨークのストリートにジャズなどない。いま52nd Streetとはジャズと同意の暗喩でもある。

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